去る2024年6月22、23日に「OTOTEN2024」が開催された。東京国際フォーラムで毎年催される「国内最大級のオーディオとホームシアターの祭典」だ。
「国内最大級」を標榜するだけあって、国内外のAVメーカーが多数揃い、未発売品を含めて最新製品を展示した。各社が力を入れている製品をプッシュする場でもあるため、価格.comマガジンでも取り上げた注目すべきAV製品も多数。それらを改めて振り返るとともに、これから発売される製品もピックアップしていく。
小型プリメインアンプにARC対応HDMI端子を搭載した「WiiM Amp」
まず紹介するのは、WiiM(ウィーム)のネットワークオーディオプレーヤー兼プリメインアンプ「WiiM Amp」。ARCに対応したHDMI端子を搭載した今風のモデルで、テレビとの相性も抜群だ。手ごろな価格とコンパクトなボディが魅力。これと好きなスピーカー、そして最新テレビがあれば、音楽や映画を自在に楽しめる。
WiiMからは新ネットワークオーディオプレーヤー(アンプは搭載しないプレーヤー)として「WiiM Ultra」が展示された。ハイレゾを含む音楽ストリーミングが可能な純粋なプレーヤーで、価格は5〜6万円前後が見込まれる。発売時期は未定だが、日本にも導入される予定とのことだ
「WiiM Ultra」は画面がタッチパネルになっていて、ここから基本操作が可能。本体右側にはヘッドホン出力も備える
プレーヤーと言いつつ、背面にはアナログ/デジタル音声の入出力端子を備える。フォノ入力、サブウーハー出力、そしてARC対応のHDMI端子など装備はとても充実している。内部的には、D/Aコンバーター素子にESSテクノロジー製「ES9038Q2M」を採用したことがポイントのようだ
中央がShanlingのCDプレーヤー「EC Smart」。給電はUSB端子で行う形だ
こちらはShanling(シャンリン)のCDプレーヤー「EC Smart」。ディスクが露出していて、そのままくるくると回転するさまは、アナログレコードプレーヤー「サウンドバーガー(AT-SB727)」を彷彿させるスタイルだ。写真のように縦置きもできるほか、寝かせて使うこともできる。発売時期は未定だが、価格は3万円前後を想定しているという。なお、展示では左右に置かれたELACのアクティブスピーカー「Debut ConneX DCB41 DS」へ音声信号をBluetoothで伝送していた。
本体中央のバー状のパーツが回転するようにズレる仕組み。このバーに再生や停止のキーも集約されている。Bluetoothでイヤホン・ヘッドホンやスピーカーに直接音声信号を送ることもできるが、アナログ音声出力端子として3.5mmステレオミニのほか、ヘッドホン端子も搭載されていた
Shanlingでは、発表済みのSACDプレーヤー「SCD1.3」も展示。幅280mmという現代のSACDプレーヤーとしては珍しいコンパクトボディ。アナログ音声出力はRCA、XLRを装備。デジタル音声出力はピンアサインを変更可能なI2S(アイスクエアエス)出力を持っている。ネットワーク機能やUSB DAC機能も備える多機能機だ。ちなみにディスクドライブをどこから調達しているのか尋ねたところ、OEM生産で使っていたデッドストックを利用しているので、現在どこかから購入しているものではないとのこと。とても興味深い製品だ
Edifierの文字どおり光るアクティブスピーカー「ED-QR65」
高コストパフォーマンスなデスクトップ向けアクティブ(アンプ内蔵)スピーカーを多数展開しているEdifier(エディファイア)は、ライトアップできる「ED-QR65」などを展示していた。“イロモノ”めいた機能を持った機種だが、高域を担当するツイーター、低域を担当するウーハー、それぞれを個別のアンプで駆動するアクティブバイアンプ方式を採用する本格派だ。
新しいアクティブスピーカー「MF60」(左)も展示されていた。幅が100mmのコンパクトサイズ。右が発売中の「ED-MR4」でこちらの幅は140mm(突起部を含まない「ED-QR65」の幅は130mm)。「MF60」は小型ながら「ED-QR65」同様にアクティブバイアンプ方式で駆動されることが特徴。入力端子としてはアナログ(3.5mmステレオミニ)のほか、USB Type-Cも装備。96kHz/24bitのハイレゾ信号に対応する。また、BluetoothコーデックはLDACにも対応するという。発売時期や価格は未定だ
KEFは数百万円もするような高級スピーカーもラインアップする伝統的スピーカーメーカー。昨今はアンプを内蔵したアクティブスピーカーの展開に積極的だ。なかでも写真の「LSX II LT」は比較的安価に手に入る製品で、ARC対応のHDMI端子を持った利便性の高いモデル。テレビと連携してサウンドバーの代わりにできるほか、これ1台でSpotifyの再生なども可能だ
パナソニックのオーディオブランドであるテクニクスは、広めのブースでスピーカーやアナログレコードプレーヤーを展示。「SB-G90M2」(左)やフラッグシップモデルの「SB-R1」(右)などでデモンストレーションを行っていた。テクニクスと言えばアナログレコードプレーヤー、と思いがちだが、スピーカーにも注目していただきたい
本格的なアナログレコードプレーヤーの定番機種と言える「SL-1500C」には、写真のホワイトモデルが加わったばかり。シルバー、ブラック、ホワイトと3色から選べるアナログレコードプレーヤーはなかなか珍しい。一般感覚からすれば高価なプレーヤーだが、せっかくレコードを再生しようとするならば、「SL-1500C」を一度試していただきたい
カラーバリエーションと言えば、ターンテーブル「SL-1200MK7」をベースにしたランボルギーニコラボレーションモデル「SL-1200M7B」も発表されたばかり。2024年7月12日発売で、メーカー希望小売価格は176,000円(税込)
「SL-1200M7B」はオレンジ、イエロー、グリーンの3色が展開される
日本のスピーカーメーカークリプトンは「KX-0.5P II」(右)などを展示。昨今では珍しい密閉型スピーカーの魅力をアピールした。密閉型ではないものの、ブースにはデスクトップ向けのアクティブスピーカー「KS-55HG」も展示。こちらも来場者の興味を引いていた
AV製品の祭典とあって、プロジェクターも展示されていた。ビクターの「DLA-V900R」(左)と「DLA-V800R」は、ハイエンドプロジェクターの動きが乏しいなかでも注目度の高い製品だろう。どちらも4K解像度の液晶パネルを使い、「画素ずらし」技術を用いて画面上で8K解像度を得るという高級モデル。「DLA-V800R」は価格.comの「プロジェクタ」カテゴリーの人気売れ筋ランキングで6位(2024年6月28日時点)。現実的に手の届きやすい弟モデルに人気が集まっている
ブースには懐かしの2007年モデル「DLA-HD1」が参考展示されていた
JBLは言わずと知れたスピーカーメーカーだが、エレクトロニクス関連の製品も豊富だ。“リアルサラウンド”が可能なサウンドバー「BAR1000」などはすでに人気だが、写真のアナログレコードプレーヤー「TT350 Classic」にも注目したい。1960年代の製品にインスパイアされたレトロな外観が特徴の「Classic」シリーズのひとつ。プリメインアンプやCDプレーヤーもラインアップされる
KEFがアクティブスピーカーに積極的であることを前述したが、それはJBLも同じ。伝統の「スタジオモニター」にアンプ内蔵タイプを投入して人気を博している。写真の「4305P」は133mmウーハー搭載の比較的小型なモデル。USB Type-Bによるデジタル音声入力やBluetooth、ネットワークオーディオなど、現代に求められる機能が詰め込まれている。人気に応えてか、2024年2月には左のホワイトモデルが追加された
こうしたイベントは普段は触れる機会の少ないAV製品の実機に触れる数少ないチャンス。2025年にも「OTOTEN」は開催されるはずだし、2024年7月26日から28日には同じ東京国際フォーラムにて「2024東京インターナショナルオーディオショウ」(※オフィシャルサイトはこちら)が控えている。こちらはオーディオに特化した高級製品が中心だが、触れる機会の少ない実機に触れるチャンス。気になる方はぜひチェックを。