レビュー
VW初の48Vマイルドハイブリッドを全車に標準搭載

VW 新型「ゴルフ」買うなら1L3気筒? 1.5L4気筒? 比較試乗

2021年6月15日、フォルクスワーゲン グループ ジャパンは、日本においては8年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型「ゴルフ」(8代目)を、同日から販売開始すると発表した。初代ゴルフの日本国内での発売開始は1975年と古く、実に46年間にわたってVWの、そして輸入車の代表として高い支持を得てきたクルマだ。

新型ゴルフには、VW初となる新開発の「48Vマイルドハイブリッドシステム」が全車に標準搭載されている。また、エンジンも刷新され、1.0L eTSI 直列3気筒ターボエンジンと、1.5L eTSI 直列4気筒ターボエンジンの2種類が用意されている。今回、新型ゴルフの1.0Lと1.5Lの両方へ試乗したので、その違いなども交えながらレビューしよう。

ゴルフの製品画像
フォルクスワーゲン
3.39
(レビュー348人・クチコミ25273件)
新車価格:291〜375万円 (中古車:9〜545万円

■フォルクスワーゲン 新型「ゴルフ」のグレードラインアップと価格
-1.0 eTSI(直3ターボ)+48Vマイルドハイブリッド搭載車-
eTSI Active Basic:2,916,000円
eTSI Active:3,125,000円
-1.5 eTSI(直4ターボ)+48Vマイルドハイブリッド搭載車-
eTSI Style:3,705,000円
eTSI R-Line:3,755,000円
※価格はすべて税込

新型「ゴルフ」(eTSI Style/1.5 eTSI)のフロントエクステリアとリアエクステリア

新型「ゴルフ」(eTSI Style/1.5 eTSI)のフロントエクステリアとリアエクステリア

まず、新型ゴルフの外観については、先代に比べて丸みを帯びたエクステリアデザインが採用されている。ボディサイズ(全長×全幅×全高)は、4,295×1,790×1,475mmと、先代と同程度ながら、全幅は10mm狭い。国産メーカーで代表的なハッチバック車の、スバル「インプレッサスポーツ」やマツダ「MAZDA3」などと比べると、全幅は同程度だが、全長はゴルフのほうが約200mm下回っている。また、ホイールベースは2,620mmで、先代に比べて15mm短く、最小回転半径も5.2mから5.1mへとわずかだが小回りが効くようになった。狭い裏道や駐車場などでは、新型は先代よりも比較的運転しやすいだろう。

新型「ゴルフ」(eTSI Style/1.5 eTSI)のインテリア

新型「ゴルフ」(eTSI Style/1.5 eTSI)のインテリア

新型「ゴルフ」に全車標準搭載されている「Digital Cockpit Pro」メーター

新型「ゴルフ」に全車標準搭載されている「Digital Cockpit Pro」メーター

内装については、インパネが水平基調に仕上げられており、ステアリングホイールの奥には液晶メーターの「Digital Cockpit Pro」が全車に標準装備されているのが特徴のひとつだ。Digital Cockpit Proは、速度やエンジン回転数などに加えて、ステアリングスイッチを操作することによって、カーナビ画面なども表示できる便利なメーターだ。

ATの切り替えレバーは、先代までは一般的なスライドタイプのATレバーだったが、新型では小さなスイッチで操作するタイプへと刷新されている。P(パーキング)レンジは、スイッチを押す方式だ。こういったタイプは流行には沿っているのだが、先代のほうが扱いやすいというユーザーもいるだろう。筆者も、従来のATレバーのほうが扱いやすいように感じた。先代から新型へと乗り代えた直後などは、誤操作を招きやすいので、十分に注意したい。

シートの座り心地は、グレードによって異なっている。新型ゴルフのグレード構成は、1.0L 直列3気筒ターボエンジン搭載車が、「eTSI Active Basic」と「eTSI Active」の2グレード。1.5L eTSI 直列4気筒ターボエンジン搭載車は、「eTSI Style」と「eTSI R-Line」の、計4グレードがラインアップされている。

新型「ゴルフ」(eTSI Style/1.5 eTSI)のフロントシート

新型「ゴルフ」(eTSI Style/1.5 eTSI)のフロントシート

今回は、eTSI Active Basicのみ試乗ができなかったのだが、ほかのグレードに座った印象としては、eTSI Active、eTSI Styleのフロントシートは一般的な形状のもので、シートのサイズに余裕があって座りやすく感じた。また、腰の近辺を中心に体をしっかりと支えてくれるので、運転中も姿勢が安定している。ある程度の長距離を移動する時にも疲れにくく、大腿部付近が少し柔軟なので快適性も高い。

新型「ゴルフ」(eTSI R-Line/1.5 eTSI)のフロントシート

新型「ゴルフ」(eTSI R-Line/1.5 eTSI)のフロントシート

eTSI R-Lineはスポーティー指向なので、ほかのグレードとは異なるスポーツシートが採用されている。体のサポート性を向上させていて、拘束感はやや強めだが、着座姿勢がしっかりと安定するように配慮されている。

新型「ゴルフ」(eTSI Style/1.5 eTSI)のリアシート

新型「ゴルフ」(eTSI Style/1.5 eTSI)のリアシート

後席の居住性は全グレード共通で、ホイールベースは先代に比べて15mm短く抑えられているものの、先代と同程度の広さが確保されている。身長170cmの大人4名が乗車すると、後席に座る乗員の頭上空間は握りコブシひとつ分、膝先の空間は握りコブシ2つ分と、コンパクトなハッチバックとしては相応の広さが確保されている。

後席の着座姿勢は、腰が落ち込んで膝は持ち上がるが、座面の前方が高くなっているので、大腿部が座面から離れることがなく、サポート性は良好だ。また、後席に座る乗員の足が前席の下に収まりやすく、4名乗車時の快適性もすぐれている。

新型ゴルフのエンジンは、全車に「48Vマイルドハイブリッドシステム」が標準で搭載されている。モーター機能付きの発電機が減速時に充電を行い、リチウムイオン電池に電気を蓄える。その電気を使って、アイドリングストップ後の再始動が行われる。さらに、モーターはエンジン駆動も支援して、12Vの電装品などにも電力を供給してくれる。

新型ゴルフに搭載されているモーター機能付き発電機は、ベルトを介してエンジンを駆動するので、スターターモーターのような金属音を発生させないのも特徴のひとつだ。再始動が静かなので、アイドリングストップを頻繁に繰り返してもわずらわしさは感じなかった。

■新型「ゴルフ」搭載エンジン(モーター)の最高出力、最大トルク
-1.0 eTSI(3気筒)エンジン-
最高出力:81kW(110PS)/5,500rpm
最大トルク:200Nm(20.4kgm)/2,000-3,000rpm
-1.5 eTSI(4気筒)エンジン-
最高出力:110kW(150PS)/5,000-6,000rpm
最大トルク:250Nm(25.5kgm)/1,500-3,500rpm
-電気モーター(1.0eTSI、1.5eTSI共通)-
最高出力:9.4kW(13PS)
最大トルク:62Nm(6.3kgm)

次に、気になるであろう走行性能についてレビューしよう。まずは、1.0L 直列3気筒ターボエンジンを搭載するeTSI Activeに試乗した。この3気筒エンジンは、最高出力が81kW(5,500rpm)、最大トルクは200Nm(2,000-3,000rpm)だ。自然吸気エンジンに当てはめると、2Lに匹敵する性能を発揮している。

新型「ゴルフ」(eTSI Active/1.0 eTSI)の走行イメージ

新型「ゴルフ」(eTSI Active/1.0 eTSI)の走行イメージ

実際に試乗すると、1,400rpm以下ではターボの過給効果が薄れるが、それ以上の回転域では余裕があり、4,000rpm付近を超えると加速力がさらに増してくる。電気モーターの動力性能は、最高出力が9.4kW、最大トルクは62Nmと出力は小さい。それでも、通常の走行ではモーターの駆動力は感じないが、エンジン回転数が低い発進時などには、モーターが支援してくれていることが感じられる。

新型「ゴルフ」(eTSI Active/1.0 eTSI)の走行イメージ

新型「ゴルフ」(eTSI Active/1.0 eTSI)の走行イメージ

ひとつ、1L 3気筒ターボはエンジンノイズに注意したい。3気筒エンジンとしては、比較的静かなほうなのだが、登坂路などでアクセルペダルを踏み込むと、後述する1.5L 4気筒ターボに比べて、やはり粗さを感じる。eTSI Activeは、先代の「TSIコンフォートライン」の後継だが、以前のエンジンは1.2L 直列4気筒ターボが搭載されていた。先代から乗り替える時は、登坂路などを走ってノイズなどに不満を感じないかを確認してほしい。

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(レビュー348人・クチコミ25273件)
新車価格:291〜375万円 (中古車:9〜545万円
新型「ゴルフ」(eTSI Style/1.5 eTSI)の走行イメージ

新型「ゴルフ」(eTSI Style/1.5 eTSI)の走行イメージ

その点で、eTSI StyleとeTSI R-Lineに搭載されている1.5L 4気筒ターボエンジンは、低回転域からパワーに余裕が感じられる。1,000rpm少々で、走行中にアクセルペダルをゆるく踏み増しても、アクセル操作に応じて駆動力を高める。高回転域の吹け上がりもよく、4気筒なのでノイズも3気筒より少ない。1.5L 4気筒ターボの走りは、さまざまな場面で上質なものに感じられた。

だが、走行安定性や操舵感については、1L 3気筒ターボを搭載するeTSI Activeのバランスもいい。リヤサスペンションは、1.5L 4気筒ターボの独立式と異なり車軸式だが、操舵感が素直で後輪の接地性も高く、幅広いユーザーに適するだろう。1.5L 4気筒ターボに比べて車重が50kg軽いので、走りに軽快感がともなうことも大きく影響している。

1.5L 4気筒ターボのeTSI Styleは、eTSI Activeに比べて操舵に対する反応が少し機敏になり、車両の向きを変えやすい。タイヤサイズも、eTSI Activeは16インチ、eTSI Styleは17インチなのでグリップ性能が高く、峠道などを走るのにも適している。よく曲がる代わりに、走行状態によっては後輪の接地性が相対的に少し下がるが、挙動の変化が穏やかなので不安は感じない。

新型「ゴルフ」(eTSI R-Line/1.5 eTSI)の走行イメージ

新型「ゴルフ」(eTSI R-Line/1.5 eTSI)の走行イメージ

1.5L 4気筒ターボのeTSI R-Lineは、タイヤはeTSI Styleと同じだが、足回りが若干硬い。操舵感は、eTSI Styleよりもさらに機敏になり、ステアリングのギヤ比を変化させる「プログレッシブステアリング」も備わっているので、運転感覚はいっそうスポーティーに感じる。

乗り心地は、全般的に時速50km以下の低速域で少々硬めに感じた。それでもeTSI Styleは、リヤサスペンションが独立式になり、設定の仕方も少し柔軟なので重厚感がともなう。

安全装備は、基本的に先代と同じで衝突被害軽減ブレーキを筆頭に充実している。車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなど、運転支援機能も備わる。そのうえで、新型ゴルフでは運転支援機能のステアリング制御が進化している。先代では時速60km以下で対応していたのだが、新型では高速域でも作動するようになった。さらに、ドライバーが意識を失うなど、運転が困難な状態に陥ったと判断された時には、ハザードランプを点滅させてホーンを鳴らしながら同一車線上で自動で停止。自動的に電動パーキングブレーキを作動させ、ドアロックは解除して救出を容易にする機能も備わっている。

新型「ゴルフ」へ標準装備されている「インフォテイメントシステム」。カーナビなどの機能を追加するには、オプションの「ディスカバープロ」の購入が必要だ

新型「ゴルフ」へ標準装備されている「インフォテイメントシステム」。カーナビなどの機能を追加するには、オプションの「ディスカバープロ」の購入が必要だ

そのほか、インパネの中央には10インチサイズの「インフォテイメントシステム」が標準装備されている。オプションの「ディスカバープロ」を198,000円で加えれば、カーナビや地上デジタル受信の機能も搭載される。

グレードやオプションの選び方について、まずテクノロジーパッケージは可能な限り装着したほうがいいだろう。eTSI Activeでは、209,000円の上乗せで、10種類もの安全装備が加わる。eTSI Styleとe TSI R-Lineは、ベースの標準装備が充実しているものの、それでも165,000円で6種類の安全装備がプラスされる。なお、4グレードのうち、eTSI ActiveBasicはテクノロジーパッケージが用意されない。そのため、安全面から考えると選ぶべきグレードの対象からはずれることになる。

次に、エンジンの選択について。1.5L 4気筒ターボのeTSI Styleは、1L 3気筒ターボのeTSI Activeに比べて価格は58万円高いが、2グレードの装備差を価格に換算すると、およそ17万円ほどになる。つまり、装備差を差し引いた、1気筒+500ccのエンジンの違いにおける価格差は41万円ということになる。この金額の差は、大きい。これは、1L 3気筒ターボのeTSI Activeが戦略的に安く抑えられているためで、相対的に1.5L 4気筒ターボのeTSI Styleは割高になった。

したがって、買い得なベストグレードをあげると、1L 3気筒ターボのeTSI Activeになる。市街地を中心に走るのならば、eTSI Activeにテクノロジーパッケージを加えた仕様を推奨したい。

だが、4名乗車で長距離を移動することが多い方や、峠道の登坂路を頻繁に走るユーザー、そしてエンジンノイズに不満を覚える方などは、1.5L 4気筒ターボを検討したい。1.5L 4気筒ターボは、eTSI StyleよりもeTSI R-Lineのほうが割安だ。後者では、5万円の上乗せで専用サスペンションやプログレッシブステアリング、専用デザインのトップスポーツシートなどが加わるからだ。数年後に売却する時の金額も、eTSI R-Lineのほうが高値になるはずだ。

そこで、購入検討時には1L 3気筒ターボのeTSI Activeと、1.5L 4気筒ターボのeTSI R-Lineを乗り比べて判断するといいだろう。最後に、納期を販売店にたずねると「2021年6月中旬に契約して、納車されるのは9月から10月になる。本国に多く発注しているのは1L 3気筒ターボのeTSI Activeなので、納期も短い傾向がある」とのことであった。

これまで述べた通り、1L 3気筒ターボを選ぶか、1.5L 4気筒ターボを選ぶかは、予算やコストパフォーマンスを重視するか、走りを重視するかで異なってくる。さらに、eTSI Activeにも軽快な走りが楽しめるという側面もあるので、新型ゴルフではできるならば1Lと1.5Lの両方を乗り比べて、じっくりと検討したほうがいいだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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