来年は仕事として、動画でのレポートを増やそうと思っている。ということは、いろんな現場で自分撮りする必要があるので、手頃なジンバルを探していた。
ジンバルとは、ジャイロセンサーを搭載してモーター駆動でカメラの安定を図るための機構で、ドローンに搭載されたことで一躍有名になった。現在はGoPro専用の小型のものから、映画の撮影で使う大型のものまで、さまざまなスタイルと価格のジンバルが存在する。
ただし、まだ日本ではどこでも買えるというものでもなく、現物が見られる機会も少ない。購入は通販ならなんとか、といったレベルだ。海外も含めいろんなサイトで検索してみたところ、中国・深センのラジコンの通販業者であるSurehobbyにて、Beholder MS1というモデルが57,000円程度で販売されているのを発見。最大積載量850gとあるので、ミラーレス程度なら乗るということだろう。
手元のカメラもそれぐらいの重量だったので、早速注文してみた。オーダーはすぐに受理され、配送開始のステータスになるものの、一向に出荷されないという、海外通販ではよくある状況なので、サクッとメールで催促。25年前から並行輸入で物を買ってると、多少のことでは驚かない。
注文からおよそ10日で物が届いた。今中国からバッテリーの輸入はチェックが厳しくなっているようだが、そこは送料を奮発して日本企業を指定したので、税関検査もすんなり通ったようだ。
一般的にデジタル一眼が乗るクラスのジンバルは、10万円程度が相場である。それのほぼ半額なので、細かい調整機能はない。カメラを固定する調整用のパーツを使ってカメラ位置を調整し、だいたいのバランスをとったら、あとは電源を入れると自動的に水平をとる。
ニコンD3300にキットレンズを載せてみた
高級モデルになると、カメラバランスを取るパーツの作りがよく、手動でのバランス調整もスマートだが、いかんせん価格が価格なのでその辺の作りが甘い。何度もネジを締めたり緩めたりして、位置を調整するのが面倒である。
重量バランスはこういうパーツを組み合わせてコツコツと
自重が800g弱あるので、カメラと合わせると1.5kg程度である。そこそこ重くはあるが、バランスは勝手にとれているので、持ちやすい。グリップ部はバッテリーが3本入っているため、筆者の手にはやや太めに感じる。
性能的には、ゆるく動作に追従するフォローモードと、常に正面を向き続けるロックモードの2つがある。高級機になると、水平だけ追従するモード、垂直だけ追従するモードなどいろいろ動作の組み合わせがあるが、まあ自分のレポートを取るだけなので、この2モードだけでも役には立つだろう。
正面のジョイスティックを操作すると、電動でパンやチルトができる。手持ちでもきれいなパンができるのは、三脚を立てる時間や場所がない時に便利に使えるだろう。
ジョイスティックで電動のパンとチルトができる
バッテリーは、以前パソコン用としてよく利用されていた、いわゆる18650サイズのセルが3本。このバッテリーケースに直接USBケーブルを挿して充電できるが、いやさすがにそれは大丈夫かという不安もあるので、別途充電器も発注した。
バッテリーユニット。外部の作りと比べるとやや荒っぽい
なぜか給電もできる充電器
この充電器がなかなかよくできていて、ACアダプターをさせば充電するのだが、逆にUSB端子に何かをつなげばモバイルバッテリーのようにも使える。つまり、給電もできるのだ。
そういう意味では、ジンバル本体にもUSB端子が付いており、そこからスマホとか充電できるとマニュアルに書いてあった。なぜそうまでしてスマホを充電しなければならないのか謎だが、中国ではニーズがあるのかもしれない。
11月のInterBEEで試験的に使ってみたが、性能的には問題なく使用できた。これからの手持ち撮影には、何かと重宝しそうだ。
AV機器評論家/コラムニスト。デジタル機器、放送、ITなどのメディアを独自の視点で分析するコラムで人気。メルマガ「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」も配信中。