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ダイソン一強のコードレス掃除機市場で、日立「パワーブーストサイクロン PV-BC500」が今になって人気なワケ

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「パワーブーストサイクロン PV-BC500」

「パワーブーストサイクロン PV-BC500」

掃除機市場では、ここ数年、取り回しやすく便利なコードレススティック型掃除機が人気の中心を占めている。特に人気なのは、この市場に大量の製品を投下し、市場をリードしてきたダイソンのコードレスサイクロン掃除機群だ。以前の記事でもお伝えしたが、一時期は、価格.comの「掃除機」カテゴリーのベスト5がダイソン製品で占有されるなど、ここのところのダイソン人気はすさまじく、もはやコードレススティック型掃除機の市場では、一強とも言えるほどの強いブランド力を示していた。しかし、ここへ来て、このダイソン人気にちょっとした楔を打ち込んだような形になった対抗馬が現れた。それが、ここで紹介する、日立の「パワーブーストサイクロン PV-BC500」である。

発売から約1年経ち、販売価格が手ごろになってきたのが人気の大きな理由

図1:「掃除機」カテゴリー人気ベスト5製品の売れ筋ランキング推移(過去6か月)

図1:「掃除機」カテゴリー人気ベスト5製品の売れ筋ランキング推移(過去6か月)

図2:「掃除機」カテゴリー人気ベスト5製品のアクセス数推移(過去6か月)

図2:「掃除機」カテゴリー人気ベスト5製品のアクセス数推移(過去6か月)

図1・図2は、「価格.comトレンドサーチ」で、「掃除機」カテゴリーにおける売れ筋ランキングの上位ベスト5製品のランキング推移とアクセス数推移を示したものだ。これを見ると、ダイソンの人気モデル「Dyson V6 Fluffy」と、「DC61 モーターヘッド」の人気が群を抜いて高く安定していることがわかる。3〜5位はかなり接戦となっているが、半年前は、この5製品中でもっとも人気の低かった「パワーブーストサイクロン PV-BC500」が、2015年の年末くらいから徐々に人気を上げていき、今や売れ筋ランキングの順位でも4位、注目ランキングでは3位という高順位になっている。

図3:「パワーブーストサイクロン PV-BC500」の売れ筋・注目ランキング推移(過去6か月)

図3:「パワーブーストサイクロン PV-BC500」の売れ筋・注目ランキング推移(過去6か月)

図4:「パワーブーストサイクロン PV-BC500」のアクセス数推移(過去6か月)

図4:「パワーブーストサイクロン PV-BC500」のアクセス数推移(過去6か月)

図3・図4は、「パワーブーストサイクロン PV-BC500」単独でのランキング推移とアクセス数推移を示したものだが、これを見ると、その傾向がよりよく理解できる。本製品の発売は、2015年2月21日と今からおよそ1年前。その発売から半年ほどは人気ランキングの上位に顔を出すこともなく、低調に推移していた。本製品が人気ランキングの20位内に入ってきたのは、発売から8か月ほど経った2015年10月末のこと。以降、2015年年末に向かって人気を伸ばし、年が明けても、その人気は維持されている。かなりスロースタートともいえるような本製品の人気状況だが、その人気の鍵はどうやら、販売価格と大きく関連していそうだ。

図5:「パワーブーストサイクロン PV-BC500」の最安価格推移(過去2年)

図5:「パワーブーストサイクロン PV-BC500」の最安価格推移(過去2年)

図6:「掃除機」カテゴリー人気ベスト5製品の最安価格推移(過去6か月)

図6:「掃除機」カテゴリー人気ベスト5製品の最安価格推移(過去6か月)

図5は、「パワーブーストサイクロン PV-BC500」の最安価格を示したものだ。これを見ると、本製品は2月の発売時には86,184円という価格を付けていたが、発売から2か月くらい経った4月には5万円台前半まで一気に値を下げた。その後はゆっくりと価格が下がっていっているが、本製品の人気が健在化し始めた10月後半くらいには、それまでの4万円台中盤という最安価格が、一気に5,000円ほど下げた4万円前後というところになっている。その後も価格は下がってきており、2016年2月10日現在の最安価格は33,588円と、3万円中盤を割り込んでいる。この価格の下がり方が、本製品の人気を後押ししたことはまず間違いなさそうだ。

なお、図6は、「掃除機」カテゴリー人気ベスト5製品の最安価格を比較したもの。人気のダイソン「Dyson V6 Fluffy」とその上位モデルである「Dyson V6 Fluffy+」の最安価格は5〜6万円で、飛び抜けている。それに比べると、本製品の現在の最安価格は3万円台半ばと、ほぼ半額の感覚だ。ダイソン製品と同価格帯ではなかなか売れないが、ダイソン製品と比べて3〜4割ほど安くなれば、価格面での優位性を感じやすくなるということなのかもしれない。

ただし、すでに本製品は発売から1年が経過しているので、近いうちにモデルチェンジがあることも予想される。すでに十分安くなってはいるが、買い時という意味では、難しい時期とも言えるだろう。

ユーザー評価は4.48の高評価。比較検討されているのは、ダイソン、東芝、シャープの各コードレス製品

図7:「パワーブーストサイクロン PV-BC500」のユーザー評価(2016年2月10日現在)

図7:「パワーブーストサイクロン PV-BC500」のユーザー評価(2016年2月10日現在)

しかし、「パワーブーストサイクロン PV-BC500」は、決して価格面だけで選ばれているわけではない。それを物語っているのが、本製品に対するユーザーレビューの評価だ(図7)。5点満点で4.48というなかなかの高評価をつけており、購入後の満足度も比較的高いということができる。ちなみに、図8は、「掃除機」カテゴリー人気ベスト5製品の満足度推移を示しているが、これを見ても、人気製品の中でも本製品の評価はかなり高めであることがうかがえる。しかも、面白いのは、評価が徐々に高まっていっているということだ。ここには、前述の価格下落が大きく影響しており、安く購入できたことで相対的に製品の評価も高まっているものと考えられる。

具体的な評価項目で見ると、「サイズ」(4.80)、「使いやすさ」(4.73)、「デザイン」(4.63)の評価が特に高い。「手入れのしやすさ」(4.28)、「取り回し」(4.36)、「静音性」(3.98)などもカテゴリー平均よりは上だ。残念なのは唯一「パワー」(3.93)で、これだけはカテゴリ−平均を下回ってしまっている。

ちなみに、最大のライバルと目されるダイソンの「Dyson V6 Fluffy」の満足度は4.65で、「デザイン」「パワー」「取り回し」の項目で本製品よりもいい評価となっているが、「使いやすさ」「静音性」「サイズ」「手入れのしやすさ」などの項目では本製品のほうがいい評価をつけている(図9)。サイズや使いやすさ、静音性などの点では本製品のほうがやや上だが、パワーで大きく負けているといった印象だ。

図9:「Dyson V6 Fluffy」のユーザー評価(2016年2月10日現在)

図9:「Dyson V6 Fluffy」のユーザー評価(2016年2月10日現在)

ユーザーレビューの内容をつぶさに見ていくと、特に高く評価されている点として、「パワーブラシによる取り回しのしやすさ」と、「自立する設計」の2つが浮かび上がってくる。前者では、「ヘッドが軽いので、無理なく動かせてます」「ヘッドが大きめですので掃除はしやすいです」「ヘッドが自走式なので他社製品より重いことが苦にならない」など、大きめで自走式のヘッドによって、軽い力ですいすい動かせるという点が好評だった。また、後者では、「充電スタンドがとても良い。使ったらそのまま置くだけで充電されるのはかなり便利」「掃除の途中で物を退けたりするときに立てて置いておけるのはとても良かったです」と、こちらも好評だった。ちなみに、「Dyson V6 Fluffy」は、壁掛けにする必要があり、この点の評価はあまり高くない。

なお、デザインについてもおおむね好評で、「かっこいいです。スタイリッシュ。色はシャンパンゴールドを購入しましたが、廊下に普段設置しても気になりません」「色がきれいですので、リビングの目立つ場所に陣取っていますが違和感がありません」など、高評価。また、本機の特徴でもある「トランスフォーム機構」により、収納時にコンパクトになる点についても、「充電中はトランスフォームでコンパクト」と、こちらも評価は高かった。

逆に、「パワー」については、本機の特徴のひとつともなっている点であるが、ユーザーからの反応は比較的厳しめ。ただし、「普通の掃除機に比べるとやはりパワー不足を感じますが、ちょっとした掃除には充分だと思います」「強モードは7分しか稼働しませんがこいつでカーペットや布団を吸うと面白い位ゴミが取れて「こんな汚い所で寝転んでたのか」とかるく凹むレベル。フローリングは通常で全く問題なく吸います」など、これで十分という声もあり、あくまでダイソン製品と比べてのパワーの弱さを指摘しているという感じが強い。

むしろ、手入れのしやすさに対する問題のほうが多く指摘されており、「吸引力が弱いのに、ゴミが毎回、紙フィルターまで到達してしまう事からメンテナンス性が悪い」「他の機種に比べてフィルターが汚れやすい、すなわちゴミやホコリがダストボックスで十分分離できていないということでしょう」といった声が複数見られた。吸込仕事率という点ではハイパワーであるのかもしれないが、サイクロンとしての分離性能と、ダストボックスや排気フィルターの構造や容量といった点に、まだまだ改良の余地があると言えそうだ。

図10:「パワーブーストサイクロン PV-BC500」のライバルランキング(2016年2月9日現在)

図10:「パワーブーストサイクロン PV-BC500」のライバルランキング(2016年2月9日現在)

なお、本製品のライバルとして比較検討されている製品としては、上述したダイソン「Dyson V6 Fluffy」が1位、東芝の「トルネオ ブイ コードレス VC-CL1200」が2位、シャープ「FREED 2 EC-SX210」が3位で、ベスト3は、すべてコードレスサイクロン掃除機という結果になった。このうちダイソンと東芝には負け越しているが、シャープには大きく勝ち越しているという状況で、競合関係はかなり厳しい様子がうかがえる。クチコミでも、この3機種で悩んだ末に選んだという声が多く、性能、使い勝手、価格のバランスを見ながら、慎重に製品選びを行っているユーザーの姿が浮かび上がってくるようだ。

鎌田 剛(編集部)
Writer / Editor
鎌田 剛(編集部)
1996年にソフトバンクにて複数のパソコン情報誌の編集・立ち上げに携わった後、2002年にカカクコム入社。2006年「価格.comマガジン」を創刊。以降、編集長としてメディア運営に携わる。日経MJにてコラム連載、ラジオ出演なども幅広く行う。家電製品アドバイザー資格保持者。
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