オーディオ機器をどこに置くか、みなさんも普段から大いに悩んでいることだろう。本格派のピュアオーディオならまだしも、手軽に音楽を楽しめるBluetoothスピーカーであっても、テーブルや棚の一部にスペースを空けなければならず、寝室に置く場合などは、環境によってはサイドテーブルを用意しなければならないこともある。
そんな問題を一挙に解決してくれる、抜群のアイデアを実現した製品がある。それがテーブル型のBluetoothワイヤレススピーカー、Welle(ベレー)の「Mellow W501T」だ。こちら、以前にも「Mellow W301T」という製品が登場していて、「Mellow W501T」はそのアップグレード版となる。2021年1月までクラウドファンディングでの募集を行っていたが、先日より一般販売がスタートとなった。今回、幸運にもWelle「Mellow W501T」を試用する機会を得たので、実機の写真を交えながら詳細なレポートをお届けしよう。
Welleのテーブル型Bluetoothスピーカー「Mellow W501T」をレビュー
「Mellow W501T」の最大の特徴は、やはりサイドテーブルとBluetoothスピーカーが一体となった製品であることだろう。約40センチ径の円形天板部分にはアッシュウッドを、三本の脚にはピーチウッドをそれぞれ採用。スピーカーが内蔵されている部分の表面にはファブリック素材が用いられ、シックで上質な雰囲気にまとめられている。
天板と脚には異なる木材を使用し、スピーカーを内蔵した本体部にはファブリック素材を採用するなど、いろんなインテリアにマッチする上品なデザインに仕上がっている。なお、写真に写っている円形のマットも付属品だ
ロゴは天板に刻印されているが、存在感をあまり主張しないところは好感が持てる
フロント部分には電源やボリューム調整といった各種操作キーが並ぶ。ステータス状況を確認できるLEDインジケーターもできるだけ目立たないようにファブリック素材の内側に配置されている
実際、今回の取材ではソファまわりやベッド脇に置いてみたが、存在感を主張しすぎず、さまざまなインテリアになじんでくれた。Bluetoothスピーカーとしてだけでなく、スマートフォンや本など、小物が置ける便利なテーブルとしても重宝してくれるだろう。
長めの脚で高さがそれなりにあるので、ベッドサイドテーブルとしても十分使えそう
本やスマートフォンなどの小物をサッと置くのにも便利。なお、最大荷重は5kgまでとなっている
しかしながら、「Mellow W501T」にとっての魅力は単にスピーカーが付属したサイドテーブルであることではない。機能面や音質についても手抜かりのない完成度の高さだ。
まず、機能面で注目したいのが、天板部分にワイヤレス充電機能(5W)を搭載したこと。天板の中央、+のマークが見える部分あたりにワイヤレス充電対応のスマートフォンを置くと充電を行ってくれるのだ。また、側面後側には充電用USB-Aポートを2基(2.1A×1、1A×1)を備え、ワイヤレス充電に対応していないスマートフォンでも、ワイヤードで充電を行うことができる。
しかも、「Mellow W501T」がすごいのはこれだけではない。なんと本体に48.84Wh容量のバッテリーを内蔵し、コンセントのない場所でも電源ケーブルを接続せずに設置・使用できるのだ。内蔵バッテリーを使ってスマートフォンなどに充電が行えるのはもちろん、音楽再生も最大12時間再生可能とバッテリー性能も十分。コンセントの確保できないリビングの中央などにも手軽に持ち運んで使えるのはなかなか便利だ。
天板の中央、+のマークが見える部分あたりにワイヤレス充電機能が搭載されている
+マークは樹脂製の素材が使われており、スマートフォンなどを置いた際に傷がつきにくくなっている
ワイヤレス充電機能は5W。iPhoneの充電ももちろん可能だ
側面後側には充電用USB-Aポートも用意されており、ワイヤレス充電非対応のスマートフォンなどの充電に利用できる。なお、内蔵バッテリーの充電用電源ポートもこちらに用意されている
バッテリー駆動できるためか、電源アダプターは長さがちょっとだけ短めだ
バッテリー内蔵なので、電源の確保が難しいリビングの中央などに移動して使える
また、入力はBluetoothに加え、AUXも用意。3.5mmステレオケーブルも同梱されているので、Bluetoothのない機器をテーブルの上に置いて、そのサウンドを楽しむこともできる。充電と音楽再生にフォーカスした機能だが、サイドテーブル内部に備わっているとなかなかに便利だったりする。なにしろ、そういった機器がサイドテーブルの上を占領しないのがいい。さりげなくもスマートなライフスタイルが送れるのは「Mellow W501T」ならではのメリットと言えそうだ。
さて、肝心のサウンドについては、向きを変えた4つのスピーカーボックスが搭載されており、その中にツイーターとミッドレンジ、ラジエーターが搭載されている。レイアウトの詳細は不明だが、使われているユニットはウーハーが4基、ツイーターが2基のようだ。これにDSPによるサウンドコントロールを組み合わせて、部屋のどこにおいても届いてくれる、360度に広がるサウンドを作り上げているという。
ツイーターは前面側に配置されているのか、実際に試聴してみるとそれとなくステレオイメージが再現されていたりもする。左右両端はフォーカスが崩れるものの、中央寄りの部分は比較的ステレオイメージは保たれているので、前方においてしっかり楽曲を楽しむことも可能だ。このあたりは、大柄なサイズの一体型Bluetoothスピーカーに近い印象かもしれない。
「Mellow W501T」を裏返したところ。4つのスピーカーボックスが入っていることがわかる
なお、「Mellow W501T」にはTWSモードというものが用意されていて、2台の「Mellow W501T」をペア設定して連携させることが可能で、こちらによってさらに音場空間を広げることができるという。日本の住宅事情ではあまり活用されることはないが、人によっては重宝する機能かもしれない。
さて、肝心の音質については、デザイン優先の製品にありがちな“音が鳴っていればいい”レベルとは格別のクオリティを持ち合わせている。使用した製品が新品だったせいか、ややドライな音色傾向を持ち合わせていたが、ボーカルはシンガーの魅力がしっかりと伝わってくる表現力の高さがあった。試しに「五等分の気持ち」を聴いてみると、5人それぞれの声の特徴がしっかりと表現できていたし、サラ・オレインはヌケのよい印象的な歌声を聴かせてくれた。
低域の量感もしっかりと確保されていて、バランスのよいサウンドを聴かせてくれる。EDMを迫力よくとまではいかないが、ハードロックやJポップはパワフルな演奏に感じられるし、フルオーケストラも重心の低い落ち着きのある音で再生してくれる。
見た目重視のなんちゃって製品ではなく、“デザインよく音もよく便利”と、“デザインよく音もよく便利”という完成度の高さはなかなかに見事だ。なかでも、ワイヤレス充電に対応してくれたことはありがたい。強いていえば、充電ポイントが真ん中ではなく、天板前方、Welleロゴのあるあたりだともっとよかったかもしれない。
ちなみに、ワイヤレス充電はいらないという人は、スタンダードモデル「Mellow W301T」もラインアップされている。記憶での比較なのでそれほど確かではないが、音質的には大きく変わらないはずなので、十分に満足してもらえるだろう。
いずれにしろ、どんな場所でも手軽にスマートに良サウンドを楽しめる魅力的な製品であることは確かだ。長引くステイホームの相棒として、ありきたりなBluetoothスピーカーではなく、“デザインよく音もよく便利”な「Mellow W501T」を導入してみてはいかがだろうか。
ヘッドホンなどのオーディオビジュアル系をメインに活躍するライター。TBSテレビ開運音楽堂にアドバイザーとして、レインボータウンFM「みケらじ!」にメインパーソナリティとしてレギュラー出演。音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員も務める。