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今どきレアな密閉型スピーカー「KX-0.5P II」はどんな環境でも使いやすそう!

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クリプトンが2ウェイ密閉型スピーカー「KX-0.5P II」を2024年6月下旬に発売する。メーカー希望小売価格はペアで294,800円(税込)。

「KX-0.5P II」の「P」とはピアノフィニッシュであることを表している

「KX-0.5P II」の「P」とはピアノフィニッシュであることを表している

「KX-0.5P II」の主要スペックは以下のとおり。
●2ウェイ2スピーカー密閉型
●使用ユニット:35mmリング型ツイーター、140mmコーン型ウーハー
●クロスオーバー周波数:3.5kHz
●出力音圧レベル:87dB/W/m
●インピーダンス:6Ω
●再生周波数帯域:50Hz〜50kHz
●寸法:194(幅)×319(奥行)×352(高さ)mm
●質量:7.6kg

クリプトンは密閉型にこだわってスピーカーを展開し続ける、今どきかなりレアな日本のメーカーであり、「KX-0.5P II」ももちろん密閉型スピーカーだ。

現在の市場で主流と言えるのはバスレフ型で、これはスピーカーのエンクロージャー(箱)に空気を放出させる穴(=バスレフポート)を設けて、内部の共鳴で増強した低域を放出するという仕組みのこと。クリプトンでは、バスレフ型は低域が出るものの“無制動領域”が生まれる(低い音は出ていても、コントロールできない意図しない音が出てしまっている可能性がある)として密閉型スピーカーを作り続けている。

こうした考え方に共感する人はもちろん、過剰な低音が出ないということは、限られた住環境で使うことにも適している。「KX-0.5P II」はクリプトン製品の中では小型モデルのため、狭めの環境で使うデスクトップシステムなどにもフィットしそうだ。

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従来モデルの内部配線材に合わせてチューニング

それでは、製品の詳細を見ていこう。冒頭のとおり、「KX-0.5P II」はクリプトンの密閉型スピーカーの中で最も小型のモデル。とはいえ、140mmコーン型ウーハーを搭載した、立派な2ウェイスピーカーだ。

35mmのリング型ツイーターを搭載。単純なドーム型では高域再生時に頂点と周辺部が逆位相で駆動してしまい、特性が乱れることがあるという。ユニット中央にその補整のための砲弾型イコライザーが装着されている

35mmのリング型ツイーターを搭載。単純なドーム型では高域再生時に頂点と周辺部が逆位相で駆動してしまい、特性が乱れることがあるという。ユニット中央にその補整のための砲弾型イコライザーが装着されている

ウーハーは140mm口径。上位モデルでは昔ながらのパルプ素材を使うが、こちらは「カーボンポリプロピレン」(CPP)。ポリプロピレンに存在する穴部分にカーボンを入れて剛性を高めたもので、パルプに近い内部損失を得られるという。マグネットについては磁気回路のギャップを広げた「アルニコライク」フェライト磁気回路を採用するなど、主要なポイントを従来モデルから引き継いでいる

ウーハーは140mm口径。上位モデルでは昔ながらのパルプ素材を使うが、こちらは「カーボンポリプロピレン」(CPP)。ポリプロピレンに存在する穴部分にカーボンを入れて剛性を高めたもので、パルプに近い内部損失を得られるという。マグネットについては磁気回路のギャップを広げた「アルニコライク」フェライト磁気回路を採用するなど、主要なポイントを従来モデルから引き継いでいる

下図のように、先行していた「KX-0.5P」の最新版という位置づけ。上位モデルと同じように高級感あるピアノフィニッシュを採用し、ウーハーの素材をカーボンポリプロピレンにするなど、密閉型スピーカーの主要コンセプトを維持しつつ低価格化を図った戦略モデルと言える。

「KX-0.5P」からの主な変更点は、内部配線材のリニューアルとスピーカー端子のバイワイヤリング対応。内部配線材については以前から上位モデルに導入されていたように、クリプトン製の高級スピーカーケーブルをそのまま使うというもの。これにともない、内部吸音材でトーンバランスを整えたのがマイナーチェンジのように思えるが、そこをしっかり調整してくるのがクリプトンならではの手法だ。

スピーカーユニットの背圧の逃げ場がない密閉型だけに、キャビネット内部の吸音がこと重要になる。ウールフェルトだけでなく、「ミスティックホワイト」というポリエチレン系フェルトを使い、チューニングが施されている。配線の交換でトーンバランスが変わったため、このチューニングに苦労したそうだ(写真は「KX-5P」というモデル)

スピーカーユニットの背圧の逃げ場がない密閉型だけに、キャビネット内部の吸音がこと重要になる。ウールフェルトだけでなく、「ミスティックホワイト」というポリエチレン系フェルトを使い、チューニングが施されている。配線の交換でトーンバランスが変わったため、このチューニングに苦労したそうだ(写真は「KX-5P」というモデル)

上のカットモデルをクローズアップすると、ピアノフィニッシュの厚みがよくわかる。一層ずつサンディングしながら平らに塗り重ねるため、非常に手間がかかる。しかし強度や耐久性にすぐれた仕上がりになるのだ

上のカットモデルをクローズアップすると、ピアノフィニッシュの厚みがよくわかる。一層ずつサンディングしながら平らに塗り重ねるため、非常に手間がかかる。しかし強度や耐久性にすぐれた仕上がりになるのだ

背面のスピーカー端子はプラスマイナスの端子が一組のシングルワイヤリングから二組のバイワイヤリング対応へ

背面のスピーカー端子はプラスマイナスの端子が一組のシングルワイヤリングから二組のバイワイヤリング対応へ

バイワイヤリング接続に役立つのが、クリプトンのバイワイヤリング対応スピーカーケーブル「SC-HR2020」だ。アンプ側はプラスマイナスが一組にまとまっているが、スピーカー側は二組に分かれている。これをウーハー、ツイーターにそれぞれつなぐのがバイワイヤリング。ウーハーからツイーターに流れてしまう逆起電流の悪影響を低減できるとされる

バイワイヤリング接続に役立つのが、クリプトンのバイワイヤリング対応スピーカーケーブル「SC-HR2020」だ。アンプ側はプラスマイナスが一組にまとまっているが、スピーカー側は二組に分かれている。これをウーハー、ツイーターにそれぞれつなぐのがバイワイヤリング。ウーハーからツイーターに流れてしまう逆起電流の悪影響を低減できるとされる

クリプトンでは、バイワイヤリングのための4芯ケーブルの切り売りもしている。長さは任意にオーダー可能だ

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アンサンブルの響きがより自然に広がる「KX-0.5P II」

「KX-0.5P II」の横にあるのは、別記事で紹介する予定のデスクトップ向けスピーカー「KS-55HG」

「KX-0.5P II」の横にあるのは、別記事で紹介する予定のデスクトップ向けスピーカー「KS-55HG」

短時間ではあるが、クリプトンラボで「KX-0.5P II」と「KX-0.5P」を聴き比べることができので、そのインプレッションをお伝えしよう。条件を揃えるためにどちらもシングルワイヤリングで同じ楽曲を再生する。

まずは従来モデル「KX-0.5P」で、クリプトンラボ定番のダイアナ・クラール「California Dreamin’」がかかると、“いつもの”過不足のないよい音に感心させられることしきり。沈み込むような低音は出ないことは当然として、人の声やボーカルを中心に、“聴かせどころ”をしっかり解像してくれている。

続いて「KX-0.5P II」で同曲がかかると、確かに解像感が増したような、よりクリアな音像だ。そうは言ってもキリキリとエッジの立ったような響きではなく、あくまで自然さを増したと言えそうだ。

このままアンプとの接続をバイワイヤリングとすると、より音像が明瞭になる効果を感じられた。ツイーターが担当する高域がすっきりと響くことは想像できたことだが、ウーハーが担当しているはずの低域も明瞭度を増して、さらに深い低音が再現されているように感じられるから不思議だ。「KX-0.5P」も「KX-0.5P II」も気持ちよく音楽を聴けるスピーカーではあるが、よりワイドレンジに、現代の音楽への追従性を高めたのが「KX-0.5P II」なのかもしれないと感じる。

まとめ:“ちょっといい”スピーカー購入の候補に入れてみてほしい!

「KX-0.5P II」と右はデスクトップ向けスピーカー「KS-55HG」。「KS-55HG」の詳細は別記事で紹介する予定

「KX-0.5P II」と右はデスクトップ向けスピーカー「KS-55HG」。「KS-55HG」の詳細は別記事で紹介する予定

最初に触れたように、現在密閉型スピーカーを探すとなると、選択肢はかなり限られている。英ATCなどが代表例かもしれないが、現在は家庭用製品の輸入が途切れた状態だ(業務用スピーカーは継続しているが)。

自身でもデスクトップスピーカーとして、小さめの密閉型スピーカーはどうか……とずっと検討しているということもあり、使いやすくクセのない「KX-0.5P II」の魅力はすばらしいなと感じた次第だ。デスクトップ以外でも、あまり環境に左右されず使いやすそうなスピーカーなので、特定の住環境にハマらない……ということも少ないはず。“ちょっといい”スピーカーを検討するならば、一度候補に入れてみていただきたいと思う。

さて、取材時には発表済み製品の「KS-55HG」も用意されていた。発売が遅れていたが、5月下旬に発売されるとのこと。クリプトンと言えば、デスクトップスピーカーを“ガチ”で作っているメーカーとしてもマニアの間で人気だ。こちらの製品も改めて別記事で紹介したい。

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2024/04/29 09:00
柿沼良輔(編集部)
Writer / Editor
柿沼良輔(編集部)
AV専門誌「HiVi」の編集長を経て、カカクコムに入社。近年のAVで重要なのは高度な映像と音によるイマーシブ感(没入感)だと考えて、「4.1.6」スピーカーの自宅サラウンドシステムで日々音楽と映画に没頭している。フロントスピーカーだけはマルチアンプ派。
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