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機能性や使い勝手、音の傾向を徹底比較!

Astell&Kern AK70とONKYO DP-X1をじっくり比べてみた

上位モデルに匹敵する性能をコンパクトな筺体に収め、価格.comでも大きな注目を集めているiriver「Astell&Kern AK70」。本日2016年7月15日、ついに発売が開始された。「AK Jr」に置き換わるAKシリーズのエントリーモデルという位置付けで、直販価格は69,800円(税込)。現在、この価格帯は、ONKYO「DP-X1」が長らく独走状態となっており、AK70の大きなライバルとなりそうだが、はたしてAK70はライバルのDP-X1と比べてなにがすぐれているのが。発売前のAK70を1週間ほど試用する機会を得られたので、筆者が所有するDP-X1と機能性や使い勝手、音の傾向などを比べながら、AK70の実力を探ってみた。

楽曲再生は、実使用範囲を考えるとほぼ互角。本体サイズはAK70が圧倒的に小さいが、楽曲を保存できるメモリー容量はDP-X1に軍配

AK70の詳細なスペックや特徴については、発表会のレポート記事を見ていただくとして、まずは機能性能や本体サイズをDP-X1とじっくり比べてみた。

AK70とDP-X1の主なスペック

AK70とDP-X1の主なスペック

上記スペック比較表の赤字で書かれているところが、それぞれの製品に対する優位点だ。DACとヘッドホン出力については、後述する音質比較のところで触れるので、ここではそれ以外の部分を中心に見ていこう。

音楽再生

・ネイティブ再生は24bit/192kHzまでで、それ以上はダウンコンバート
・DSDはAK70、DP-X1ともにPCM変換。AK70はDSD128(5.6MHz/1bit)、DP-X1がDSD256(11.2MHz/1bit)まで
・USB Audioデジタル出力は、AK70が32bitをネイティブサポートして一歩リードだが、DP-X1はDSDが256(11.2MHz/1bit)まで対応
・DP-X1は、MQA音源も楽しめる

まずは要となる音楽再生部分。このクラスの製品は、DAP単体での運用がメインになってくるわけだが、DAP単体運用のスペックだけを見ると、DP-X1のほうがDSD256を再生できるし、MQA音源を楽しめるのも魅力的だ。一見すると、AK70が不利なようにも思えるが、現在提供されているハイレゾ配信楽曲のラインアップや、ユーザーの利用状況を鑑みると、AK70のスペックが必ずしも劣っているとは言えず、一般ユーザーの利用範囲であれば、ほぼ互角とみていいだろう。

なお、拡張性という部分では、AK70、DP-X1ともにUSB Audioデジタル出力をサポートしている。AK70は32bitをネイティブ出力でき、DP-X1はDSD256を出力できるという違いはあるものの、将来的にUSB DACを用いたアップグレードを行える点は同じ。DAP単体で満足できなくなっても、さまざまなUSB DACと組み合わせて楽しめるのは大きな魅力だ。

AK70で新たにサポートされたUSB Audioデジタル出力。USB Audioデジタル出力については、画面上部からスワイプして呼び出すメニュー画面に新たに追加されたUSBアイコンからコントロールできる

AK70のDSD出力は、PCM信号とDoP信号の2種類に対応

AK70のDSD出力は、PCM信号とDoP信号の2種類に対応

本体サイズ・メモリー容量・バッテリー駆動時間

・本体サイズは圧倒的にAK70のほうがコンパクト
・メモリー容量はDP-X1のほうが拡張でき、大量のハイレゾ音源を持ち運べる
・バッテリー駆動時間もDP-X1のほうが長い

続いては本体サイズ・メモリー容量・バッテリー性能まわりをチェックしてみた。まず本体サイズについてだが、AK70とDP-X1の大きさを比較した写真を下記に掲載したが、その差はぱっとみただけでもわかる通り、圧倒的にAK70がコンパクトだ。夏のこの時期、シャツの胸ポケットにDAPを入れて通勤しているという人が多いと思うが、AK70ならスッと収まってくれる。いっぽうのDP-X1はワイシャツの胸ポケットのサイズによってはまったく入らないときがある。重量もAK70のほうが70g近く軽いので、携帯性という面では、DP-X1にはない大きなアドバンテージといえるだろう。

AK70とDP-X1を重ねてみたところ。AK70が非常にコンパクトだというのがお分かりいただけるだろう

AK70とDP-X1を重ねてみたところ。AK70が非常にコンパクトだというのがお分かりいただけるだろう

ワイシャツの胸ポケットにAK70とDP-X1をそれぞれ入れてみた。よくポケットにすっぽり収まるという言葉を聞くが、AK70はまさにその言葉がぴったり。DP-X1はギリギリ収まっているという感じだ。

microSDXCメモリーカードを挿入した状態での重さ。AK70のほうが70g以上軽い

microSDXCメモリーカードを挿入した状態での重さ。AK70のほうが70g以上軽い

AK70はフットプリントも小さいため、小型のUSB DACとの連携にも向いている。写真はChord 「mojo」と接続した様子。取り扱い代理店が同じアユートということもあり、横幅のサイズはまるで合わせたかのようにピッタリ

いっぽうで、容量の大きいハイレゾ音源を扱ううえで重要になってくる内蔵メモリーと外部メモリーについては、本体サイズとは逆に、DP-X1のほうに軍配があがる。AK70は内蔵メモリーこそ64GBとDP-X1を上回っているものの、microSDメモリーカードが1つしか入らない。DP-X1は、内蔵メモリーこそ32GBだが、microSDメモリーカードスロットを2つ装備しており、200GBのmicroSDXCメモリーカードを2枚組み合わせたときには、内蔵メモリーとあわせて最大432GBもの音源を一度に持ち運びができる。AK70も、筆者の環境で、サンディスクの200GB microSDXCメモリーカードを認識して、264GBまでストレージを拡張できることは確認できたが、DP-X1のmicroSDXCメモリーカードスロット2基の存在はやはり大きい。

外部メモリー用のmicroSDメモリーカードスロットは、AK70が1基、DP-X1が2基。現在国内で購入可能な最大容量となる200GB のmicroSDメモリーカードと組み合わせた場合は、AK70が最大264GB、DP-X1が432GBとなり、DP-X1のほうがたくさんの音源を一度に持ち運びできる。特にハイレゾ音源は容量が大きいので、この差はけっこう大きい

バッテリー駆動時間についても、本体サイズの大きいDP-X1のほうが大容量のバッテリーを搭載しているためか、カタログスペックで1.5倍超の数値となっている。実使用でも、カタログスペックほどではないものの、AK70よりもDP-X1のほうが長時間利用することができた。携帯性をとるか、大容量メモリーと長時間バッテリー駆動をとるか、このどちらかを優先するかにとって、2つ製品の評価は大きく分かれそうだ。

操作性・その他機能

・AK70はAndroidベースの独自OS を採用し、USB DACとしても活用できる
・AK70は「AK Connect」でスマホから遠隔操作も可能
・DP-X1はAndroid OSを採用し、Androidアプリが使える。アップサンプリング機能やDSDリアルタイム変換機能、ロックレンジアジャストなどの独自機能で音を追い込める

最後は、操作性や独自機能について。ご存じの通り、AK70はAndroidベースのカスタマイズOSを、DP-X1はAndroid OSを採用している。操作性については、使うユーザーの好みによっても左右するとは思うが、純粋なDAPとしての操作性だけに限れば、個人的にはAK70のほうが細部までUIを作り込んでおり、迷わずに直感的に操作できる印象。起動についても、若干だが、AK70のほうが早い。DP-X1はAndroid OSを採用したこともあり、Androidアプリをあとから追加できたり、YouTubeなどのマルチメディア機能を楽しめる点が非常に面白いのだが、プレーヤー機能に切り替えたときにふとした拍子でボリューム調整がAndroid標準のボリューム調整になるなど、多少不安定なところがある。このあたりはカスタマイズOSと専用UIで、Androidの機能をなくしているAK70のほうがすぐれているように感じた。

AK70は、第2世代AKシリーズ以降で採用されているAndroidベースの独自OSを採用。Androidとしての自由度を切り捨てることで、高い安定性と操作性を実現している

独自機能についてはそれぞれに特徴があり、AK70では、USB DAC 機能と「AK Connect」を使えるのがDP-X1にはない利点。特に「AK Connect」は、通勤時の満員電車でDAPを操作できないときに手元のスマートフォンで遠隔操作でき、コンパクトなAK70との相性が抜群だった。DP-X1は、「アップサンプリング機能」や「DSDリアルタイム変換機能」、「ロックレンジアジャスト」といった独自機能で音を追い込めるのが面白いポイントだ。

厚みのある中低域でリスニング向きなAK70。フラットワイドなDP-X1とは違った方向性

ここからは、音の傾向についてみていこう。AK70、DP-X1ともに、3.5mmアンバランスと、2.5mm4極バランスの2系統のヘッドホン出力を備えているが、まずはアンバランス接続から。イヤホンは、JH AUDIOのカスタムIEM「Roxanne」を使用した。

Yes「Roundabout」(96.0kHz/24bit)をAK70で聴いてみてまず驚いたのが、中低域のアクセント。高域がDP-X1に比べるとさっぱりとした印象があるものの、中低域は音の押し出し感が強く、厚みもあり、ボリューム小さめでもメリハリのある引き締まったサウンドを聴かせてくれる。DP-X1が響きや余韻を生かしたフラットワイドでキレイな音づくりなのに対し、AK70は楽器や演奏者との距離感を意識して、音楽そのものを楽しいと思わせる躍動感のある音づくりで、聴いていて非常に心地いい。これまでのAKシリーズと比べてもかなりリスニング向けのチューニングだ。

2.5mm4極バランス接続だと、AK70はさらにアタック感とソリッド感が増す。DP-X1のバランス出力のひとつ「A.C.G」モードも、低域がビシっと締まる傾向はあるが、AK70はさらに力強さを感じさせる仕上がり。超時空要塞マクロスΔの挿入歌「GIRAFFE BLUES」(48.0kHz/24bit)を聴いてみたが、AK70のほうがJUNNNAさんの力強く、ストレートなボーカルをより感じられた。「機動戦士ガンダムUC オリジナルサウンドトラック4」の「2ndMob.:MSGUCEP7」(48.0kHz/24bit)も、ソリッドで沈み込む重低音が非常に素晴らしかった。

AK70は、USB Audioデジタル出力をサポートしたこともあり、USB DACと接続してトランスポートとしてもかなり使えるが、1週間じっくりと聴いた限りでは、単体運用でも十分通用できそう。特にバランス出力はかなり出来がよかったので、シングルDACだからという変な偏見をもたずに聴いてもらいたいところだ。

まとめ

というわけで、DP-X1と比べながらAK70の実力を見てきたが、これまで紹介した通り、音の傾向も含め、DP-X1とAK70で製品のキャラクターがまったく異なっており、使う人の音の好みや利用シーンによって、どちらを選ぶかはかなり変わってくる。そういった状況を踏まえた上でAK70がすぐれている点は、やはり持ち運びに便利なコンパクトな筺体と、単体でもしっかりといい音を楽しめるところだろう。正直なところ、エントリーモデルでシングルDACだし、本体はコンパクトだけど音はそれほどよくないのでは?と思っていたのだが、実際に聴いてみて、DP-X1とは違う方向で気持ちの良い音で、本当に驚いた。ユーザーによって求める音の傾向や機能が異なっており、一慨にこれがいいとは断言できないが、携帯性重視で選ぶのなら、AK70はポータブルDAPに求められる携帯性、機能性、音質を高次元で実現しており、かなり有力な選択肢になるはずだ。DP-X1とはまた違った形で大きな注目を集めることは間違いなさそうなので、気になる方は、ぜひ店頭で視聴してみてはいかがだろうか。

遠山俊介(編集部)

遠山俊介(編集部)

PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。

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