レビュー

AKGの新しいカナル型イヤホン「N20」レビュー! スマホ向けモデルも用意

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AKGは2015年8月4日、カナル型イヤホンの新モデル「N20」を発売した。新たに設けられたコンシューマー向けの上位シリーズ「Nシリーズ」に属したモデルで、デザイン性や音質を重視しつつ、スマートフォン向けのマイクやコントローラーを備えたモデルを用意するなど、機能性についても配慮されたモデルだ。試聴する機会を得たので、特徴をレビューしていこう。

AKG「N20」

AKG「N20」

AKGコンシューマー向けヘッドホン・イヤホンのハイエンドモデル「Nシリーズ」

今回登場したN20は、新シリーズ「Nシリーズ」にラインアップされる製品だ。Nシリーズは、プロミュージシャンやエンジニア、オーディオファイルなどをターゲットにした「Kシリーズ」の下に位置づけられる、AKGコンシューマー向けイヤホン/ヘッドホンの上位モデル。このNシリーズは、スマートフォンでも使えるような機能性、通勤時や通学時でも気軽に楽しめるデザイン性、Kシリーズで培ってきた音響技術を投入した音色など、高音質・高品質を気軽に楽しめるような製品とされている。

同社は、2014年にコンシューマー向けのスタンダードシリーズ「Yシリーズ」を用意したが、今回登場したNシリーズは、AKGヘッドホン・イヤホンの入門向けモデルYシリーズと、プロレベルのクオリティーを備えたKシリーズの間を補う存在のシリーズとなっているのだ。

新開発の7mm径ダイナミックドライバーを採用

そんなYシリーズのイヤホン第1弾となるN20は、ダイナミック型ユニットを採用したカナル型イヤホンだ。国内では2015年に入ってYシリーズからカナル型イヤホンの新製品が発売されているが、1万円を超える高級イヤホンが登場するのは実は久しぶりのこと。これまでAKGイヤホンの上位モデルを選ぶなら、モニター用イヤホンの「IP2」(10,000円前後、国内正規品の価格)や、BAとダイナミック型を組み合わせたリファレンスイヤホン「K3003」(140,000円前後、国内正規品の価格)など限られた選択肢しかなかったが、そこに新しく加わったのがN20だ。価格.com最安価格(2015年8月7日時点)の価格は16,000円程で、価格的には、当時AKGイヤホンの最高峰として評判になった「K324P」に近い存在のモデルになりそうだ。

製品パッケージ

製品パッケージ

N20のスペックでは、新開発の7mm径の高性能ダイナミックドライバーを搭載したのが特徴。それを収めるのは、アルミニウムのユニボディを採用した、剛性の高いメタルハウジングで、耐久性を高めるとともに不要な振動や共振を抑えている。加えてハウジングには、振動板の振幅時に発生する背圧を逃すための空気の流れを調整するポート「ベンチレーション・システム」を搭載することにより、「ワイドレンジで広々とした空間表現」「豊かで厚みのある低域」「クリアでのびやかな中高域」を実現しているという。このほか、ハウジングの表面にはアルマイト処理を施しており、見た目や質感にもこだわった。

ラインアップとしては、N20のノーマルモデルと、Android/iOS両対応のマイク付きコントローラーを搭載した「N20U」をラインアップする。ちなみに、N20のカラーバリエーションは、ブラックとゴールドの2色。N20Uにはゴールドがなく、かわりにシルバーが用意されている。N20とN20Uで用意されているボディカラーが違うので、購入時には注意してほしい。

ハウジング内側にはシリーズ名が刻印されている

ハウジング内側にはシリーズ名が刻印されている

後部には背圧を逃すポートが用意されている

後部には背圧を逃すポートが用意されている

AKGと記されている外側の様子。プラスチックのような樹脂でフタがされたような形になっている

AKGと記されている外側の様子。プラスチックのような樹脂でフタがされたような形になっている

ノズル内には、目の粗い金属製のメッシュパネルが確認できる

ノズル内には、目の粗い金属製のメッシュパネルが確認できる

装着感&ケーブル周りをチェック

次は、実際の着け心地やケーブルを確認していこう。フィット感については、アルミの軽量さや丸みを帯びた小型ハウジングによって、耳にイヤホン(ハウジング)を装着しているという感じがそれほどしない。とくに、外耳道の入り口(耳の穴)付近の狭い方であれば、ハウジングが大きいと圧迫感があったりするが、そういう感じがそんなにしないのだ(筆者は、カスタムIEMを作るときに必要な耳型の採取時に、その周辺がちょっと狭いですね、と言われたことがある)。また、ノズル(音筒)部が、直線状ではなく斜めに伸びている「アングルド・イヤチップ」構造を採用し、耳の奥まで届くようにしたのも、良好な装着感につながっているポイントだ。イヤーキャップはシリコンタイプで、サイズはS/M/Lの3種類。

ケーブルには、Yコネクタから下部のケーブルには柔軟性が高く丈夫な布製被覆を、上部には、衣類などの擦れにより発生する衣擦れ音を抑えるラバー被覆にし、ケーブル上下で異なる被覆(シース)を用いる「ハイブリッド・シース」を採用。耐久性とノイズを抑えるような工夫がされている。

ノズル(音筒)部が、直線状ではなく斜めに伸びている「アングルド・イヤチップ」構造

ノズル(音筒)部が、直線状ではなく斜めに伸びている「アングルド・イヤチップ」構造

ケーブルを守る2種類の被覆(シース)。Y分岐を境に、イヤホン側がラバー、コネクタ側が布製になっている

ケーブルを守る2種類の被覆(シース)。Y分岐を境に、イヤホン側がラバー、コネクタ側が布製になっている

N20は3.5mmステレオミニジャックだが、N20は4極タイプになっている

N20は3.5mmステレオミニジャックだが、N20は4極タイプになっている

イヤーキャップはシリコン製で、サイズはS/M/Lの3種類。標準で装着されているのはMサイズ

イヤーキャップはシリコン製で、サイズはS/M/Lの3種類。標準で装着されているのはMサイズ

クリーニングツール(奥)とフライトアダプタ(手前)

クリーニングツール(奥)とフライトアダプタ(手前)

キャリングケース(ハードタイプ)

キャリングケース(ハードタイプ)

装着例

装着例

音質インプレッション

一体感の高いサウンドが楽しめるイヤホンという印象。音のひとつひとつの明瞭さよりも、全体のクリアさとまとまりがあり、長時間聴いても聴き疲れしにくいサウンドに仕上がっている。音の傾向としては低音寄りだが、その音は単調なものではなく、張りがあってレスポンスもいい、たくましさのある低音だ。いっぽう、中低音から高音までの上の帯域の音もほどよく出ている。特に高音はBAドライバーのような抜けはないが、輪郭のはっきりとした音を描き出してくれる。ボーカルは1歩引いた感じでフォーカスされるものの、この価格帯のダイナミックドライバーを搭載したカナル型イヤホンの中では優秀な定位感だ。空間は左右に広がる印象がある。

たとえば、前後の奥行き感と左右の広がりがあるリズミカルで雄大な楽曲「大江戸捜査網・テーマ(インスト)」(テレビの時代劇のテーマ曲や挿入歌を集めたコンピレーションアルバム「ちょんまげ天国〜TV時代劇音楽集〜」から)を聴いた限りでは、前後の奥行き感が多少狭くなるものの、左右の広さは感じられた。雄大さという点では少しスケールは落ちてしまうが、ホルンの軽快な旋律や響きなどは変わらず楽しませてくれる。

また、定位感のよい楽曲として、女性ボーカルのSuaraが歌う「舞い落ちる雪のように」を聴いてみると、一歩引いた距離感でボーカルが聴こえくるが、輪郭がはっきりとした高音とエッジの効いた低音によって、ボーカルが浮き出てくるような聴きやすさがある。

まとめ

N20は、AKGとしては久しぶりとなる、1万円台の価格の高級イヤホンだ。初めて試聴したとき、音自体は低音寄りでYシリーズに近い印象を受けたが、聴き込んでみるとクリアでまとまりのある音になっており、プロユースのKシリーズの音色をところどころに感じさせる仕上がりになっている。音のひとつひとつの明瞭さはKシリーズに比較すると劣るが、その分、長時間、音楽を楽しめるようなリスニングに適したチューニングが行われたモデルとなっている。

また、N20Uでは、スマートフォン向けのマイク付きコントローラーを搭載するなど、音にこだわるだけでなく、利便性に配慮した点にも注目だ。たとえば、ハイレゾ対応スマートフォンと組み合わせれば、いい音で音楽を楽しめるだけでなく、ヘッドセットとして使用できるなど実用面でのメリットもある。オーディオプレーヤーと組み合わせる方はN20を、ハイレゾ対応をうたうスマートフォンなどと組み合わせる方はN20Uを、と言った感じで選ぶこともできるのだ。

AKGファンなら久しぶりの1万円台の高級イヤホンということでも要注目だが、「デザイン」「機能性」「音質」のバランスを重視する方にもなかなか気になるモデルと言えよう。

銭袋秀明(編集部)
Writer
銭袋秀明(編集部)
編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!
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