ボディまるごと木のヘッドホンを自腹レビュー

国産材を使用した木製ヘッドホン「konohazuk H3」を買って使ってみた!

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ハウジングに加えてヘッドバンドにも木材を採用する、本体ほぼすべて木製のヘッドホンが登場した。コノハズクの「konohazuk H3」は、木ならではの肌触りや美しい木目、音色を楽しめる注目の製品だ。そのコンセプトに惚れて自腹で購入した筆者が本機をじっくりレビューしてみた。

木ならではの美しい木目が特徴的なコノハズクの「konohazuk H3」

木ならではの美しい木目が特徴的なコノハズクの「konohazuk H3」

ボディほぼすべてに岩手県産のブナ材を使用

「Konohazuk H3」を手がけた合同会社コノハズクは、パイオニアでスピーカーなどのオーディオ機器のデザインを担当していた、プロダクトデザイナーの飯田侑希氏が立ち上げたメーカー。同氏は「人と木」「木と音」をテーマに、カホンと呼ばれる木製打楽器のブランド「beating」を展開しているが、同氏の夢だった「木のヘッドホンを作りたい」という思いの実現に向けて、2015年に合同会社コノハズクを設立。「konohazuk H3」はそんな同社の第1弾製品となる。

本機はもともと、2016年3月にクラウドファンディングでプロジェクトがスタート。「春のヘッドフォン祭2016」にも出展し、そこで得たユーザーの声を反映して、改良を加えていたため出荷が遅れていたが、このたびついに支援者に向けて出荷開始となった。今回紹介する製品も、筆者がクラウドファンディングで購入したモデルとなる(現在は同社の通販サイトより購入できる)。

クラウドファンディングモデルの一部には、この特製木箱が付いている。なお、コノハズクの通販ページで現在購入できるモデルには付属していない

「konohazuk H3」は、オンイヤータイプの密閉型ヘッドホン。ハイレゾロゴは取得しておらず、再生周波数帯域は20Hz〜20kHzとごくふつうのスペックだが、最大の特徴はやはりボディ全体が木でできていること。これまでもハウジングに木材を採用したヘッドホンはあったが、ヘッドバンドにも木材を使い、それらのほとんどに岩手県産のブナ材を使用するという、徹底的に木にこだわったモデルになっているのだ。

ヘッドバンドとハウジングにもブナの無垢材を使用した木製のヘッドホン。ここまで木を感じさせるヘッドホンはまずない

木材は見た目だけでなく、高級なスピーカーや楽器にも使われる通り、音の反射率や減衰率などの音響特性にもすぐれている。その中でも、本機に使われているブナ材は高級家具に使われるほど硬く曲げにも強い。音の解像度を決める重要な要素のひとつが硬さで、ヘッドバンドの加工に欠かせない要素が曲げ(粘り)の強さ。ブナ材はこの両方の特性を持ち合わせているのだ。なお、ブナ材には腐りやすいという欠点もあるが、乾燥とウレタン塗装を施すことで耐久性を高めたという。

ヘッドバンドには、薄い木板を重ね合わせて曲げ加工を施した成形合板を採用。薄すぎず厚すぎずという絶妙な厚さながらしなやかさもあり、フレキシブルなのが印象的。実際に装着してみると、頭の形にしっかりフィットし、ほどよい側圧がかかる。装着感にこだわったというだけあって、着け心地は良好だ。

しなやかさがあるヘッドバンド。想像以上に広がり、広がったときのねじれも少ない

しなやかさがあるヘッドバンド。想像以上に広がり、広がったときのねじれも少ない

30代男性に付けてもらった装着例。折りたたみはできないが本体サイズは比較的コンパクトで、重量も145gと軽め。持ち運びも可能なサイズだ

ハウジングはCNC(コンピュータ数値制御)による削り出し。ヘッドバンドとハウジングをつなげるジョイント部の動きもスムーズだ。さらに、木面は無色透明なウレタン塗装により、ブナ材特有の淡い色調と斑点模様が特徴的だ。

上下に動くヘッドバンドとハウジングをつなげるジョイント部。ヘッドバンド自体の長さは調節できないが、ここでハウジングの位置を微調整できる。一見、可動範囲が短そうに見えるが、思いのほか動かせる範囲は広い

ハウジング内部には40mm口径のダイナミックドライバーを搭載。部品供給と音のチューニングは、大手オーディオ機器メーカーへOEM製品供給も行うアツデン株式会社が手がけているという。インピーダンスは32Ω、最大入力は1,000mW(IEC)

ケーブルはリケーブル仕様。独自の2.5mm端子を使用している。プレーヤー側の端子はL型の3.5mm標準タイプ。ケーブル長は1.5m

なお、ヘッドバンドとハウジングともに日本の職人が仕上げており、基本的にすべて国内生産であるところも本製品の大きな魅力と言える(イヤーパッドのみタイで生産されているという)。

主な付属品は本体のほか、ケーブルやポーチ

主な付属品は本体のほか、ケーブルやポーチ

「木」ならではのやわらかさと速さを感じさせる独特なサウンド

それでは、実際の音をチェックしていこう。Astell&Kernのオーディオプレーヤー「AK380」に直差しして聴いてみる。ノラ・ジョーンズの「Feelin’ the Same Way」(192kHz/24bit)を聴いてみたところ、全体的にスピード感のあるサウンドが特徴的。と言っても、金属系のハウジングが持つ高レスポンスとは違う、ややゆったりめで、ゆっくりと減衰していくような木ならではの自然な響きを感じる。高域もレスポンスが速めで音抜けもしっかりしているため、クリア感は高い。低域はTOTOの「I Will Remember」(44.1kHz/16bit、CDリッピング音源)の冒頭のドラムソロではやや音が平坦な印象を受けるが、チェロの低音では沈み込むような音をリアルに表現できている。いっぽう、打ち込み系の楽曲ではどうか。ZAQの「LoSe±CoNtRoL」(44.1kHz/16bit、CDリッピング音源)を聴いてみたところ、もともとの高域の抜けのよさもあってかかなり健闘していた。とはいえ一音一音の粒立ちやキレのよさは物足りない感じがする。音源ジャンルによる得手不得手がややありそうだ。ボーカルはほかの音に埋もれることなくしっかり届けてくれる。原音忠実タイプというよりは、ブナの特性を変な味付けをせずそのまま感じさせてくれる製品だと思う。

まとめ

本製品は本体のほぼすべてに国産のブナ材を使い、日本の職人の手によって仕上げているという徹底したこだわりぶり。その上で音のチューニングにも妥協が感じられない。価格は同社の通販ページで31,800円(税込)とやや高めだが、リケーブル可能な点もポイントが高い。万人にすすめられるモデルとは言えないが、ここまで木にこだわったヘッドホンで、音も見た目もよく、かつポータブルもできそうな製品はほかにはない本機の魅力と言えるだろう。

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

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2017.11.17 更新
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