約50万円の「AK380 Copper」と約30万円のウォークマン「NW-WM1Z」を聴き比べ!

【新春特別企画】至高の1台! 筺体に純銅を採用した煌びやかな超高級ハイレゾプレーヤーを聴いてみた

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皆さんは、どんな金属が好きですか?
とはいっても、突然アクセサリーの話題をしたい訳ではなく、あくまでも?いつもと変わらぬオーディオ製品についての話だったりする。皆さんご承知の通り、オーディオ製品の筐体は基本的に金属が利用されていることが多いのだけど、なかでもハイエンドクラスのDAP(デジタルオーディオプレーヤー)には、さまざまな高級素材を利用しているものが多い。

そもそもDAPは、コンパクトなボディサイズやデザイン、持ったときの高級感の演出などにより、アルミ合金の削り出し筐体を採用しているものが多い。なかなかに凝った、コストのかかった作りとなっているのだが、最新モデルではさらに一歩推し進め、“銅”ボディを採用するDAPが登場してきた。それも、ひとつではなく2製品も。それが、Astell&Kern「AK380 Copper」とソニー「ウォークマン NW-WM1Z」だ。

ウォークマン NW-WM1Z(写真左)とAK380 Copper(写真右)

ウォークマン NW-WM1Z(写真左)とAK380 Copper(写真右)

ちなみに、銅が何故ゆえオーディオ的に本命かというと、これまた皆さんご承知のことと思うが、銅は電気抵抗が少なく気伝導率が高いため配線などにもよく使われている。ボディをアース配線代わりに利用するDAPには(コストを考えるととても贅沢だが)理想的な素材のひとつとなっているのだ。また、独特の振動減衰特性がオーディオ製品の筐体にも向いているという話もあり、据置型の高級オーディオ製品でも銅板や銅メッキ鋼板が利用されてきたという流れもある。

とはいえ、「AK380 Copper」は純度99.9%の銅から、「ウォークマン NW-WM1Z」も純度99.96%以上のOFC(無酸素銅)から削り出しているというから、かなり贅沢な使い方をしているのも確か。特に「ウォークマン NW-WM1Z」は、1.8kgほどのOFC銅から削り出したうえ、純度約99.7%の金メッキによるコーディングを施しているという贅沢な作りから、30万円前後という超ハイエンドクラスのプライスタグですら“ハイコストパフォーマンス!”と思わせるところがある。

AK380 CopperとAK380。筺体の素材が違うだけで、これだけ重さが異なってくる

AK380 CopperとAK380。筺体の素材が違うだけで、これだけ重さが異なってくる

ウォークマン NW-WM1ZとNW-WM1Aの重さを比較したところ。ウォークマン NW-WM1Zにいたっては450gオーバーと、もはやポータブルで使うのを躊躇してしまいそうなくらいの重さだ

今回はおめでたいお正月ということもあり、そんな超ハイエンドDAPを2台並べて、贅沢づくしのサウンドを存分に楽しんでみることにした。ちなみに、今回はORB「Clear force MMCX 4.4φ」などを活用してバランス接続での試聴をメインに行い、カナル型イヤホン(Astell&Kern×JH AUDIO「Michelle」とWestone「W80」)だけでなく、あえて高級ヘッドホン(ソニー「MDR-Z1R」やパイオニア「SE-Master1」)もいくつか接続してみた。

視聴用イヤホンに使用したケーブルは、オーディオ用ケーブルで定評のあるORBの「Clear force」。導体には、純国産高純度銅線を使用している

まずは「AK380 Copper」から。こちら、限定モデルのため残念ながら現在のところ販売終了となっているが、AKシリーズのなかでも頂点に位置するスペシャルモデルでもあるため、せっかくだから紹介させていただこう。

基本的にはフラッグシップモデル「AK380」と全く同じ機能性&ディテールで、AKM(旭化成エレクトロニクス)製DAC「VERITA AK4490」を左右独立して1基ずつ搭載し、384kHz/32bitまでのリニアPCM、11.2MHzまでのDSD音源のネイティブ再生に対応しているのが特徴だ。違いは、ボディの素材がジュラルミンから純銅に変更されているのみとなっている。

筺体に、純度99.9%の銅を使用している「AK380 Copper」。シャーシ部分は、無垢の銅ブロックから1台あたり約4時間をかけで削り出しているという

背面部分は、筺体を覆う銅とは打って変ってカーボン繊維とケブラー繊維を使用したシックなカラーリングとなっている

とはいえ、標準「AK380」とはかなりサウンドキャラクターが変わっているのが興味深い。SN感がはっきりと向上して、かなりピュアな印象のサウンドに変化。おかげで、「VERITA AK4490」DACを中心に据えた、とても素直で真面目な、モニターライクな使い方もできるけど音表現にもしっかりとした魅力を持つサウンドを楽しむことができるのだ。たとえばチェロは、力強い基音に自然な付帯音が合わさり、豊かな表現に演奏に感じられる。特に相性のよさを感じたのがパーカッション系だ。よしうらけんじ「TONES」を聴くと、ひとつひとつの音がとてもキレがよく、それでいてホールの反響のみで構成された自然なリバーブがとても心地よく感じる。

いっぽうで、ヘッドホンとの組み合わせでは、バランスよく鳴らすには据置型のヘッドホンアンプがひつようとなる「SE-Master1」でも十分な音量を確保。明瞭感の高い、メリハリのあるサウンドを楽しませてくれた。しかしながら、さすがにもうひといきの駆動力がほしいところ。その際は、別売オプションの「AK380 AMP」との組み合わせをオススメしよう(こちらも銅筐体バージョン「AK380 AMP Copper」が限定発売されていたが現在は販売完了している)。

「AK380 Copper」に「AK380 AMP Copper」を組み合わせたところ。こちらは600gオーバーとさらに重量感が増している

売ってないものをオススメするのはなんとも歯がゆいところではあったのだが、なんと、2016年末に朗報が入ってきた。なんと、「AK380」にもうひとつの限定バージョン「AK380 SS」が発売されるようなのだ。こちら、「AK240」でもラインアップされたことのある“SS”、ステンレススティールを筐体に採用したバリエーションで、「AK380」としてはCopperに続く第2の限定モデルとなる。試作機を試聴させてもらったところ、Copperよりもさらにフォーカス感の高まった、ソリッドなサウンドを聴かせてくれた。もちろん、この音が最終ではないと思うので、時期が来たらしっかり試聴してもらいたいところだが、いやはや、筐体の素材ひとつでここまで音質が変わってくるのは、本当に面白い。ブラインド試聴しても大半の人が区別つくレベルで音の特徴が変わるのだ。こちら、同じSS仕様のアンプやバンナイズケースとのセット販売を予定しているようだが、2017年の前半、それも早いうちに詳細が発表されることとなりそう。気になる方は、情報を待っていて欲しい。

「AK380 SS」+「AK380 AMP SS」。すでに海外サイトでスペック等は発表されているようだ

「AK380 SS」+「AK380 AMP SS」。すでに海外サイトでスペック等は発表されているようだ

12月に東京・秋葉原で行われたポタフェス会場にも参考展示されていた。パッケージには、バンナイズのオリジナルケースも付属するということだ

続いて、「ウォークマン NW-WM1Z」のサウンドをチェック。こちらはアルミ筐体を採用する「NW-WM1A」と同じ外観をもち、大幅に進化したというフルデジタルアンプ「S-Master HX」により、最大384kHz/32bitまでのリニアPCM、最大11.2MHzまでのDSDに対応しつつ、新たに4.4mm5極バランス接続端子(日本ディックス製)を搭載するなど基本的なシステムは共通となっているが、フラッグシップモデルというだけあり、大型抵抗やKIMBER KABLE社製ケーブルを内部配線に使用するなど、筐体だけでなく内部的も一段の高音質を追求した仕様となっている。

「ウォークマン NW-WM1Z」は、純度99.96%以上の無酸素銅から削り出したシャーシに純度99.7%の高純度金メッキを施した無酸素銅金メッキシャーシを採用する

アンプからヘッドホンジャックへの線材には、KIMBER KABLE社と協力して開発した4芯Braid(編み)構造を採用している

さて、こちらは手元のケーブルの都合もあって、イヤホンはWestone「W80」にORB「Clear force」を組み合わせ、バランス接続にて試聴をスタートした。

ダイレクト感の高い、とてもクリアなサウンド。時々、意識してエッジを立たせたのかも?と思わせるくらい細部のニュアンス表現が明瞭に伝わってくるのだが、高音が鋭すぎたり荒れて聴こえることが一切ない、素晴らしいクオリティとまとまりを併せ持つサウンドだ。おかげで、定位感にいっさいの揺るぎがない。TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDを聴くと、彼らのセンシティブな空間表現の全てが正しくしっかりと伝わってくる。ここまで心地よい移動感を表現してくれるDAPはそうそうない。

いっぽうで、ボーカルの声や表現力も魅力といえる。女性ヴォーカルは、ややハスキーな、普段のイメージより抑揚の大きい歌声を聴かせてくれる。色っぽいというよりも清々しいといった表現が近いキャラクターだが、抑揚表現の気持ちよさやボーカルの距離感の近さなどは、近い構成であるはずの「NW-WM1A」をも圧倒している。

続いて、ヘッドホン「MDR-Z1R」で試聴。こちら、「シグネチャーシリーズ」と銘打った推奨組み合わせだけあって、なかなかの相性を見せてくれた。なかでも特徴的なのが女性ボーカルで、ハスキーさが弱まり、代わりに伸びやかな、活き活きとした歌声を聴かせてくれるようになった。もちろん、据置型ヘッドホンアンプで最大の実力を発揮する「MDR-Z1R」ではあるが、「NW-WM1Z」単体でも充分に満足できるサウンドを奏でてくれるのは嬉しい限り。セットで50万円になる超ハイエンドな組み合わせではあるが、満足感は相当に高いといえる。

今回、「ウォークマン NW-WM1Z」には、同じ「シグネチャーシリーズ」にラインアップされている密閉型ヘッドホンのフラッグシップモデル「MDR-Z1R」を組み合わせて試聴した。この組み合わせだけでも約50万円だ

今回、贅沢な銅筐体を採用している2モデル、「AK380 Copper」と「ウォークマン NW-WM1Z」を試聴させてもらった。イヤホンやヘッドホン、ケーブルやアンプを入れると、総額で200万円近くになる試聴だけあって、何を聴いても素晴らしい音がする、とても幸せな時間だった。いやはや、どうもありがとうと、編集部や記事を読んでくれた皆さんにお礼を言いたくなるくらい。このあたりの価格帯の製品は鉄板の製品(当然素材としての鉄板ではないですよ)が揃っているので、どれを買っても大いに満足できるし、好みに合わせて何をチョイスしてどう組み合わせるかという贅沢な悩みくらいしかない。安心して、贅沢に思い悩むことができるという点では、(イベント等で試聴して回るだけでもよいので)みなさんもいちどは体験して欲しい世界だ。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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2017.12.12 更新
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