日本国内では5月頃の発売を目指す

CHORDがハイエンドポータブルDAC新モデル「Hugo 2」とMojoをDAP化できる専用モジュール「Poly」を国内正式発表

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アユートは2017年3月16日、英Chord Electronics(以下、CHORD)の新製品発表会を都内で開催。ハイエンドポータブルDACアンプ「Hugo」の後継モデルとなる「Hugo 2」と、小型ポータブルDACアンプ「Mojo」に接続することで、さまざまな機能を追加できるMojo専用モジュール「Poly」を日本で正式発表した。ここでは、発表会での内容を中心に、新製品の特徴をレポートしたい。

“WTAフィルター”をさらに強化したHugo 2。再生スペックもHugoからパワーアップ

2014年に「DAC64」の20周年記念モデルモデルとして発売されたHugo。その後継モデルとして今回発表されたのがHugo 2だ。同社のDACは、一般的なDACチップを使わず、汎用のFPGA(field-programmable gate array)を使って独自のアルゴリズムを動かし、最終的にパルスアレイDACでアナログデータに戻すという独自の方式を採用し、その卓越した高精度なDA変換は高い評価を得てきた。その高精度なDA変換を支える技術のひとつが、「WTA (Watts Transient Aligned) フィルター」と呼ばれる独自のデジタルフィルターだが、今回登場したHugo 2では、このWTAフィルターを強化したのが最大の特徴となっている。

Hugo 2(シルバー)

Hugo 2(シルバー)

DACは、デジタルデータから得た階段状の波形から元のアナログ波形に限りなく近い滑らかな波形に戻すため、デジタルフィルターを用いて階段状の波形の間を補完している。一般的なDACの場合、このフィルター処理を行う際に時間軸方向のタイミングで100マイクロ秒以上の誤差が生じてしまい、この誤差が最終的に音に影響を与えているという。同社のDACでは、この時間軸方向のタイミングのずれを最小限に抑えるため、WTAフィルター呼ばれる独自のデジタルフィルターを採用。データを高速に並列処理できるFPGAの特性を生かし、デジタルフィルターのひとつであるFIRフィルターのタップ数(処理回数)を増やして細かく補完することで、タイミング精度を高めている。

FPGAを使って膨大な計算を高速に並列処理し、元のアナログ波形に限りなく近い波形を実現しようというのがCHORDのDACの大きな特徴だ

タップ数が多ければ多いほどタイミング精度が高まるため、同社のDACは世代を追うごとにタップ数が増えてきた。Hugo 2もこれまでのHugoと比べて約2倍となる49195タップ、16FSのWTAフィルターが新たに採用され、Hugoからさらにタイミング精度が向上。最終的に81ナノ秒という高精度を実現できたという。

ちなみに、Hugo 2に使われているFPGAは、Mojoと同じXilinx社の「Artix7」。Mojoでは、ポータブルでの利用を想定し、サイズ感やバッテリーの関係からFPGAの性能を100%活用できていなかったが、Hugo 2では100%フルの性能を発揮できるようになったとのことだ。

発表会には、WTAフィルターの名前の由来にもなっている開発者のロバート・ワッツ氏が登場。新製品の技術的な優位点をアピールしていた

また、WTAフィルターの改良に加え、88.2kHzを超えるハイレゾ音源の残留ノイズを取るために、Hugo 2にはHFフィルターも新たに追加された。このHFフィルターとWTAフィルター(前段と後段)のON/OFFの組み合わせにより、4種類のデジタルフィルター機能を使えるようになったのもユニークなポイントとなっている。

WTAフィルターとHFフィルターの組み合わせで4通りのデジタルフィルター機能を新たに実装した

WTAフィルターとHFフィルターの組み合わせで4通りのデジタルフィルター機能を新たに実装した

本体については、航空機グレードのアルミニウムシャーシを採用した新しいデザインとなり、入出力インターフェイスも変更された。また、ポータブル環境だけでなく、自宅のホームユースでの利用も想定し、本体天面から側面にかけて赤外線受光部を設け、赤外線リモコンを標準で搭載したのもポイントだ。本体サイズは約100(幅)×130(奥行)×22(高さ)mm。重量は約450gとなっており、Hugoより若干重くなっている。

Hugo 2(ブラック)

Hugo 2(ブラック)

重量は、前モデルから若干増えている

重量は、前モデルから若干増えている

付属の赤外線リモコン

付属の赤外線リモコン

入力インターフェイスは、USBと同軸デジタル、光デジタルを各1系統装備。Hugoでは、「SD USB」と「HD USB」の2系統のUSBを備えていたが、今回からUSBは1系統にまとめられている。USB接続時の再生スペックはHugoからパワーアップしており、PCMは768kHz/32bitまで、DSDはDSD512までのネイティブ再生が可能だ。なお、同軸デジタルは384 kHz/24bitまで、光デジタルは192kHz/24bitまでのサポートとなる。

ヘッドホン出力は、3.5mmステレオミニと6.3mmステレオ標準を各1系統搭載。出力段に新型デジタルDCサーボを採用し、より高い出力性能とさらなる低歪みを実現しているという。また、RCAのアンバランス出力も1系統装備。aptX対応のBluetoothも備えている。

本体側面。USBはデータ通信用と充電用の2系統用意している

本体側面。USBはデータ通信用と充電用の2系統用意している

USB入力のある側面の反対側。USB以外の入力と出力はこちらにまとまっている

USB入力のある側面の反対側。USB以外の入力と出力はこちらにまとまっている

内蔵バッテリーのサイズは2,600mAh。バッテリー充電時間は約4時間で、駆動時間は約7時間となる。ボディカラーは、Hugo同様にシルバーとブラックの2色をラインアップする。

現時点で発売日は未定だが、日本では5月頃の市場投入を目指しているという。グローバルでの価格は1800ポンドとアナウンスされており、現在の為替と消費税を考慮すると、日本では20万円台後半の価格が予想される。

MojoにSDメモリーカードプレーヤー機能などをあとから追加できるPoly

Polyは、小型ポータブルDACアンプとしての機能しかもたないMojoに取り付けることで、さまざまな機能をあとから追加できるMojo専用モジュール。Mojoとの接続にはUSBを利用する。名前はギリシャ語の「多い」に由来するという。

Mojo(写真左)とPoly(写真右)

Mojo(写真左)とPoly(写真右)

Poly本体にはmicroSDメモリーカードスロットや無線LAN、Bluetooth機能を備えており、microSDメモリーカードスロット内の楽曲再生や、DLNA機能やAirPlayを使った楽曲再生を楽しめる。DLNAのサーバーとしても機能も有しており、microSDメモリーカード内の楽曲を同一ネットワーク内の他のDLNAデバイスから参照することも可能だ。また、楽曲再生ソフトの「Roon」に対応し、RoonReady端末として利用できるのも面白いポイントだ。なお、Roonで利用する場合は、あらかじめモードを選択しておく必要がある。

SDメモリーカードプレーヤー機能やDLNA機能、AirPlay機能などを後から追加できる

SDメモリーカードプレーヤー機能やDLNA機能、AirPlay機能などを後から追加できる

話題のroonにもしっかりと対応してきた

話題のroonにもしっかりと対応してきた

Polyそのものにはコントロールボタンなどはいっさい用意されておらず、上記のような機能を利用するには、スマートフォンなどを使ってネットワーク経由でコントロールする形となる。ちなみに、microSDメモリーカードの楽曲再生には、MPD(Music Player Daemon)を採用しており、MPD対応のサードパーティー製アプリを使ってコントロール可能となっている。

SDメモリーカードスロットや、本体充電用のUSB端子は本体側面に用意

SDメモリーカードスロットや、本体充電用のUSB端子は本体側面に用意

また、Bluetoothを使って、スマートフォンの楽曲を直接再生することも可能。ただし、こちらはよりライトに音楽再生を楽しめるような“おまけ”的な機能として実装したものということで、aptXやaptX HDといった高音質Bluetoothコーデックは残念ながら非対応となっている。

本体は、Mojoと同じ航空機グレードのアルミニウムシャーシを採用。本体サイズは、約62(幅)×50(奥行)×22(高さ)mmで、重量は約100gとなる。内蔵バッテリーのサイズは2,200mAh。バッテリー充電時間は約4時間で、駆動時間は約9時間だ。対応ファイルは、WAV/FLAC/AIFF/ALAC/AAC/OGG/WMA/MP3。PCMは768kHz/32bitまで、DSDはDSD512までをサポートする。

Polyの主な仕様

Polyの主な仕様

こちらも、現時点で発売日は未定だが、Hugo同様に日本では5月頃の市場投入を目指しているという。グローバルでの価格は499ポンドだ。

MojoとPolyを合体させた状態で手に持ってみたところ

MojoとPolyを合体させた状態で手に持ってみたところ

合体後のMojoとPolyをまとめて保護する専用ケースも用意されていた

合体後のMojoとPolyをまとめて保護する専用ケースも用意されていた

遠山俊介(編集部)

遠山俊介(編集部)

PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。

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2017.6.21 更新
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