シャープの冷蔵庫「Fit63シリーズ」に、節電機能が向上した新モデルが登場。他メーカー製の太陽光発電システムとも連携できるようになりました。
シャープは数年前から奥行63cmの冷蔵庫を発売していますが、500L以上の大容量モデルでも奥行63cmの薄型設計を実現できたことから、2024年度より奥行63cmのモデルを「Fit63シリーズ」として展開しています。日本のシステムキッチンの標準的な奥行きは65cm。奥行63cmの冷蔵庫ならキッチン横に設置したときに出っ張らないだけでなく、冷蔵室上段の奥にある食品にも手が届きやすいため、最近、奥行きを重視して冷蔵庫を選ぶ人が増えています。
容量545Lの「SJ-MF55P」(写真左)と505Lの「SJ-MF51P」(写真右)を標準的な奥行きのシステムキッチンに設置したイメージ。冷蔵庫が出っ張らないと見た目がすっきりします
薄型設計なら、幅が広くて通れないときに向きを変えれば通過できることも
2025年度の「Fit63シリーズ」のラインアップは、容量545Lの「SJ-MF55P」(幅730mm、高さ1,838mm)、505Lの「SJ-MF51P」(幅685mm、高さ1,838mm)、457Lの「SJ-MF46P」(幅650mm、高さ1,838mm)、429Lの「SJ-MF43P」(幅650mm、高さ1,750mm)のほか、「どっちもドア」を採用した457Lの「SJ-MW46P」(幅650mm、高さ1,838mm)の5機種です。
市場想定価格は「SJ-MF55P」が41万円前後、「SJ-MF51P」が39万円前後、「SJ-MF46P」が35万円前後、「SJ-MF43P」が34万円前後、「SJ-MW46P」が35万円前後。発売予定日は「SJ-MF55P」と「SJ-MF51P」が2025年2月20日、それ以外が2025年2月13日です
※価格はすべて税込
「Fit63シリーズ」は外気温や製氷コントロールなどを感知するセンサー、コンプレッサーの低速回転制御をはじめとする25項目の省エネ技術を使って最大約25%節電する「節電25」に加え、最大約30%の節電を実現する「つないでもっと節電」機能を搭載しています。「つないでもっと節電」を使うためには、無線LAN(Wi-Fi)への接続が必要。ドアの開閉時間帯など使用状況をクラウド上のAIが学習し、各家庭の生活パターンに合わせて省エネ運転を行います。新モデルは、「つないでもっと節電」が進化。冷凍室に新たな温度制御を追加することで、節電効果を最大約35%まで高めました。
庫内のボタンを押して「節電25」をオンにした状態でWi-Fi接続すると「つないでもっと節電」が作動。「つないでもっと節電」はAIが学習したデータを基に省エネ運転する「おまかせ設定」と、ユーザーが指定した時間帯に省エネ運転を行う「こだわり設定」がスマホアプリ「COCORO HOME」上で選べます
このほか、フレンチドアタイプの「SJ-MF55P」「SJ-MF51P」「SJ-MF46P」「SJ-MF43P」の4機種に採用されている、冷蔵室のドアが自動で閉じる「オートクローズ」機構も進化しています。前モデルでは冷蔵室のドアが開いている角度が約20度でオートクローズが作動しましたが、新モデルは作動する角度を約30度に拡大。ドアの閉め忘れを防ぎ、むだな電力の消費を減らします。
上の動画は、オートクローズが作動する様子を撮影したもの。前モデルは約20度以上ドアが開いていると半ドア状態のまま閉まりませんが、新モデルは30度以内になると自動でドアが閉まります。
ちなみに、一般的なフレンチドアタイプは両開きのドアの隙間を埋める柱「センターピラー」を配置しています。シャープのフレンチドアタイプはピラーのない「センターピラーレス構造」を採用しているのも特徴。ピラーがない分、ドアポケットのスペースを広く確保できます。
ドアの合わせ面にホタテの凹凸形状を模したパーツを配置しているのも独自機構。密閉性が高まり、ドアパッキンまで冷えにくいため、この構造を採用していないタイプと比べ、結露防止ヒーターの消費電力が約20%削減されるそう
太陽光発電システムと家電や住設機器を連携する「Life Eeeコネクト」サービスに対応しており、クラウドHEMSサービス「COCORO ENERGY」を使ってAIがユーザーの生活パターンや発電実績、気象情報などから余剰電力量が多い時間帯を予測し、そのタイミングで多くの電力を消費する除霜運転を行うことで電気代を抑えます。この機能は前モデルから搭載されていますが、利用するためには同社のソーラーパネルとクラウド連携エネルギーコントローラーが必要でした。
同社のHEMSを使って太陽光発電システムと連携
新モデルは、これに加え、他メーカーの太陽光発電システムにも対応。ただし、同社のHEMSを使う場合とは異なり、気象予報から日射量が多いとき(10〜14時の間)に除霜運転を行う制御となります。
他社製の太陽光発電システムを使う際には「おひさま除霜」という制御を実行。シャープのHEMSを使ったときのように生活パターンなどを学習して制御する運転は行われません
冷蔵室の浮遊菌や付着菌を除菌する「プラズマクラスター」や、チルド室上部の棚も含め冷蔵室のすべての棚を取り外して掃除できる構造など、前モデルに採用されていた機能や機構は引き続き備えています。
冷蔵室には、高密閉構造で約0〜2度で保冷する「うるおいチルド」と、約-2〜0度の低温制御で保存する「低温作りおきルーム」という2種類のチルドルームを配置。「うるおいチルド」はお刺身や発酵食品の水分を保ちながら新鮮保存でき、「低温作りおきルーム」は生鮮食品や作り置き食材、お総菜の保存に役立ちます。
上段が「うるおいチルドルーム」で、下段が「低温作りおきルーム」
下段冷凍室の2段目は通常の冷凍よりもさらに低温で保存する「新鮮冷凍」に切り替えられます。通常の冷凍よりも消費電力は10〜30%アップしますが、霜取り運転前やドア開閉後に急冷することで冷蔵室内の温度上昇を防ぎ、食品への霜付きや鮮度低下を抑制。また、食品を素早く冷却し、栄養素をキープしたまま冷凍する「快速冷凍」も用意されています。
「快速冷凍」を使用する際は、下段冷蔵室の2段目の中央に「フレキシブルトレー」を使用します。「快速冷凍」をオンにすると約4時間冷却ファンの回転数を高めて、冷却スピードをアップ。フレキシブルトレーに入れた食品が素早く冷却されます
「快速冷凍」と「新鮮冷凍」を一緒に使うと、通常の冷凍保存よりも食品がおいしい状態で保存できるとのこと
下段冷凍室の1段目には、整理しやすいように位置を調整できる仕切りを配置しています。
「SJ-MF55P」と「SJ-MF51P」には前後にスライドできる仕切り「タテ置き名人」を採用。左右のトレイの深さを約14cmと約10cmで変えているのもポイントです
「SJ-MF46P」「SJ-MF43P」「SJ-MW46P」は前後左右に自由に調整できる「4切り(しきり)名人」を採用しています
雪国で雪の下に野菜を入れて長期保存するような状況を再現し、低温・高湿環境で鮮度を守ります。さらに、でんぷんを分解して甘みを引き出す効果も。新モデルの5機種すべて「真ん中野菜室」レイアウトです。
野菜室を閉じると「うるおいガード」でふたをする仕組みとなっており、乾燥を抑えます
ホコリや油汚れからパッキンを守るため、冷蔵室上部にひさしを設けているのも特徴です。