レビュー

光るだけじゃない! 実は音の実力派“パリピ仕様”ワイヤレススピーカー3機種を検証

スピーカーを選ぶときには、"どれだけ低音が出るか"が重要なポイント。機動性が身上のBluetooth/ワイヤレススピーカーといえど、低音がスカスカでは本来楽曲が持つ魅力は半減してしまうから、サブウーハーやパッシブラジエーターの有無を確認するのは当然だろう。

しかし、製品スペックはすべてを語らない。それはもちろん重要な判断材料になるが、実は低音の量感はスピーカーの外見である程度推測できてしまう。ギラギラ光る機構が搭載されているかどうか、言ってしまえば“パリピ仕様”かどうかで低音重視の傾向がわかる。LEDはビートにあわせて明滅するもの、ビートというなら低音もしっかり、という論法だ。

本稿の執筆にあたっては、ソニー「SRS-XP500」とTribit「StormBox Blast」、そしてJBL「PartyBox 110」という3台の“パリピ仕様”ワイヤレススピーカーをピックアップ、じっくり試聴してみたところ...なかなかイケるじゃないか! 見た目の派手さで喰わず嫌いは残念なこと、その実力のほどをお伝えしたい。

3台の“パリピ仕様”ワイヤレススピーカーを聴いてみた(左からソニー「SRS-XP500」、Tribit「StormBox Blast」、JBL「PartyBox 110」)

3台の“パリピ仕様”ワイヤレススピーカーを聴いてみた(左からソニー「SRS-XP500」、Tribit「StormBox Blast」、JBL「PartyBox 110」)

ソニー「SRS-XP500」

まずは、一抱えはあろうかという大きな箱からソニー「SRS-XP500」を取り出す。台形・筒状のボディは明らかに10kgオーバー、成人男性でなければやすやすとは移動できなさそう。ライブな(反射音が気になる)環境ではあるものの、荒っぽい/場所を問わないユースケースも想定し、フローリングの床へ縦置きして試聴することにした。

ソニー「SRS-XP500」

ソニー「SRS-XP500」

横置きもできる

横置きもできる

アップル「iPhone 13 Pro」とのペアリングを済ませ、Vulfpeckの「Disco Ulyssess」を再生。Cory Wongのカッティングギターはキレ味良好、それぞれの弦の音が適度にほぐれて爽やかさがある。しかし、ベースパートが始まると雰囲気は一変、Joe Dartが繰り出すベースは腹にくるほどヘヴィーで、グルーヴ感を否応なく盛り上げる。これが140mm×140mm口径の矩形ウーハー「X-Balanced Speaker Unit」の実力だろうか。

本体上部には「MEGA BASS」というボタンがあり、これを押すことで低音強化モードをトグルできる。いきなり低音強化モードで聴いたから面食らったのかとオフにしてみると、ただ低域をブーストしたわけではないことがわかる。楽曲全体のバランスや中高域のクリアネスを保ちつつ、低域の量感を増しているのだ。アプリ「Sony Music Center」でON/OFFできる「LIVE SOUND」も、音場が自然に拡がる効果を得られて使い勝手がいい。

ライティングもアプリを使えば10パターンの中から選択できるし(消灯も可)、Androidスマートフォンを使えばLDACで接続できる。低域のキレはLDAC接続時のほうが断然鋭いから、音質にこだわるならLDAC対応端末を用意したほうがいいだろう。背面にはφ6.3mmの入力端子が2系統用意され、マイクやギターも接続できるから、各種イベントでも重宝するはずだ。

ライティングは10パターンの中から選択できる

ライティングは10パターンの中から選択できる

背面にはマイクやギターの入力端子も用意されている

背面にはマイクやギターの入力端子も用意されている

Tribit「StormBox Blast」

一般論として、スピーカーユニットは口径が大きいほど低音再生に有利。ワイヤレススピーカーも事情は同じで、それゆえに“パリピ仕様”スピーカーは大口径ウーハーを積むものが多く、それを格納すべく筐体もサイズアップする。しかし、筐体の大型化/重量化は機動性と二律背反な関係にあり、持ち運びに不自由するようになれば用途も狭まってしまう。パーティー会場はいつも大箱とは限らないのだ。

この「StormBox Blast」は、そんなニーズを意識したかのようなワイヤレススピーカーだ。ユニットはφ101mmのウーハー2基とφ31mmのツイーター2基、ボディ両側面にパッシブラジエーターという構成はオーソドックスなものだが、実際に聴くと印象は大きく変わる。

Tribit「StormBox Blast」

Tribit「StormBox Blast」

製造元のTribit(トリビット)について少し説明しておこう。ワイヤレスオーディオを得意とする深セン拠点のこのブランドは、サイズからは想像し難い豊かな低音を出すポータブルスピーカー「StormBox Pro」で一躍名を上げた。高さ18cmの円筒形という限られた空間にフルレンジ2基、さらに3インチ径サブウーハーを詰め込み2.1ch構成にしたスピーカー、といえば凝縮感が伝わるだろうか。その設計の延長線上にある“パリピ仕様”スピーカーが「StormBox Blast」なのだ。

両側面に配されたパッシブラジエーターが低音の量感を増す

両側面に配されたパッシブラジエーターが低音の量感を増す

一聴すれば、サイズを超えた低域の量感がわかる。ソニー「SRS-XP500」でも聴いた「Disco Ulysses」は、ベースのドライブ感がいい。コリッとした芯を残しつつ量感を増した低域、とでも言えばいいだろうか。Tribit独自の低域ブースト技術「XBass」の効果か、バランスよく低域を持ち上げる印象だ。最大90Wという大出力のためか全体に余裕があり、まとまりのよさもあって聴き疲れしない。約5.4kgの片手で持ち運べる重量と、IPX7準拠の防じん防水というタフネスも高得点だ。

気になる点があるとすれば、LEDの明滅パターンだろうか。2種類用意されてはいるものの、いずれも輝度の高さゆえに色気というか夜の(クラブのような/怪しい)雰囲気はもう一声。それでも音のまとまりと機動力の高さは秀逸だから、“パリピ”を気取らず消灯する向きには格好のパーティースピーカー、ということになるだろう。

前面両端に用意された縦長のLEDが明滅する

前面両端に用意された縦長のLEDが明滅する

背面にはAUX INのほか最大1Aの給電に対応するUSB Type-Cポートを装備、スマートフォンなどを充電できる

背面にはAUX INのほか最大1Aの給電に対応するUSB Type-Cポートを装備、スマートフォンなどを充電できる

JBL「PartyBox 110」

名にし負うスピーカーブランド・JBLが送り出す“パリピ仕様”ワイヤレススピーカーが、この「PartyBox 110」だ。ヘブライ大学だったか、名前で人の顔が決まるという研究成果を耳にしたことがあるが、スピーカーに同じことが言えるのだろうか。

JBL「PartyBox 110」

JBL「PartyBox 110」

前2製品と同様にVulfpeckの「Disco Ulyssess」を繰り返し再生してみたが、実際に名前のとおり。ギラギラ光るし腹に来る重低音があるしで、米国ドラマで見るような(夜のプールサイドで繰り広げられるような)パーティー会場の雰囲気を彷彿とさせる。低音の量感は期待どおり、ただヘヴィネスを感じさせるだけでなくキレがあり、瞬発力がある。ギターのカッティングもエッジが鋭く、スピード感が心地いい。

特筆すべきは、そのライティング。各2基搭載されたφ133mmウーハーとφ57mmツイーターの外周にリングライトが配されており、発光面が大きい。それがビートにあわせてうねるように、色調を変えつつ明滅するから、EDMやクラブミュージックによくマッチする。いい意味で"怪しく光る"ところが好印象。しかも明滅パターンは上部のジョグダイヤルで簡単に変更できるから、曲が変わるタイミングでライティングを変えるなど使い勝手も良好だ。

操作パネルはシンプルで使いやすい

操作パネルはシンプルで使いやすい

柔軟に使えるところも気に入った。ウーハーとツイーターはシンメトリーに配置されており、両端にインシュレーターとして使えるゴムがあしらわれているから、左右側面のどちらを天地にしてもいい。もちろんライティングの明滅パターンにも影響しない。些細なことかもしれないが、パーティー会場やアウトドアでの利用を考えるとうれしい仕様だ。

背面にはマイクとギターの入力端子が用意されている

背面にはマイクとギターの入力端子が用意されている

アプリを使えば明滅パターンを細かく調整できる

アプリを使えば明滅パターンを細かく調整できる

まとめ

ともすれば“ギラギラ光るだけ”と思われがちなパーティースピーカー。腰を据えて聴いてみると、低音の量感をいかに稼ぐか、中高域とのバランスをどうとるか、いずれも設計者の音に対するこだわりを感じさせてくれた。低音増強やライティングのON/OFFができるよう考慮されているから、普段使いにも悪くないチョイスとなるはずだ。

海上 忍

海上 忍

IT/AVコラムニスト、AV機器アワード「VGP」審査員。macOSやLinuxなどUNIX系OSに精通し、執筆やアプリ開発で四半世紀以上の経験を持つ。最近はAI/IoT/クラウド方面にも興味津々。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
プレゼント
価格.comマガジン プレゼントマンデー
SPECIAL
ページトップへ戻る