Zorlooのカナル型イヤホン「Z:ERO」は、microUSB接続のデジタルイヤホン。コントローラー部に小型のDAC&ヘッドホンアンプを内蔵し、スマートフォンのUSBポートに接続することで、お手軽に高音質で音楽を聴けるのが特徴だ。今回はそんなZ:EROの新モデル「Z:EROII」をレビューしていきたい。
Z:EROII
Z:EROのセカンドモデルとなるZ:EROIIは、従来モデルとほぼ同じスペックで、ファームウェアをチューニングしている。これにより、Android端末の対応機種が拡充し、新たにソニーモバイルコミュニケーションズ製の「Xperia Z1/Z2/Z3(+)/Z4シリーズ」をサポート。これまではXperiaシリーズでも非公式ながら動作していた端末はあったが、安定性を高め、正式にサポートすることとなった。
接続できる端末は、このほかにも、Android OSであれば、サムスン製スマートフォンの「Galaxyシリーズ」や「Noteシリーズ」のほか、HTC、LGなどもラインアップされている。また、AppleのiOSデバイスやパソコン(Windows 7/8.1、Mac OS X、Ubuntu14.04 LTS)との接続も可能だ。接続するデバイスによって、変換コネクターが必要になるものの、基本的には差し込むだけで使用できるようになっている。
店頭想定売価は6,980円で、イヤホンとしてはけっして安い部類ではないが、「デジタル接続」「DAC」「ヘッドホンアンプ」付きで、この価格ならお買い得感が高い。なお、そのほかの大きな変更点としては、インターフェイスのマイクロチップの容量が上がっているとのことだ。
Z:EROIIのハウジング、コントロールボックス、microUSB端子
ハウジングの作りやルックスは従来モデルと変わっていない。ボディはアルミニウムで、胴体の半分、ノズル側と後方側でデザインを変えている。小型なボディだが、手に持つとずっしりとした重みが特徴的だ。
DACとヘッドホンアンプはともにWolfson製。ケーブルの分岐手前に備え付けられた、小型のコントロールボックスに収められている。3つのボタンが用意されており、ボリュームのアップ/ダウン、再生/一時停止、曲送り/戻しが操作できる。また、ケーブルもユニーク。半透明なシースに、赤のスパイラル模様が入っており、見栄えするデザインだ。
ドライバーは高感度フルレンジネオジウムドライバー。このほかの基本的な仕様は、インピーダンスが32Ω(1KHz)、周波数特性が20Hz〜20KHz、THDが0.02%(3.3V、1KHz、0dBFS)、S/N比が96dB(3.3V電源時)、システム電流が10mA~70mA(最大)、入力電源が1.8V〜3.3V±10%、イヤホン出力が27mW(最大)、出力ゲインレベルが3dB/ステップ(16ステップ)。カラーはゴールドとレッドの2色。専用ポーチが付属する。イヤーチップはS/M/Lの3種類。
ノズル側と後方側でデザインをわけている。ノズルの下側には、小さい穴があけられている
ノズル部はスクリーンが埋め込まれている。ハウジング後方には穴が用意されている
コントロールボックス。左右のボタンが音量調整、中央のボタンが再生/一時停止、曲送り(ダブルクリック)/曲戻し(3回連続押し)
付属のmicroUSB-USB変換アダプター
カラーは、ゴールドとレッドの2色
デジタル接続とパワーアンプの駆動力のよさが感じられるクリアな音質だ。それでいてほどよく強調された低音の量感と、少しハードに仕上げられた高音。冷静すぎてつまらない感じもしなければ、何かが出すぎる派手な音色でもなく、よく考えられたバランスとなっている。試しに、PCでAmazonの「Prime music」から、sum41のnootsを聴いてみると、しっかりとしたボトムの表現がよくでている。男性ボーカルの力強さがやや物足りなく感じるかもしれないが、全体的な曲の雰囲気は、迫力やキレがよく出たイイ感じの音色になっている。
個人的に好評価だったのが、ビデオオンデマンドサービスとの相性だ。とくに洋画を視聴したときのオーケストレーションがなかなかで、アクション映画の爆発音なども、わりと迫力ある音で再生される。オーディオの再生だけでなく、映像の観賞用途としても役立つモデルだ。
Z:EROIIは、デジタル接続ながらスマホからPCまで幅広く使えるイヤホンだ。また、DAC+ヘッドホンアンプ付きで、実売価格7,000円とコストパフォーマンスにもすぐれており、音もデジタルならではのクリアな音質で楽しめる。さらに、差し込むだけで使えるというアナログイヤホンと同じ使い勝手も大きな魅力だ。
ただ、気になる点もある。たとえば、iOSデバイスと接続するときは、Lightning-USB変換アダプターが必要になる点だ。Androidスマホなら直接続できるが、iOSデバイスの場合は、直接接続できないため、間にアダプターや変換ケーブルを挟まなくてはならず、どうしても装備が多くなってしまう。また、AndroidでもUSBポートの位置によっては、ポケットやバックの中に入りにくいことがあるため、そういう点は事前に確認したほうがよいだろう。
ともあれ、外付けのポータブルヘッドホンアンプを購入するよりも、手軽に音質を向上できるのは高ポイント。手っ取り早くスマートフォンで高音質を楽しみたい方には、適したモデルと言えるだろう。