シャープが展開するプラズマクラスター搭載冷蔵庫の新製品として、中型モデル「SJ-GW35C」と小型モデル「SJ-GD14C」が発表された。いずれも手入れのしやすいガラス製ドアを採用し、キッチン空間に調和するようインテリア性も追求しているのが特徴だ。それぞれ2017年1月中旬に発売される。
SJ-GW35C(ピュアホワイト)
SJ-GD14C(クリアホワイト)
SJ-GD14C(メタリックベージュ)
SJ-GD14C(ピュアブラック)
シャープでは、種類が豊富な大型冷蔵庫に比べ、そこまでラインアップが多くない中小型冷蔵庫の選択肢を増やしていく狙いだ。今回は「どっちもドア」や「シャキット野菜室」など、大型モデルとの共通項を備えた中型モデルSJ-GW35Cを中心に、それぞれの特徴をご紹介したい。
では、SJ-GW35Cから詳細を見ていこう。本製品は、183リットルの冷蔵室、99リットルの冷凍室、68リットルの野菜室を備える合計350リットルの中型モデル。シャープでは2014年から大容量で整理しやすい冷凍室「メガフリーザー」を搭載する大型冷蔵庫を展開しているが、SJ-GW35Cは中型冷蔵庫ながら、その大型モデルに共通するデザイン性と機能性を受け継いでいることがポイントだ。
SJ-GW35C(メタリックブラウン)
まず外観だが、デザインは大型モデルとあわせることをコンセプトとしており、「キッチン空間に調和する」をキーワードにしたシンプルなフォルムになっている。カラーはメタリックブラウンとピュアホワイトの2色を用意する。
メタリックブラウンとピュアホワイトの2色をラインアップ
ドアは大型モデルと共通する高品位なガラスドアとすることで、インテリア性も高めた。キッチンが食卓のバックヤードという位置づけではなく、「みんなが集まる場所」になってきていることを考慮したそうで、シャープでは本製品を「見せられる冷蔵庫」とアピールしている。もちろん、このドアはシャープ独自の「どっちもドア」になっており、左右のどちらからでも開閉できる。
右開きにしたところ
左開きにしたところ
ハンドル部にはメタリック塗装が施されており、デザインのアクセントにもなっている
冷蔵室を開けたところ
性能面ではまず、大型モデルに採用されるインバーターコンプレッサーを搭載したことに注目したい。これによって、省エネ性能を高めると同時に騒音も抑え、家族が集まるリビングダイニングにも置きやすくしている。さらに省エネ性能としては、人工知能が冷蔵庫の使用状況を判断して節電してくれる「節電25モード」も搭載しているので、電気の消費を特に気にするユーザーにはうれしい仕様だ。
機能面では、間接冷却で野菜を保存できる「シャキット野菜室」を備えることも、大型モデルと共通するポイント。野菜室内を「うるおいシールボックス」で仕切ることで密閉性を高め、冷気が野菜に直接あたらないようにしている。野菜の水分保持率が高くなり、みずみずしさをより保つことができる。
野菜室を開けたところ
こちらが「うるおいシールボックス」。1つ上の写真では、右下に入っている
「うるおいシールボックス」できっちり仕切っているため、内側にしまっている野菜に冷気があたらない
内側にしまっている野菜を取り出すと…
こんなに違う。「うるおいシールボックス」付き冷蔵庫で保存したチンゲンサイ(右)と、そうでないチンゲンサイ(左)。シャープの従来製品の野菜室との比較で、「シャキット野菜室」で野菜を保存した場合の水分保持率は約2倍とのこと
また、冷凍室のほうには「新鮮冷凍」ボタンが付いており、冷凍を3パターンで制御することができる。通常冷凍よりさらに低温で保存できるモードのほか、霜とり運転やドア開閉後に急速冷凍することなどが可能で、安定した低温保存が行える。これにより霜つきを抑えて、肉や魚などの鮮度を長持ちさせられる。
冷凍室のラインハンドルも、ガラスドアの平面性を高めるデザイン。清掃性にも配慮し、溝に指をすべらせるだけで掃除しやすいようにしている
冷凍庫内の様子。庫内容量は99リットル
ドア開閉後に霜とり運転や急速冷凍することも可能
細かい部分では、種類の多い調味料を整理しやすくする収納器具「どこでもスパイスポケット」が付いていることも特徴。調味料をすっきり見やすく整理できるポケットで、冷蔵庫内にあるポケットすべての段に設置できるようになっている。ポケットはナナメを向いており、中に入れた調味料を取り出しやすいように工夫されている。
「どこでもスパイスポケット」が付いており、調味料が使いやすいこともポイント
「どこでもスパイスポケット」は、冷蔵庫内のどこすべての棚に収納できる。ナナメになっていて取り出しやすい
もちろん、本製品は製品名にもある通り「プラズマクラスター」機能を搭載しているモデルでもある。機能を「入」にしておけば、浮遊菌や付着菌を除去して冷蔵庫内の空気を清潔にしてくれるのは、シャープ製品ならではの特徴だ。
プラズマクラスターを「入」にしておけば、冷蔵庫内の空気を清潔に保ってくれる
いっぽうのSJ-GD14Cは、「家具のような」ミニマムなデザインを目指した小型モデル。91リットルの冷蔵室と46リットルの冷凍室を備えている。インテリアにこだわりを持つひとり暮らしの社会人ユーザーのほか、個室用冷蔵庫など、2台目の需要も想定した製品だ。
SJ-GD14C(クリアホワイト)
SJ-GD14C(メタリックベージュ)
SJ-GD14C(ピュアブラック)
本体はドアのフレームをできるかぎり薄くして、トップテーブルを手前に伸ばすことでフラットなフォルムを実現している。上述の中型モデルSJ-GW35Cと同じく、ドアは高品位なガラス製。1枚の板で構成されており、ハンドル部が省略されているなど、可能な限りシンプル性を追求したデザインになっている。冷凍室の引き出し部分も、シンプルながら指を引っかけて引き出しやすい形状になるよう工夫されている。
ドアのフレームをできるかぎり薄くして、トップテーブルを手前に伸ばすことでフラットなフォルムを実現
冷凍室の引き出し部分も、指を引っかけて引き出しやすい形状になっている
冷蔵室のドアはシャープ独自の「つけかえどっちもドア」になっており、ユーザーが手動で右開きか左開きかを変更することができる。この作業は、ドアの上下付け根にあるボルトを左右のどちらかに付け替えるだけの1アクションで可能。簡単な手順で行えるのは、女性にもうれしいポイントだ。引越しをした際など、間取りにあわせて手軽に冷蔵庫の設置を決められる。
左開きのドアを、右開きになるよう変更してみる
ドアの上部にあるカバーをスライドさせて、
固定用のボルトを抜き、
ドアをいったん外して、
下の付け根部分にあるボルトと一緒に、右側に付け替えを行う
無事に右開きに変えることができた
また、外観だけではなく内観にもこだわっており、冷蔵庫内のガラス棚にはシルバー色の棚飾りを配置。背面パネルにもグレー色をおくことで統一感を持たせ、「奥行き感」と「落ち着き感」を演出している。
冷蔵室を開けたところ
シルバー色の棚飾りと、グレー色の背面パネルで、奥行き感と落ち着き感を持たせている
こちらは冷凍室を開けたところ
小型冷蔵庫の場合は上からも見えやすいので、天面の仕上げにもこだわっている
電子レンジも乗せることもOK
なお本製品もプラズマクラスター搭載モデルだが、こちらは冷気除菌のみを行うタイプで、付着菌の除菌には対応していない。
上述の通り、シャープでは今回の新製品2モデルを市場に投入し、中小型冷蔵庫の選択肢を広げていく狙いだ。……というのも、現在の冷蔵庫市場は、351リットル以上の大型モデルが全体の約半数を占め、残り半数が中型〜小型モデルで構成されているが、その選択肢はかなり狭い状況だからである。
冷蔵庫の年間需要は大型モデルが半数、中小型モデルが半数を占める
中小型冷蔵庫は、需要台数に対して製品ラインアップ数が少ない
シャープでは「ユーザーが満足する中小型冷蔵庫」としてラインアップ拡充を狙う
少子化・未婚化・晩婚化の影響で単身・少人数世帯が増加傾向にあるため、中小型冷蔵庫の需要は今後の伸びが予想されるが、種類が豊富な大型モデルに比べ、市場のメインではない中小型モデルはラインアップやカラーバリエーションがそこまで多くない。実際、「選択肢がないので、大型冷蔵庫を選ぶ」という単身・少人数世帯の声も多いという。今回の新製品2モデルが登場することで、中小型冷蔵庫の選択肢が広がることは、単身・少人数世帯にとっては特にうれしいニュースだろう。