レビュー

実は湿度も重要! 熱中症の危険度を警告してくれる「コンディションセンサー」で愛犬を守る

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暑さを感じる度合いは人それぞれ。そのため「そこまで暑くはなかったのに、気が付いたら熱中症で倒れていた」という話もよく聞きます。そんな事例が多いためか、あの健康機器のタニタから熱中症の危険度を警告する「コンディションセンサー TC-200D」(以下、TC-200)が発売されました。じつは11歳の老犬を飼っている我が家、犬の熱中症予防のために試してみることにしました。

コンディションセンサー TC-200D

コンディションセンサー TC-200D

「暑さ指数」って知ってる?

意外な事実ですが、じつは熱中症は「気温が高い」ときにだけ起きやすいわけではありません。気温が低くても、湿度が高ければ熱中症になる可能性が高まります。この「熱中症になりやすさ」を数値化したものが、環境省も指標にしている「暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)」です。

ところが、この暑さ指数を出すには「0.7×湿球温度+0.1×乾球温度+0.2×黒球温度」などの面倒な計算が必要です。ちなみに、湿球温度とは湿度に関係する温度、乾球温度とは温度計の気温のこと。そして、非常に重要なのが「黒球温度」です。黒球温度計とは、熱を反射しにくい「黒色の球体」の中心温度を測るという温度計。この方法だと、空気の温度だけではなく、普通の温度計では測れない「日射」や「地面からの照り返し」などの輻射熱も計測できます。このため、体感に近い温度が計測するには欠かせないのです。

説明が長くなりましたが、TC-200は、この黒球温度計を搭載した温湿度計となります。温度や湿度、黒球温度を計測して独自の計算方法でWBGTを算出することで、今の状態をチェックします。

サイズは58(幅)×108(高さ)×36(奥行)mmで、重量は約65g。女性の手の平にもコンパクトなサイズ

サイズは58(幅)×108(高さ)×36(奥行)mmで、重量は約65g。女性の手の平にもコンパクトなサイズ

本体裏側にはボタン電池の挿入口と電源ボタンが配置されています。また、裏面の突起には付属のシリコンバンドについたカラビナが装着できるようになっています

本体側面には音量ボタン。音量は「無」「小」「大」の3段階で変更可能

本体側面には音量ボタン。音量は「無」「小」「大」の3段階で変更可能

温度が表示されないのはメリット?デメリット?

この製品の面白いところが、液晶画面にはWBGTの値はもちろん、温度、湿度などの数値が一切表示されないことです。唯一表示されるのは、熱中症の安全レベルを表すレベル1〜5までのアイコンのみです。

レベル1:ほぼ安全、ただし体調により熱中症リスクはゼロではない(WBGT:21℃未満)

レベル1:ほぼ安全、ただし体調により熱中症リスクはゼロではない(WBGT:21℃未満)

レベル2(左):一般的に危険性は少ないが、激しい運動には注意が必要(WBGT:21〜25℃未満)
レベル3(中):運動時や激しい作業時は定期的な休憩が必要となる環境(WBGT:25〜28℃未満)
レベル4(右):外では炎天下を避ける。室内は室温上昇に注意が必要(WBGT:28〜31℃未満)

レベル5:外出はなるべく避けるべき環境。高齢者なら室内の安静状態でも熱中症の可能性あり(WBGT:31℃以上)

最初は「温度がわからないのは不便」と思っていたのですが、使ってみると意外に「余計な情報がない」のも便利です。たとえば、温度がわかってしまうとWBGTが高くても「暑さ指数は高いけれど、まだ27度だから、あと1度上がるまでエアコンは入れないで節電」などと考えて我慢しがちです。しかし、最初から「レベル4以上になったらエアコンを入れる」と考えていれば、エアコンを入れることを躊躇しません。また、我が家ではTC-200を主に犬の散歩に使用していたのですが、「レベル4以上になったら歩かせない」と決めていたので、とくに数字などの表示がなくても困りませんでした。

ちなみに、暑さの警告は液晶画面だけではありません。TC-200は、暑さがレベル2以上だと10分ごとにアラームが鳴ります。レベル2はピッピと1秒、レベル3だとピッピッピッピと3秒、レベル4は15秒、危険なレベル5だとピーッピーッと長いブザーが繰り返し鳴る仕様です。

ちなみに、最大音量は防犯アラーム並みの大音量! スマホで簡易計測したところ、約8dBと電話着信音並みの音量がありました

ただし、筆者が使用した6月は比較的暑かったため、エアコンを入れている室内でもほとんどレベル2でした。寝ている時も10分ごとに「ピッピ」と耳障りな音がするため、就寝時は音量を「無」に設定し、犬と散歩のときだけ音量を「小」に設定するといった工夫も……ただし、10分ごとにアラームが鳴ると耳が「無視することに慣れる」という弊害があります。ただし、危険なレベル5になると、音量を「無」や「小」にしても最大レベルでピーピーとブザーが鳴ります。なので最終的には「本当に危険なときだけ教えてもらう」と、割り切り音量は「無」に設定していました。

ただ、個人的にはレベル5はかなり暑い状態なので、その手前のレベル4で一度警告が欲しいところ。なので、ワガママを言えば「レベル3以上になったらアラームを鳴らす」など、アラームの鳴るタイミングを自分で設定できればよいと感じました。

犬に装着しようとしたら……

前述したように、我が家では犬の熱中症予防のためにTC-200を使用しています。我が家の犬は現在11歳、人間にすれば60歳を過ぎたあたりです。以前は夏でも元気に歩いていたのですが、最近は加齢のためか少し暑いとすぐに「ハアハア」と舌を出します。

我が家の犬はアレルギー対策のため、夏でも全身ジャージ。このため、飼い主が快適でも「暑い……」と舌をハアハア、目にも力がありません。老犬や寒い地域の犬種、肥満犬なども暑さに弱いので注意が必要

また、飼い主は帽子などの暑さ対策で「これくらいなら平気かな?」と思っても、地面に近い位置にいる犬にとっては過酷な環境なこともあります。TC-200があれば「気が付いたら犬が熱中症に」という事態は防げそうです。

しかし、いざ犬に装着……と思ったら、意外な問題が発生しました。なんとTC-200は、高さ90〜150cmの範囲に装着する必要があるのです。最初は犬の首輪にTC-200を取り付けるつもりだったのですが、首までの高さ25cm程度の我が犬にはとても無理。結局リードの持ち手に装着しました。しかし、よく考えてみたら、耳の良い犬の首近くに大音量で鳴るアラームを装着するのはよくありませんね。今回は高さ制限があって、考える時間ができてよかったのかもしれません。

我が家では、リードのハンドル部分に引っかけて使うことになりました

我が家では、リードのハンドル部分に引っかけて使うことになりました

お出かけする犬種なら、キャリーなどにセットしても(写真はスリングに装着)。危険レベルになったら、日陰やドッグカフェなど涼める場所に移動しましょう

ベルトに装着しておけば、犬がいない日中も忘れずに携帯して歩くことができます

ベルトに装着しておけば、犬がいない日中も忘れずに携帯して歩くことができます

まとめ

TC-200は、約4,000円ほどで購入できます(2016年6月現在/価格.comにおいて)。正直、最初は「暑さを計るだけなのに、ちょっと高いな」と感じました。しかし、TC-200は本体が小さく、リードやカバンにアクセサリーのように装着しておけば、あとは放置するだけ。いざという時は大音量で警告をしてくれるので、暑い日の散歩中もなんだか安心感があります。

今回筆者は犬のために使用しましたが、犬は我慢強い性格の子が多いため、熱中症が重症化するまで散歩し、いきなり倒れることもあります。軽い熱中症でも初診料などを入れれば数千円、脱水が進んで入院となったら数万円の治療費がかかると思えば、意外に高い買い物ではないかもしれませんね。

ちなみに、TC-200の本来のメインターゲット層はシニア層や子供です。とくにシニアになると温度に対する感覚が鈍くなるため、体感でエアコンをコントロールするのはNG。温度計や湿度計を見てエアコンなどをコントロールする必要があります。とはいえ、暑さを感じていないのに「今、部屋の温度はどれくらい?」などと、わざわざ温度をチェックすることは少ないでしょう。そこで、TC-200のような熱中症対策製品が重要となるのです。コンパクトで場所もとらないので、高齢者がいる家庭なら、熱中症にならないための「お守り」のように部屋に置いておくのもおススメです。

倉本 春
Writer
倉本 春
パソコン雑誌編集者からドッグカフェオーナーという、異色の経歴を経た家電ライター。家電を活用することで、いかに家事の手を抜くかに日々頭を悩ませている。
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