レビュー
アンプ、アナログプレーヤー、プロジェクターで一斉テスト

AV機器の天敵“電源ノイズ”をアクティブノイキャンするiFi Audio「iPurifier AC」の実用度

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USB DACやヘッドホンアンプ、フォノイコライザーなど、高機能とコンパクトサイズを巧みに両立し、かつコストパフォーマンスにもすぐれたオーディオ機器を数多くリリースする英iFi Audioから、ノイズ除去系の新製品「iPurifier AC」が発売された。

iFi audio「iPurifier AC」

こちら、端的にいえば電源ノイズフィルターだが、一般的なフェライトコアなどとはかなり趣が異なっているのが特徴だ。この「iPurifier AC」には、ノイズキャンセリングヘッドホンなどと同じ原理の「アクティブ・ノイズ・キャンセレーション(ANC)」が搭載されており、検知したノイズの逆相信号を発生させることでノイズのキャンセルを行っている。これによって、周波数帯域全域にわたって-40dBのノイズ低減を実現。フェライトコアなど100MHz以上をメインにノイズ低減が行われるパッシブ型に対して、高い効果を発揮しているという。また、「ワイヤレス・ピュリフィケーション・システム(WPS)」という回路も採用されており、こちらによってダイナミックレンジの低下など聴感上の副作用なしに、ノイズを大きく低減できることもアピールされている。

「iPurifier AC」では、ノイズキャンセリングヘッドホンと同じように、検知したノイズの逆相信号を発生させることでノイズのキャンセルを行っている

一般的なパッシブ型のノイズキャンセリングに比べ、幅広い帯域でノイズキャンセリングの効果が得られるという

また、ノイズキャンセリング機能以外にも、いくつかの便利機能が搭載されているのも「iPurifier AC」の特徴だ。アースがきちんと取れているか否かを判断できる「グラウンド/アースの検出」、極性が正しいかを判断できる「極性接続診断」の2つは、LEDの色ですぐにチェックが可能。さらに、理想的なグラウンド/アースを提供する「インテリジェント・グラウンド接続」も備わっていて、こちらを活用することで、グラウンドループなどのノイズも回避できるという。

「iPurifier AC」のアース端子に接続できるケーブルもオプションで用意されている

「iPurifier AC」のアース端子に接続できるケーブルもオプションで用意されている

このように、高性能かつ多機能な電源ノイズキャンセリング製品である「iPurifier AC」が、1.6万円前後の価格で手に入るというのだから驚いた。しかも、壁コンセントや電源タップの空き口に差し込むだけで、すぐに効果が発揮されるのだという。実は筆者も、過去の取材で「アクティブ・ノイズ・キャンセレーション(ANC)」について効用を実感しており、実際に「iPurifier DC」や「iPower」を使用している。当然、その決定版といえる「iPurifier AC」の実力の程は気になるところ。ということで、さっそく製品を借用し、実力の程を確かめてみることにした。

さまざまなAV機器を使って「iPurifier AC」の効果を一斉テスト

「iPurifier AC」の外観は、まるで大型コンデンサーのような、細長い円筒形をしている。表側には「グラウンド/アースの検出」「極性接続診断」用のLEDランプ2つと「インテリジェント・グラウンド接続」用の端子(4mm口径のバナナプラグが刺さるようになっている)が、反対側には3Pタイプの電源プラグが備わる。とてもシンプルな造りだ。

真っ白な円筒形の筐体が特徴的。この筐体の中にノイズキャンセリングのキモとなる基板が収められている

真っ白な円筒形の筐体が特徴的。この筐体の中にノイズキャンセリングのキモとなる基板が収められている

電源プラグは3Pタイプ

電源プラグは3Pタイプ

電源プラグの反対側には、「グラウンド/アースの検出」「極性接続診断」用のLEDランプと、「インテリジェント・グラウンド接続」用の端子が並ぶ

はたして「iPurifier AC」の実力はどれほどのものなのか? まずはアンプを接続している4連(8口)壁コンセントに「iPurifier DC」を差してみた。すると、ここで残念ながら、筆者の事務所は建物が古いためかアースがしっかり取れていないようで、“Earth”のLEDがレッドに輝いたままになってしまった(OKだとグリーンに輝く)。この状態だと“Polarity”「極性接続診断」のランプも正確性を欠いてしまうようで、こちらもチェックできず。とはいえ、今後の課題としてアースを強化する必要があるというのが分かっただけでもありがたい。

いきなり2つのLEDがレッドに点灯し、グラウンドが正常にとれていないことが判明した。ちなみに、両方グリーンの点灯なら正常、“Polarity”がグリーンで“Earth”がレッドの場合は極性エラー、LEDが両方とも点灯しない場合は自動カットアウトされた状態とのことだ

いろいろなコンセントに接続して試してみたが、アースや極性のLEDを直感的に確認できるのはかなり便利

いろいろなコンセントに接続して試してみたが、アースや極性のLEDを直感的に確認できるのはかなり便利

いっぽう、ノイズキャンセリングの効用はアースや極性とは関係なくしっかり効いてくれるそうなので、アース問題はいったん保留にして、チェックをはじめることにした。なお、効用の程を分かりやすくするため、コンセントには真空管プリアンプ(サンバレー「SV-192A/D ver.2」)とモノラル・パワーアンプ(CHORD「SPM1400」)×2のみを接続した(プレーヤーはこの後チェックする機器のアナログレコードプレーヤーTien audio「TT3+Viroa 10inch」で再生)。

まずはサンバレー「SV-192A/D ver.2」とCHORD「SPM1400」×2を接続した状態でテスト開始

まずはサンバレー「SV-192A/D ver.2」とCHORD「SPM1400」×2を接続した状態でテスト開始

驚いたのは、効果の確かさ、分かりやすさだ。「iPurifier AC」を差して3〜4秒経つと、まず、急に音量が増したように感じる。そして、音がしなやかにのびのびとした音に変化するのだ。

たとえば、スティングを聴くとアルトサックスの音がとても印象的になり、アース、ウインド&ファイヤのベースもフォーカス感が高まって音符の動きがしっかりと耳で追えるようになる。また、ピアノも倍音成分のそろいがよく、広がり感のある音に変化。比較のため「iPurifier AC」を外して聴き直してみると、なんとも伸びのない、詰まった音色に感じられるようになってしまった。これは素晴らしい。実際に、簡易音圧系でチェックしても同じ曲のピーク差は誤差の範囲であるため、今回のテスト環境では顕著に音量が上がっている訳ではなさそう。どちらかといえば、余計な音がなくなり、演奏が聴こえやすくなったのだろうと推測できる。

ちなみに、「iPurifier AC」を差し込む位置で音が変わったりするのか、サンバレー「SV-192A/D ver.2」とCHORD「SPM1400」のどちらが効果的だったのかいろいろ抜き差しして確認してみたが、一番音質に変化が現れたのはサンバレー「SV-192A/D ver.2」だった。のびのびとしたピュアな音は、サンバレー「SV-192A/D ver.2」の変化によるものが大きく、CHORD「SPM1400」単体でもノイズ感が低減したクリアネスなサウンドとなったが、筆者のシステムでは、サンバレー「SV-192A/D ver.2」と同じコンセント口に差し込むのがベストだった。

続いて、アナログレコードプレーヤーTien audio「TT3+Viroa 10inch」やフォノイコライザーiFi Audio「micro iPhono2」にも試してみる。実は、「TT3」には「iPurifier DC」を使用しているため、こちらとの比較も行ってみた。

続いて、Tien audio「TT3+Viroa 10inch」やiFi Audio「micro iPhono2」を接続してテストを行った

続いて、Tien audio「TT3+Viroa 10inch」やiFi Audio「micro iPhono2」を接続してテストを行った

結果としては、「iPurifier AC」の万能さに恐れ入った。アナログプレーヤーはモーターとピックアップが電気的に繋がっていないこともあってか、アンプほどの大きな効果ではないが、確実に音がピュアになる。対「iPurifier DC」との比較でも、ほんのちょっぴり残っていたざわつき感が皆無になり、より音楽に集中できるようになった。

いっぽう、「micro iPhono2」の効果も悪くない。揺れのない、しっかり感のあるサウンドに変化してくれるのだ。ちなみに、「TT3」と「micro iPhono2」を同じ電源タップに差していろいろテストしてみた結果としては、4口の「TT3」と同じほうに「iPurifier AC」を差し、空いている口に「micro iPhono2」を差すパターンが、どちらの製品にも有用な効果があってオススメだ。

続いて、場所を変えてヘッドホンアンプを試してみる。普段使っているアナログ・ヘッドホンアンプBURSON AUDIO「Soloist SL」の電源を取っている2口タップ(いちおうパソコンとはタップを分けている)の空き口に、「iPurifier AC」を差してみた。こちらも、プリアンプ同様、顕著に音のピュアさが増す。男性ボーカルも女性ボーカルも、ハリのある、しなやかな歌声を聴かせてくれるようになるのだ。この歌声の気持ちよさは、大いに魅力だ。

最後に、映像機器にも試してみる。プロジェクターJVC「DLA-X700R」のコンセントに「iPurifier AC」を抜き差しし、違いをチェックしてみた。「君の名は」の隕石が落ちてくるシーンを見ると、ほんのわずかだが暗部の沈み込みがよくなり、階調も把握しやすくなったように感じる。何が違うのだろうかと、映像を停止してデジタルカメラで撮影してみたが、データを見ると透過光効果のピーク帯域がほんの少しシフトしていることが分かった(暗室で交互に数枚ずつ撮影してもほぼ同じ傾向が出たので誤差という訳ではなさそう)。「iPurifier AC」を差すと、ほんのわずかに輝きが押さえ込まれるのだ。どちらの表現が正しいのか分からないが、少なくとも「iPurifier AC」を差したときの方が、ほんのちょっとだけだが清々しい、キレのよい画面になってくれたの確かだ。

結果として、「iPurifier AC」はアンプやヘッドホンアンプなど、アナログ機器に絶大な効果を発揮してくれることがわかった。いっぽう、映像機器やデジタル機器など、もともとノイズのフィルタリングをしっかり行っている機器については、そこまでハッキリした効果は期待できない可能性がある。「iPurifier AC」が自分の所有機器やシステムにとって何処まで有用かは、一度試してみる必要がありそうだ。

とはいえ、筆者はいま3つ買おうかと思っている。ひとつはプリアンプに、ひとつはヘッドホンアンプに、もうひとつはアナログレコードプレーヤーに使いたいと考えているのだ。少なくとも、プリアンプとヘッドホンアンプに関しては、一度「iPurifier AC」ありの音を聴いてしまうと元に戻れそうにない。良質な電源まわりの重要性を改めて実感させられる、素晴らしい製品だ。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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