レビュー
似ているようでかなり違う? ソニーとCOWONのハイレゾ入門DAPをチェック!

ソニー「NW-A47」とCOWON「PLENUE J」を聴き比べてみた!

2017年11月に発売されたCOWON「PLENUE J」は、デジタルオーディオプレーヤー(DAP)の激戦区となる3万円台の価格帯に投入されたコンパクトなハイレゾ入門向けモデル。同価格帯のライバル機で、価格.com上でも根強い人気のソニー「NW-A40」シリーズの64GBモデル「NW-A47」と比べながら、本機の特徴を明らかにしていこう。

「PLENUE J」は、「PLENUE D」の上位モデル

COWONが展開している高級ポータブルプレーヤー「PLENUE」シリーズには、小型で低価格なエントリー向けモデル「PLENUE D」がラインアップされている。今回登場した「PLENUE J」は、その「PLENUE D」の上位製品。「PLENUE D」の持つ小型軽量というコンセプトを踏襲しつつデザインを一新。オーディオ特性を向上させ、かつ内蔵メモリーの容量も64GBに倍増させたモデルだ。

その分価格も上がったが、実勢価格は32,400円(税込)で、内蔵メモリー64GBの容量を持つDAPとしては、ほぼ最安クラス。ちなみに、2017年12月22日時点の価格.com最安価格は29,808円(税込)で、ギリギリ3万円を切っている。ミドルクラス未満の性能だが、入門向けDAPよりややスペック高めで、3万円以下というのは、なかなか魅力的だ。

それぞれの製品に対する優位点を赤字で示したのが上記のスペック比較表になる。ここでは各製品のいいところと気になるところをくわしく見ていこう。

本体サイズ・操作性・メモリー容量

・「PLENUE J」のほうがやや薄くて軽い
・キビキビとしたタッチ操作で、上下左右のフリックもできる「NW-A47」
・メモリー容量は最大192GBとどちらも同じ

本体サイズと重さは以下の通り
「PLENUE J」:53.2(幅)×102.0(高さ)×9.2(奥行)mm、重量は78g(右)
「NW-A47」:約54.8(幅)×約97.3(高さ)×約10.7(奥行)mm、重量が約98g(左)

ソニー「NW-A47」のほうがボディはわずかに厚め。左右側面部をアーチ状にしているため握り心地は悪くない

ソニー「NW-A47」のほうがボディはわずかに厚め。左右側面部をアーチ状にしているため握り心地は悪くない

まずは持ち運ぶうえで重要な本体サイズを比べてみた。ご覧の通りどちらも十分コンパクトだが、COWON「PLENUE J」のほうが若干小さい。特に「NW-A47」に比べて横幅や厚みが薄いのだ。その分高さはあるため細身のスラリとしたルックスに見える。どことなくソニーの旧モデル「NW-A20」シリーズと似たデザインだ。重量も「PLENUE J」のほうが78gと20gほど軽い。胸ポケットに入れても気にならないレベルだ。

「PLENUE J」:2.8型タッチディスプレイ(280×320ドット)
「NW-A47」:3.1型タッチディスプレイ(800×480ドット)

操作系はどちらもタッチUIと側面ボタンによるハイブリッド仕様。画面の大きさはほぼ変わらないが、ソニーのほうが解像度が高いためクッキリ表示される。実際にタッチUIを使ってみると、「NW-A47」は、再生リストや再生中の楽曲表示を上下左右のフリックですぐ切り替えでき、タッチ操作の反応も速いなど、スマホ感覚で操れるのが特徴的。これに対し「PLENUE J」は、必要最小限のタッチで動作するようになっており、画面右上の田のようなマークに設定項目が集約されている。少ない動きで使えるといった印象があった。

次に大容量なハイレゾ音源を扱ううえで欠かせないのがメモリー容量。最大容量は192GBで、2モデルとも64GBの内蔵メモリーに加えて、最大128GBのmicroSDXCカードをサポートする点はまったく互角だ。

メモリー容量は両社とも同じだが、「NW-A47」はmicroSDカード挿入口が保護カバーでしっかりガードされている

音楽再生能力

・「PLENUE J」がFLACで最大192kHz/24bit(WAVのみ32bit)。「NW-A47」はWAVが192kHz/32bit(FLACについては384kHz/24bit)
・「NW-A47」はDSD256(11.2MHz)やMQAなどのフォーマットに対応。Bluetoothによりワイヤレス再生も可能で、高音質コーデック「aptX HD」や「LDAC」も使える

どちらも搭載DACは非公開だが、再生能力は「NW-A47」のほうがすぐれている。「PLENUE J」は、192kHz/24bitまでのWAV/FLACまでなのに対し、「NW-A47」はFLACが384kHz/24bit、WAVが192kHz/32bitと1ランク上だ。また、DSDの再生(PCM変換)をはじめ、高音質でも低容量なMQAといった最新のハイレゾフォーマットにも対応するなど、再生できるファイルの種類も「NW-A47」が多い。

さらに、「PLENUE J」は有線イヤホンしか使えないが、「NW-A47」は高音質なワイヤレス再生も行える。Bluetooth 4.2をサポートし、音質コーデックは標準的なSBCに加えて、48kHz/24bitという高音質で伝送可能な「aptX HD」や、「LDAC」も選べる。

「NW-A47」はBluetooth 4.2をサポートし、「aptX HD」や「LDAC」による高音質なワイヤレス再生が可能だ

「NW-A47」はBluetooth 4.2をサポートし、「aptX HD」や「LDAC」による高音質なワイヤレス再生が可能だ

バッテリー・その他機能

・MP3+ハイレゾ音源のライブラリーに強い「PLENUE J」
・ハイレゾ音源を幅広くサポートする「NW-A47」
・パラメトリックEQや音響効果を含む「Jeteffect 5」を搭載する「PLENUE J」
・専用ケーブルながらUSB DAC機能が使える「NW-A47」

バッテリー駆動時間は、両モデルで一長一短ある。「PLENUE J」は、MP3音源の再生では最大53時間と長い半面、ハイレゾ音源(FLAC、96kHz/24bit)はその半分の27時間と短め。いっぽう「NW-A47」では、ハイレゾ音源(FLAC、96kHz/24bit)が39時間と長いのに対し、MP3音源では最大45時間となる。このように再生時間においてもバランスのよさを見せている「NW-A47」だが、意外な盲点もある。

ハイレゾ音源の対応フォーマットが多いからこそ、DSDをはじめ96kHz/24bitを超える音源などをごちゃ混ぜで再生していると、電池の減りが思いのほか早いのだ。充電時間が早ければ気にするほどでもないが、「PLENUE J」の充電時間が2時間なのに対し、「NW-A47」は約4時間と長め。どんなハイレゾ音源を再生するかによって、再生時間の長さはだいぶ変わってくるだろう。そのため、MP3メインでハイレゾ音源もほどほどに楽しむといった使い方では「PELENU J」のほうが有利なケースもある。

独自機能についてはそれぞれに特徴がある。「PLENUE J」には48個のプリセットが用意されたサウンドカスタマイズ機能「JetEffect 5」が用意されている。いっぽうの「NW-A47」では、CD音源や圧縮された音源をハイレゾ相当にアップスケールする「DEES HX」や、フルデジタルアンプ「S-Master HX」を搭載する。そのほか、「PLENUE J」にはない利点として、USB DAC機能も備えるのも大きな違いだ。

「PLENUE J」に搭載されているサウンドカスタマイズ機能「JetEffect 5」

「PLENUE J」に搭載されているサウンドカスタマイズ機能「JetEffect 5」

付属の専用ケーブルでパソコンと接続することで、USB DAC機能が使える

付属の専用ケーブルでパソコンと接続することで、USB DAC機能が使える

音質インプレッション

それでは気になる「PLENUE J」の音をチェックしていこう。試聴には、ハイレゾ音源(96kHz/24bit)を中心に、CD音源(44.1kHz/16bit)も使用した。イヤホンはJH Audioの「TriFi」。

「PLENUE J」の音は、ニュートラルな帯域バランスというのが第一印象。基本路線は「PLENUE D」と変わらないが、その音をじっくり聴くと以前に比べよくなっている。スペック上ではさほど変わらないが、ノイズ感が減り、静寂感も上がったことに加え、楽器ひとつひとつの音をよりダイレクトに感じられるようになった。ただ、ニュートラルすぎるために、人によっては物足りなさを覚えることも。しかし、そんなときこそ「JettEffect」の出番。自分好みに音をカスタマイズすることで、いろいろなバリエーションが楽しめる。素の音がしっかりしているからこそできるチューニングだ。

これに対して「NW-A47」は、気持ちよく聴けるリスニング向けの音で、聴感上はクリアでキレイ系の音。帯域バランスは、ウッドベースなどの低音域がやや強めで、中音域もしっかりと前に出てくる。男性ボーカルの力強さ、女性ボーカルの繊細さなどもしっかり感じられる。ニュートラルというわけではないが、全体的に音楽を心地よく楽しめるようなチューニングになっている。

まとめ

以上、「NW-A47」と比べながら「PLENUE J」を見てきた。同じ3万円台のハイレゾ入門向けDAPではあるが、その性能や使い勝手は大きく異なる。

「PLENUE J」は、MP3などで膨大な音楽ライブラリーを構築している方が、ハイレゾ環境へ移行するときにちょうどいいモデルと言えるだろう。長時間再生が可能で、再生できるハイレゾ音源の種類も実用上問題ないレベルだ。また、小型軽量な本体デザインはもちろん、大容量な内蔵メモリーながらお手ごろなのも高ポイント。スペック的にやや割り切っている部分もあるが、必要十分な仕様だ。

いっぽう「NW-A47」は、ややとがった仕様の「PLENUE J」に対し、総合力の高さですぐれている。なかでも有線でも無線でも高音質な再生が行えるうえ、USB DAC機能を使えばパソコンでもハイレゾ音源が楽しめる点はポイントが高い。エントリー機とは思えないほど機能が充実していながらも、コストパフォーマンスも高い。購入を機にハイレゾ音源を中心としたライブラリーを構築していこうという方なら、本機の再生能力の高さはありがたいだろう。

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

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