レビュー

48kHz/24bit対応DACを搭載したLightningイヤホン「IC-Earphone」を聴いてみた!

リンクス「IC-Earphone」は、iPhoneやiPadにあるLightning端子から音声をデジタル入力できるイヤホン。DAC/ポータブルアンプ機能も搭載し、アナログ接続のイヤホンに比べてクリアな音質を実現したモデルだ。実売価格は10,000円前後。

Lightning接続のイヤホンは、世界最大級の家電見本市「CES 2016」にも多数出展され、海外のクラウンドファウンディングでもプロジェクトが立ち上がるほど、注目度の高いアイテムだが、現在国内で購入できるのはごくわずか。今回はその中で比較的購入しやすい「IC-Earphone」をチェックしてみた。

リンクス「IC-Earphone」。カラーバリエーションが豊富で、ホワイト、レッド、グリーン、ブルー、グレーの5色が用意される

音質も使い勝手もいいLightning接続のイヤホン

「IC-Earphone」の最大の特徴は、デジタル接続であるうえ、DAC/ポータブルアンプ機能も内蔵するという、高音質な設計だ。ドライバーユニットの手前までデジタル伝送したあと、専用の48kHz/24bitのDACとポータブルアンプを使って、iPhone内蔵のアンプを使うよりも高品質に音質を再現できる。イヤホンに適したDAC/ポータブルアンプを搭載することで、イヤホンの性能をより引き出せるようになっているのもメリットだ。

また、一般的なイヤホンと見た目上は変わらないサイズなのもうれしい。というのも、一般的なDAC/ポータブルアンプは、スマートフォンと同じくらいのサイズになることが多い。しかし、「IC-Earphone」では、コントローラーの中に小型のDAC/ポータブルアンプを搭載することで、一般的なイヤホンと見た目もサイズもかわらない。音質がいいうえに使い勝手もよいというわけなのだ。

DAC/ポータブルアンプが内蔵されたコンパクトなコントローラー。ボリューム調整、再生/一時停止、曲送り/曲戻しのほか、電話に出る/切るといった操作も行える。ただし、マイクは非搭載で、ハンズフリー通話はできない

MFi認証を取得。ただし、コネクターの汚れに要注意

次にイヤホン本体を見ていこう。ハウジングにはアルミニウム合金を使い、軽量なうえ仕上げもキレイだ。搭載されるドライバーユニットは9mm径のダイナミックドライバーで、密閉型ながらキレのあるクリアなサウンドを実現しているという。再生周波数帯域は20Hz〜20kHz。残念だがハイレゾ対応ではない。

ケーブルにはピュアオーディオグレードの高純度99.9999%の無酸素銅ケーブルを採用し、電気信号のロスを抑えている。ケーブルがからまりにくいよう薄く平べったいタイプになっているのもポイントだ。ケーブルの全長は1.2mで、ズボンのポケットに入れても問題なく耳に届く長さになっている。

ちなみに、Lightning端子周りに余裕がないiPhone保護ケースを装着している状態だと、コネクターの根元がやや大きいため、挿しこめない場合もあるので注意したい。

アルミハウジング。ノズル口には金属製と思われるメッシュパネルが装着されている

アルミハウジング。ノズル口には金属製と思われるメッシュパネルが装着されている

手前が「IC-Earphone」のLightningコネクターで、奥がApple純正のLightningコネクター。見比べるとわかるが、「IC-Earphone」のほうがケーブルの根元が太く作られている

なお、AppleのMFi(Made For iPhone/iPad/iPod)認証を受けており互換性に関していえば万全だが、実際に試してみたところ、「再生中に音が途切れたりノイズがある」「接続がうまくいかない」ことがあった。原因はiOSデバイス側のLightning端子の汚れで、クリーニングすることで直る。リンクスのホームページでは、「Lighntingコネクターをエアダスターや綿棒で掃除する」「何度か抜き差しを繰り返す」「(Lightnigコネクターの)表裏を逆にしてみる」といった方法を紹介しており、これらを試してみることで問題が直ることが多いようだ。

装着時の様子

装着時の様子

音質インプレッション

試しに48kHz/24bitのハイレゾ音源が配信されているflumpoolの「夜は眠れるかい?」と、筆者がリッピングした同曲のCD音源版(44.1kHz/16bit)を比較試聴してみた。再生能力が低いイヤホンであれば、これらの違いを描き分けるのも難しい。実際に聴いてみるとCD版ではコンプレッション(大きな音と小さな音の差をなくし、音圧を高くする)の効いた迫力のある音が、ハイレゾ版ではダイナミックレンジの広さがでている音が感じられた。両者の違いを描き分けるだけの再生能力はもっており、ハイレゾ版では特にそれぞれの音が、ハイレゾ対応とはうたっていないものの、バランスよく自然に出ているように思う。

次に比較用に1万円程度のアナログイヤホンを用いて同じ楽曲を聴き比べてみた。すると、iOSデバイス内蔵のDACとの相性があるためか、CD音源版のほうが違和感なく聴こえてくる。これだけで結論づけるつもりはないが、ハイレゾ音源とリッピング音源双方のいいところをキャッチアップしているのは「IC-Earphone」のほうだった。

音は全体的にクリアで、帯域バランスは中央が少し凹んだM字型のようなイメージ。中域がやや軽く、低域は少し強めという印象。と言ってもポンポン出るようなチープな低音ではなかった。

まとめ

一般的なアナログイヤホンで1万円程度というと、そこそこいいモノが買える価格だ。選択肢も多くあり、より自分好みの物を選べる。いっぽうでLightning接続のイヤホンはというと、選択肢は少ない。その中で「IC-Earphone」の最大のメリットは、デジタル接続でかつ48kHz/24bitに対応したDACとポータブルアンプも内蔵していることだ。DAC/ポータブルアンプの品質は価格相応になるが、イヤホンの性能を引き出す相性のいいものが標準搭載されていると思えば、コストパフォーマンスは悪くない。また、それらを個別にそろえるよりシステムをコンパクトにできるのは、持ち運ぶうえでも大変重要なポイントだ。

コネクターが汚れていたりすると接続が安定しないのはアナログイヤホンに比べてシビアな点だが、簡単なクリーニングで症状は改善できる。

iOSデバイスで手軽にクリアな音質を楽しめるイヤホンを探しているなら、「IC-Earphone」は十分な再生能力を持つ、コストパフォーマンスの高いイヤホンとして注目できる。

銭袋秀明(編集部)
Writer
銭袋秀明(編集部)
編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!
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