レビュー
RAWムービー撮影ができる10万円台シネマカメラをYouTuber目線でチェック

超絶コスパで業界騒然のシネマカメラ「BMPCC4K」レビュー!

Blackmagic Designは、約68万円のハイエンドシネマカメラ「Blackmagic URSA Mini Pro」やスタジオ機材、キメ細やかなカラーグレーディングが可能な編集ソフト「DaVinci Resolve」などを販売するメーカーです。完全なる“ガチ勢”であり、プロフェッショナル向けの映像制作ソリューションを提供する会社です。

そんな同社が「エントリーユーザーにもシネマカメラ並みの性能を体験してほしい」という思いで販売しているのが「ポケットシネマカメラシリーズ」。その最新モデルとなるのが「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K」(以下、BMPCC4K)です。4K DCI(4096×2160)での撮影に対応し、プロ用シネマカメラと同等のCinemaDNG RAW(非圧縮、3;1、4:1)、ProRes(422 HQ、422、422 LT)といったコーデックに対応することで、カラーグレーディングを始めとした本格的なポストプロダクション作業に適した映像データを撮影できるのが特徴です。

約15万円でシネマカメラ並の性能を備え、さらに編集ソフト「DaVinci Resolve」がセットになった「BMPCC4K」

約15万円でシネマカメラ並の性能を備え、さらに編集ソフト「DaVinci Resolve」がセットになった「BMPCC4K」

記事作成時点の値段は154,830円(税込)となっており、フォーサーズセンサーを搭載した4K動画の撮影ができるカメラとしてはとても手頃な価格設定になっているのが特徴です。ちなみに、カメラ本体を購入すると編集ソフト「DaVinci Resolve」の有償版(約3万円相当)が付属してくるため、かなりお得感があります。

今回は「BMPCC4K」の実機をBlackmagic Designから借りられたので、実際に撮影をしてみた結果をレポートします。

なお、筆者はミラーレスカメラやスマートフォンで映像を撮りインターネットで公開することは多いものの、「RED」や「ARRI Alexa」などを使用するようなハイエンド・シネマ側の映像制作とは縁遠い人間です。そのため、この記事は「シネマカメラ入門者の視点」で書かれたものとしてお読みいただければ幸いです。

「BMPCC4K」で撮ってみた!

非圧縮ムービーの撮影ができる「BMPCC4K」の力を発揮させ豊かな色の映像を作ることを目指して、赤い五重塔や紅葉などを撮影してきました。

撮影日の気温は3℃くらいで、晴れ時々曇りというコンディションでした

撮影日の気温は3℃くらいで、晴れ時々曇りというコンディションでした

今回の撮影に使用したレンズはオリンパスの「ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」です。「BMPCC4K」は手ブレ補正機能を搭載していないため、レンズ内手ブレ補正を搭載しているレンズをチョイスしました

「BMPCC4K」で実際に撮影した映像、および編集している様子は以下の動画から確認いただけます。編集ソフトは付属の「DaVinci Resolve」と「Adobe Premiere」を使用しました。

設定次第では「BMPCC4K」単体でもコントラストが高くハッキリした色の動画を撮影できますが、今回はポストプロダクション前提で撮っているため、Logで撮影を行なっています。Logで撮影したデータはポストプロダクションでの可変幅を大きくするために撮って出しの状態ではコントラストが低く色もハッキリとしない映像になりますが、これを後から編集することで自分好みの映像を作り上げられます。

つまり、本機の本領は“撮って出しではなく編集ありき”で発揮されるというわけ。そのため、編集ソフト「Davinci Resolve」が付属するんです。上記の動画では動画編集の作業風景も収めていますが、極端な話、編集により赤色の落ち葉を青色に変えてしまうことすらできます。それくらい自由自在に編集できるほど高ビットレートの映像データを撮影できることが「BMPCC4K」の特徴です。

ちなみに、筆者は最初にCinemaDNG RAWで撮影したものの、ファイルサイズが大きすぎて自前のPCで編集できないという問題に直面し、再撮影をすることに……。こういうこともあるので、記録データの形式は編集するPCのスペックを確認してから決めましょう。

同梱ソフト「DaVinci Resolve」の推奨環境

同梱ソフト「DaVinci Resolve」の推奨環境

「BMPCC4K」フォトレビュー

「BMPCC4K」は動画撮影に特化したミラーレスカメラです。静止画の写真撮影も可能ですが、一般的なスチルカメラでシャッターボタンがある位置に録画ボタンがあるなど、動画撮影メインで使用することを前提に作られた製品です。

盛り上がった筋肉を連想するようなデザインがいかにも頼もしいですが、カーボンファイバー・ポリカーボネート製の外装は手に持った際にややチープな印象を受けました。とはいえ、15万円前後という価格のシネマカメラであることを考えれば不満はありません。

決してポケットサイズではありませんが、4Kシネマカメラを標榜する製品としてはコンパクトです

決してポケットサイズではありませんが、4Kシネマカメラを標榜する製品としてはコンパクトです

センサーサイズはフォーサーズ(4/3型)で、4K(4096x2160)/60pでの動画撮影が可能です。13ストップという広いダイナミックレンジを持ち、CinemaDNG RAW(非圧縮/3:1/4:1)、ProRes 422(HQ/LT)などのコーデックで撮影が可能。MP4やMOVなどに比べてデータ圧縮がない、もしくは圧縮率が低いため、編集時に思い通りの映像加工ができます。

なお、センサーシフト式の手ブレ補正は非搭載です。

レンズマウントはマイクロフォーサーズ規格で、オリンパスやパナソニック製の同規格のレンズが取り付けられます。また、アダプター(別売り)を装着すればキヤノンやニコン、ペンタックスのレンズにも対応します

ディスプレイサイズは5インチ(1920x1080)で、タッチ操作に対応。日中、太陽の下で見ても視認性は高く、一般的なカメラに比べて画面面積も広いので実用的なレベルでフォーカス合わせなどに使用できます。

背面に広がる大きなディスプレイは、シンプルでわかりやすいUI。十字キーやジョイスティックでの操作を潔くあきらめている分、タッチ操作は快適です

ファンタム電源対応のミニXLR入力(1系統)を備えスタジオ用マイクに対応するほか、USB Type-C経由で接続した外付けSSDに映像を記録できます。

もちろん、基本的なマイク入力、ヘッドホン端子、HDMI出力などのポートもきっちり備えています。

ポート類はカメラ左側にまとめられています

ポート類はカメラ左側にまとめられています

記録メディアはSDメモリーカードとコンパクトフラッシュに対応。SDメモリーカード(UHS-II)はProRes/30p、コンパクトフラッシュ(CFast)には12-bitのRAW/60pで記録できます。

三脚などに取り付けたまま、メディアの交換が可能な設計

三脚などに取り付けたまま、メディアの交換が可能な設計

軍艦部のボタン類はやや小ぶりながら、余裕を持って配置されているので押しづらさはありません。

グリップはボリューム感あり。筆者を含め、平均的な日本成人男性の手の大きさにはちょうど握りすいサイズです

レンズマウント下部には排熱用のスリットがあります。このおかげか、熱暴走による撮影中断は起きませんでした。とは言え、今回の撮影は秋の涼しい日で最長でも3分くらいしか連続撮影をしていないので、真夏の炎天下などでは状況が異なるかもしれません。

三脚を取り付けるネジ穴は金属製。このあたりは抜かりのない作りです

三脚を取り付けるネジ穴は金属製。このあたりは抜かりのない作りです

まとめと感想
〜Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K〜

YouTubeなどのインターネットで配信される動画は、これまで「質より量」という傾向が強かったものの、昨今はシネマティック系と呼ばれるクオリティにこだわった動画を公開するクリエイターが注目を集めています。そのため、これまでは「シネマカメラと言えば、ガチプロかマニアのためのものでしょ?」という感じで見られていたものが、プロシューマーからハイアマチュアの中でも注目を集める存在となりつつあります。

「ハイクオリティな映像」とひと口にいってもその種類はさまざまですが、目を引くトランジションやスタイリッシュな音楽、そしてカラーグレーディングなどが共通する特徴してあげられます。昨今はミラーレスカメラやスマートフォンですらLog形式での撮影に対応するなど、ポストプロダクションに適した動画データの撮影に対するニーズに応える製品が増えつつありますが、12bitのRAWで撮影ができる「BMPCC4K」はその中でも特筆すべき存在です。

実際に撮影したデータを編集する際にも、色やコントラストを破綻なく調整できる幅がとても広いことが実感できました。15万円前後という価格も、RAWで撮影できるシネマカメラとしては圧倒的に安価なので、カラーグレーディング作業まで念頭においてコスパの高いカメラを買うなら、これで決まりと言える1台です。

いっぽうで、「撮影した映像を撮って出しでSNSにシェア」「楽ちん、失敗なし」というスマホやコンデジのカメラではないため、手軽にお子さんの運動会やペットの撮影をしたい方には向かない、クセの強いカメラであるとも言えます。

というわけで、風景撮影やブツ撮り、インディー映画の制作、舞台撮影、シネマティック系YouTuberなど、手間暇かけて自分の映像を作り込みたい方は、絶対に見逃せない製品です。

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Mr.TATE(Masahira TATE)

Mr.TATE(Masahira TATE)

世界50カ国以上を旅したバックパッカー。週間アスキー編集部などを経て、AppBankに入社。「バイヤーたてさん」として仕入れとYouTubeを活用したコンテンツコマースに取り組み、上場時は広報として企業PRを担当。現在はフリーランスで活動中。

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