レビュー

「楽ナビ」2024年モデルを実走レビュー!通信がもたらす圧倒的な使いやすさ

2023年、フルモデルチェンジによってオンライン機能の追加やインターフェイスの刷新など、さまざまな魅力が高められたカロッツェリアの「楽ナビ」。今回は、そこからさらに1年が経過した2024年6月に発売された「楽ナビ」の最新モデルを実走チェックするとともに、「カーナビを所有するメリット」についても改めて考えてみた。

今回、実走レビューで使用したスズキ「ジムニー」に装着されていた「楽ナビ」は、9V型大画面の「AVIC-RQ721-DC」だ

今回、実走レビューで使用したスズキ「ジムニー」に装着されていた「楽ナビ」は、9V型大画面の「AVIC-RQ721-DC」だ

誰でもカンタンに使える高性能なカーナビ

“初代”「楽ナビ」が世に送り出されたのは1998年。昨年、2023年は発売から25周年を迎えた。自慢ではないが、筆者は当時から毎年1台、カーナビを購入していた。とんでもない出費だったが、これを“荒行”とみずからに課して、これまでカーナビのすばらしさを発信してきたつもりだ。

当然、「楽ナビ」も初代から(「サイバーナビ」も交えながら)購入してきた。「楽ナビ」は、時代の変化に合わせて常に進化を続けつつも、発売当初から掲げられていた「高性能で誰でもカンタンに使えるカーナビ」という基本コンセプトは不変であり、それは現行モデルにも継承されている。

直感的でスピーディーに操作できる新インターフェイス

歴代モデルにも通じる「楽ナビ」の大きな魅力のひとつが、「目的地までの検索をスムーズに行える」ことだ。2023年のフルモデルチェンジでは、「Doメニュー」という新たなインターフェイスが採用された。「Doメニュー」は、いわゆる“直感”という点において、とても使いやすいデザインになっている。

たとえば、行き先(目的地)検索や使用頻度の高い施設(駐車場、ガソリンスタンド、コンビニ)などをダイレクトに検索できる。また、画面下部にはショートカットキーが配置されていて、カスタマイズも可能だ。ショートカットキーを自分好みの設定にすることで、よりスピーディーに操作できるようになっている。

メイン画面である「Doメニュー」。目的別にゾーニングされていて、使いやすい

メイン画面である「Doメニュー」。目的別にゾーニングされていて、使いやすい

ショートカットキーはナビやAV機能、オプションのドラレコなど、最大20の機能の中から4つを選んで配置できる

ショートカットキーはナビやAV機能、オプションのドラレコなど、最大20の機能の中から4つを選んで配置できる

“オンライン”で目的地検索の利点性が向上

「楽ナビ」に搭載されている通信機能によって、本体収録のデータよりも新しい情報を検索できる「オンライン検索」(正確な名称は「お出かけ検索(オンライン)」)は、カロッツェリアのカーナビならではの機能のひとつだ。

外部サーバーにアクセスして情報を取得するわけだが、感覚としてはスマホの検索に近い。文字入力に関しても、1文字入力するごとに候補を表示する「変換候補表示」によって、利便性が高められている。

検索は50音入力のほか、スマホなどでおなじみの「フリック入力」にも対応している

検索は50音入力のほか、スマホなどでおなじみの「フリック入力」にも対応している

ただし、サーバー側のデータが更新されていなければ、検索はできない。少々辛口になってしまうが、2024年5月15日にオープンした某外食チェーンの店舗をオンライン検索してみた。取材日は2024年7月22日なので、約2か月後である。しかし、残念ながら検索ヒットはしなかった。

この記事が出るころには、もうヒットする可能性があるが、このあたりは今後のサーバー整備が鍵となるだろう。さすがに、膨大なデータを持つGoogleならいざ知らず、カロッツェリアだけで対応させるのは少々荷が重いのかもしれないが……。

ルート案内や地図は抜群の安定感

「楽ナビ」のルート案内など、基本的なカーナビ性能については、カロッツェリアが長年培ってきた技術に裏打ちされた性能の高さを感じることができる。

昨今は、スマホのナビアプリが数多く使用されているのは事実だ。ただし、「車載専用機」である「楽ナビ」のメリットも大きい。

■スマホの「ナビアプリ」に対する「カーナビ」のメリット
(1)ナビ専用地図で見やすい、HD表示によって視認性が高い(視野角も広い)
(2)ルート探索能力が高い
(3)トンネルやビル群の間でも自車位置精度が安定している(市街地の走行ではこれがいちばん差があると感じた)

そして、カロッツェリアだからこそできた「スマートループ渋滞情報」を活用した“質の高い”ルート案内など、カーナビに求められる最適とも言えるドライブのための情報提供力は見事である。

さらに、現在の「楽ナビ」はHDパネルによる高解像度表示によって、地図やメニュー画面がとても見やすくなっているのも、「カーナビ」であることの大きなメリットのひとつだ。

HDパネルの地図画面はやはり美しい。ちなみに、カロッツェリアのカーナビは一方通行表示が非常に見やすいのも特徴のひとつだ

HDパネルの地図画面はやはり美しい。ちなみに、カロッツェリアのカーナビは一方通行表示が非常に見やすいのも特徴のひとつだ

ルート探索においても「6ルート探索」の検索スピードは十分に速く、交差点までの残り信号をカウントダウンしながら案内してくれる「信号機カウント交差点案内」も、慣れるとハマるほどに快適だ。

「距離」「所要時間」「料金」などそれぞれ異なる条件で、最大6本のルートを探索してくれる「6ルート探索」。各ルートの所要時間や距離などを1画面で見られるので、ラクに比較できる

「距離」「所要時間」「料金」などそれぞれ異なる条件で、最大6本のルートを探索してくれる「6ルート探索」。各ルートの所要時間や距離などを1画面で見られるので、ラクに比較できる

これまでの、「●●m先、右方向です」と言った案内自体を否定するわけではない。しかし、同社でリリースしている「NP1」から採用された「スマート音声ナビ」に近いインターフェイスは、複雑な交差点案内が多い都市部などでも聞き取りやすく、見やすく感じられた。

「楽ナビ」における地図の見やすさやナビの精度&性能という点においては、同社のフラッグシップモデル「サイバーナビ」に匹敵する高機能ナビとして高く評価できるものだ。

ルート案内画面の見やすさに定評のある「楽ナビ」。方面看板と、実際の風景との距離感も掴みやすい

ルート案内画面の見やすさに定評のある「楽ナビ」。方面看板と、実際の風景との距離感も掴みやすい

絶対にほしいのは「通信」対応モデル

「楽ナビ」は、2DINに画面をはめ込むタイプのほか、フローティングモデルもラインアップしている。豊富な画面サイズと併せて、車種や好みに応じてさまざまなモデルをセレクトできるのは魅力的だ。

「楽ナビ」は全13モデルもあるので、「どれを買えばいいのか」と悩むユーザーもいるかと思う。目的や予算、利用シーンなどは人それぞれだが、筆者としては「通信」対応モデルを絶対におすすめしたい。

なぜなら、「楽ナビ」 の通信は、NTT docomoの車内向けWi-Fi接続サービスである「docomo in Car Connect」に対応しているのだが、通信を利用するための「ネットワークスティック同梱モデル」を購入すれば、1年間の無償利用権が付いてくるのだ。

余談だが、筆者は「楽ナビ」の「ネットワークスティック」と同様の車載用Wi-Fiルーター「DCT-WR100D」を日々使っているのだが、365日プランの料金は1万3,200円になる。これが無償で使える計算になるので、「ネットワークスティック同梱モデル」を選ぶのがトクだろう。

取材中、偶然入ってきた「バージョンアップ」のメッセージ。通信を使うことで、「バージョンアップ」時のダウンロードなどもスムーズに行えて便利だ

取材中、偶然入ってきた「バージョンアップ」のメッセージ。通信を使うことで、「バージョンアップ」時のダウンロードなどもスムーズに行えて便利だ

2024年モデルは車内Wi-Fiの機能が進化

2024年モデルは、前述の「ネットワークスティック」を使った車内Wi-Fiスポットが進化している。これまでは、停車時(エンジンON)の車内Wi-Fi利用が30分に制限されていたのだが、これが一気に2時間にまで拡大した。

ドライブでトイレ休憩した際、仕事をしたり、動画コンテンツやゲームを楽しんだりすれば、30分は意外とあっという間に過ぎてしまうものだ。そのため、2時間に拡大したメリットは大きいだろう。

また、車内Wi-Fiスポットや自動地図更新だけでなく、本体機能のアップデートが行える(OTA)への対応や、「スマートループ渋滞情報」などを活用するためにも、通信機能はマストなのである。

通信を使うことで、提携駐車場の空き情報や車両情報による入庫可否などがわかる「駐車場満空情報」。定番の人気機能だ

通信を使うことで、提携駐車場の空き情報や車両情報による入庫可否などがわかる「駐車場満空情報」。定番の人気機能だ

通信を使うことで、近くのガソリンスタンドの最新価格情報のほか、ハイオク、レギュラーを安い順に並べて表示することもできる

通信を使うことで、近くのガソリンスタンドの最新価格情報のほか、ハイオク、レギュラーを安い順に並べて表示することもできる

さらにタッチすることで、詳細情報を確認できるのもありがたい

さらにタッチすることで、詳細情報を確認できるのもありがたい

専用機の強みはやはり侮れない

筆者は、「カーナビ」だけでなくスマホのナビアプリも併用していて、そのよさも理解しているつもりだ。

しかし、改めて「楽ナビ」を使ってみると、通信を使った「オンライン化」によって、これまではスマホにしかできなかった事が、専用機でもできるようになってきている。さらに言えば、熱や振動という車内の過酷な環境における堅牢性の高さは、やはりカーナビが圧倒的に有利である。それに通信が加わることで、車載専用機としてのプレゼンスは大きく向上する。

しっかりと地に足を着けた基本性能の高さに、ネットワークによる高付加価値をプラス。コストパフォーマンスの高さはもちろんだが、「楽ナビ」は常に一歩先を提案してくれるカーナビとして、改めて魅力的に感じられたのである。

高山正寛
Writer
高山正寛
ITS Evangelist(カーナビ伝道師)/カーコメンテーター/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。1959年生まれ。リクルートで中古車情報誌「カーセンサー」の新車&カーAV記事を担当しフリーランスへ。ITSや先進技術、そしてカーナビ伝道師として純正/市販/スマホアプリなどを日々テストし布教(普及)活動を続ける。
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桜庭智之(編集部)
Editor
桜庭智之(編集部)
自動車専門メディアで編集者として10年間勤務した後「価格.comマガジン」へ。これまで、国産を中心とした数百の新型車に試乗しており、自動車のほかカーナビやドラレコ、タイヤなどのカー用品関連も担当する。
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