レビュー

新世代「大口径プライム」の準広角レンズ、富士フイルム「XF23mmF1.4 R LM WR」レビュー

富士フイルム「フジノンレンズ XF23mmF1.4 R LM WR」(以下、フジノンレンズは省略)は、APS-Cミラーレスカメラ「Xシリーズ」用交換レンズ「XFレンズ」の新モデル。35mm判換算で焦点距離35mm相当の画角を持つ準広角レンズだ。従来モデルなどと比較しながら、その特徴をレビューしよう。

2022年2月24日に発売になった、「XFレンズ」の新しい準広角レンズ「XF23mmF1.4 R LM WR」(カメラボディは「X-T4」)

2022年2月24日に発売になった、「XFレンズ」の新しい準広角レンズ「XF23mmF1.4 R LM WR」(カメラボディは「X-T4」)

光学性能、AF性能、信頼性が向上した高性能モデル

「XF23mmF1.4 R LM WR」の主な特徴

・従来モデル以上の解像性能を持つ、「XFレンズ」の大口径・準広角レンズ
・焦点距離:23mm(35mm判換算35mm相当)
・開放絞り値:F1.4
・レンズ構成:10群15枚(非球面レンズ2枚、EDレンズ3枚)
・最短撮影距離(最大撮影倍率):19cm(0.2倍、35mm判換算約0.3倍相当)
・絞り羽根枚数:9枚(円形絞り)
・リニアモーターと小型フォーカス群の採用で高速AFを実現
・フォーカシングによる全長変化のないインナーフォーカス方式
・防塵・防滴・-10℃耐低温構造
・絞りリングやA(オート)ポジションロックを搭載
・フィルター径:58mm
・サイズ:約67(最大径)×77.8(全長)mm
・重量:約375g
・価格.com最安価格106,928円(税込、2022年3月31日時点)

富士フイルムは、「XFレンズ」の単焦点レンズを、大口径タイプの「大口径プライム」と、小型軽量タイプの「コンパクトプライム」の2シリーズに分けて展開している。今回紹介する「XF23mmF1.4 R LM WR」は、「大口径プライム」シリーズの新製品。「XF18mmF1.4 R LM WR」(2021年 5月発売)、「XF33mmF1.4 R LM WR」(2021年9月発売)と並ぶ、開放F1.4単焦点レンズの新世代モデルで、2013年10月発売の従来品「XF23mmF1.4 R」と比べて、光学性能、AF性能、信頼性が向上した高性能レンズとなっている。

画質面では、非球面レンズ2枚とEDレンズ3枚を含む10群15枚のレンズ構成を採用し、色収差や球面収差を徹底的に抑制。さらに、中間部に配置したフォーカス群(非球面レンズ1枚とEDレンズ2枚を含む)を一度に駆動する設計によって撮影距離による収差変動も抑えており、撮影距離によらず、従来よりも高い解像性能を実現しているという。最短撮影距離が19cm(最大撮影倍率0.2倍、35mm判換算約0.3倍相当)と、「XF23mmF1.4 R」の28cmより短くなっているのも特徴だ。また、「XF23mmF1.4 R」で7枚(円形絞り)だった絞り羽根は9枚(円形絞り)になっている。

幅の広いフォーカスリングと、A(オート)ポジションロック付きの絞りリングを搭載。「XF23mmF1.4 R」にあったフォーカスクラッチ機構は省略されている

幅の広いフォーカスリングと、A(オート)ポジションロック付きの絞りリングを搭載。「XF23mmF1.4 R」にあったフォーカスクラッチ機構は省略されている

AF駆動モーターには、「XF18mmF1.4 R LM WR」や「XF33mmF1.4 R LM WR」と同様、高速かつ静音な動作が可能なリニアモーターを採用。フォーカス群を小型・軽量化し、移動範囲を短く設計することで、最短約0.04秒の高速AFを実現している。動画撮影にも活用できるように、フォーカシング時の画角変動(ブリージング)も抑えているとのことだ。

さらに、鏡筒の11か所にシーリングを施し、防塵・防滴・-10℃耐低温構造を実現したのも見逃せない。小雨やホコリが舞う環境や低温環境下でも安心して使用できるとしている。
こちらも「XF18mmF1.4 R LM WR」や「XF33mmF1.4 R LM WR」と同じ仕様だ。

「XFレンズ」では、「XF23mmF1.4 R LM WR」(画像左)、「XF23mmF1.4 R」(中央)、「XF23mmF2 R WR」(右)の3本が焦点距離23mmレンズとして用意されている。「XF23mmF1.4 R LM WR」は、高性能化したこともあって、従来モデル「XF23mmF1.4 R」よりも全長が15mm(14.8mm)ほど長くなっている。最大径は「XF23mmF1.4 R LM WR」のほうが約5mm短い

「XFレンズ」では、「XF23mmF1.4 R LM WR」(画像左)、「XF23mmF1.4 R」(中央)、「XF23mmF2 R WR」(右)の3本が焦点距離23mmレンズとして用意されている。「XF23mmF1.4 R LM WR」は、高性能化したこともあって、従来モデル「XF23mmF1.4 R」よりも全長が15mm(14.8mm)ほど長くなっている。最大径は「XF23mmF1.4 R LM WR」のほうが約5mm短い

付属の花型レンズフードを装着したイメージ。なお、別売オプションとして、アルミ製の角型フード「LH-XF23 II」も用意されている

付属の花型レンズフードを装着したイメージ。なお、別売オプションとして、アルミ製の角型フード「LH-XF23 II」も用意されている

実写作例&レビュー

以下に掲載する作例は、「X-T4」に「XF23mmF1.4 R LM WR」を組み合わせてJPEG形式の最高画質で撮影したもの(JPEG撮って出し)になる。

※サムネイル画像をクリックすると、撮影写真を長辺900ピクセルに縮小した画像が開きます。リサイズを行っていない撮影写真は、サムネイル画像下のテキストリンクをクリックすると開きます。なお、撮影写真は開くのに時間がかかる場合があります。

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F1.4、1/170秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG撮影写真(6240×4160、10.2MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F1.4、1/170秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG
撮影写真(6240×4160、10.2MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F1.4、1/1500秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG撮影写真(6240×4160、10.5MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F1.4、1/1500秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG
撮影写真(6240×4160、10.5MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F1.4、1/600秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG撮影写真(6240×4160、10.3MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F1.4、1/600秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG
撮影写真(6240×4160、10.3MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F1.4、1/40秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG撮影写真(6240×4160、11.0MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F1.4、1/40秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG
撮影写真(6240×4160、11.0MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F11、1/900秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG撮影写真(6240×4160、14.3MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F11、1/900秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG
撮影写真(6240×4160、14.3MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F6.4、1/550秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG撮影写真(6240×4160、14.1MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F6.4、1/550秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG
撮影写真(6240×4160、14.1MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F1.4、1/7500秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG撮影写真(6240×4160、11.4MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F1.4、1/7500秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG
撮影写真(6240×4160、11.4MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F8、1/800秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG撮影写真(6240×4160、14.8MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F8、1/800秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG
撮影写真(6240×4160、14.8MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F2.8、1/340秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG撮影写真(6240×4160、16.2MB)

X-T4、XF23mmF1.4 R LM WR、23mm(35mm判換算35mm相当)、F2.8、1/340秒、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%、JPEG
撮影写真(6240×4160、16.2MB)

「XF23mmF1.4 R LM WR」は、絞り開放から画面全域で高い解像力を発揮するレンズだ。輝度差がある被写体でも色収差がほとんど見られず、近接でも解像感をキープしているのが性能の高さを感じさせるところで、撮影距離に寄らずに高画質な撮影が可能だ。さらに、ボケの輪郭の色付きがよく抑えられており、良質なボケ味が得られるのもこのレンズの特徴。線が細く緻密な描写と相まって、物体がそこに存在しているかのような実在感の高い画質が得られるのがとてもいい。周辺光量落ちは絞り開放だとやや目立つが、F2くらいに絞ることで改善する。

AFは、リニアモーターを採用したことで、使い心地が従来からかなり改善している。レスポンスがとてもよく、動作音も小さい。また、試用前は鏡筒がやや長いことが気になっていたが、実際に使ってみると、それほど太いわけではないのでハンドリングはしやすかった。

参考 焦点距離23mmの単焦点「XFレンズ」3本の画質比較(絞り開放での比較)

比較したレンズ
「XF23mmF1.4 R LM WR」 23mm/開放F1.4レンズの最新モデル
「XF23mmF1.4 R」 23mm/開放F1.4レンズの従来モデル
「XF23mmF2 R WR」 23mm/開放F2の小型・軽量モデル

比較1(遠景) 絞り値F1.4/F2

撮影設定:F1.4(F2)、1/2500秒(F2では1/1250秒)、ISO160、ホワイトバランス:6000K、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%

白枠(1〜3)が以下に掲載する切り出し部。ピントはAF(シングルポイントAF)で画像中央の白い建物(白枠1の下部)に合わせた。撮影距離は約200m

白枠(1〜3)が以下に掲載する切り出し部。ピントはAF(シングルポイントAF)で画像中央の白い建物(白枠1の下部)に合わせた。撮影距離は約200m

切り出し画像1(中央) 絞り値F1.4

切り出し画像1(中央) 絞り値F1.4

切り出し画像1(中央) 絞り値F2

切り出し画像1(中央) 絞り値F2

切り出し画像2(左下周辺部) 絞り値F1.4

切り出し画像2(左下周辺部) 絞り値F1.4

切り出し画像2(左下周辺部) 絞り値F2

切り出し画像2(左下周辺部) 絞り値F2

切り出し画像3(右上周辺部) 絞り値F1.4

切り出し画像3(右上周辺部) 絞り値F1.4

切り出し画像3(右上周辺部) 絞り値F2

切り出し画像3(右上周辺部) 絞り値F2

比較2(夜景) 絞り値F1.4/F2

撮影設定:F1.4(F2)、1/15秒(F2では1/10秒)、ISO160、ホワイトバランス:5500K、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%

白枠(1〜3)が以下に掲載する切り出し部。ピントはAF(シングルポイントAF)で画像中央の橋(白枠1の下部)に合わせた。撮影距離は約250m

白枠(1〜3)が以下に掲載する切り出し部。ピントはAF(シングルポイントAF)で画像中央の橋(白枠1の下部)に合わせた。撮影距離は約250m

切り出し画像1(中央) 絞り値F1.4

切り出し画像1(中央) 絞り値F1.4

切り出し画像1(中央) 絞り値F2

切り出し画像1(中央) 絞り値F2

切り出し画像2 絞り値F1.4

切り出し画像2 絞り値F1.4

切り出し画像2 絞り値F2

切り出し画像2 絞り値F2

切り出し画像3(右下周辺部) 絞り値F1.4

切り出し画像3(右下周辺部) 絞り値F1.4

切り出し画像3(右下周辺部) 絞り値F2

切り出し画像3(右下周辺部) 絞り値F2

比較3(屋内) 絞り値F1.4/F2

撮影設定:F1.4(F2)、1/1000秒(F2では1/640秒)、ISO160、ホワイトバランス:オート、フィルムシミュレーション:PROVIA/スタンダード、ダイナミックレンジ:100%

白枠(1〜2)が以下に掲載する切り出し部。ピントはAF(シングルポイントAF)で白枠1の下部に合わせた。撮影距離は約1.5m

白枠(1〜2)が以下に掲載する切り出し部。ピントはAF(シングルポイントAF)で白枠1の下部に合わせた。撮影距離は約1.5m

切り出し画像1(ピント位置) 絞り値F1.4

切り出し画像1(ピント位置) 絞り値F1.4

切り出し画像1(ピント位置) 絞り値F2

切り出し画像1(ピント位置) 絞り値F2

切り出し画像2(背景ボケ) 絞り値F1.4

切り出し画像2(背景ボケ) 絞り値F1.4

切り出し画像2(背景ボケ) 絞り値F2

切り出し画像2(背景ボケ) 絞り値F2

上に掲載した比較画像を見ると、「XF23mmF1.4 R LM WR」の解像感が最も高いことがわかる。輪郭の色付きが少なく、中央だけでなく周辺部まで線が細くてシャープだ。周辺のコマ収差もよく抑えられている。従来モデル「XF23mmF1.4 R」は絞り開放付近だと全体的にソフトな描写になるようだ。小型・軽量な「XF23mmF2 R WR」はほかの2本と比べると線が太く、中央での解像感は高いものの周辺だと像の流れが発生する。ボケもややさわがしい感じに見える。

また、この3本は微妙に画角が異なっており、遠景を撮る限りでは、画角が広い順に「XF23mmF2 R WR」「XF23mmF1.4 R LM WR」「XF23mmF1.4 R」となった。最も広い「XF23mmF2 R WR」と最も狭い「XF23mmF1.4 R」では、写る範囲がひと回り異なるくらいの違いがある。

まとめ 現代的な写りの高解像レンズ。「X-Tシリーズ」の1桁型番と相性がいい

「XF23mmF1.4 R LM WR」は、開放F1.4単焦点レンズの新世代モデルの3本目として登場した製品で、「XF18mmF1.4 R LM WR」「XF33mmF1.4 R LM WR」と同様、「XFレンズ」の単焦点レンズの中でも、特に高い光学性能を持つ1本である。情緒的な写りというよりも現代的な写りで、従来モデル「XF23mmF1.4 R」や小型・軽量な「XF23mmF2 R WR」とは描写のキャラクターが異なっている。画面全域でより高解像な画質を求める人にうってつけのレンズだ。やや長めの鏡筒なので、特に「X-T4」など「X-Tシリーズ」の1桁型番モデルとの相性がいいだろう。

価格は、2022年3月31日時点の価格.com最安価格で106,924円(税込)。従来モデル「XF23mmF1.4 R」と比べると4万円程度の価格差があるが、画面全域での高画質とAFの使い勝手のよさなどを考慮すると納得できる。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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