中国発の人気スマホ・家電メーカーとして知られるXiaomi(シャオミ)が、完全ワイヤレスイヤホンやBluetoothスピーカー市場への参入を本格化している。
直近では、2024年7月から8月にかけて完全ワイヤレスイヤホンの「Redmi Buds 6 Lite」(直販価格税込2,480円)、「Redmi Buds 6 Active」(同1,980円)、「Redmi Buds 6 Play」(同1,380円)、さらにBluetoothスピーカーの「サウンドポケット」(同1,990円)を投入している。
Xiaomiと言えば、国内で販売している家電製品が同業他社を引き離す激安プライスで話題だ。完全ワイヤレスイヤホンも日本では2021年から販売しているが、今回紹介する2024年最新モデル群は最も高価な「Redmi Buds 6 Lite」ですら2,480円(税込)と、国内メーカーも真っ青の激安っぷり。
Xiaomiの激安完全ワイヤレスイヤホンと激安Bluetoothスピーカーの実機を用意
Xiaomi製品について知らない訳ではないが、ワイヤレス対応製品でバッテリーも入っている完全ワイヤレスイヤホンやBluetoothスピーカーがこの価格で買えるとなると「ここまで安いと音質、品質面で大丈夫!?」と少々心配になってしまう。そこで今回は3,000円以下で買えるXiaomiの激安オーディオ製品を一堂に集め、その実力のほどをチェックしてみた。
まずは完全ワイヤレスイヤホンからレビューを開始。トップバッターは、「Redmi Buds 6 Lite」。2024年8月発売の製品で、直販価格税込2,480円の製品ながらアクティブノイズキャンセリングまで搭載したモデルとなっている。主要スペックは下記のとおりだ。
Xiaomi「Redmi Buds 6 Lite」のスペック
ドライバーユニット:φ12.4mmダイナミック型ドライバー
Bluetoothバージョン:Ver.5.3
対応コーデック:SBC、AAC
バッテリー性能:イヤホン単体で7時間、充電ケース併用で38時間
充電端子:USB-C
防水性能:IP54(イヤホン本体のみ)
重量:イヤホン単体4.2g
そのほかの機能:アクティブノイズキャンセリング、Google Fast Pair、4種類のプリセットEQ、カスタムEQ
カラーバリエーション:ブラック、ホワイト、ブルー
オーソドックスなスティック形状を採用した「Redmi Buds 6 Lite」
「Redmi Buds 6 Lite」のイヤホン本体は、アンテナ部分が伸びたオーソドックスなスティック形状を採用。イヤホン本体の外装は光沢感のある仕上がりで、特別チープということもない。ペアリングもスムーズだ。ちなみに、今回取り上げた完全ワイヤレスイヤホン3モデルは、「Xiaomi Earbuds」というアプリにも対応しており、イヤホン操作のカスタマイズ、EQ設定も可能だ。
「Xiaomi Earbuds」アプリにも対応。「Redmi Buds 6 Lite」は、アクティブノイズキャンセリングのコントロールもアプリから操作できる
装着感に関しては個人差があることは重々承知だが、「Redmi Buds 6 Lite」は耳に入る部分の膨らみが若干大きく、僕の耳へのフィット感は今ひとつだった点は報告しておこう。
装着時の耳からのはみ出しもやや大きめのタイプ
まずは「Redmi Buds 6 Lite」のアクティブノイズキャンセリングから試してみた。アクティブノイズキャンセリングオン/外音取り込み/アクティブノイズキャンセリングオフの切り替えはイヤホンの長押し、もしくは「Xiaomi Earbuds」アプリから操作可能。実際の効果については……残念ながら騒音低減の効果は弱く、アクティブノイズキャンセリングをオンにしても屋内のエアコンの音が消えない程度だった。アクティブノイズキャンセリングのオン/オフを切り替えてみると一応効いていることはわかるのだが、屋外で使用することを考えると、周囲の騒音レベルが大きい環境だとあまり役立ちそうにない。アクティブノイズキャンセリングはあくまでオマケ程度と考えておくべきだろう。
続いて音質をチェックしてみた。「Redmi Buds 6 Lite」のサウンドは、パワーバランスが若干低域に寄っており、重低音はボリューム感だけでなく、タイトでディテールもよい。中高域はサウンドを空間に展開するタイプで若干ヌケが悪く、J-POPの歌声はハキハキしていて聴きやすいが、余韻まで聴き込むと若干音のアラは感じる。なお、本機はアクティブノイズキャンセリングのオン/オフで音に結構違いが出るタイプで、オンにすると高域のボリュームが落ちるようだ。
税込2,480円という価格に対して音質は十分なモデルではあるが、サウンドには若干クセがある。タイミングを変えて複数回聴き込んでみたが、フィット具合、アクティブノイズキャンセリングの効き具合で音が変わることが多く、評価に悩むモデルだった。本機は「Xiaomi Earbuds」アプリで標準/高音強化/低音強化/音声強化の4種類のプリセットEQに加え、10バンドのカスタムEQも利用できるので、音を自分好みに徹底的に追い込む前提で使ってみるのがよさそうだ。
Xiaomiの完全ワイヤレスイヤホンレビュー、2番手は「Redmi Buds 6 Active」。2024年7月発売のモデルで、イヤーピースのないインナーイヤー型(アップル「AirPods 4」と同じ開放型)の完全ワイヤレスイヤホンだ。直販価格税込1,980円という激安価格ながら、14.2mmの大口径ダイナミック型ドライバーを搭載する。そのほかのスペックは以下のとおり。
Xiaomi「Redmi Buds 6 Active」のスペック
ドライバーユニット:φ14.2mmダイナミック型ドライバー
Bluetoothバージョン:Ver.5.4
対応コーデック:SBC
バッテリー性能:イヤホン単体で6時間、充電ケース併用で30時間
充電端子:USB-C
防水性能:IPX4(イヤホン本体のみ)
重量:イヤホン単体4g
そのほかの機能: 90ms低遅延モード、Google Fast Pair
カラーバリエーション:ブラック、ホワイト、ブルー、ピンク
イヤーチップのないセミインイヤー型(開放型)
「Redmi Buds 6 Active」を手にしてまず気づくのが、そのコンパクトさ。充電ケース含めて指先でつまめるほどのコンパクトサイズにまとまっている。「Xiaomi Earbuds」アプリ経由でのイヤホン本体操作のカスタマイズにも対応。デフォルト設定では再生/停止/曲送りの最低限の内容だが、アプリ経由でカスタマイズすれば、音量操作などを左右イヤホンの1〜3回タップと長押しに割り当てが可能となっている。インイヤー型ということで軽めの装着感で、ラフに装着できる点も◎。
耳元からアンテナが伸びるスティック型のイヤホン本体
「Redmi Buds 6 Active」の音質は、インイヤー型であることを考慮すればそれなりに聴けるサウンドだ。重低音をボリューム感たっぷりに響かせるし、J-POPの歌声もシャープに立てて再現してくれる。ただ、音に対する割り切りもかなりはっきりしていて、中域が弱く、声の厚みや歌声の質感の再現性がやや乏しく、楽器の音もザラついて聴こえる。昔ながらのインナーイヤー型に通じるチープさを感じるところ。とはいえ、音がやたら響いたり濁って聴こえたりするような致命的な音の悪さではなく、それも含めても「1,980円なら、十分よい」と思える音質ではある。
なお、本機も「Xiaomi Earbuds」アプリ経由で標準/高音の強調/低音の強調/声の強調/音量ブーストの計5種類のプリセットEQを利用できる。高音の強調は音質の弱点がより目立つので、標準か低音の強調の設定で使うとよさそうだ。
Xiaomiの完全ワイヤレスイヤホンの中でも、税込1,380円という驚くべき価格設定のモデルが「Redmi Buds 6 Play」。完全ワイヤレスイヤホンがこの価格で手に入るというのはまさに驚異的。2024年8月発売のモデルで、主要スペックは以下のとおり。
Xiaomi「Redmi Buds 6 Play」のスペック
ドライバーユニット:φ10mmダイナミック型ドライバー
Bluetoothバージョン:Ver.5.4
対応コーデック:SBC
バッテリー性能:イヤホン単体で7.5時間、充電ケース併用で36時間
充電端子:USB-C
防水性能:IPX4(イヤホン本体のみ)
重量:イヤホン単体3.6g
そのほかの機能:Google Fast Pair、5種類のプリセットEQ
カラーバリエーション:ブラック、ホワイト、ブルー、ピンク
スティック状のアンテナがないコンパクトなイヤホン本体
「Redmi Buds 6 Play」のイヤホン本体は耳への収まりのよい豆型で、非常にコンパクト。イヤーピースもS/M/Lと3サイズが付属する。実際に装着してみると、本体のコンパクトさも寄与し、僕の耳にはしっかりと収まり、フィット感も良好だった。イヤホンはタッチ操作対応で、「Xiaomi Earbuds」アプリによるタッチ操作のカスタマイズが可能というところはほかの2機種と共通だ。ちなみに、充電ケースのサイズは今回レビューした完全ワイヤレスイヤホン3機種の中で最も大きく、重量もケースだけで32.8gあるが、持ち運びに支障が出るほどのサイズではない。充電ポートはもちろん最新のUSB-C仕様だ。
装着時の耳への収まりはとても良好
「Redmi Buds 6 Play」の音質は、ダイナミックで臨場感のある高域重視のサウンドだ。シンバルなどのアタックのよさだけでなく、女性ボーカルも鮮明。それでいて高域のキツさがなく、音空間も広がるため、音量を上げて聴くと没入感が心地よい。なお、デフォルト状態では低域が相対的に弱めだが、物足りなければ「Xiaomi Earbuds」アプリのプリセットEQから低音強化に設定するとよいだろう。
「Redmi Buds 6 Play」は直販価格税込1,380円という価格を踏まえると、音質もコスパも十分満足できるレベルに仕上がっている。アプリ対応なども含めると、5,000円以上のプライスタグが付いていても納得する完成度だ。今回紹介した完全ワイヤレスイヤホン3機種の中でも音質面で選ぶなら、トップは「Redmi Buds 6 Play」になりそうだ。
最後に、Bluetoothスピーカー「サウンドポケット」をチェックしていこう。Bluetoothスピーカーは、2024年8月発売の本製品で日本市場初参入。「サウンドアウトドア」と「サウンドポケット」の2機種が同時投入されたが、今回は直販価格税込1,990円の「サウンドポケット」をピックアップして紹介する。スペックは以下のとおり。
Xiaomi「サウンドポケット」のスペック
定格出力電力:5W
Bluetoothバージョン:Ver.5.4
対応コーデック:SBC
バッテリー性能:10時間
充電端子:USB-C
防水性能:IP67
本体サイズ:90.8(幅)×42.6(奥行)×74.4(高さ)mm
重量:200g
そのほかの機能:ステレオペアリング
カラーバリエーション:ブラック
外見はオシャレでアウトドア志向
「Xiaomi サウンドポケット」のデザインは、正面に“xiaomi”ロゴを配置、フックなどに引っ掛けて使うのに便利なストラップを設けた、まさによくある小型のBluetoothスピーカーだ。表面はメッシュ仕上げで、本体上部の押しやすい大型ボタン含め、外見としてはアウトドア志向でまとめられている。充電端子はUSB-Cで防水カバー付き。製品情報では内蔵ウーハーのみ記載があるが、本体横にパッシブラジエーターがあるので、内部のスピーカーユニットはフルレンジ構成だと思われる。
本体はIP67の防塵・防水仕様。充電用のUSB-Cは防水カバー付き
製品情報に記載はなかったが、本体側面にパッシブラジエーターを搭載
「Xiaomi サウンドポケット」の音をさっそく聴いてみたが、コンパクトサイズながら元気のよいサウンドを鳴らしてくれる。低域のリズムの刻みもよく再現できているし、中高域のクリアさや歌声の表現はナチュラル系。このサイズのBluetoothスピーカーで1,990円という価格を考えると、音質は十分満足できるレベルだ。本体デザインや取り回しのよさ、USB-C充電対応など、トータルで見たコスパのよさは間違いない。なお、「Xiaomi サウンドポケット」は2台用意することでステレオペアリングにも対応できる。2台用意しても4,000円以下なので、気になる人はぜひ試してほしい。