特別企画
センサークリーニングの必需品

正確に強く噴射したい!プロカメラマンが“使えるブロワー”を試行錯誤した結果

缶入りエアダスターに替わるものはないか

レンズ交換式デジタルカメラの欠点。それは、レンズ交換をするたびにマウントを開けるため、イメージセンサーにホコリなどのゴミがひんぱんに付着してしまうこと。

かつては「フロン12」を使った缶タイプのエアダスターが存在し、その強力な噴射は大変重宝していたが、その後はご存じの通り。地球温暖化抑止のため「フロン類」は全廃となり、現在では「缶入りエアダスター」は「ノンフロンタイプ」のものしか存在ない。

今回テストしたブロワー製品。左がホーザン「Z-268 ブロー」、右がサンワサプライ「エアダスター(不燃タイプ) CD-ADE1BK」

今回テストしたブロワー製品。左がホーザン「Z-268 ブロー」、右がサンワサプライ「エアダスター(不燃タイプ) CD-ADE1BK」

地球にやさしいことは大いに結構だが、この「ノンフロンタイプ 缶入りエアダスター」は、噴射力がとても弱く、手動式ブロワーと変わらないくらいの風圧しかないのが欠点。すぐになくなる非力な缶タイプをわざわざ買うのもいかがなものかと悩んでいた。

そんな経緯から、ブロワー的なものに私の物色センサーが普段から働いており、その中でも「カメラ用品ではない2種の吹き飛ばす道具」が、気になり始めてしまった。

そしてしばらく悩んだ末、今回、思い切って買ってみることにした(いわゆる「人柱」)。

その「非カメラ用品系」の吹き飛ばす道具2種が今回の主役であるサンワサプライ「エアダスター(不燃タイプ) CD-ADE1BK」と、ホーザン「Z-268 ブロー」だ。

この2種の非カメラ系の道具は”はたして「センサークリーニング」に使えるのか?”を、テーマに話を進めることにする。

サンワサプライ「エアダスター(不燃タイプ) CD-ADE1BK」の主な特徴

サンワサプライのエアダスター CD-ADE1BKは、主にPC周りやエアコンのホコリを吹き飛ばすために使うもののようだ。このためメーカーのWebページには「カメラの清掃」についての用途は記されていない。

箱から本体を出してみると、ノズルはこのように収納されている。なるほど、使用時の形状だと持ち運びしにくいので、携行用のノズル穴を用意したというわけだ。

携行時はノズル保管穴にノズルを収納

携行時はノズル保管穴にノズルを収納

ノズルを噴射口に差し込んでから使用する。
ハンドルにあるトリガーを1回押し続けると「単発噴射」 (押してから1秒近くの遅延があるのが若干気になる)。

トリガー2回クリックで「連続噴射」、もう一度クリックすると噴射が停止する。
駆動音はかなり大きく、静寂を保つ必要がある場所ではとても使えるものではない。

各部の名称と役割(前面)

各部の名称と役割(前面)

ノズルの下にはLEDライトが装備されており、作業場所を明るく照らすことができる(ON/OFF可)。ちょっとしたことだが、この作業ライトはかなりありがたいものである。イメージセンサークリーニングで使えるとするならば、センサーが照射されるので、付着ゴミを発見しやすくなるからだ。

ただ、このLEDは緑っぽい光で安物感あり。まあ、これで撮影照明をするわけではないので、機能上の不備には当たらない。

使いやすい充電式

実は本製品、「充電式」ってところが重要なポイント。内蔵のリチウムイオンバッテリーは「3.7V 6000mAh」と、この手の内蔵バッテリーとしては十分な大容量(仕様では20分間駆動とされている)。バッテリーは「USB Type-C」ポートより充電する(短い「USB-C―USB-Aケーブル」が付属)。

各部の名称と役割(背面)

各部の名称と役割(背面)

ホーザン「Z-268 ブロー」の主な特徴

ホーザンは国内電子機器用工具の有名メーカー。「ラジオペンチ」「ニッパー」「半田ごて」などを製造しており、このブロワーは主に、電子基盤などに穴を開けた時に出る粉を吹き飛ばす用途とされている(こちらもカメラ用とは記されていない)。

ホーザン「Z-268 ブロー」

ホーザン「Z-268 ブロー」

形状はカメラ用のブロワーとほぼ同じ。しかし特殊なノズルが装備されており、「強/弱 切替え」が可能。最大圧縮圧は「30kPa」らしいが、この値が強いのかどうか、私にはわからない。

ノズルの仕組み

ノズルの仕組み

一般的なカメラ用ブロワーは、押し込むたびに「シュ〜シュ〜」と空気が連続的に噴射される。

一般的なブロワーの噴射イメージ

一般的なブロワーの噴射イメージ

対してこのZ-268 ブローの「強モード」は、押し込み始めは噴射されず、その臨界点を越えると「ポン!」と単発で「圧縮空気玉」が噴射される(連続押し込みで「ポン! ポン!」といったイメージ)。

 Z-268 ブローの噴射イメージ

Z-268 ブローの噴射イメージ

「エアダスター CD-ADE1BK」を
カメラに使う際の問題点-その1

「エアダスター CD-ADE1BK」は、内蔵されたファンを強力に回してノズルから風を送る仕組み。ここで気になるのは、この大きく開いた吸気口だ。

エアダスター CD-ADE1BKの大きな吸気口

エアダスター CD-ADE1BKの大きな吸気口

かなり強力に吸い込むため、このままでは室内の空気中に漂っているホコリまでもが吸気され、ノズルから“ホコリ混合空気”が吹き出すことになる。カメラのイメージセンサーにホコリを吹き付けていいものだろうか!? 当然、いいわけがない。

線香の煙を使って吸気を可視化

線香の煙を使って吸気を可視化

ホコリ混合空気への対策

“ホコリ混合空気”の対策として、吸気口に「フィルター」を付けることにした。最適な素材として選んだのは、不織布マスク。最近の不織布マスクにはPM2.5を濾しつつ空気の通りがいいハイテク素材を使用している製品があり、今回の吸気口へのフィルターに最も適した素材だと判断した。

不織布マスクを加工してフィルターを作成

不織布マスクを加工してフィルターを作成

なお、白ではなく黒を選んだのは、本体色に合わせたという単純な理由。デザイン性を気にしないのであれば、白の不織布マスクを使用してもよい(白だと吸着汚れが見え、交換時期がわかるというメリットがある)。

不織布マスクフィルター装着完成写真。※黒マスクを5×4cmくらいに切り取り、周りから空気が漏れないように、黒テープなどできっちり貼り付ける(マスクの3層構造をキープしたまま)

不織布マスクフィルター装着完成写真。※黒マスクを5×4cmくらいに切り取り、周りから空気が漏れないように、黒テープなどできっちり貼り付ける(マスクの3層構造をキープしたまま)

念のため、マスクフィルターを付けた状態でも吸気テストを行った。問題なく吸い込んでおり、パワーはさほど変わらない(駆動音が若干小さくなった)。ご時勢柄もあるのか、最近の不織布マスクは思った以上に高性能のようだ。

線香の煙を使い吸気を可視化(マスクフィルター装着後)

線香の煙を使い吸気を可視化(マスクフィルター装着後)

「エアダスター CD-ADE1BK」を
カメラに使う際の問題点-その2

「エアダスター CD-ADE1BK」のノズルの噴射口は約8mmとかなり大きい。通常のカメラ用ブロワーの噴射口は1〜2mm程度であることから、誰もが大きすぎると感じてしまうことであろう。イメージセンサーのクリーニングは、ある程度ピンポイントに噴射できることが求められるのだから、このままではよくないと考えた。

エアダスター CD-ADE1BKのノズル先端部(噴射口)

エアダスター CD-ADE1BKのノズル先端部(噴射口)

大きすぎる噴射口への対策

大きすぎるノズル口を小さくするにはどうしたらいいのか? 空気の流れをじゃましないような流線型の“追加ノズル”を付けてみたらどうかと考え、ボールペンの先端パーツに注目した(実は、これを探り出すのにかなりの時間を要してしまった)。

三菱鉛筆「SN-100-10.24 [VERY楽ノック ノック式 1.0mm黒インク ボールペン SN-100-10 黒]」

三菱鉛筆「SN-100-10.24 [VERY楽ノック ノック式 1.0mm黒インク ボールペン SN-100-10 黒]」

適当に選んだボールペンであったが、付けてみるとこの世のものとは思えないくらい”ジャストフィット”してしまうという奇跡が起こった(風圧で飛び出すことがないくらいの固定力だが、心配な方はテープ留めをおすすめする)。なお、先端穴の直径を計測したところ、2.3mmであった。

ボールペン先端パーツをノズルに装着

ボールペン先端パーツをノズルに装着

とりあえずボールペン先端パーツ(穴径2.3mm)を付けて噴射テストをしてみると、本体ハンドル部あたりの継ぎ目から、逆流した大量の空気が漏れ出してしまった!(さすがに逆流は予想していなかった)
そのため、噴射する力も極端に弱くなっている(噴射効率が悪くなってしまった)。 どうやら「穴径2.3mm」は小さすぎたようだ。

弱くなった噴射のイメージ

弱くなった噴射のイメージ

そこで、噴射穴を穴径3.5mmに拡張加工することに(3.5mmドリルで拡張し、240番サンドペーパーで仕上げた)。

ボールペン先穴を拡張加工

ボールペン先穴を拡張加工

できあがった「3.5mmノズル」を付けて噴射テストをすると、空気の逆流も抑えられ、元キャップ(穴径2.3mm)と比べて噴射力が格段に上がった。

センサークリーニングをするための改造完了

センサークリーニングをするための改造完了

「蒟蒻畑」に射出して風圧を比較してみた

ブロワーが仕上がったので、噴射風圧を可視化して検証できないかと考えた結果、下記のような、ノズル先を上下に調整可能な検証装置を作った。

ノズル位置が調整できる比較検証装置

ノズル位置が調整できる比較検証装置

かなりの弾力がある「マンナンライフの蒟蒻畑」の表面に、それぞれのブロワーから空気を噴射し、凹み具合で風圧の違いを探ろうといった検証だ。

実際のセンサークリーニングを想定してノズル先からの距離は「2cm」に設定。ちなみに、イメージしやすいようにセンサーの色に似た「ぶどう味」を選択した。(もちろん蒟蒻畑のフタは外し、また、凹みが見えやすいように容器の透明部分を黒テープで遮光して検証することにした)

マンナンライフの蒟蒻畑(ぶどう味)を噴射風圧のテストに使用

マンナンライフの蒟蒻畑(ぶどう味)を噴射風圧のテストに使用。実験終了後には美味しくいただいた

噴射風圧の比較検証

それでは噴射風圧の比較検証をおこなってみよう。
まずは、サンワサプライ「エアダスター CD-ADE1BK」の「3.5mmノズル改造版」から見ていこう。

比較検証の様子(エアダスター CD-ADE1BK 3.5mmノズル改造版)

比較検証の様子(エアダスター CD-ADE1BK 3.5mmノズル改造版)

風圧の可視化写真(エアダスター CD-ADE1BK:先端ノズル3.5mm改造版)

風圧の可視化写真(エアダスター CD-ADE1BK:先端ノズル3.5mm改造版)

左が噴射前の状態で、右が噴射写真である(以下、同様)。

「穴径3.5mmノズル」は、かなりピンポイントで噴射できているとわかる。弾力性が高い蒟蒻がここまで凹むということは、それなりの噴射風圧があると見てよい。

次に内部の弁で空気をため、「圧縮空気玉」を噴射する、ホーザン「Z-268 ブロー」の結果を見ていこう。

比較検証の様子(Z-268 ブロー)

比較検証の様子(Z-268 ブロー)

風圧の可視化写真(Z-268 ブロー)

風圧の可視化写真(Z-268 ブロー)

ピンポイントの力はかなり高い。ただし、単発の「圧縮空気玉」は噴射されないため、ていねいに狙う必要がありそうだ。この「圧縮空気玉」を噴射させる仕組みがセンサークリーニングに適しているかどうかはわからない。

ここで、みなさんが使っている「カメラ用の一般的なブロワー」でも試してみよう。

比較検証の様子(カメラ用の一般的なブロワー)

比較検証の様子(カメラ用の一般的なブロワー)

風圧の可視化写真(カメラ用の一般的なブロワー)

風圧の可視化写真(カメラ用の一般的なブロワー)

ピンポイントで狙えており、蒟蒻への噴射痕が一番深いのは意外だった。さすが、カメラ用に作られているだけのことはあるようだ。

さらに元に戻って「エアダスター CD-ADE1BK」の「穴径3.5mmノズル」を外して、製品純正の「ノーマルノズル(8mm穴)」にした結果も見てみよう(ノズルを外しただけなので、ほかより1cmほど離れている)。

風圧の可視化写真(エアダスター CD-ADE1BK ノーマルノズル)

風圧の可視化写真(エアダスター CD-ADE1BK ノーマルノズル)

風圧の可視化写真(エアダスター CD-ADE1BK ノーマルノズル)

風圧の可視化写真(エアダスター CD-ADE1BK ノーマルノズル)

風量は「穴径3.5mmノズル(改造版)」よりもあるようで、大きな凹みとなっている。ただ、ピンポイントで狙えていないところに問題があるように感じる。

噴射風圧比較検証のまとめ

ピンポイント噴射で一番深く凹ませているのは「一般的なブロワー」であることがわかる。
「Z-268 ブロー」も、ピンポイント噴射ではまずまず凹ませている。

「エアダスター CD-ADE1BK(ノーマルノズル)」は、深く凹ませているものの噴射範囲が広く、ピンポイント噴射とは言えない。「エアダスター CD-ADE1BK(穴径3.5mmノズル改造版)」は、ピンポイント噴射である程度凹ませている。

風圧の可視化写真(まとめ)

風圧の可視化写真(まとめ)

サンワサプライのエアダスターとホーザンのブローは
センサークリーニングに使えるのか?

噴射風圧だけ見ると「一般的なブロワー」が最も優秀だった。圧縮空気玉噴射の、ホーザン「Z-268 ブロー」も、イメージセンサーの清掃でそれなりに活躍してくれそうだ(一般的ブロワーでいい気がするのは否めない……)。

ただ、いずれの手動式ブロワーもゴム製のポンプを握って空気を噴射させる仕組みなので、握った時に噴出ノズル(プラ製)の位置が動いてしまい、噴射したい場所からズレてしまうという欠点がある。つまり「手動式は狙いが定まりにくい」ということ。

また、「ひと握りひと噴射」なので、何度も噴射させているとかなり疲れてしまうという欠点もある(握力が鍛えられるとも考えられるが……)。

「エアダスター CD-ADE1BK」は、噴射風圧が多少弱くても、連続噴射によって狙いが定まり、センサーのゴミを正確に落とすことができることの意味は大きい。また、搭載LEDライトおかげで「クリーニングポイントが見やすい」ことも見逃せない。

結論を言うなら、カメラのセンサークリーニング用途において、ホーザンのブローを積極的に選ぶ意味はあまりないが、サンワサプライの「エアダスター CD-ADE1BK」なら大いにアリだ。ただ、「ノズル口の小径化」はともかく、今回行ったホコリ混合空気を噴射させないための「吸気口フィルター装着」は必須ではないかと考える。それさえ行ってしまえば、極めて快適なクリーニングが楽しめるはずである。

ここで、エアダスターの購入を本気で考えている人のために、あえてデメリットをあげてみた。

× 駆動音がすごく大きいので、静寂な場所でこっそりとセンサークリーニングはできない(やかましいドライヤー並み)
× かなり大きい(500mlのペットボトルより大きい)のでカメラバッグに入れての携帯には向いていない(重さ約300g)
△ 起動するのに1秒程度のタイムラグがあり、少しイラつく

「エアダスター CD-ADE1BK」はかなりゴツい

「エアダスター CD-ADE1BK」はかなりゴツい

上記の注意点に留意し購入を検討するようにしてほしい。

最後に……イメージセンサーを清掃する時は「マウントを下に向けて行ったほうがいい」と、ソニー機の取説に記されていたことをお伝えして、本稿を終えることにする。

取説にはこのような記載が

取説にはこのような記載が

「エアダスター CD-ADE1BK」(左)、「Z-268 ブロー」(右)を使い、イメージセンサークリーニング

「エアダスター CD-ADE1BK」(左)、「Z-268 ブロー」(右)を使い、イメージセンサークリーニング

有限会社パンプロダクト代表 
中居中也(なかい・なかや)のショップとブログ
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中居中也

中居中也

銀塩カメラマンとして広告や雑誌でキャリア開始。2010年より「唯一無二の撮影機材通販」にも参入し、現在は「映像作家」としても活動中。写真が上手になると定評があるブログを参考にするカメラマン続出中!

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