レビュー
COWON初のDSDネイティブ再生に対応

実売20万円の超高級ポータブルプレーヤー「PLENUE S」を聴いてみた!

COWON「PLENUE S」は、11.2MHz DSDネイティブ再生対応の高級ハイレゾポータブルプレーヤーだ。同社製デジタルオーディオプレーヤーの新しいフラッグシップモデルで、価格.com最安価格は224,910円(2016年4月14日時点)。価格も性能も同社史上最高峰となる。その他の対応フォーマットは、384kHz/32bitのDXD、192kHz/24bitのWAV/AIFF/FLAC/ALACなど。高精度クロックやバランス出力を搭載するうえ、据え置き機アンプに接続できる拡張クレードルも用意するなど、音質にこだわり抜いた製品だ。そんなCOWONのハイエンドポータブルプレーヤーであるPLENUE Sをチェックしていこう。

COWON「PLENUE S」。片手でしっかり握って操作できるサイズだ。重量が204g軽いのもうれしい

COWON「PLENUE S」。片手でしっかり握って操作できるサイズだ。重量が204g軽いのもうれしい

ハイエンドでも軽めなアルミ製のユニボディ

まずボディから見ていきたい。本体サイズは64.5(幅)×118.9(高さ)×17.8(奥行)mmで、Appleの「iPhone 6S」と比べてみると一回り小さいくらいの大きさだ。もちろん厚みは倍以上あるが、その分、手に取ってみるとしっかり握れる。フォルムは長方形のシンプルなデザイン。持ち運ぶことの多いポータブルプレーヤーで、かつハイエンドクラスの製品としては、重量が204gと軽めなのがうれしい。軽いとボディの強度が気になるところだが、シャーシ部は高強度のアルミでできており、ひよわな感じは一切ない。

操作は物理キーとタッチ操作対応ディスプレイで行う。ディスプレイには3.7型(解像度480×800)を採用し、感度も良好。反応も素早く軽快に動く。物理キーは、本体上部に電源スイッチがあるほかは、右側面にボリューム調整、再生/一時停止、曲送り/戻しボタンがすべて配置されている。カバンに入れても勝手にボリュームが動いたり、曲がスキップしたりすることがない、ロック機能も付いている。

アルミ製のユニボディ。背面にはウェーブ加工が施されている。滑りにくいだけでなく、放熱効果も高そうだ。カラーはチタニウム

アルミ製のユニボディ。背面にはウェーブ加工が施されている。滑りにくいだけでなく、放熱効果も高そうだ。カラーはチタニウム

本体を横向きにすると画面も回転する。スマートフォンでよくある仕掛けだが、ハイエンド向けのポータブルプレーヤーでは珍しい。画面デザインのバリエーションも多数用意されている

音声出力は3.5mmステレオミニ(光同軸出力兼用)とバランス出力の2系統を備える。バランス出力は3.5mm4極タイプになっており、Astell&Kernなどが採用する2.5mm4極タイプではない。5月頃発売予定の変換アダプター(価格は10,000円前後の予定)を利用する必要があるので、2.5mm4極タイプのバランスケーブルを使用しているユーザーは、要注意だ。

ストレージは、内蔵メモリーが128GB。microSDカードスロットを1基備えており、最大128GBまでのmicroSD/SDHC/SDXCカードが使用できる。

本体上部には2系統の音声出力を備える。左が3.5mmステレオミニで、右が3.5mm4極のバランス端子。電源ボタンは右端に配置されている

曲の再生/一時停止や曲送り/戻しが可能なボタン類は右側面に集まっており、片手で操作しやすい

曲の再生/一時停止や曲送り/戻しが可能なボタン類は右側面に集まっており、片手で操作しやすい

なお、充電時に使う底面部のmicroUSBポートは、パソコンを使いUSB接続することで本機をUSB DACとしても使える。また、金属のピン接点は据え置き用アンプにバランス出力できる拡張クレードル用のもの。ポータブルプレーヤー単体として使う以外にも、パソコンとつなげてUSB DACとして、また自宅のオーディオ環境から出力してなど、幅広い用途に利用できる。

本体底面のmicroUSBポート。その両隣にあるピン接点は拡張クレードル用のもの

本体底面のmicroUSBポート。その両隣にあるピン接点は拡張クレードル用のもの

11.2MHz DSDのネイティブ再生に対応

音作りの心臓部ともいえるDACチップには、前フラッグシップモデル「PLENUE 1」と同様、バーブラウンの「PCM1792A」が搭載されている。ただ、PLENUE Sではより音質に磨きをかけている。そのトピックのひとつが、前モデルに比べてDSDの再生能力を強化したことだ。

これまでの2.6MHz/5.2MHz DSDのハイレゾ音源に加えて、新たに11.2MHz DSDにも対応し、さらにそれらすべてがネイティブ再生になった。PCM変換で再生していた前モデルに比べて、PLENUE Sでは変換することなくDSDならではの高音質を、そのまま引き出せるようになっているのだ。20万円台以下のポータブルプレーヤーで、11.2MHz DSDがネイティブ再生できる機種は少ないため、ポータブルプレーヤーでDSDの再生性能を重視したい方には、大きな魅力に映るだろう。

2系統のTCXOクロック採用! CD音源からハイレゾ音源まで高品質に再生

次に注目したいのが、D/A変換時のタイミングをつかさどる、高品質クロックの存在だ。クロックと聞くとまず、パソコンやスマートフォンなどに搭載されているCPUの処理能力を思い浮かべる人も多いだろうが、ここでいうクロックとは、DACチップなどの動作に使用するオーディオ用のマスタークロックのことで、DACの変換精度を大きく左右するもの。この精度が高ければ高いほど、音質に悪影響を及ぼすクロックジッタを低く抑えることができる。このため音楽スタジオでは精度の高いクロックを作り出すための高価な専用機材クロックジェネレーターを導入している。言いかえればアーティストが狙った音を再現するために、再生側においても高品質クロックを使用することは効果的なアプローチなのだ。

PLENUE Sでは、クロックを作り出す中枢に、温度補償水晶発振器 (TCXO)と呼ばれる精度の高いクロック発振機をデュアルで搭載している。それぞれ44.1kHz系と48kHz系と分かれているのもポイントで、音楽CDの44.1kHzやDVDの48kHzだけでなく、48kHzを2倍した96kHzや、4倍した192kHzとも、ピッタリあうようになっているのだ。ハイエンド機ではこのように2系統のクロックを用意することが最近の主流になっているのだが、クロック発振器の種類まで明かしているのは稀。デジタルオーディオで重要なタイミングの部分をさらに作り込んでいるのだ。

カタログスペックを見てみると、SN比 120dB、THD+N(Total Harmonic Distortion + Noise) 0.0005%、ステレオクロストーク 139dBと、静寂感、出力波形の歪み、チャンネルセパレーション、のいずれも優秀。また、イヤホン・ヘッドホンの出力段には、3Vrms高性能ヘッドホンアンプを搭載し、同社の長年の技術で培った直線性を保ちながら高い電圧と電流を出力できる回路により、ハイインピーダンスの大型ヘッドホンも強力にドライブできるようになっているのだ。

音質インプレッション

試聴は、1964EARSの6ドライバー搭載のカスタムインイヤーモニター「V6 Stage」を使用して行った。接続はシングルエンド。イコライザーはノーマルに設定している。

トーンバランスはフラットで、とくに表現力のていねいさに驚かされる。たとえば、ボーカルのブレス音ひとつ取ってみても、これでもかというほど生々しい。またパチッとはじけるような小さな打ち込み音が、ポッと現われてから消えるまでの数秒の抑揚を、あまさず描き切っているのだ。それが大きな音と重なったときでもしっかり感じられる。音のほぐれ方が自然で、ただ精細なだけでなくそこにあるようなリアルさまでも感じられる印象だ。SNやTHD+Nなどの基礎力の高さがはっきりとわかる。

また前後左右の空間表現能力もすばらしい。ステージ上での楽器の配置が想像できたり、合唱では前後の声の重なりがわかるほど。とくに奥行の階調表現はよく出ていると思う。さらに空間の中にボーカルが定位するタイプで、ボーカルの存在感はとても自然だ。気になるような脳内定位は感じない。

まとめ

COWONひさびさのハイエンドプレーヤーとなるPLENUE Sは、カタログスペック通りのハイエンドモデルだ。DAC以外の音質パーツなどを大きく改良しており、音の完成度はPLENUEシリーズ随一といえるレベルに仕上がっている。価格がそれ相応になったのはいたしかたないが、それでも20万円台のほかのライバル機に性能では負けていない。DSDの外部出力ができないと、不便な点もあるが、そこを差し引いてもポータブルプレーヤーとしてのDSDの再生性能は高い。また、DSD音源に限らずCDからリッピングした音でも、精度の高いクロックを内蔵することで、よりよい状態で楽しめる。音質を重視するハイエンドなユーザーなら聴いておきたい製品だ。

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

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