アップルから第3世代の「AirPods」が2021年10月26日に発売されました。軸部分が短くなった新しいデザインに「空間オーディオ」への対応、音質の改良など、さまざまな点が進化しています。筆者は日ごろから「AirPods Pro」を使っているので、AirPods Proとの比較を交えながら、AirPods(第3世代)を詳しくチェックしていきたいと思います。
AirPods(第3世代)。アップルストア価格は23,800円(税込)
初代のAirPodsが発売されたのは2016年で、「iPhone 7」と同じタイミングで発表されました。それから5年で、多くのユーザーが利用する完全ワイヤレスイヤホンとなりました。都内で電車に乗れば、AirPodsを使っている人をよく見かけますし、スポーツジムなどでもAirPodsを装着してトレーニングをしている人をよく見ます。
そんなAirPodsの最新モデルが、無印AirPodsの第3世代モデルです。軸部分が第2世代のAirPodsの1/3まで短くなり、耳に入れる部分の形状も変わり、着け心地がよくなっています。パッと見はAirPods Proのように見えますが、イヤーピースがないため、AirPodsのほうがすっきりとした見た目。軸部分が短くなったことで、第2世代のAirPodsよりも装着時のバランスがよくなり、外れにくくなっているようにも感じました。
第2世代のAirPodsにはなかった、耐汗耐水性能(IPX4)も備わっているので、運動中に利用したい人にもいいでしょう。
軸部分が短くなり、装着時のバランスがよくなりました。風切り音防止用のメッシュや肌センサーの部分が黒色で、第2世代のAirPodsよりも黒色の部分が増えています
軸部分には感圧センサーが搭載され、メディアコントロールが可能になりました
音質面では、自社開発のドライバーにより、深みのある豊かなサウンドと、明瞭感を実現。AirPods Proのような耳栓型ではなく、開放型なので、低音が物足りないと思っている人もいるかもしれませんが、「アダプティブイコライゼーション」用の内向きマイクがあり、耳の中の音をリアルタイムに解析して、低音が足りなければ、上手に低音を強調してくれます。
開放型で気になる音漏れについては、さすがにボリュームを上げると、音が漏れるので、外で利用する場合は音量に注意しましょう。ただ、AirPods(第3世代)は小さな音でも、クリアに聞こえるので、それほどボリュームを上げるシーンはなさそうです。
また、AirPodsをつけながら外で通話をするときに気になる風切り音を抑えるため、マイクはアコースティックメッシュで覆っています。これで相手に自分の声をクリアに届けることができます。
「空間オーディオ」の再生にも対応しています。伝統的な左右の2chではなく、音に包み込まれるような体験を味わえるというもので、対応サービスも広がっています。「Apple Music」の音楽、「Apple TV+」の映画やドラマはいわずもがなですが、「FaceTime」で複数人とビデオ電話をしているときに、話している人の顔のほうから声が聞こえてきます。
Apple Musicで対応楽曲を聞いてみましたが、イントロが真後ろから聞こえたり、サビ部分が上や左右などさまざまなところから鳴っているのを味わえました。Apple TV+で戦争映画を視聴すると、戦闘シーンの迫力がすごかったです。
空間オーディオは設定で有効にできます
Bluetoothの画面の「i」をタップすると、AirPods(第3世代)の設定画面が開きます
手持ちのAirPods Proと比べると、AirPods(第3世代)は装着感が軽やかで、長時間着けていても疲れにくいと感じました。音質面ではさすがに、AirPods Proのほうが低音の迫力があり、明瞭感も感じられます。また、AirPods Proは音に対して忠実という印象なのに対して、AirPods(第3世代)は聞きやすいような、元気さというか勢いのある音のように感じました。
左がAirPods(第3世代)、右がAirPods Pro
開放型と耳栓型は音だけでなく、着け心地も大きくことなります。ハウジングもよく見ると形が違います
AirPods Proは耳栓型なので、人によっては圧迫されるような感じを受けるでしょう(筆者も長時間装着していると、ときどき感じます)。それに対して、AirPods(第3世代)はは開放型なので、圧迫感は感じられません。音楽を聴いたり、ビデオ会議をしたりするために使う在宅勤務用イヤホンとしては、AirPods(第3世代)のほうがいいと思います。家なら音漏れもそれほど気にならないのも、理由のひとつです。
ただし、耳に入れる部分は、少し大きいので、人によってはうまく耳に固定しにくいかもしれません。なので、購入前に一度フィッティングしてみるといいかもしれません。
AirPods(第3世代)。装着姿は下写真のAirPods Proとほぼ変わりません
AirPods Pro。耳穴をすっぽりふさぐので低音がよく響きます。音漏れも少なく、電車移動が多めの人にはAirPods Proがいいでしょう
使い勝手の面では、肌センサーを搭載し、耳から外したとき、再び装着したときの再生・停止がよりはっきりと動作するようになりました。AirPods Proもそれほど気になるようなことはありませんでしたが、ポケットで鳴り続けたりするのを防げるようになっています。
また、AirPods Proと同じく、軸部分に感圧センサーが搭載され、軸部分をつまむことで、曲の再生や一時停止、早送り、電話への応答などができるようになりました。iPhoneをポケットから出さずに、AirPods(第3世代)だけで音楽をコントロールできるのは非常に便利です。
メディアコントロールは軸部分の加圧センサーで行えます
iPhoneとのペアリングは、ほかのAirPodsと同じ。iPhoneに近づけて、接続をタップするだけでペアリングできます。これだけで、同じ「Apple ID」を利用しているiPadやMacともペアリングでき、デバイス間の移動もシームレスに行えます。ペアリングの簡単さと、アップル製デバイスとの連携は、他社にはない魅力と言えるでしょう。
「探す」アプリでAirPods(第3世代)を追跡できるのも個人的にはうれしい機能です。よく家の中でAirPods Proをなくすので、iPhoneの「探す」アプリで、どこにあるのか探せるのは助かります。
iPhoneとのペアリングは近づけて「接続」をタップするだけ。目で見てわかるので、ガジェットが苦手という人でも簡単にペアリングできるでしょう。アップル製以外の機器とはケース裏側のボタンを押してペアリングします
「探す」アプリで、AirPods(第3世代)を探してみました。よくAirPodsをなくす人(筆者)には本当に助かる機能だと思います
そのほか、ケースは「MagSafe」に対応。ワイヤレス充電もできて、簡単に充電できます。バッテリー駆動時間はAirPods(第2世代)の5時間から1時間伸びて6時間になりました。充電ケースを試用した場合の再生時間は6時間アップの最大30時間に伸びています。
まだ1日しか使っていませんが、原稿執筆中ずっと装着していました。本当に軽やかな着け心地で、圧迫感もなく、着けていて疲れないイヤホンだと感じました。空間オーディオの効果も存分に味わえます。気になる点は、ハウジングが少し大きめなことと、価格です。耳のサイズは人それぞれなので、何とも言えませんが、一度フィッティングしてみることをおすすめします。
AirPodsのアップストア価格は、AirPods(第3世代)が23,800円、AirPods(第2世代)が16,800円、AirPods Proが30,580円、AirPods Maxが67,980円(いずれも税込)。迷うとしたら、AirPods(第3世代)かAirPods Proのどちらかにするかではないでしょうか? 価格差が約7,000円で、頑張ればノイズキャンセリング機能が手に入るとなると、なかなか悩ましいところだと思います。耳栓型が苦手という人は、AirPods(第3世代)の一択でしょうが、AirPods Proのノイズキャンセリング機能も優秀で、捨てがたいところです。どちらも良品なので、本当に悩ましいです。
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!