選び方・特集

薄型テレビを高音質で楽しむための“小型スピーカー”人気モデル5機種を聴き比べ!

薄型テレビを高音質で楽しむための小型スピーカー人気モデル5機種を聴き比べ!

薄型テレビに数万円の予算で高音質な小型スピーカーが欲しい――これはとてもシンプルな欲求なようで、システム面では少し面倒な話だ。いわゆるHi-Fiオーディオ用のパッシブスピーカーというのはアンプと接続する前提のもので、一般的なテレビには接続できない。となると、アンプ内蔵のスピーカーが必須で、製品選びの顔ぶれが変わってくる。そして、テレビに置くなら一体型のサウンドバーだと簡単だし設置しやすいよね……という路線に進むのがよくあるパターンだ。

だが、そんなお手軽路線に逆らうように「薄型テレビにアンプを接続して、Hi-Fiオーディオ用のスピーカーをつなごう」という趣旨の記事を1年と少し前に書いた。

ちょっとマニアック!? 薄型テレビを高音質で楽しむための“テレビ用アンプ”の選び方
https://kakakumag.com/av-kaden/?id=16230

今回の記事は、いわばその続編だ。テレビにHi-Fiオーディオ用のパッシブスピーカーをつなげるようになった次の段階として、アンプに接続する小型スピーカー選びに挑戦してみた。

今回小型スピーカー選びとして実機を用意したのは人気の5機種

今回小型スピーカー選びとして実機を用意したのは人気の5機種

パッシブスピーカーとは、コンポの付属スピーカーのようなタイプ。Hi-Fiスピーカーではバナナプラグ対応のものが多い

パッシブスピーカーとは、コンポの付属スピーカーのようなタイプ。Hi-Fiスピーカーではバナナプラグ対応のものが多い

今回の検証環境はテレビに、TVS REGZAの有機ELテレビ「REGZA 65X9400」を用意した。テレビ用アンプを選んだ前回の記事から、事情があって新モデルへと入れ替えているのだが、この「REGZA 65X9400」に限ってはテレビ用アンプが不要なのだ。「REGZA X9400」シリーズは、テレビ自体に外部スピーカー専用の高効率デジタルアンプを搭載しているマニアック仕様。テレビ自体に外部スピーカー接続用のスピーカー出力端子が付いているので、そのまま活用できるのだ。今回はこのスピーカー出力にスピーカーを接続して検証を行っている。

レグザの一部モデルのみ搭載されているスピーカー端子。今回はこちらにスピーカーを接続して検証を実施

レグザの一部モデルのみ搭載されているスピーカー端子。今回はこちらにスピーカーを接続して検証を実施

ただ、注意してほしいのが、テレビに外部スピーカー端子が付いているのは、TVS REGZAの一部モデルのみ。他社で同等の機能を搭載する機種は現行機種では存在しない。そんな訳で、TVS REGZAの「X9400」「X9400S」シリーズのユーザーはそのまま参考に、それ以外の方はテレビ用アンプ選びの記事でアンプ選びを考えた上で、参考にしてほしい。

前置きはこれくらいにして、今回用意した小型スピーカーを紹介していこう。価格.comの「スピーカー」カテゴリーに掲載されている、売れ筋、そして比較発売の新しい10万円以下のブックシェルフスピーカー5機種を今回は用意した。

今回の検証では、小型スピーカーをテレビと接続し、テレビ的なコンテンツ視聴でどんなサウンドなどかの音質をチェックした。試聴ソースは、地デジ放送のニュースとバラエティ番組、YouTubeの音楽コンテンツ、Netflixの映画コンテンツを使用。僕なりの評価で、各スピーカーとコンテンツの相性を★マークでまとめている。

Polk Audio「Signature Elite ES15」

最初に用意したモデルは、2021年8月発売のPolk Audio「Signature Elite ES15」。Polk Audioは50年以上の歴史のある米国ブランドで、長らく日本国内での取り扱いが途絶えていたが、約30年ぶりに再上陸。サウンドバー「REACT」のヒットを機にHi-Fiスピーカーの販売も開始された。ハイレゾ対応のツイーターと5.25インチウーハーの2ウェイ構成。サイズは190.5(幅)×304.8(高さ)×260.4(奥行)mm。角の丸い筐体がプロフェッショナル向けのパワードスピーカーっぽいところが個人的には気に入っている。

Polk Audio「Signature Elite ES15」

Polk Audio「Signature Elite ES15」

テレビ横に設置してもシンプルだ

テレビ横に設置してもシンプルだ

地デジ放送 ★★★

やはり、Hi-Fiスピーカーらしく人の声はナチュラルに、個々に空間の中で聴かせるタイプ。BGMの肉厚な低音の刻み、街頭ロケの人の雑踏と空間の再現性もしっかり出ている。

YouTube ★★★

厚めの中域で人の声もしっかりとボリューム感を出して鳴らす迫力あるタイプ。ボーカルは伸びやかだし、演奏とのバランスを崩さない。特にポップス系の楽曲にはマッチしたサウンドだ。

Netflix ★★★★

アメリカンな迫力重視のサウンドがよい方向でアクション映画にマッチ。ドコドコと響く低音のボリューム感と迫力、臨場感がバッチリだ。セリフの聴こえ方は、情報量よりも声の実体感を重視するタイプのようだ。

ヤマハ「NS-B330」

2015年11月の発売以来、価格.comのスピーカーカテゴリーで、長らく1位に君臨し続けるロングセラーのブックシェルフスピーカーがヤマハ「NS-B330」だ。ヤマハはプロのスタジオモニターとしての実績も持つ国産ブランドで、ナチュラルサウンドにはファンも多い。ハイレゾ対応のツイーターと13mm振動板のウーハーの2ウェイ構成。スピーカーサイズは183(幅)×320(高さ)×267(奥行)mmとサイズ感も手ごろだ。

ヤマハ「NS-B330」

ヤマハ「NS-B330」

前面のピアノフィニッシュでテレビ横への設置時もシックなイメージ

前面のピアノフィニッシュでテレビ横への設置時もシックなイメージ

地デジ放送 ★★★★

想像以上に音情報を鳴らしてくれるタイプ。男性の声は質感がよく、女性の声も明瞭でクリア。BGMもしっかり音楽として鳴らしてくれる。ロケシーンの雑踏の音も、しっかりと空間のスケールをともなって再現してくれた。

YouTube ★★★★

鮮やかに聴けるボーカルやギターの美しさが魅力のサウンド。音楽的なメリハリの付け方が抜群にうまく、音の躍動感、臨場感もしっかりと出てくる。YouTubeからの再生で、ここまで音楽的に聴けるのは満足感がある。

Netflix ★★★★

映画用としては大人しめのサウンドバランスだが、環境音などの拾い方、サウンドフィールドの広さが優秀で、音の移動感をしっかりと再現。映画の世界観にじっくりと入り込めるサウンドだ。

DALI「OBERON1」

デンマーク発のオーディオブランドとして日本でも定着しているブランド、DALI(ダリ)。2018年9月発売の「OBELON1」は、同ブランドの現行ラインアップの中でも最も手ごろなブックシェルフスピーカーだ。スピーカーのユニット構成は、ツイーターと特徴的な180mm/SMCウッド・ファイバーコーンドライバーの2ウェイ構成。スピーカーサイズは234(幅)×274(高さ)×162(奥行)mmでデザインもシンプル。今回借りたライトオークカラーのデザインもインテリアとして魅力的だ。

DALI「OBELON1」

DALI「OBELON1」

ナチュラル系のインテリアに合いそうなデザイン

ナチュラル系のインテリアに合いそうなデザイン

地デジ放送 ★★★

出演者の声も適度なやわらかさをもたせつつクリアさも兼ね備えた、バランス志向のサウンド。BGMや環境音もボリューム感を持たせて聴かせてくれる。ガヤガヤしたテレビ的な音も、そのままに鳴らす傾向があるようだ。

YouTube ★★★★

爽やかで立体感のある絶妙なバランスのサウンド。歌声はクリアで前に出てくるタイプだが、尖るところもなくナチュラルさを両立。低音の刻みもしっかりと存在感があり、Hi-Fiオーディオ用スピーカーで聴く実感のあるサウンドだ。

Netflix ★★★

音の厚みがあるナチュラルなセリフ、音が尖りすぎず空間もしっかり出してと、まさにバランス型。Hi-Fiスピーカーを導入しているという納得感ある音のスケール感と、低音の厚みを発揮してくれる。

Bowers & Wilkins「607 S2 Anniversary Edition 607S2AE」

Hi-Fiオーディオ愛好家の語るスピーカーとして英国Bowers & Wilkins(通称、B&W)は絶対的な存在だ。アビー・ロード・スタジオ採用のスピーカーというバックストーリーはもちろん、サウンド面でも音像型スピーカーとして評価は絶大。2020年9月にブランド25周年として登場した「607S2 Anniversary Edition」はツイーターと130mウーハー搭載の2ウェイスピーカーで同社として最も入門機にあたる。スピーカーサイズは165(幅)×300(高さ)×207(奥行)mmとコンパクトだ。

Bowers & Wilkins「607 S2 Anniversary Edition 607S2AE」

Bowers & Wilkins「607 S2 Anniversary Edition 607S2AE」

ツートーンのカラーで映えるデザイン

ツートーンのカラーで映えるデザイン

地デジ放送 ★★★★★

人の声を聴いてすぐにわかる、高解像志向のサウンド。男性・女性の声とも立っている訳ではないが、圧倒的な情報量の結果として聴こえ方はクリア。番組中のBGMを聴いても音の歪みがなく、聴こえてくるあらゆる音が高音質だ。

YouTube ★★★★★

音楽でも曲全体の情報量が抜群。ボーカルの歌声のみならず、楽器の音もギターの音も、すべての音を高解像度で気持ちよく鳴らしてくれる。特に音場の前後の立体感の再現が得意。強いて言うなら低音はほかのスピーカーと比べてやや弱め。

Netflix ★★★★★

映画でも音情報はとても豊富。セリフのクリアさ、音の移動感、そしてほかのスピーカーではあまり気にしなかったBGMの音質まで優秀。映画というコンテンツとの相性云々よりも、スピーカーとしての高音質ですべてをカバーするような優秀さだ。

JBL「L52 Classic」

特に外見の面白さも含めて今回のラインアップに加えた2021年9月発売の最新スピーカーがJBL「L52 Classic」だ。米国発のオーディオブランドとして知られるJBLの中でも、1970年代に登場したスピーカーのデザインをモチーフにしたモダンクラシック・スタイル。内部のスピーカーユニットはツイーターと133mmのウーハーを搭載。スピーカーサイズは197(幅)×331(高さ)×216(奥行)mm。

JBL「L52 Classic」

JBL「L52 Classic」

オレンジカラーはグリルのインパクト大

オレンジカラーはグリルのインパクト大

地デジ放送 ★★★

人の声をシャープに立たせるクリア志向。ただ人の声はハッキリとして聴きやすいが、BGMや環境音の聴こえ方は意外にもおとなしい。とにかく人の声の聴きやすさを重視する、という意味での相性はよさそうだ。

YouTube ★★★★

ハッキリと前に出てくるはつらつとした女性ボーカル、特にアコースティックギターの音が印象的に響く中高域の鮮やかさと、ドコドコと鳴らし込む低音とすべての帯域でエネルギッシュな鳴り。音楽用スピーカーとしては、やはりJBLブランドらしい個性が光る。

Netflix ★★★★

クリアに立ち上がるセリフ、物音の再現性やキレ、BGMの音バランスと、映画の再現性にもマッチしたサウンド。低音も十分迫力あるスピーカーだが、派手なアクションシーンよりも、少し静かなシーンのほうが音の移動感が明瞭でハマっていた。

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

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