レビュー

スバルが「レヴォーグ STI Sport」電子制御ダンパーのアップデートを開始!

スバルは、電子制御ダンパーのプログラムアップデートサービス「SUBARU Active Damper e-Tune」を、2023年4月25日から販売開始した。対応車種は「レヴォーグ STI Sport」の各グレードで、ディーラー装着オプションとして販売される。メーカー希望小売価格は33,880円(税込)だ。

スバル初となる電子制御ダンパーのアップデートサービス、「SUBARU Active Damper e-Tune」が販売開始された。スバルは同サービスの導入によって、新車を購入した後もクルマを進化させられる楽しさをユーザーに提供したいという

スバル初となる電子制御ダンパーのアップデートサービス、「SUBARU Active Damper e-Tune」が販売開始された。スバルは同サービスの導入によって、新車を購入した後もクルマを進化させられる楽しさをユーザーに提供したいという

レヴォーグの製品画像
スバル
4.31
(レビュー536人・クチコミ63698件)
新車価格:310〜482万円 (中古車:53〜636万円

「ドライブモード」の違いがより明確になる!

「レヴォーグ STI Sport」には、ZF製の電子制御ダンパーが標準装着されており、ドライブモードによってサスペンションの減衰力設定を「Comfort」「Normal」「Sport」の3種類に切り替えられる。ちなみに、正確に言うと減衰力はドライブモードの設定によって常に固定されているわけではなく、路面状況に応じても細かな減衰力の調整が行われている。そのため、3種類のモードは硬め、やわらかめなど、セッティングの大きな方向性として存在していると考えればいいだろう。

画像の赤枠部分が、「ドライブモードセレクト」におけるサスペンションの設定項目だ。「SUBARU Active Damper e-Tune」によるアップデートを施すことで、「Comfort」はさらにリラックスしてゆったりと乗れるようなやわらかい減衰力設定になり、「Sport」はさらに操縦安定性が高められる硬めの設定に変更されるという

画像の赤枠部分が、「ドライブモードセレクト」におけるサスペンションの設定項目だ。「SUBARU Active Damper e-Tune」によるアップデートを施すことで、「Comfort」はさらにリラックスしてゆったりと乗れるようなやわらかい減衰力設定になり、「Sport」はさらに操縦安定性が高められる硬めの設定に変更されるという

そして、「SUBARU Active Damper e-Tune」は電子制御ダンパーの減衰力調整機能を書き換えることで、「Comfort」はこれまでよりもさらにやわらかめの設定に、「Sport」はさらに硬めの設定になる。「Normal」は従来と同様の設定だ。要は、これまでよりも「Comfort」と「Sport」のセッティングの違いが明確になるということだ。今回は、制御プログラムのアップデートが施された「レヴォーグ STI Sport R EX」と、標準仕様(アップデート前)の「レヴォーグ STI Sport EX」を乗り比べてみたのでレビューしたい。

アップデート車両に試乗! 引き締まり感がアップ

まずは、アップデートされた「レヴォーグ STI Sport R EX」から試乗した。ドライブモードセレクトでサスペンションの設定を「Sport」にすると、前述のとおり標準仕様よりもさらに硬めの設定になる。カーブなどでは引き締まり感が強く走行安定性が向上するが、路面の荒れた場所では少々角が立ったような乗り心地の硬さだ。

アップデートが施された「レヴォーグ STI Sport R EX」へ試乗。ドライブモードセレクトによる変化が、よりわかりやすくなったように感じられる

アップデートが施された「レヴォーグ STI Sport R EX」へ試乗。ドライブモードセレクトによる変化が、よりわかりやすくなったように感じられる

アップデートされた「Sport」の硬さは、標準仕様で走行中に「もう少しボディの傾き方を抑えたい」と感じられる場面においては、ちょうどいいセッティングだろう。一般道をゆっくりと走行するようなときには硬さが目立つが、ワインディングなどを積極的な運転でドライブしたいユーザーならば、メリットが感じられるはずだ。

いっぽう、「Comfort」の乗り心地は標準仕様よりもやわらかくなり、「Sport」から切り替えたときの変化も大きく感じられた。そして、ショックアブソーバーの減衰力を下げたことによって乗り心地が穏やかになるとともに、タイヤの剛性感が体に伝わってくる。「Comfort」で高速道路を走行中、試しに素早く車線変更を行ってみると、左右の揺り返しやあおられるような挙動が見られた。「レヴォーグ STI SPORT R EX」というスポーティーな車両の性格を考えると、「Comfort」の設定は少しやわらかすぎるような印象も受ける。

比較のために、標準仕様の「レヴォーグ STI SPORT EX」にも試乗した。標準仕様は、ドライブモードセレクトでサスペンションの設定を変更しても変化自体は少ないものの、車両の特性を考慮したバランスはうまく取れているという印象だ

比較のために、標準仕様の「レヴォーグ STI SPORT EX」にも試乗した。標準仕様は、ドライブモードセレクトでサスペンションの設定を変更しても変化自体は少ないものの、車両の特性を考慮したバランスはうまく取れているという印象だ

乗り味の変化のわかりやすさと導入費用の安さが魅力的

全体的な走行安定性のバランスを考えた場合、やはりすぐれているのはこれまでの標準仕様かもしれない。だが、そこに少々物足りなさを感じるユーザーもいることだろう。そんなときには、「SUBARU Active Damper e-Tune」による、わかりやすい乗り味の変化が魅力的になる。

理想を言えば、標準仕様の設定を残したうえで、さらにスポーツ性やコンフォート性を高めた「SUBARU Active Damper e-Tune」専用のモードを用意するとよいのではと思えた。だが、そのためにはドライブモードセレクトの画面表示なども変更せねばならず、コスト増につながる。そこで、今回のサービスでは既存の表示を生かしたままアップデートできるようにしたのだ。

そのため、「SUBARU Active Damper e-Tune」のメーカー希望小売価格は、専用エンブレムを含めても33,880円という安さだ。アップデートに要するユーザーの負担として、この金額以外に工賃も上乗せされるが、それでも総額は約4万円に収まるという。この金額は、「レヴォーグ」にディーラーオプションとして用意されるルーフスポイラーやCD&DVDプレーヤーと同等で、走行に直接影響する足まわりのアップデートとしてはかなり割安と言えるだろう。

「SUBARU Active Damper e-Tune」が施された車両には、リアに専用エンブレムが装着される

「SUBARU Active Damper e-Tune」が施された車両には、リアに専用エンブレムが装着される

「SUBARU Active Damper e-Tune」のアップデートは、「レヴォーグ STI SPORT」を購入した後、少し時間が経過して飽き始めたころに行うといいだろう。硬さとやわらかさのメリハリが利いて、従来とは異なった運転感覚を味わえるからだ。

さらに、スバルとしてはアップデートという、これまでとは異なるユーザーへのサービスの可能性を探る狙いもある。アップデートは販売店が実施するので、ユーザーへ来店をうながすツールにもなり得るだろう。さらに、中古車をアップデートして販売すれば付加価値を高めることにもつながるなど、さまざまな可能性が開けるわけだ。将来を見据えた、新たなサービスとしても期待したい。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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