「Dyson V6 Fluffy」
価格.comの「掃除機」カテゴリーでは、ここ数年ダイソンのコードレスサイクロン掃除機が人気を博しているが、ついに売れ筋ランキングのベスト5を独占するに至った。特に、今年2015年5月に市場に投入された新モデル「Dyson V6」の各モデルが2位から5位までを占めており、その好調さがうかがい知れる(図1)。
図1:価格.comの「掃除機」カテゴリーにおける売れ筋ランキング(2015年11月4日現在)
図2は、「価格.comトレンドサーチ」で、価格.comの「掃除機」カテゴリーにおける主要5メーカーの製品PVアクセス数の推移を示したものだ。これを見ればわかるように、人気の高さで首位を走るダイソンは、ここ2年間ほど他の掃除機メーカー各社を寄せ付けない強さを見せつけている。逆に、ダイソンを除く4社(パナソニック、東芝、日立、iRobot)は、ほぼ同率で熾烈な2位争いを演じている。
図2:主要5メーカーの製品PVアクセス数推移(過去2年)
このように、ここ2年で日本の掃除機市場を席巻するに至ったダイソンであるが、その立役者となったのは、間違いなく同社のコードレスサイクロン掃除機だ。それが証拠に、売れ筋ベスト5に入っているのは、すべて同社のコードレスサイクロン掃除機であり、キャニスター型の掃除機としては、2014年に発売された「ダイソン DC63 モーターヘッド コンプリート」がようやく13位に顔を出す程度となっている。キャニスター型に限って言えば、ダイソンのサイクロン掃除機は、国内メーカーの掃除機に勝てていないが、コードレス型に限って言えば、国内メーカーを圧倒していると言っていい。
図3:ダイソンの人気製品5モデルのアクセス推移(過去3か月)
図4:「掃除機」カテゴリーにおける売れ筋ランキングベスト5製品の順位推移(過去3か月)
そんなダイソンのコードレスサイクロン掃除機であるが、今年5月に発売された新モデル「Dyson V6」が好調だ。現在売れ筋ランキング1位の「ダイソン DC61 モーターヘッド」は2013年9月に発売された旧モデルで、現状の販売価格の安さもあってロングヒットとなっているが、発売からまだ半年程度しか経っておらず、価格も高めな「Dyson V6」の各モデルが、ここまで高い人気を勝ち得たのは、やや意外な展開かもしれない。図3は、ダイソンの人気製品5モデルのアクセス状況を示したものだが、「Dyson V6」のラインアップの中ではベーシックモデルとなっている「Dyson V6 Motorhead」が安定した人気となっているのに加えて、上位モデルである「Dyson V6 Fluffy」や「Dyson V6 Fluffy+」、さらにはハンディタイプの「Dyson V6 Mattress」までもが、好調な推移を示している。この流れを受けて、ついには売れ筋ランキングのベスト5がダイソンのコードレスサイクロンで独占されるに至ったというわけだ(図4)。
図5:ダイソンの人気製品5モデルの最安価格推移(過去3か月)
なお、これらダイソンの人気製品5モデルの最安価格は図5の通り。最も安いのは旧モデルの「ダイソン DC61 モーターヘッド」で、25,800円という最安価格をつけているが、新モデルの「Dyson V6」に関しては、ベーシックモデルの「Dyson V6 Motorhead」が47,800円、上位モデルの「Dyson V6 Fluffy」が59.664円、さらに上の「Dyson V6 Fluffy+」が66,499円と(最安価格はいずれも2015年11月3日時点)約5〜7万円程度の価格帯に位置しており、決して安い製品ではない。にも関わらず、ダイソンの「Dyson V6」各モデルは、今好調なセールスとなっている。
図6:ダイソンの人気製品5モデルの満足度推移(過去3か月)
ちなみに、これら5モデルのユーザー評価(満足度)を見てみると(図6)、最も高いのは、上位モデルの「Dyson V6 Fluffy」で、次いで、ハンディタイプの「Dyson V6 Mattress」となっている。最上位の「Dyson V6 Fluffy+」に関しては、販売価格が高いこともあってやや厳しめな評価だが、意外なことにベーシックモデルの「Dyson V6 Motorhead」の評価も現状4.0を割り込んでおり、評価が高いとは言えない。
図7:「Dyson V6 Fluffy」のユーザー評価
最も評価の高い「Dyson V6 Fluffy」のユーザー評価を見てみると(図7)、総合満足度は4.66とかなり高め。特に、デザイン、サイズ、パワーの評価が高い。唯一、静音性のみが3.19と評価が低く、全体の中では目立つ結果となっている(いずれも2015年11月3日時点での評価)。ユーザーレビューの中でも、パワーについては「素晴らしく強力です」「言わずもがな、強力です」と評価されているほか、本モデルの特徴にもなっている「ソフトローラークリーナーヘッド」の評価が高い。レビューでは「髪が絡まらない」「ローラーヘッドが、ぞうきんの乾拭きのような効果を発揮してくれます」など、新型ヘッドの搭載による満足度が高いのが、ベーシックモデル「Dyson V6 Motorhead」の評価に比べて、本モデルの総合評価が高い理由となっていそうだ。
なお、動作音については、「キーンという金属音が。なれれば大丈夫です」といったように、決して静かではないようだが、その点は多くのユーザーがパワーとのトレードオフとして納得している様子。そのほか、手入れのしやすさに関して、「ゴミ捨て時にダストカップの下を開けるのですが、ホコリが舞う。そしてダストカップに溜まったゴミがきれいに落ちてこないので、手で出す必要があるときがある」のように、この点が本機唯一のウィークポイントだと評する声もあった。
このように、ダストカップのお手入れが大変といった声はあるものの、それ以外に、今のところ「Dyson V6 Fluffy」の弱点らしい弱点は見当たらない。ダイソンならではの強力な吸引力を持ちながら、コードレスでサッと使え、デザイン的にもカッコいいとなれば、5万円以上する価格でも十分納得できる。ダイソンは、日本国内の掃除機市場において、そんな強力なブランドをしっかり築き上げたと言っていいかもしれない。