ビクタースタジオのこだわりがつまったオンリーワンの1台

ビクターが放つハイレゾ対応スタジオモニターヘッドホン「HA-MX100-Z」

このエントリーをはてなブックマークに追加

ミュージシャンやエンジニアなどの音楽制作に携わる人がレコーディングスタジオで使用するヘッドホンを“スタジオモニターヘッドホン”と呼ぶ。今回紹介するJVCケンウッド・ビクターエンタテインメントの「HA-MX100-Z」も、そんなスタジオモニターヘッドホンのひとつだ。現在、モニターヘッドホンはさまざまなメーカーから発売されているが、今回紹介するHA-MX100-Zは、他の製品とは決定的に異なるところが2つある。ひとつは、音のプロ集団であるビクタースタジオがプロデュースしたということ。そしてもうひとつが、本格的なハイレゾ時代を迎えた音楽制作の現場に通用するよう、しっかりとハイレゾ対応化を果たしたということだ。ビクタースタジオにも実際に導入され、音楽制作のプロ達も使用する大注目のヘッドホンの実力をさっそくみていこう。

ハイレゾ対応スタジオモニターヘッドホンのHA-MX100-Z。同社オンラインストアや一部店頭で購入可能だ。オンラインストアでの価格は24,800円

ハイレゾ時代の音楽制作に合わせてサウンドを全面ブラッシュアップ

HA-MX100-Zは、JVCケンウッドの音響技術を用いてビクタースタジオがプロデュースしたハイレゾ対応のスタジオモニターヘッドホンだ。実は、ビクタースタジオが開発したスタジオモニターヘッドホンはこれが2代目となる。

HA-MX100-Zが収められているパッケージ(左)と実機(右)。パッケージはスタジオモニターヘッドホンであることを前面に押し出したデザインだ

先代は、2011年2月に発売された「HA-MX10-B」。発売から5年以上経過した今なお、価格.comで多くのユーザーから高い評価を得ているロングセラーモデルだ。パソコンが普及したことで、スタジオだけでなく、パーソナルな領域でもDTMやDAWで音楽制作ができるようになった昨今、モニターヘッドホンの重要性はますます増しているのだが、そういった状況の中で、多くのユーザーから長く愛されるHA-MX10-Bというのはかなり貴重な存在といえるだろう。

そんなHA-MX10-Bだが、さきほども書いたように、すでに発売から5年以上経過している。当時よりも音楽制作環境の細分化が進み、ヘッドホンへの依存度が益々高まるとともに、加えて、昨今のハイレゾブームにより、ヘッドホンにもハイレゾ音源を再生できるだけのこれまでにはない高いクオリティが求められるようになってきた。

HA-MX10-Bは、ビクタースタジオと共同開発したスタジオモニターヘッドホンの第1弾製品だ

HA-MX10-Bは、ビクタースタジオと共同開発したスタジオモニターヘッドホンの第1弾製品だ

そこでHA-MX10-Bをベースに、ハイレゾが持つ情報量の豊かなサウンドを忠実に表現できるよう、音のプロ集団であるビクタースタジオのスタジオエンジニア達がサウンドチューニングを行って製品として完成したのが、今回取り上げるHA-MX100-Zである。

HA-MX100-Zの開発にあたっては、スタジオエンジニアから、ハイレゾ音源の持つ“豊かな高域の表現力”、高域の情報量に負けない“安定感のある中低域”、奥行き・定位・立体感等の“高い解像力・忠実な再現力”という大きく3つの要望が出された。この3つの要望に答えるため、HA-MX100-Zでは、ドライバーユニット、独自の「サウンド・ディフューザー」、「クリアバスポート構造」の3つに改良を加えている。

ドライバーユニットについては、日本製高純度CCAWボイスコイルや熱処理を施した低歪磁気回路を新たに採用。スタジオエンジニアによる実聴評価を繰り返し行い、ハイレゾ音源のもつ豊富な情報量を余すことなく再生できるようになった。

振動板前面に設けた独自のサウンド・ディフューザーは、中心孔径の孔の大きさや位置などをさらに最適化。高域の再生周波数特性をHA-MX10-Bの28kHzから40kHzにまで拡大し、解像度と音場の自然な広がりをさらに高めたという。

HA-MX10-Bにも搭載されているクリアバスポート構造については、振動板の前室側と後室側の背圧両方を最適化した「デュアル・クリアバスポート構造」へと進化。より高解像度なハイレゾ音源においても、繊細な情報を余すことなく再生できるという。

ハイレゾ再生に求められるサウンドクオリティを実現するため、ドライバーユニットや独自のサウンド・ディフューザー、クリアバスポート構造などに手を入れ、音質にさらなる磨きをかけた

現状、ヘッドホンがハイレゾ対応かどうかは、40kHz以上の高域再生性能を有しているかでしか判断されていない。ハイレゾ再生に対応するというのが目的であれば、単純に高域の再生周波数特性を40kHz以上に拡大するだけでいいわけだが、HA-MX100-Zはただ単にハイレゾ再生に求められる広い周波数帯域を確保するだけでなく、こういった改良によってスタジオエンジニアからの要望にしっかりと答えることで、これまでにない原音再生能力をもったプロフェッショナルユースにも耐えられるこだわりの1台に仕上がっているというわけだ。

ちなみに、HA-MX100-Zは出荷時にビクタースタジオ仕様のエージングが実施されており、ヘッドホン導入後すぐに安定したモニター環境を構築することができる。こういった細かな気配りもなかなかうれしいポイントといえる。

さすがプロの道具。派手さはないが、質実剛健な作りは好感が持て、装着感も良好

スタジオモニターヘッドホンというのは、サウンドクオリティはもちろんなのだが、タフな現場で使うことを想定し、高耐入力や耐久性、メンテナンス性の高さも非常に重要なポイントとなってくる。先代のHA-MX10-Bもそのあたりはしっかりと作り込まれていたが、HA-MX100-Zもその流れはしっかりと受け継がれている。

まず外観についてだが、スタジオで日常的な業務に使われるものということもあり、デザインに派手さというのはさほど感じられない。あるといえば、左右を瞬時に判断できるハウジングのカラーの装飾くらい。理想のスタジオモニターを絵に描いたようなくらいシンプルで実用的なデザインだ。

HA-MX100-Zを正面から見たところ

HA-MX100-Zを正面から見たところ

側面から見たところ

側面から見たところ

バンドのハンガー部分には、JVCロゴと型番がデザインされている

バンドのハンガー部分には、JVCロゴと型番がデザインされている

ハウジングの中心はメタル素材を使用

ハウジングの中心はメタル素材を使用

ハウジングには左右をすぐに判断できるように青と赤のカラー装飾が施されている

ハウジングには左右をすぐに判断できるように青と赤のカラー装飾が施されている

ヘッドバンドはシボ加工が施されており、頭頂部には大きく「Produced by VICTOR STUDIO」というデザインが施されている。クッション性はあまりないが、本体がそれほど重くないため、数時間付けっぱなしという状況にならない限りは痛くならないはずだ。バンド部にはメタル素材が使われており、イヤーパッドは柔らかいものの、側圧が適度で耳への負担がそれほどないため、付け心地はなかなか良好だ。

ヘッドバンドは耐久性の高いシボ加工が施されている

ヘッドバンドは耐久性の高いシボ加工が施されている

バンド部にはメタル素材が使われており、長さ調節用のメモリーも刻印されている

バンド部にはメタル素材が使われており、長さ調節用のメモリーも刻印されている

イヤーパッドは薄くて柔らかいが、側圧が捕獲的緩いため、耳への負担は少なめだ

イヤーパッドは薄くて柔らかいが、側圧が捕獲的緩いため、耳への負担は少なめだ

スタジオでの使用を想定しているため、ケーブル長は2.5mとやや長め。音質劣化を最小限に抑えるためか、ケーブルは直付けで取り外しや交換(リケーブル)には非対応となっている。プラグはAmphenolの3.5mmタイプを採用。ポータブル機器とは接続しやすいが、据え置き機器との接続や、プラグによる音質劣化を考えると、個人的には標準ジャックを採用してもよかったのではないかと思う。

ケーブルは片方出しで直付けとなっている

ケーブルは片方出しで直付けとなっている

スタジオモニターヘッドホンとしては珍しく、3.5mmステレオミニプラグを採用している

スタジオモニターヘッドホンとしては珍しく、3.5mmステレオミニプラグを採用している

音質インプレッション

ここからは実際の試聴感想を交えながら、HA-MX100-Zの音質傾向についてみていこう。ちなみに今回の試聴は、筆者が所有しているパイオニアのヘッドホンアンプ内蔵USB-DAC「U-05」と組み合わせて試聴を行っている。

HA-MX100-Zを聴いてみてまず驚いたのが、モニターヘッドホンとしては珍しく、かっちりとした鳴りですべてをありのままにさらけ出すといった感じではなく、一つひとつの音はしっかりと拾いつつ、自然でつながりのあるなめらかな音にまとまっているということ。引き締まったタイトな低域、抜けのよいクリアで力強い中域、解像度は高いが硬くなりすぎず刺さらない高域が非常にバランスよく滑らかにつながっているのだ。低域がややすっきりした感じなのだが、その分中高域のレンジの広さが際立っており、非常に見通しのいいサウンドに仕上がっている。

モニターヘッドホンということで、どんなジャンルもオールマイティにこなしてくれるが、なかでも特筆すべき点がヴォーカルの表現力。今回、ヴォーカルのチェックとして坂本真綾の「モアザンワーズ」(16bit/44.1kHz)を聴いてみたのだが、いわゆるモニターヘッドホンと呼ばれる一般的なヘッドホンで聴くと、かっちりと表現しすぎるため、耳に挿すような硬くヒリヒリとした息苦しさのようなものを感じるのに対し、HA-MX100-Zでは中高音の表現力が豊かなこともあり、感情的な部分は残しつつ、非常に聴きやすくなっていた。

音場も密閉型としては広く、奥行きも立体感があり、定位も抜群にいい。ハイレゾ音源になると、こういった部分の差が顕著に出てくる。「機動戦士ガンダムUC オリジナルサウンドトラック」から「UNICORN」(48kHz/24bit)を聴いてみたが、盛り上がり部分の押し出し感があれほどあるのに、しっかりと分離しているあたりはさすがこだわって音質チューニングしただけはある。

まとめ

ここまでHA-MX100-Zをくわしくチェックしてきたが、ビクタースタジオが自信を持って投入したこだわりのヘッドホンだということは、その外観だけでなく音からもしっかりと感じ取れた。アーティストがユーザーに届けたい音を現場のもっとも近い場所で聴いているスタジオエンジニア達。そのエンジニア達のさまざまな要望を真摯に受け止め、その要望に対して奇をてらうことなく実直に答え続けることで出来上がったHA-MX100-Zの音は、アーティストがユーザーに届けたい音に限りなく近い音だといえる。自分の好きな音楽を自分の好みの音で聴くというのも楽しいが、HA-MX100-Zでアーティストが届けたかった本当の音を聴き、その意図を理解して聴けば音楽を聴くことがさらに楽しくなるはず。本格的なハイレゾ時代を迎えた音楽制作の現場はもちろんのこと、音楽を聴いて楽しむリスナーの人にもぜひ注目してほしい1台といえる。

遠山俊介(編集部)

遠山俊介(編集部)

PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。

このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事
レビュー最新記事
レビュー記事一覧
2017.10.21 更新
ページトップへ戻る