DJIから折りたたみ機構を備えたミッドレンジの空撮用ドローン「Mavic Air 2」が登場しました。今回はその実機をDJIからお借りし、2年前に発売された前モデルの「Mavic Air」や上位モデルの「Mavic 2 Pro」とのスペック比較を行いました。
また、カメラの撮影テストも行ったので、その結果もレポートします。なお、レビュー時点では、首都圏の一都三県に外出自粛要請が出ているため、屋外での飛行テストなどは行っておりません。
なお、「Mavic Air 2」の動画レポートは以下からご確認ください。
DJIの空撮用ドローン「Mavic」シリーズは、モデル分けが細分化されており、値段が安い順に「Mavic mini」Mavic Air」「Mavic Air 2」 「Mavic 2 Pro」というラインアップになっています。
約4万円のエントリーモデル「Mavic mini」に始まり、10万円台の「Mavic Air」シリーズが続き、20万円前後の「Mavic Pro」シリーズが折りたたみドローンの最上位モデルとして存在する、というのがこのシリーズの構成です。
「Mavic」シリーズの中でもミッドレンジに当たる人気モデル、初代「Mavic Air」が登場したのが2018年。その約2年後となる2020年に大幅な性能強化がなされた「Mavic Air 2」が発売されました。
本項では「Mavic Air」新旧2モデルに、上位モデルとなる「Mavic 2 Pro」を加えた3モデルのスペック比較をしてみたいと思います。
「Mavic Air」と比べ、「Mavic Air 2」は本体幅が約70mm大きくなり、重量が約140g増加しました。ただし、飛行時間が13分も長くなったことを考えれば、ムダな大型化ではありません。また、重量増があったとは言え、「Mavic 2 Pro」と比べれば約337gも軽いため、携行性は依然として十分に高いと言えます。実機を持ってみた印象でも、さすがにポケットサイズとまでは言えないものの、「カメラバッグに入れて持ち運ぶにはコンパクトだな」というサイズ感でした。
画面が5.8インチの「iPhone XS」と比較すると、「Mavic Air 2」のコンパクトさがよくわかります
「Mavic Air 2」のカメラ性能は大幅にスペックアップが図られ、すべての点において前モデルを超えているだけでなく、約8万円の価格差がある上位モデルの「Mavic 2 Pro」をも超える“下克上”を果たしてしまいました。
「Mavic 2 Pro」と比べて「Mavic Air 2」は有効画素数、4K動画のフレームレート、動画のビットレートで上回っている点は大きな驚きです。動画性能の大幅なスペックアップにより「Mavic Air 2」は、トラベルやアウトドアなどの撮影用ドローンとして、非常に魅力的な製品に仕上がっています。
「Mavic Air 2」は、本体やカメラのスペックアップのみならず、新機能として「スマートフォト」や、「8Kハイパーラプス」なども追加されています。「スマートフォト」は、夕焼け、空、草地、雪、森林という5つのシーンを認識して最適なカメラパラメーターを自動で設定する「シーン認識」、低照度下でも明るく、ノイズの少ない写真が撮れる「ハイパーライト」、そして「HDR」という3つの撮影モードを統合した機能になります。
「8Kハイパーラプス」は、文字通り8Kでのハイパーラプス撮影に対応しており、撮影モードを選ぶだけで、撮影後の編集作業は専用アプリが行ってくれるというものです。
また、被写体を自動で追尾したり、周りを旋回しながら撮影を行うトラッキング機能も改善され、従来ではターゲットを見失ってしまうような状況でも、正確にとらえ続けることが可能になっているとのことです。
いっぽうで、「Mavic Air 2」のカメラが「Mavic 2 Pro」よりが劣る点としては、センサーサイズが小さいこと、F値(絞り)が固定であることなどがあげられます。また、動画撮影時にダイナミックレンジを広めにとったデータを記録し、ポストプロダクションで編集をしやすくするLog形式での撮影には対応していません。
この辺りは、映像表現に関わるポイントなので、撮影した動画をガッツリ編集したいというコダワリ派の人は「Mavic 2 Pro」を選ぶのがよいでしょう。しかし、編集時にコントラストや色はあまりいじらないという人であれば、迷わず「Mavic Air 2」を選んで問題ありません。
この記事を作成している2020年の5月中旬は新型コロナウィルス感染症の影響により首都圏の一都三県には外出自粛要請が出ているため、本記事におけるテストは、スタジオと庭先でドローンを手持ちしての撮影となりました。実際の飛行ができないので、ドローンのインプレッションとしては少し物足りませんが、ご理解いただければと思います。
まずは24色のカラーチェッカーをシャッタースピード1/100秒、F2.8、ISO400で撮影しました。色の見え方は極端に不自然ではありませんが、拡大していることを踏まえれば少しシャープさに欠ける印象はあります
すべてオート、4800万画素モードで撮影したJPEGの撮って出しです。全体的に自然な仕上がりで、シャープネスやコントラストが高いという、いかにもデジタルな絵作りではありません
自宅の庭とは言え、人口集中地区にあるため飛行はできず、手持ちでドローン撮影をするというトホホな状態でした。この写真はジャングルの空撮だと想像して、ご覧いただければ幸いです
夕方に少し暗めの場所を撮影したサンプルです。1/2サイズのセンサーに4800万画素を詰め込んだ仕様のためか、やはり光量が少ない場所だとシャープさが失われてしまいます。とは言え、拡大して見なければ極端に気になることはないレベルです
新機能の「スマートモード」で、同じ場所を撮影。こちらは全体が明るくなり、ノイズも目立たなくなっています。ただし、有効画素数が1200万画素になる点は注意が必要です
前モデルから大きくデザインが変わったプロポ(コントローラー)は、ふた回り近くサイズアップし、スマートフォンを上部に取りつける仕様になりました。サイズ増のおかげでホールド感は増しており、握り心地がよくなっています
安定した空撮ができるドローンとしては手頃な10万円台という価格、4800万画素のセンサーを備え4K/60fpsに対応する高性能なカメラ、持ち運びに便利な折りたたみ機構や400g台の軽量ボディなどを考えれば、「Mavic Air 2」は高いコスパを実現しており、初級者から中級者まで要チェックの1台です。
なお、外出自粛要請が解除された後には、飛行テストも実施する予定ですので、そちらもぜひご覧ください。
世界50か国以上を旅したバックパッカー。週刊アスキー編集部などを経て、AppBankに入社。「バイヤーたてさん」として仕入れとYouTubeを活用したコンテンツコマースに取り組み、上場時は広報として企業PRを担当。現在はフリーランスで活動中。