ハイレゾ時代の音源管理と再生術 第1回

Windows 10でハイレゾ再生するなら「WASAPI排他モード」をマスターせよ!

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Windowsでハイレゾ音源を楽しむための基本や裏ワザを紹介する「ハイレゾ時代の音源管理と再生術」。第1回は、音楽再生アプリ「foobar2000」を用いて、Windows 10上で手軽に構築できる高音質な再生環境を紹介する。

マイクロソフトの最新OS、Windows 10に搭載された、マルチメディアプレーヤー「Windows Media Player 12」では、これまでできなかったハイレゾ音源の再生についに対応した。DSD音源を除く最大192kHz/24bitのWAVやFLACのオーディオファイルが再生できるようになり、ハイレゾ音源を聴くハードルもだいぶ低くなった。

しかし、かゆいところに手が届いていなかったのだ。Windows Media Playerでは内部処理の過程で音が加工されてしまい音質が低下する。これについては変更されなかった。これではせっかくの高音質音源の魅力を引き出しにくい。そこでWindows上で高音質再生が可能な「fooobar2000」の出番だ。

foobar2000 の画面。簡易的な画面レイアウト変更モード「Quick Apperance Setup」で、Main Layoutを「Album List+Visualization(alternate)」、Colorsを「Dark Grey Magenta」、Playlist Layoutを「Separate Album & Artist」にしている

ビットパーフェクトな出力できる高音質な「foobar2000」

「foobar2000」とは、さまざまなオーディオファイルを再生できるWindows用の音楽プレーヤー。無償で使えるフリーソフトながら、充実したライブラリー機能のほか、ユーザーが自由にカスタマイズできるのも大きな特徴。カスタマイズの方法も、公式サイトで公開されている「Component」と呼ばれる機能追加用のプログラムをインストールするだけの簡単なものになっている。この「Component」によって、画面レイアウトの調整、DSD音源の再生、アップサンプリング、ネットワーク再生機能といった拡張機能を幅広く使用できるのだ。こうした拡張性の高さが人気を呼び、海外製のソフトでありながら、国内でも定番音楽プレーヤーのひとつに数えられている。

そんな「foobar2000」はハイレゾ音源の再生においては特に力を発揮する。ご存知のとおり、Windowsでは複数のアプリが同時に音を鳴らせるようになっている。この便利な機能によって、音楽を聴きながら通話したり映像をみたりすることができる。通常、さまざまなアプリから出力される音声フォーマットはバラバラで、そのままでは同時に鳴らせない。そこでWindowsでは音声を出力するときに「オーディオエンジン」と呼ばれるところに集約させ、レートコンバージョンやサウンドエフェクト、ボリューム調整を行って音をミックスしている。この処理がハイレゾ音源再生時の音質の低下につながっていると言われているのだ。

Windowsでは、システムの警告音のほかにも、さまざまなアプリケーションサウンドが同時に鳴るようにできている。便利な機能だが内部で各種エフェクト処理が行われるため、これがハイレゾ音源再生時の音質低下につながっている

入力された音が正確に出力される「bit-perfect」(ビットパーフェクト)を目指すなら、このオーディオエンジンを迂回させる必要がある。そのモードが「WASAPI(ワサピ)排他モード」だ。Windows Vistaで採用され、Windows 7/8(8.1)/10でも同様に実装されている。Windows Media Player 12が残念なのは、この排他モードに対応していないこと。そのため、Windowsで高音質な再生環境を構築するなら、「foobar2000」のような排他モードに対応した音楽再生アプリが欠かせないのだ。

ただし、WASAPI排他モードも万能ではない。ひとつのアプリがデバイスを独占するため、再生中はその他のアプリのサウンドが一切出なくなる。知らないと「あれ故障?」と勘違いすることもあるので、その点は覚えておこう。

「foobar2000」でWASAPI排他モード再生中は、システムの警告音がでなくなる。試しにWindows Media Playerで音楽を再生しようとしたが、エラーとなった

ハイレゾ再生のための初期設定

「foobar2000」のセットアップの前に、オーディオデバイスの設定を確認しておこう。これは「コントロールパネル」>「ハードウェアとサウンド」>「サウンド」ウィンドウで確認できる。

今回は、再生デバイスとして、AudioQuestのUSB DAC「DragonFly Black」を使用している。使用したいデバイスを選択し、プロパティを開いて詳細タブの「既定の形式」と「排他モード」をチェックしよう。

「既定の形式」はWindowsのサウンド出力の基本フォーマット。ここで選択したビットレートとサンプリング周波数で再生されるようになっている。今回はUSB DACの上限となる96kHz/24bitを選んでいる。また、その下の「排他モード」のチェックボックスは、「WASAPI排他モード」を使用するときに必要となるオプションなので、両方を忘れずにチェックしよう。

「サウンド」ウィンドウの再生タブで表示されているデバイスを選択してプロパティをクリックすることで、詳細タブが出せる。AudioQuestのUSB DAC「DragonFly Black」は96kHz/24bitまで対応しているため、「既定の形式」でも「24ビット、96000Hz(スタジオの音質)」を選択している

「DragonFly Black」はLEDの点灯色によってサンプリング周波数がひと目でわかるようになっている。96kHz/24bitを選択すると既定の紫色に変わった

foobar2000をパソコンにインストールする

それでは実際にfoobar2000をインストールしよう。公式サイト(http://www.foobar2000.org/)にアクセスし、「Download」ボタン(1)をクリックしたあと、Latest stable versionの「foobar2000 v1.3.14」のリンク(2)をクリック(2017年1月13日時点)。これでfoobar2000の本体をダウンロードできる。とても簡単だ。

「foobar2000」の公式サイトにアクセスし、はLatest stable versionをダウンロードする。記事執筆時に公開されているバージョンはv1.3.14。なお、Beta版が公開されていることもあるので、初めてインストールするときは最新の安定版となるLatest Stableを選ぼう

インストール時に重要なオプションが2つある。そのひとつが「Standard install」と「Portable install」のいずれかを選択できるインストールモードだ。基本は全ユーザーが使える「Standard install」を選ぼう。「Portable install」は上級者向けのオプションで、USBメモリーに入れて持ち運んで使うような特殊な用途向けになる。

通常は上の「Standard install」を選ぶ。ちなみに「Portable install」は上級者向けのオプションで、USBメモリーに入れて持ち運んで使うような特殊な用途向けだ。Windowsのアプリとして登録されないため、「foobar2000」のコンポーネントファイルなどが自動で関連付けされず、使い勝手が悪いものとなっている

次に選べるのがインストールタイプ。「Full」「Normal」「Minimum」「Custom」の4つが用意されており、それぞれ含まれるコンポーネントが異なる。通常はすべての機能がインストールされる「Full」を選択する。

インストールされるコンポーネントも選べる。CDの再生やライブラリー機能も、このコンポーネントに含まれているため、フルインストールのほうが何かと便利だ

Windowsに対応したオーディオデバイスで使える高音質な「WASAPI排他モード」

「foobar2000」本体のインストールが終わったら、WASAPI排他モードの設定を行う。WASAPI排他モードは専用のコンポーネント「WASAPI output support」が別途必要なので、公式サイトからダウンロードしインストールする(無償)。

なお、WASAPIはWindowsに実装されている機能のひとつなので、Windows Vista以降のWindows OSに対応しているオーディオデバイスであれば、基本的にどれでも利用することができる。たとえば、オンボードのサウンド機能を利用しているユーザーでも、「foobar2000+WASAPIコンポーネント」を使えば、Windowsのオーディオエンジンを回避できるのだ。ハイレゾ対応DACを持っていないユーザーでも気軽に試せる方法となっている。

「foobar2000」の公式サイトにアクセスし、メニューの「Components」(1)をクリックし、「WASAPI output support」(2)をダウンロードする

ダウンロードしたコンポーネントは、ダブルクリックでインストールできる。途中でインストールの確認があるので、そのときは「はい(Y)」を選んで進める。すると、インストールされたコンポーネントの一覧に、「WASAPI output support」(またはfoo_out_wasapi)が追加される。表示されていれば「Apply」ボタンを押して反映させる。ボタンを押さないと更新が反映されないので忘れずに行うようにしよう。

ダブルクリックすると自動的にコンポーネントのインストールが始まる。特に問題なければ「はい(Y)」を選んで進めよう

ブルーのマーカーで強調表示されているのが、追加されたコンポーネント。この状態では使用できないので、「Apply」ボタンを押して反映させる(アプリケーションが自動で再起動される)

正しく認識されると「コンポーネント名」「バージョン」「Module名」が表示される。このように認識されていれば使用可能だ

次に、現在表示されている「Preference」ウィンドウから、「PlayBack」>「OutPut」を選び、プルダウンメニューの「Device」一覧から、再生したいオーディオデバイスを選択する。このときパソコンによっては多数表示されるので、デバイスの頭に「WASAPI(event):再生したいデバイス名」が付いているものを選ぶ。このほかに、「Device」一覧の下に用意された「Output format」で、接続しているUSB DACと同じビットレートを指定すれば、WASAPI排他モードを使って高音質な再生ができるようになる。

なお、WASAPIには「push」と「event」という2つのスタイルが用意されている。どちらも排他モードとして使えるが、「event」は後から追加された新しいものになっており、CPU負荷が小さくなっている。基本は「event」で、もし「event」で相性がでるなら「push」に切り替えて使うとよい。

「Device」の一覧に表示されている出力方法。WASAPI排他モードで再生するときは、「WASAPI(event)」か「WASAPI(push)」のどちらかを選ぶ。基本はCPU負荷が低い「event」で問題ないが、うまく動かないときは「push」に切り替えて使うといいだろう

ちなみに、頭に「DS:」と付くのは、オーディオエンジンを通るWindows標準の再生方法となっている。

これで設定は完了だ。あとは、画面デザインを簡単に変えられる「Quick Apperance Setup」で、好みのレイアウトを選び「OK」を押して、プレイリストに音楽ファイルをドラック&ドロップすれば再生できる。

簡易的な画面レイアウトの変更モード「Quick Apperance Setup」。初回起動時に表示されるが、「View」メニュー>「Layout」>「Quick Apperance Setup」で変更できる

まとめ WASAPI排他モードはWindows10で手軽に高音質を楽しめるもっとも手軽な方法

以上、「foobar2000」でWASAPI排他モードを使用した再生方法をお伝えした。最近のパソコンではオーディオ周りに力を入れているものも多く、あえてハイレゾ対応機器を導入しなくても、そこそこいい音で聴けるようになっている。今回ご紹介した方法は、お金をかけず手軽に音質を改善できるテクニックだ。Windows Vista以降のOSに対応したオーディオデバイスを使っているユーザーであれば、誰でも使える方法なので効果があるかないかぜひ自分の耳で聴き比べてみてほしい。音楽をどっぷり楽しみたいときには排他モード、作業用BGMとして使うときはWindows内部のオーディオエンジンを使うなど、気分に合わせて使い方を変えるのもいいだろう。

次回は、WASAPI排他モードとは別の高音質な再生モードと、ダウンコンバージョンについてご紹介していく予定だ。

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

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2017.11.17 更新
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