本格的な音質と質感高さ、趣向を凝らしたアクションに注目!

宙に浮くスピーカー「Mars」を本格検証!

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ユニークな発想を採り入れたデザインコンシャスなオーディオ機器を送り出すcrazybaby社が開発し、「宙に浮くスピーカー」として話題の「Mars(マース)」。日本でもテスト販売やクラウドファンディングで注目を集め、本格的な販売がいよいよはじまる。

実のところ、筆者はその存在を把握はしていたものの、「オモチャだろう……」とたかをくくってスルーしてきたのだが、本物に触れてビックリ! UFOのようなスピーカーが宙に浮かぶ姿を目の当たりにすると、手品のような驚きと未来を感じずにはいられなかった。何より、本格的な音質と質感の高さ、数々の趣向を凝らしたアクションや洗練度の高いアプリなど、ハイクオリティーで価格以上の出来映えなのだ。今回は、この感動をお伝えすべく、製品の詳細をご紹介したい。

Marsの高さは約30cm。電気ポットくらいの大きさ。発売は4月中旬予定で、価格は48,600円(税込)の見込み。crazybaby日本総販売代理店のバリュートレードが取り扱う。問い合わせはinfo@v-trade.co.jp

まるでUFOと基地

世にも不思議な「Mars」だが、家電製品のジャンルに照らすと「バッテリー内蔵のポータブルBluetoothスピーカー」と言える。「Craft」と呼ばれる宙に浮く円盤と、円筒型の土台「Base」の2つで構成されるのだが、小さい円盤のほうが意外にも本体。土台はマザーシップ(円盤)にコントロールされている基地とでも言えるだろうか。正確には、円盤が独立したBluetoothスピーカーとして機能し、土台は円盤からの指令で浮上や下降をコントロールする。音楽信号を受けてサブウーハーを駆動し、迫力のある重低音サウンドを奏でるのも土台の役割だ。

充電は土台にACアダプターを接続するだけでOK。土台もバッテリー駆動できるほか、円盤の充電は、円盤のバッテリー残量が10%以下になると自動で着陸し、ワイヤレスで給電が行われる。

実物を手にして気付くのが質感のよさ。円盤の天面と土台の外周は肉厚の金属素材で、少し高級なホテルやレストランに置いてあってもインテリアとして違和感はないだろう。「オモチャ」ではなかったのだ。

「Craft」と呼ばれる円盤の直径は約12cmの手の平サイズ。厚さは4cm

「Craft」と呼ばれる円盤の直径は約12cmの手の平サイズ。厚さは4cm

土台の「Base」はバッテリー内蔵。給電用USB端子を備え、モバイル機器への充電も可能

土台の「Base」はバッテリー内蔵。給電用USB端子を備え、モバイル機器への充電も可能

感動的な「浮遊感」、いや本当に「浮遊」

約2cm浮上!

約2cm浮上!

本製品の肝である「浮遊」も、そのフィーリングは、多くの読者の想像を超えること請け合いである。写真だと実感が沸きにくいが、電源を投入すると約2cm浮上する。浮上のメカニズムは磁力の反発。円盤と土台の両方に強力な永久磁石が内蔵されていて、土台の磁石機構をモーターで上下させることで、円盤の上下動をコントロールしているようだ。浮上動作中は、ウインウイン……とメカ音が聞こえ、円盤もユラユラする。しかし、浮上が終わると、空中にピタッと静止。未来感がハンパではない。バランスを崩さないように気を付ければ、円盤を皿回しのように回転させることができ、摩擦がない分、長時間回り続ける様も不思議な感覚だ。

磁力の反発を利用し、絶妙なバランスで浮上しているので、土台が傾いたり(※メーカーは傾斜3度以内での使用を指定)、また、円盤を1cmでもズラすと、墜落して「ガチャッ」と土台部分にくっついてしまう。なお、円盤も土台も強力な磁力を発しているので、磁気ストライプを用いたクレジットカード、電子機器、鍵など磁気を帯びやすいモノは近づけてはいけない。取扱説明書には30cm以上離すように記載があり、その辺りは予めご留意を。

実際に使ってみた

まずはBluetooth接続。音楽を再生する装置として今回は「iPhone 7」(AAC接続)を利用した。もちろんAndroid端末でもパソコンでもOKで、対応機器なら、高音質で定評のある音声コーデック「aptX」が利用できる。

円盤の底面にある電源ボタンを長押しするとペアリング待ち状態になる。接続が確立すると、円盤の周囲にめぐらされたLEDが点灯して教えてくれる。

裏面に電源操作兼ペアリングボタンを備える

裏面に電源操作兼ペアリングボタンを備える

ペアリングが完了したら、円盤を土台に乗せる。磁力で円盤が土台のエッジ周辺にくっつきそうになるが、円盤底面の凹みを土台天面のセンターにある凸部にはめると、ピタッと落ち着いて準備完了。

浮上は、磁力による吸着と反発の絶妙なバランスの上に成り立っているようで、位置合わせが肝心だ。土台の電源を入れると、モーター音とともに、円盤が絶妙な速度で浮上する(下動画)。

絶妙な速度で離陸する円盤部

ちなみに、円盤を取り去ったり、接触などでバランスが崩れて円盤が墜落した場合は、土台の磁力機構が自動で下降して、再度、円盤を乗せられるようにしてくれる。ユーザーがバランスを気にする必要は一切ない。こうした気の効いた仕組みがユーザーに余計な負担を強いず、「不思議」な体験のみを鮮明に楽しませてくれるのだ。このようなアイデアを実用的なカタチにまとめるのは、相当な試行錯誤の積み重ねがあったことだろう。完成度の高さに敬意を表したい。

音質も本格的!

一般的にデザインを重視した製品や、おもしろ機能を売りにしたオーディオ製品は、音質面でオモチャ的なケースが多い。しかしこの「Mars」は、充分な音質性能を備えていて驚かされた。crazybaby社の公式ホームページでは、数々の大手オーディオメーカーで設計を手がけたShige Okazaki氏なるエンジニアが監修している旨の記述があるが、少なくとも、オーディオをきちんと理解し、相当ハイレベルな技術が注ぎ込まれているのは間違いない。

円盤単体でも音楽を聴くことができ、crazybaby社は、磁力の吸着を利用して冷蔵庫に貼り付けたり、ポケットに入れて携帯したりといったリスニングスタイルも提案しているが、正直なところ、フロアノイズ(小音量の“サーッ”というノイズ音)が耳につき、低域の量感も限定的で、筆者としてはあまりおすすめできない。

マグネットが超強力で冷蔵庫の扉にガッチリと吸着した

マグネットが超強力で冷蔵庫の扉にガッチリと吸着した

しかし、円盤を土台に乗せて浮上させると、フロアノイズが気にならないレベルまで低減し、透明感の高いサウンドに生まれ変わる。土台に乗せた状態で、最適になるよう設計されているのだろう。浮上によって、音質に大きな影響を与える“振動”を完全に断ち切ることができるのも見逃せない。強力な磁力を用いているので、さまざまな困難があったはずだが、この浮上は音質面でも画期的な試みと言える。

また、土台に内蔵されたサブウーハーも優秀。円盤を音質面でもしっかりさせるパワーと質を備え、輪郭の整った上質な重低音は価格以上の品位と言える。

アプリでさらに楽しく! 機能性も充実!

浮上というコンセプト、外観や質感、音質にすぐれた本機だが、機能の豊富さとアプリデザインの洗練度の高さにも驚かされる。本体同様、未来を感じるものだ。

アプリを立ち上げると、宇宙を思わせるモノトーンの画面が現れる。機能メニューはたくさん用意されているが、中でも、Levitation Control、Light Belt、EQそしてAuto Volumeといった項目が目を引く。

iPhone用アプリ「crazybaby」のメニュー画面

iPhone用アプリ「crazybaby」のメニュー画面

Levitation Controlでは、円盤の「浮上」または「着陸」を指令できる。操作を行うと、ゆっくりと浮上または着陸し、客人に自慢するには持ってこいの機能だ。

Light Beltでは、円盤のエッジに張り巡らされたLED照明の点灯パターンを4種類から選択できる。円盤は自動で回転しないが、LEDのライトが流れるように点灯することで、回転しているかのような感覚が得られ、“UFO感”の演出に一役買っている。

流れるLEDライトの演出がUFO感を高める

EQでは、Bass/Indoor/Outdoor/crazyEQそしてCustomが選択できる。プリセットを選択すると、波紋が広がるようなグラフィックの演出も憎い。ちなみにCustomは、5バンドのイコライザーで、無段階に近く任意に調整できる。

アプリ「crazybaby」のイコライザー選択画面

アプリ「crazybaby」のイコライザー選択画面

Auto Volumeをオンにすると、スマホなどの再生機器が近くにあれば自動で音量を絞り、遠ざかると音量をアップする。Bluetoothの電波強度を検知してコントロールしているようだが、近づくとうるさくなく、離れてもしっかり聞こえ、また距離に応じた音量のコントロール感も絶妙。ただし、椅子に腰掛けて移動しないような状況で、何らかの影響で電波強度にブレが生じると、音量が変わって違和感を覚えるときもあった。シチュエーションに応じてオン/オフを切り替える必要はあるが、ユニークで未来を感じる機能だ。

アプリ「crazybaby」のAuto Volume設定画面

アプリ「crazybaby」のAuto Volume設定画面

さいごに

オーディオファンにとっては、左右のスピーカーで立体的な音場を得るステレオが常識だが、近年のスマホを中心としたライトなユーザーにとっては、スピーカーとスピーカーのど真ん中でじっくり腰を据え、長時間音楽を鑑賞するというスタイルは古典的と言える。本機のようにモノラルで360度音を放つスタイルは、部屋のどこにいても比較的均質な音楽体験ができ、「ながら聞き」には適している。

円盤が浮遊する様子は見て楽しく、客人を驚かせたり、小規模な店舗でインテリアとしても映えるだろう。「Mars」は、毎日の生活を楽しくしてくれ、全方位で完成度の高い好製品だ。

おまけ:円盤の浮上力は強力で、数十グラムのモノなら上に乗せることができた。手で回転させると、摩擦が無いのでスムーズに長時間回り続ける。アイデア次第でいろいろ楽しめる

鴻池賢三

鴻池賢三

オーディオ・ビジュアル評論家として活躍する傍ら、スマート家電グランプリ(KGP)審査員、家電製品総合アドバイザーの肩書きを持ち、家電の賢い選び方&使いこなし術を発信中。

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2017.3.25 更新
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