選び方・特集

実はかなり選択肢豊富! 今どきのCD再生方法と対応機器をまとめてみた

巷の音楽再生の主流が、デジタルデータ再生になって久しい。それに最近は「Spotify」や「Apple Music」といった配信サービスのユーザーも増加中で、「音楽は物理的に無形なもの」という感覚の人はこれからどんどん増えてくると思う。しかしいっぽうで、自宅に思い出のCDコレクションがたくさん残っている人もまだ多いだろうし、そんな青春の愛聴盤をふと聞きたくなることもあるだろう。

そこで今回は、「久しぶりに手持ちのCDを聞きたいな」と思った人向けに、令和ならではのCD再生事情とCD対応機材を整理してまとめてみた。CDコンポやプレーヤーといった既存の再生機器から、スマホやAndroid TV搭載テレビを使用する新しめの対応製品までご紹介する。CD再生機器と言うと、近年はほとんど作られていないというイメージを持つ人も多いだろうが、実は新しい製品もたくさん開発されているのだ。

今、CDを再生する10の方法と対応機材

ひと口に「CD」と言っても、今は大きく3つの規格のCDが一般発売されている。まず、誰もが知るのは1984年に登場(=対応製品が発売)した「CD」(コンパクトディスク)、そして1998年に登場した上位規格の「SACD」(スーパーオーディオCD)、そして対応プレーヤーで再生するとハイレゾ相当の再生が可能な「MQA-CD」というものもある。後者2つを再生する場合は、対応する単品オーディオ機器を用意する必要があるが、本稿では、一般的なCD再生の方法をお話ししたい。また、普通の音楽CDに加えて、CD-R/RWメディアに書き込んだデジタルデータ(MP3ファイル等)を再生できる機器も多いので、あわせてチェックしてみてほしい。

それでは以下より、今どきのCD再生事情として、大きく10の方法に分けてご紹介していこう。

【1】CDラジオ/CDラジカセ

名前の通り、CDラジオはCDドライブとラジオ、CDラジカセはそこにカセットデッキが一体になった再生機器である。古くからある定番機材で、「CDを聞く」と言えば誰もが真っ先に思い浮かべるであろう。このジャンルの製品は現在も生産されており、CD全盛期ほどではないもののまだまだ健在だ。小型を売りにしたモデルから、重低音再生とタフネスさが魅力の大型モデルまで、ラインアップは多い。近年はBluetooth再生やUSBメモリーの再生に対応する製品も増えていて、近年のライフスタイルにあわせて進化している。

▼ソニー「CFD-S401」

音楽CDおよびCD-R/RW(MP3)再生のほか、ラジオの聴取やカセット再生にも対応するコンパクトな一体型機。大型液晶ディスプレイを搭載していて使いやすく、インテリアにあわせて選べる4色のカラーがラインアップされている。

▼東芝「TY-CX700」

音楽CDおよびCD-R/RW(MP3/WMA)再生のほか、ラジオの聴取、USBメモリー再生に対応するモデル。「再生スピードコントロール」や「A-Bリピート」などの機能を備えているほか、自分の声をSDメモリーカードやUSBメモリーに録音することも可能で、語学学習に強いのが特徴となる。

▼JVC「XX RV-NB250BT」

独立した4chアンプを搭載した、重低音&大型タフボディが売りのモデル。音楽CDおよびCD-R/RW(MP3)再生、ラジオの聴取に加え、USBメモリー再生やBluetooth再生にも対応している。さらにマイク/ギター入力を搭載するほか、バッテリーも内蔵していて屋外使用もできる多機能な1台。

【2】ポータブルCDプレーヤー

電池や内蔵バッテリー駆動で持ち運びできる小型CDプレーヤーと言えば、やはり多くの人が思い出すのはソニーのいわゆる「CDウォークマン」であろう。現在このジャンルの製品は、MP3やハイレゾなど、デジタル楽曲ファイルを再生するDAP(デジタル・オーディオ・プレーヤー)に完全に置き換わっており、大手オーディオメーカーの製品はほとんど存在しない。しかし、実は新製品もちゃんと製造されている。CDよりもさらにオールディーズなカセットテープがはやっている昨今、意外性狙いで購入してもおもしろいかも? ちなみに、ステレオミニジャックが付いているカーオーディオと接続して、簡易的なCD対応カーオーディオ環境を作るという使い方もあり。

▼東芝「TY-P3」

実は東芝は、今でもポータブルタイプのCDプレーヤーを数台ラインアップする大手メーカーである。本モデルは音楽CDおよびCD-R/RW(MP3)再生に対応。しかもBluetooth機能を搭載することが特徴で、BluetoothイヤホンやBluetoothスピーカーに接続して、CDをワイヤレス再生で楽しめるようになっている。

▼ロジテック「LCP-PAP01LWH」

主に、リスニング学習向けに開発されたポータブルCDプレーヤー。もちろん音楽再生にも普通に使用でき、音楽CDおよびCD-R/RW(MP3)再生に対応する。「スピードコントロール機能」「+10スキップ機能」「3秒・30秒戻し機能」など学習向けの機能を備えており、電源はUSB ACアダプターやモバイルバッテリーからの給電(定格5V、1A以上)に加え、単3形アルカリ乾電池でも利用できる。

▼オーム電機「AudioComm CDP-850Z」

シンプルに音楽CD再生に特化したオーソドックスなポータブルCDプレーヤー。先読み出し機能により60秒間の音飛びを防止するほか、重低音を強調する機能を搭載している。音量調整や操作ができるリモコンも付属する。

【3】CDミニコンポ/セットコンポ

CDを再生できるミニコンポ/セットコンポは、昔から一家に1台はあるほど人気があった。そして実は今も、Bluetooth機能やUSBメモリー再生に対応するといった具合に進化を遂げており、大手メーカーからデザインや音質にこだわったバラエティ豊かな製品が発売されている。CDラジカセと融合するような小型のモデルや、ネットワーク経由でハイレゾ再生に対応するものもあり、要チェックなカテゴリーだ。

▼JVC「Victor WOOD CONE EX-D6」

木材を使用したフルレンジユニット「ウッドコーンスピーカー」を搭載する一体型CDコンポ。音楽CDおよびCD-R/RW(MP3/WMA)再生のほか、ラジオの聴取、USBメモリー再生、Bluetooth接続などに対応するオールインワン型のモデルだ。ボディや振動板にウッド素材を使用したことによる美しい響きが魅力。

▼ヤマハ「TSX-B237」

インテリアになじむ洗練されたモダンなデザインが特徴で、さらに高機能性も兼ね備えた一体型コンポ。音楽CDおよびCD-R/RW(MP3/WMA)再生のほか、FMラジオの聴取、Bluetooth再生にも対応している。ワイヤレス充電の「Qi」にも対応しており、本体天面にスマホを置けばワイヤレス充電もできるという便利な1台。

【関連記事】
充電しながら音楽再生も! スマホと好相性なヤマハのコンパクトオーディオシステム「TSX-B237」

▼パナソニック「SC-HC300」

設置場所を選ばない薄型ボディで、デザイン性も高い一体型コンポ。音楽CDおよびCD-R/RW(MP3)再生のほか、ラジオの聴取やBluetooth再生にも対応している。パナソニック独自の制御アルゴリズム「Sampling Rate Converter」や、MP3などの圧縮音源で失われた高域信号を演算補正する「MP3リ.マスター」機能を搭載しており、再生音質を追求している。

▼パナソニック「SC-PMX90」

高精度デジタルアンプと11cmウーハー採用の2ウェイスピーカーを組み合わせた、セパレート型のコンポ。60Hzからの低音再生を実現する。音楽CDやCD-R/RW(MP3)の再生に加えて、ラジオの聴取、USBメモリー再生やBluetooth再生、さらにネットワーク経由でDSDを含むハイレゾ再生にも対応。加えてUSB-DAC機能も搭載している機能性がポイント。ノイズやひずみを低減する独自技術「LincsD-Amp III」を採用し、高品位な音質を追求した。

【4】単品CDプレーヤー

音質を徹底追求するピュアオーディオの世界では、単体CDプレーヤーは今でも人気があるジャンルだ。数万円台〜数百万円台まで多くの機種が存在し、上位規格のSACDやMQA-CDに対応するモデルも発売されている。単品CDプレーヤーは、自分が好きなアンプやスピーカーと組み合わせて、音色や音調を自分好みに探求できることが大きな魅力だ。

本体サイズも、ピュアオーディオの基本である横幅430mmのモデルから、最近はより小型のモデルも登場している。音質を探究するジャンルの製品らしく、内部に真空管を用いて音楽性豊かな音を狙う製品もあれば、CD再生だけでなくハイレゾ音楽配信サービス「Amazon Music HD」が再生できるなど、新旧の音楽ソースに対応するモデルもある。

▼トライオード「TRV-CD6SE」

日本を代表する真空管アンプメーカーのトライオードによる、真空管バッファー回路搭載のCDプレーヤー。音楽CDおよびCD-R再生に対応している。音質の高い高性能D/Aコンバーターチップの搭載や、MQA-CDにもフルデコードで対応するといった機能性が特徴。真空管ならではの音楽生の豊かなサウンドを楽しめる。

▼マランツ「Music Link HD-CD1」

日本の人気オーディオ/ビジュアルメーカーであるマランツが発売する単体CDプレーヤーの中でも、「HD-CD1」はロングセラーの人気モデル。音楽CDおよびCD-R/RW(MP3/WMA/AAC)の再生に対応する。高級感のあるデザインと同社製品らしい音質の高さを融合させつつ、コンパクトなボディサイズを実現しており、同じデザインのアンプやD/Aコンバーターも発売されているので組み合わせも可能だ。

▼パナソニック「Technics SL-G700」

パナソニックの高級オーディオブランド、テクニクス(Technics)のネットワーク対応CDプレーヤー。高音質対策パーツが惜しげもなく投入されたモデルで、音楽CDおよびCD-R/RWのほか、上位規格のSACDやMQA-CDにも対応する。さらにハイレゾファイル再生や音楽配信サービスにも対応する多機能性も大きな魅力。

【5】CD対応カーオーディオ

純正カーオーディオは、スマートフォンと連携して音楽再生が楽しめるディスプレイオーディオがトレンドとなっているが、各オーディオメーカーからはCD再生に対応するヘッドユニットが発売されている。ドライブ中に手持ちのCDを再生したい場合はぜひチェックしておこう。

▼パイオニア「FH-8500DVS」

「Apple CarPlay」(アップル・カープレイ)や「Android Auto」(アンドロイドオート)などのディスプレイオーディに対応する2DINサイズのヘッドユニット。CDのほかにUSBメモリー/HDDに記録された動画や音楽ファイルの再生、スマホからのBluetooth再生にも対応する。

▼ケンウッド「U381BT」

最大出力40Wのアンプを4基搭載する1DINサイズのヘッドユニット。「Amazon Alexa」を搭載し、音声による各種操作が可能だ。CDのほかにUSBメモリー内の音楽ファイル再生や、スマホとBluetooth接続しての音楽再生にも対応し、ハンズフリー通話も行える。

【6】Blu-rayプレーヤー&レコーダー

意外と知らない人も多いのだが、Blu-rayプレーヤー/レコーダーの多くはCD再生にも対応しており、テレビのスピーカーを使って音を鳴らすことができる。使い方としては、普通にディスクドライブにCDをセットすればよい。HDMI入力を備えたAVアンプとスピーカーを組み合わせれば、単品オーディオシステム同様の高音質再生も可能だ。

▼ソニー「BDP-S1500」

1秒以下の高速起動を実現したコンパクトなBlu-rayプレーヤー。音楽CDおよびCD-R/RWの再生が行える。「プレシジョンシネマHDアップスケール機能により、DVDも美しい画像で再生できる。価格.comの売れ筋モデル。

▼パナソニック「DMP-BD90」

横幅245mm、重量0.8kgを実現した小型のBlu-rayプレーヤー。音楽CDおよびCD-R/RW(MP3/WAV/FLAC/WMA/AAC/MKV/ALAC)の再生が行える。DVDの映像をアップコンバートして出力する「フルHDアップコンバート」機能を搭載。電源ボタンを押してから約1秒で画面が表示される「高速起動」とすばやくトレイが開く「高速トレイオープン」機能を備えており、高速な動作が特徴だ。

【7】パソコン

デジタルデータ再生が主流になった近年、最もスタンダードなCD再生手法はPCでの再生ということになるだろう。PCにBlu-ray/DVDドライブが内蔵されていればそこにCDをセットすればよいし、ドライブが搭載されていないPCでも、USB接続の外付けドライブを使えばCDの再生や取り込みが行える。Windows/Macとも、プリインストールされている再生ソフトでそのままCDを再生できる。なお、PC内蔵スピーカーでは音質が物足りないと思ったら、アンプ内蔵のPC用アクティブスピーカーを使うことで飛躍的に音質を上げることが可能だ。

PC再生の場合、内蔵スピーカーではサウンドが物足りないことがほとんどなので、PC用アクティブスピーカーを使おう

PC再生の場合、内蔵スピーカーではサウンドが物足りないことがほとんどなので、PC用アクティブスピーカーを使うとよい。写真ではクリプトン「KS-11」を使用

▼バッファロー「DVSM-PLV8U2-BK/N」

価格.comの「DVDドライブ」カテゴリー売り上げランキング1位(2021年1月時点)のシンプルでスタンダードな外付けUSBドライブ。

【8】スマホ/タブレット用外付けドライブ

PCではなく、スマートフォンと直接接続してCD再生ができるようになるCDドライブも発売されている。そのままスマホのスピーカーを使って再生したり、ヘッドホン/イヤホンを接続して聞くのはもちろん、Bluetoothスピーカーと組み合わせれば、スマホを介したコンパクトなCD再生システムも構築可能だ。

▼IODATA「CDレコ CDRI-LU24IXA」

USB Type-C接続のスマートフォンにも対応する、Android/iPhone両対応のスマホ用CDレコーダー。スマホにインストールした専用アプリ「CDレコミュージック」を利用することで、本製品にセットした音楽CDやCD-R/RWをスマホから再生できる。また、スマホ内へのCDリッピング(取り込み)も可能。アプリは、プレイリスト機能やシャッフル再生などの基本的な再生に加え、CD音源の取り込み時にはタイトルや歌手名、曲名、ジャケット画像などをインターネット上から自動取得する。再生曲の歌詞の表示もできる。

【9】Android TV搭載テレビ用外付けドライブ

テレビのOSとして利用されている「Android TV」と組み合わせて、CD再生が可能となる外付けディスクドライブも存在する。Android TVを搭載するテレビに接続してCDをセットすると、CDの再生画面をテレビに大きく映し出しながらテレビのスピーカーで再生が行えるというものだ。もちろん、サウンドバーなどテレビ用スピーカーを組み合わせれば、音質アップも図れる。ある意味最も先進的な再生手法かもしれない。

▼IODATA「DVRP-U8ATV」

Android OSを搭載したAndroid TV対応テレビと組み合わせて、テレビを使って音楽CDの再生とデータの取り込みが可能な専用ドライブ。専用アプリは、テレビ画面に特化したグラフィカルユーザーインターフェイスを持ち、快適なユーザビリティで操作可能だ(Android TV搭載テレビは内蔵ストレージ容量が小さいので、データ取り込み時には、外付けHDDやUSBメモリーなどが必要になることが多いので注意)。

【10】ゲーム機

マイクロソフトの「Xbox」シリーズなど、一部のゲームコンソールでも音楽CDの再生が行えるので、所有している人は手持ちのCDが聞きたいときに活用できる。Xboxの場合、シリーズ最新の「Xbox Series X」でも音楽CD再生に対応している。ちなみに「PlayStation」シリーズの場合、「PS3」までは対応していたが、「PS4」「PS5」では音楽CDの再生ができなくなったので注意されたい。

▼マイクロソフト「Xbox Series X」

AMD「Zen 2」および「RDNA 2」アーキテクチャを活用したカスタムプロセッサーを搭載し、最大4K/120fpsをサポートするマイクロソフトの次世代ゲーム機。Ultra HD Blu-rayディスクの再生にも対応する。

補足:CDの再生とあわせてリッピングも

今回ご紹介したパソコン、スマホ、タブレット、Android TV搭載テレビ等によるCD再生環境では、同時にCD音源のデータ化も可能だ。自宅に眠っているCDを再生するだけではなく、いつかリッピングしてデータ化しようと思っている人にとっても注目の製品情報となる。なおCDリッピングについては、以下の記事で基本事項をまとめているのであわせて参考にされたい。

まとめ

というわけで、現在のCD再生は、既存の再生方式であるCDラジオやミニコンポに加え、パソコンやスマホ、Android TV搭載テレビを用いた手法までさまざまな手法がある。また、高級オーディオの世界ではまだまだCDは現役のメディアで、音質がいい魅力的な再生対応機器がたくさん開発されている。自分のライフスタイルに合わせて、最適な方法をチョイスしていただきたい。

土方久明

土方久明

ハイレゾやストリーミングなど、デジタルオーディオ界の第一人者。テクノロジスト集団・チームラボのコンピューター/ネットワークエンジニアを経て、ハイエンドオーディオやカーAVの評論家として活躍中。

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