オリジナルAK70やAK240との音質の違いをくわしくチェック!

小型ボディからは想像できない駆動力が魅力的! IRIVER最新DAP「AK70 MKII」徹底レビュー

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「5万円以下で買える最新ハイレゾプレーヤー特集」でご紹介したとおり、いま、5万円前後のハイレゾ対応DAPは、さまざまなメーカーの主軸モデルが並びたつ注目のプライスゾーンとなっている。そんなカテゴリーのなかでも、ひときわ強い人気を保ち続けているのが、IRIVERの「Astell&Kern AK70」だ。

ミニマムなボディサイズでありながらも、2.5mmバランス接続端子を搭載。上位機種の音響設計を受け継ぎつつ、さらに進化したヘッドホン出力から生まれる良質なサウンドは、扱いやすさと音質コストパフォーマンスの高さを高レベルで両立。次々と登場する限定カラーの話題性も相まって、いまやこのカテゴリーのリファレンスと呼んでもいい人気モデルとなっている。

そんなAK70に、早くも新たなる進化が行われた。それが「AK70 MKII」である。ボディサイズはほとんど変わらず、一見すると外観デザインもほとんど変わらないように思えるが、内容的には大きなグレードアップが施されているのが特徴だ。

そこで、今回の記事ではオリジナルAK70からの進化ポイントをクローズアップしつつ、AK70、そしてAK240などと比較して、音質的な特徴を紹介していこう。

Astell&Kern AK70 MKII

小型ボディに上位モデル譲りの強力なヘッドホンアンプやデュアルDACを搭載

まず、外観の特徴からみていこう。ブラック&ダークブルーのシックなカラーバリエーションとなったものの、先にも触れたとおり、見かけだとオリジナルAK70と大差ないようにも感じられる。しかしながら、よく見ると細かい部分でデザイン変更が施されていて、ボディサイズは約62.8(幅)×96.8(高さ)×15.2(奥行)mmと、ほんのわずかながら、1.5mm幅広く、2.2mm厚くなったことが分かる。

AK70 MKII(左)とAK70(右)。ぱっと見のサイズ感はほぼ同じだ

AK70 MKII(左)とAK70(右)。ぱっと見のサイズ感はほぼ同じだ

これは、回路基板の小変更やバッテリーの大型化によるもののようで、内部的にかなりの変更が行われたのにもかかわらず、大型化を最小限にとどめられているパッケージングの絶妙さは、さすがAstell&Kernといったところだろう。実際、手に持った印象はオリジナルAK70と大差なく、女性の手にもすっぽり収まってくれるコンパクトさを維持している。逆に、右サイド部分が後方に向かってほんの少し斜めカットされたことで持ちやすくなっていたり、ボリュームダイヤルも扱いやすくなったりと、デザイン的に更なる進化が施され、扱いやすく格好良くなったことは喜ばしい。

本体右サイドが後方に向かってほんの少し斜めカットされたことで、持ちやすさが向上した

本体右サイドが後方に向かってほんの少し斜めカットされたことで、持ちやすさが向上した

AK70とAK70 MKIIの断面を並べてみると、斜めにカットされたデザインや本体の厚みの違いがよく分かる

AK70とAK70 MKIIの断面を並べてみると、斜めにカットされたデザインや本体の厚みの違いがよく分かる

本体サイズが若干大きくなったが、それでもハイレゾDAPとしては非常にコンパクトにまとまっている

本体サイズが若干大きくなったが、それでもハイレゾDAPとしては非常にコンパクトにまとまっている

とはいえ、AK70 MKII最大の進化ポイントといえば、やはりサウンドだろう。まず、音質の要となるDACは、シーラスロジック製「CS4398」の採用こそ変わらないものの、2基を搭載し、LR独立のデュアルDAC構成となった。また、グランドラインも独立させ、SN比の大幅な向上を実現しているという。いっぽう、音源の対応スペックは、リニアPCMで最大384kHz/32bit、DSDで最大5.6MHzまで(ネイティブ再生はリニアPCMの192kHz/24bitまで)という点は変わらないが、一般的なリスニング環境としては、充分以上のスペックといえる。

また、ワイヤレス環境においては、引き続きBluetoothでaptX HDに対応。同じくWi-Fiも搭載され、DLNAネットワーク機能「AK Connect」によってPCやスマホ内の楽曲や、ストリーミング再生など柔軟な使い方ができる点も嬉しい。

DLNAネットワーク機能「AK Connect」も引き続き搭載

DLNAネットワーク機能「AK Connect」も引き続き搭載

さらに、AK70 MKIIではヘッドホン出力も大幅にグレードアップ。最新の第4世代フラッグシップ機「A&ultima SP1000」の設計思想を踏襲することで、バランス出力を4.0Vrms(無負荷時)まで向上させ、さらにさらなる高出力化と低歪を実現している。ちなみに、オリジナルAK70のバランス出力は2.3Vrmsだったから、大幅な出力強化といっていいだろう。

A&ultima SP1000の開発で培ったアンプ回路設計の技術を惜しみなく投入することで、ヘッドホン出力の駆動力が大幅に向上している

このほか、地味に嬉しいUSBデジタル出力(OTGケーブルを使ったDoP出力に対応)や、USB DAC機能(96kHz/24bitまで)はそのまま。しかしながら、外部USB DACを接続する場合は1つ注意点がある。AK70 MKIIでは、音質向上のためか(android OSを採用しているものの)この頃増えてきたスマートフォン向けボリュームコントロールなしコンパクトUSB DACだど、音量が最大ボリュームで固定されてしまうことがあるため、事前にチェックをする必要がある。場合によっては耳を痛めたり、イヤホンを壊してしまう可能性もあるため、接続したいUSB DACがAK70 MKII側で音量調節可能か、事前にチェックしておこう(USB DAC側で音量調整できるのが無難だ)。

シングルDACのオリジナルAK70、AK70 MKIIと同じデュアルDAC構成のAK240との音質の違いは?

ということで、ここからは音質のチェックをしていこう。今回は音質比較用に、オリジナルのAK70のほか、DAC構成がAK70 MK IIと同じAK240を用意し、音質傾向の違いなどをくわしくチェックしてみた。

シングルDACのオリジナルAK70、AK70 MKIIと同じデュアルDAC構成のAK240を用意し、音質をくわしくチェック

シングルDACのオリジナルAK70、AK70 MKIIと同じデュアルDAC構成のAK240を用意し、音質をくわしくチェック

まずはオリジナルAK70との比較から。「CS4398」由来によるものか、聴き心地のよい艶のあるサウンドキャラクターは変わらないものの、SN比が大幅にクオリティアップ。同時に、付帯音のようなものが取れて、晴れ渡った青空のような、ヌケのよいクリアなサウンドとなった。おかげで、音色の細やかな表現までしっかりと伝わってくるようになったし、アコースティック演奏などはずいぶんとリアリティが向上している。

AK70とAK70 MKIIを比較

AK70とAK70 MKIIを比較

正直な話をすると、オリジナルAK70はサイズ感や良質なサウンドからリファレンスの試聴機として活用することは多々あったものの、個人的にリスニング用途として日常的に活用することはあまりなかった。というのも、AKシリーズ第3世代のフラッグシップモデル「AK380」などの高級モデルに比べるとどうしてもSN感や音のピュアが劣るため、インピーダンスの高いイヤホンなど高駆動力を求めるイヤホンなどと組み合わせると、くぐもった印象の音になったりすることがあったため、自然とAK380の方を常用するようになってしまったのだ。

しかしながら、AK70 MKIIではヘッドホン出力を大幅に強化することで、そのような印象を払拭。どんなイヤホンであっても、鳴りっぷりのいい生き生きとしたサウンドを聴かせてくれるようになった。特にバランス接続は、ヘッドホンでも充分に鳴らしきってくれる駆動力を持ち合わせている。さまざまなイヤホンを楽しみたい、時にヘッドホンも活用したい人間にとっては、格段に使いやすいDAPとなっている。もちろん、ホームユースを全体とした高級ヘッドホンまで鳴らしきってくれるとはいえないが、ポータブルユースにも配慮された5万円未満クラスの上級ヘッドホンであれば、自宅で聴くのと遜色のない良質なサウンドを楽しむことができる。これは、大きな魅力だ。

続いて、同じ「CS4398」デュアル構成のAK240と比較試聴してみる。電源まわりのゴージャスさからか、当時のフラッグシップモデルだけあってその実力はなかなかに高く、メリハリのよさ、音の緻密さなどの基礎体力面ではAK240に軍配が上がる。しかしながら、音色のニュートラルさ、低域の解像感の高さなどでは、AK70 MKIIのほうがアドバンテージを持っていた。さらに、ヘッドホンも鳴らしきってくれる駆動力の高さでは、圧倒的な実力差を持っている。このサイズ、この価格帯で、(一部とはいえ)AK240を確実に上回る実力とサウンドの良質さを持ち合わせているのは驚くばかり。もちろん、音色傾向の好みや、使うイヤホンによって好き好きはあるだろうが、3年前のフラッグシップ機に並ぶほどの実力をコンパクトサイズの主軸モデルが持ち合わせていることは、驚くばかりだ。

AK240とAK70 MKIIを比較

AK240とAK70 MKIIを比較

このように、AK70 MKIIは満足度の高い良質なサウンドを持ち合わせ、さらに扱いやすいコンパクトサイズのボディや上級クラスのヘッドホンも鳴らしきる駆動力の高さなど、ユーザビリティの面でも大きな魅力を持ち合わせている。そして何よりも、8万円未満でこのサウンドが手に入るという圧倒的なコストパフォーマンスの高さには驚くばかり。素晴らしい製品だと断言しよう。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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2017.10.11 更新
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