レビュー

パン作りだけじゃない「新 石窯ドーム」はコンパクトさも大注目

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東芝の過熱水蒸気オーブンレンジ「石窯ドーム」といえば、パンやお菓子作りをする人に人気の製品だ。そして、今年はこの人気過熱水蒸気オーブンレンジが7年ぶりにフルモデルチェンジした。いったいどんな所が変わったのか? そして、使いやすさは? 実際に最上位モデル「ER-PD7000」を使用し、気になる使い勝手をチェックしてみた(2016年9月10日に発売予定/2016年8月12日現在)。

石窯ドーム ER-PD7000本体カラーは、写真の「グランレッド」のほか「グランホワイト」の2色

石窯ドーム ER-PD7000本体カラーは、写真の「グランレッド」のほか「グランホワイト」の2色

奥行き39.9cm! あきらめていた大容量30Lサイズが設置可能に

石窯ドームといえば、家庭用オーブンレンジ業界最高の350℃での加熱が可能な製品(350℃をキープできるのは約5分)。一般的なオーブンの最高温度は250〜300℃ほどなので、パン作りなどの高い火力を求めるユーザーには絶大な人気がある。また、庫内天井がドーム状に湾曲しており、熱風を効率的に対流させられ、焼きムラが少ないという特徴ももっている。新しいER-PD7000も、もちろんこれらの特徴を継承。さらに、従来は天井部のみドーム状だったが、ER-PD7000は庫内の四隅も「角」がなくなった。このため、より熱風が対流しやすくなっているという。

本体サイズは、498(幅)×399(奥行き)×396(高さ)cm

本体サイズは、498(幅)×399(奥行き)×396(高さ)cm

天井部だけでなく、四隅も丸くなって熱の対流がより効率的になった

天井部だけでなく、四隅も丸くなって熱の対流がより効率的になった

庫内側面には、3つ並んだスチーム吹き出し口と、上部に温度センサーの出っ張りがある。説明書には「角皿などを当てないでください」とあるが、上段の天板スリットと近いため、急いでいる際には何度が当たってしまいそうになった

浅い角皿が2枚(左)、焼き網が1枚(中央)、角皿(深皿)が1枚(右)が付属

浅い角皿が2枚(左)、焼き網が1枚(中央)、角皿(深皿)が1枚(右)が付属

以前は横並びにキーが並ぶタッチパネルだったが、ER-PD7000より液晶画面に操作部が集約された。「レンジ」「解凍」やりたい操作をボタンで選んでいく。操作はわかりやすいが、階層が深いメニューもあるのが難点

約450種類の自動調理メニューがあるのも特徴。「レンジ」や「オーブン」といった機能、温度、時間などを自動的に設定してくれる。自動調理メニューは、食材やあいうえお順、付属の料理本に書かれている料理ナンバーなどから検索可能だ

ER-PD7000が一番大きく変わったと思わされたのが、本体サイズだ。なんと庫内容量30Lサイズの大型オーブンにもかかわらず、奥行が39.9cmとかなり浅い。ハンドルを入れても44.2cmで、同社によると業界最小だという。従来モデル(ER-ND500)の奥行は46.5cm、ハンドルを入れるとなんと51.4cmにもなっていた。ちなみに、我が家のキッチンキャビネットは奥行が約45cm。このため、従来製品だと本体が飛び出してしまい設置できなかった。しかし、ER-PD7000ならハンドルまで全部収まる。じつは、日本のキッチンキャビネットの奥行で、一番多いのが我が家と同じ45cm。このため、今まで「容量の大きいオーブンレンジが欲しいけれど、30Lサイズは設置できない」という人は多かったのだが、ER-PD7000ならこれらの問題をクリアできるというわけだ。

奥行45cmサイズのキャビネットに楽に設置できるほど奥行が浅い。30Lサイズでこのコンパクトさはうれしい

奥行45cmサイズのキャビネットに楽に設置できるほど奥行が浅い。30Lサイズでこのコンパクトさはうれしい

排気は本体上部の排気口から前面にむかって排出される。このため左右はもちろん、背面もぴったりと壁にくっ付けて設置することが可能だ

これまで気になっていた電子レンジ機能が大幅パワーアップ

さらに、ER-PD7000がリニューアルした機能で、個人的に非常に気になっていたのが「電子レンジ」機能。じつは筆者は2年前のモデルER-MD500を使っていたことがあるのだが、その時に気になっていたのが電子レンジの性能だ。オーブン機能には十分以上満足できたのだが、電子レンジを使うと「加熱ムラ」が発生。とくに困ったのが解凍機能で、300gのミンチ肉を解凍コースにかけると、15分ほど解凍にかかったうえ一部がカチコチの塊なのに、一部は焼けて変色していたということもあったのだ。

ER-PD7000で天板前面にパンを焼いてみた。手前の焼き色が少し薄いが、非常時焼きムラの少ない焼き上がり。このあたりはさすが「石窯ドーム」だ

ER-PD7000は、今回のモデルチェンジにより、レンジ用のアンテナを大型化。さらにセンサーを2つ組み合わせて、より精度の高い加熱ができるようになったという。実際に300gのミンチ肉を「お急ぎ解凍」モードで解凍したところ、解凍時間は約8分と、かなり時間が短縮されていた。そして、肉はほぼ完ぺきに解凍されており、どこにも過加熱による変色がない。一部、端が凍りかけているところもあったが、それも軽く握るとポロポロと崩れる程度の柔らかさ。これならば、すぐにハンバーグなどの調理もできる。

300gのミンチ肉を「お急ぎ解凍」モードで解凍

300gのミンチ肉を「お急ぎ解凍」モードで解凍

解凍したミンチは手で軽くつかむぼポロポロとほぐれる。どこにも加熱しすぎによる変色は見られない

解凍したミンチは手で軽くつかむぼポロポロとほぐれる。どこにも加熱しすぎによる変色は見られない

また、東芝の電子レンジ機能といえば、以前からあった「お好み温度」機能も非常に便利。これは、-10から90℃まで、設定した温度まで加熱できる機能だ。バターやアイスクリームを、食べやすい固さまで柔らかくしたり、ベビーフードを人肌に温めたり、チョコレートを溶かすなど、「高温にしすぎたくない」加熱に使える。

深皿料理で普段の料理を「ほったらかし調理」

実際に調理してみて非常に便利だったのが、昨年から登場した付属品「角皿(深皿)」。これは、約5cmという深さのある天板のことだ。深いので食材から汁がでてしまうような調理はもちろん、煮込み料理や蒸し料理、さらにはパエリアといった炊飯調理までできてしまう。

普通の天板と比較すると、角皿はかなり深さがあるのがわかる

普通の天板と比較すると、角皿はかなり深さがあるのがわかる

特に便利に感じたのが「煮物料理」。たとえば、カレーも材料を入れてボタン1つで出来上がってしまう。一般的にカレーは「野菜と肉を炒める」「水を入れて煮込む」「ルーを入れて煮込む」という3段階の調理をすることが多いが、これが一工程で終わる。しかも、コンロのように火を使わないのでキッチンにいる必要がなく、調理中に炊事以外の家事ができるのも便利。さらに、カレーはルーを投入した後は非常に鍋に焦げ付きやすいが、ER-PD7000で調理する場合は、焦げ付く心配はいらない。

角皿に玉ねぎ、ひき肉、カレーのルー、熱湯を入れたものを上段、適当な大きさにカットした野菜を下段に入れ、メニューから「ごちそう焼き野菜カレー」を選択

30分ほどでカレーが完成。カレーと野菜が一緒に出来上がるので、手間をかけずに、でも、普段よりもゴージャスなカレーを作ることができた

下処理をした食材をクッキングペーパーに入れて角皿に並べれば、複数のおかずをいっぺんに作れる。下段で野菜の付け合わせ、上段でピーマンの肉詰めを焼けば、手早く野菜たっぷりのプレートランチが完成

失敗知らずの「蒸し料理」

こちらも従来からある機能だが、給水カセットに水をいれておけば、電信レンジを使うようにボタンを押すだけで蒸し料理が調理できてしまう。これも過熱水蒸気オーブンレンジの便利なところだ。ガスコンロで使う一般的な蒸し器は、お湯を沸かすパーツに、すのこ状の底面をした食材をいれるパーツ、そしてフタが必要。パーツが多いので、準備と片付けが面倒なうえに収納場所にも困る。

そして、ER-PD7000の蒸し機能でとくに便利なのが、35〜95℃まで温度を指定して蒸せる「低温蒸し」モード。低い温度で蒸すことで、プリンや茶わん蒸しなどのスの入りやすい卵の蒸し調理が失敗なくできる。また、温泉卵などの温度管理が難しい調理も可能だ。

蒸しメニューや過熱水蒸気モードを使う場合は、本体下部にある「給水カセット」に水を入れて使用する

蒸しメニューや過熱水蒸気モードを使う場合は、本体下部にある「給水カセット」に水を入れて使用する

なんと、角皿を使用してプリンを作ることもできる。卵6個、牛乳を800ml使う巨大プリンで、スプーンやナイフで切り分けて食べる

低温で蒸したため、まったくスの入っていない滑らかなプリンができた。これは従来の蒸し器では難しい

低温で蒸したため、まったくスの入っていない滑らかなプリンができた。これは従来の蒸し器では難しい

まとめ

石窯ドームというと、以前は「パン作り・お菓子作りが趣味」という人におススメしていたし、実際人気が高い。しかし、ER-PD7000は同時調理機能や角皿での煮こみ調理など、普段使いにも力を発揮するようになっている。今回使ってみて、とくによかったのが電子レンジ機能の強化。我が家ではパンも焼くが、せいぜい1か月に1度程度。やはり、何といっても一番よく利用する電子レンジによる解凍やあたための性能があがったのは◎。もちろん、従来どおり、パンやお菓子作りにも力を発揮してくれるので、日常からハレの日の調理までオールラウンドに活躍してくれそうな1台といるだろう。
倉本 春
Writer
倉本 春
パソコン雑誌編集者からドッグカフェオーナーという、異色の経歴を経た家電ライター。家電を活用することで、いかに家事の手を抜くかに日々頭を悩ませている。
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