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時代は完全に4K時代! 薄型テレビの2017年末商戦を占う

家電製品の代表格ともいえる薄型テレビ。ある意味では、薄型テレビの売れ行きが、家電市場全体の好調・不調を大きく分けるバロメーターになっているとも言える。ただ昨今は、市場全体の販売不振が伝えられており、必ずしも明るい状況ではない。今年2017年の年末商戦はどのような形で推移していくのだろうか。「価格.comトレンドサーチ」のデータを基に、今年の年末商戦における薄型テレビの人気動向を占ってみよう。

全体としての人気は下落基調。ただ、4Kモデルは比較的好調に推移

図1:「薄型テレビ」カテゴリー全体のアクセス推移(過去2年)

図1:「薄型テレビ」カテゴリー全体のアクセス推移(過去2年)

まず、価格.comの「薄型テレビ」カテゴリー全体のアクセス推移について見てみよう。図1は、過去2年におけるアクセス推移を示したものだが、昨年2016年の年末から2017年の年始にかけては一時的に盛り上がったものの、それ以降はアクセスが減少。4〜5月にいったん底を打っており、この夏以降はある程度戻してはいるものの、昨年の状況に比べてかんばしいとは言えない状態が続いている。薄型テレビ市場全体としては、人気がかなり下がっており、これだけ見ると、今年の薄型テレビの年末商戦もかなり厳しい状況に陥ることが予想される。

図2:「薄型テレビ」カテゴリーにおける主要5メーカー別のアクセス推移(過去2年)

図2:「薄型テレビ」カテゴリーにおける主要5メーカー別のアクセス推移(過去2年)

図2は、図1と同じ過去2年間における、主要5メーカー別のアクセス推移を示したものだ。これを見ると、特定のメーカーではなく、どのメーカーも軒並み、今年に入ってからはアクセスを下げていることがわかる。特に落差が大きいのは、価格.com上では首位のアクセス数を誇る東芝。昨年末の段階では、ソニー、シャープ、パナソニックという2位グループを大きく引き離していたが、今ではその2位グループに飲み込まれそうなほど、その人気は下落した。そういう意味では、2位グループの3社は、比較的大きな落ち込みにはなっていないと見ることもできる。いっぽう、現状単独5位のLGエレクトロニクスは、有機ELテレビの人気によって、ここ2年では唯一アクセスを伸ばしてきているメーカーだ。

図3:「薄型テレビ」人気売れ筋5製品のアクセス推移(過去3か月)

図3:「薄型テレビ」人気売れ筋5製品のアクセス推移(過去3か月)

では、売れ筋製品の顔ぶれを見てみよう。図3は、2017年11月15日時点の売れ筋ランキングベスト5製品のアクセス推移を示したもの。これを見ると、いずれの製品も10月末くらいからアクセスを伸ばしてきており、売れ筋のモデルに関して言えば、むしろ人気は高まってきていることがわかる。ちなみに、ベスト5の顔ぶれだが、ランキング順に紹介すると、1位:シャープ「AQUOS LC-50U45」(50型:4K液晶)、2位:ソニー「BRAVIA KJ-49X9000E」(49型:4K液晶)、3位:LG「OLED55C7P」(55型:4K有機EL)、4位:東芝「REGZA 58M510X」(58型:4K液晶)、5位:東芝「REGZA 50M510X」(50型:4K液晶)となっており、スペック的には、全モデルが50インチ台(49インチも含む)で、4Kモデルという点で共通している。実は売れ筋ベスト10まで広げてみても、1製品を除いて、すべてが49〜60インチの4Kモデルとなっており、フルHDモデルはベスト10圏内から姿を消している。少し前までは、売れ筋上位に必ずフルHDの廉価モデルがランクインしていたことを考えると、大きな変化だ。薄型テレビのトレンドは、今や完全に4Kモデルに移りきったと言ってよく、4Kモデルに関してはこの年末商戦も比較的好調な売れ行きとなりそうだ。

図4:「薄型テレビ」人気売れ筋5製品の最安価格推移(過去3か月)

図4:「薄型テレビ」人気売れ筋5製品の最安価格推移(過去3か月)

図4は、上記売れ筋5製品の最安価格推移を示したもの。この中では唯一の有機ELテレビであるLG「OLED55C7P」を除いては、価格もかなり収斂してきており、50〜55インチクラスのモデルでも、9〜10万円台で購入できるレベルにまでなってきている。60インチに近い東芝「REGZA 58M510X」でも14万円を切るレベル、プレミアモデルであるソニー「BRAVIA KJ-49X9000E」でも15万円を切ってきており、こうした価格下落によって値ごろ感が強まったことが、今の4Kモデル人気につながっていると思われる。

LGエレクトロニクス「OLED55C7P」

LGエレクトロニクス「OLED55C7P」

特筆すべきなのは、有機ELテレビであるLG「OLED55C7P」の最安価格が、すでに20万円を切ってきていることだろう。2017年11月15日時点における本製品の最安価格は、199,800円。後述するが、ほかのメーカーの同クラスの有機ELテレビがようやく30万円台前半に差しかかったくらいであるのに対し、10万円以上の価格的アドバンテージを実現している本製品の破壊力には驚きを隠せない。昨年2016年も戦略的な価格を付けた「OLED55B6P」が、25万円前後で販売されて話題を呼んだが、今年はついに20万円を切ってきており、有機ELテレビという選択肢も、かなり現実的なものになってきた。

有機ELテレビは、国産モデルの55インチクラスが30万円切りをうかがう状況に

図5:「有機ELテレビ」売れ筋5製品のアクセス推移(過去3か月)

図5:「有機ELテレビ」売れ筋5製品のアクセス推移(過去3か月)

では、今年注目を集めた有機ELテレビはどのような状況になっているのだろうか。まず、価格.comの「薄型テレビ」カテゴリーで人気の有機ELテレビの状況を見てみよう。図5は、有機ELテレビの人気5製品のアクセス推移を示したもの。やはり、なかでも上記のLG「OLED55C7P」の人気が突出している。次点につけるのは、ソニー「BRAVIA KJ-55A1」で、こちらは比較的安定した人気を維持している。3位はパナソニック「VIERA TH-55EZ950」で、こちらはほぼ横ばい。4位グループのソニー「BRAVIA KJ-65A1」と、東芝「REGZA 55X910」はここへ来て若干人気を上げてきている。全体としては、年末に向けてやや人気を高めてきているということができる。

図6:「有機ELテレビ」売れ筋5製品の最安価格推移(過去3か月)

図6:「有機ELテレビ」売れ筋5製品の最安価格推移(過去3か月)

図6は、上記5製品の最安価格推移を示したもの。この5製品の中では唯一の65インチモデルであるソニー「BRAVIA KJ-65A1」を除いて55インチクラスの製品ばかりになるが、やはりここでもLG「OLED55C7P」の安さが突出している。国内メーカーの製品も価格は下がってきており、ほぼ30〜32万円台のレンジに入ってきている。パナソニック「VIERA TH-55EZ950」の最安価格が298,341円(2017年11月15日時点)と30万円を切ってきているが、その他のモデルも年内にこのレベルまで下がってくることが予想される。このレベルが、有機ELテレビ購入のひとつの大きな分かれ目となると思われ、年末に30万円近辺まで落ちてくれば、有機ELテレビももう少し大きく動いてきそうな気配はある。

図7:「有機ELテレビ」売れ筋5製品の売れ筋ランキング推移(過去3か月)

図7:「有機ELテレビ」売れ筋5製品の売れ筋ランキング推移(過去3か月)

ただ、薄型テレビ市場全体の中での、有機ELテレビの存在感はまだまだ薄い。図7は、上記5製品の、「薄型テレビ」カテゴリー全体における売れ筋ランキング推移を示したもの。上位20位内にランクしているのは、現状3位という高い人気を誇るLG「OLED55C7P」と、現状14位のソニー「BRAVIA KJ-55A1」のみで、その他の製品は20位圏外。有機ELテレビは注目度は引き続き高いものの、この年末商戦の大きな目玉となるほどにはなっていない。大きく販売を伸ばしそうなのは20万円を切ってきたLG「OLED55C7P」のみで、その他の国産製品は、販売価格が30万円前後のレベルになるかどうかが、大きなポイントとなりそうだ。

鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

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