自動車ライターのマリオ高野です。
クルマ好き諸兄の中には「愛車の中でお湯を沸かしたい」という願望を抱いている人は少なくないのではないでしょうか?
コンビニがそこら中にある都会ではいちいち車内でお湯を沸かす必要もありませんが、長距離ドライブをしていると、いまだにコンビニの数が極端に少ない(密度が低い)エリアは結構あるものですよね。
アウトドア現場でも、キャンプ場などでは野外でお湯を沸かす楽しみがあったりしますが、たとえば標高の高い場所で天体観察をするときなど、コンビニもなければ火も起こせないという状況では、愛車でお湯を沸かせると猛烈に便利です。
今回試したのはセイワの「ボトル電気ケトル」という商品。うたい文句どおりの性能に満足しました
そういう特殊な状況以外でも、夜中に延々と高速道路を巡航していると温かい飲み物が欲しくなりますし、高速道路のSA・PAも、エリアによっては夜はお店が閉まるところが多いもの。
普通にお店が開いてたとしても、ロングドライブの小休止中に、あえて愛車で沸かしたお湯でコーヒーを入れたりラーメンを食べたりするのもまた一興。そんな楽しみに応えてくれる車内用の電気ポットを試してみました。
ポット本体とコードのシンプルなセットです
初めて使用する前には、軽く水洗いをしてください。最初のうちは機械特有の臭いが少しあるかもしれませんが、何度か使うと気にならなくなります
中に水を入れて、シガーライターソケットにつないでスイッチを押すだけという簡単なものですが、これがなかなかのスグレモノです。
まず、クルマのドリンクホルダーに割りとしっかりホールドできるのがいいです。ポットの底の部分のゴムと樹脂のパーツがいい具合にフィットしてくれるので、運転中にあふれるリスクはかなり低いのがありがたいですね。
センターコンソール付近にあるドリンクホルダーなら、運転中も安心です。エアコンの吹き出し口に付ける後付けのホルダーは、ものによっては不安定になるかもしれないのでご注意ください
5月の下旬、気温は約25度で水道水の水温は15〜20度という状況では85度に達するまで30〜40分かかりますが、沸かしている間もポットの存在を気にせず普通に運転できるのが気に入りました。
源はシガーライターソケットから。エンジンONの状態で使用するのが前提です
通電を示すグリーンのランプ。ここからスイッチを押さないと加熱しないので、スイッチONを忘れずに
加熱が始まると赤いランプが点灯。これが消えてグリーンのランプのみになったら完了です
時々中をのぞくと、ジワジワ〜っと加熱されてる様子がわかります。冬場の水道水だと時間がかかりそうなので、ペットボトルの水を車内の常温にしてから沸かすのがよいでしょう
沸いても85度なのでグツグツと沸騰しているという感じではありませんが、車内で扱うには沸騰したお湯より安全のような気がします
本器で沸かせる温度は85度までなので沸騰するには至りませんが、一般的なカップラーメンなら85度でもまったく問題なく作れました。コーヒーを豆から抽出したい本格派にはちょっと温度が低いのが不満でしょうが、インスタントなら問題なしです。
保温機能はないので、沸いたらすぐに使いましょう
85度の温度でも、食感や味に問題はありませんでした
容量は、普通サイズのラーメンなら少しお湯が余るぐらい。スーパーカップ系の大きなラーメンでもギリギリ大丈夫でしょう。
また、85度のお湯は日本茶を煎れるのにも最適です。多くの場合、日本茶は沸騰したものより、やや冷めたお湯で煎れたほうがおいしい(欲をいえば一度沸騰させたお湯を少し冷ましたものが理想)ので、ちょっと高級な煎茶を煎れるには適しています。抹茶をたてるのにも最適でした。
抹茶を点てるのにはバッチリな温度です。いずれ軽自動車のワンボックスを改造した「移動茶室」を本気で作る予定なので、かなり重宝しそうです
自宅に広い庭やベランダがなくても、愛車で茶を点てたりするとちょっとしたアウトドア感覚が楽しめます。外回りの営業の仕事での休憩にお茶はいかがでしょう?
愛車で沸かしたお湯でたてた茶で一服。なんとも風流な感じです。
クルマ好き諸兄なら、愛してやまない愛車のエンジンの力で発電された電気で沸かしたお湯は格別なものでしょう。これぞ侘び寂び、といえなくもありません。
最近のハイブリッド車では家電用のコンセントが備わっており、普通に家電ポットが使えたりしますが、そういうハイテクなクルマじゃなくてもお湯を沸かせるのは本当に便利だと思いました。