フローティング構造の採用により大画面と汎用性の高さを実現

開発者インタビュー&実走から見えた“ディスプレイが浮いてる”カーナビ「ストラーダ CN-F1D」の魅力

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最近では、スマートフォンやタブレットのアプリでルート案内もできるため、わざわざカーナビを購入する必要はないという声もあるが、ナビゲーションの基礎である自車位置の正確性や案内のきめ細かさなどはカーナビ専用機のほうが今も圧倒的にすぐれている。今回は、6万円以下の製品が8割を占める価格.comのカーナビ 人気売れ筋ランキングTOP10(2016年8月5日時点)の中から、10万円を超えるパナソニック「ストラーダ CN-F1D」(以下、CN-F1D)をピックアップ。9V型の大画面でありながら、多彩な車種に装着できるようにした「フローティング構造」のこだわりを開発者に聞くとともに、実走して感じた実力をお伝えしよう。

利便性の追求、そして所有するよろこびを得られるカーナビを創造

タブレットが取り付けられているようにも見えるユニークな構造の「CN-F1D」。通常のカーナビが収まるスペース(コンソール)に本体を搭載し、そこから伸びるステーに9V型のディスプレイをマウントする「フローティング構造」により幅広い車種への装着を可能にしたのが最大の特徴だ。詳しい構造の詳細は発表会の記事で見ていただくとして、どのような着想からこの機構が生まれたのかを開発担当者に取材してみた。

商品企画を担当した商品企画課の向田英明さん(左)、フローティング構造の機構部分を手掛けた商品設計7課の山崎景さん(右)。ともに、パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 インフォテインメントシステム事業部 市販事業推進部

スマートフォンやテレビなどの大画面化が進む中、インダッシュタイプのカーナビにも同様の進化が求められるようになってきた。コンソールに収納することにより画面サイズが制限されるのであれば、ディスプレイをコンソールの外に出せばいい。実は、同社にはすでにディスプレイと本体が分離したカーナビがあり、コンソールの外に出るようなスタイルは実現していた。といっても、CN-F1Dのように常時コンソール外に浮いているようなフローティング構造とはまったく別物。また、それらのモデルが誕生した当時、画面サイズは7V型で十分という風潮があり、他社も含め大画面モデルの普及は思うように進んでいなかった。
「時代的に大画面が求められているのはもちろんですが、カーナビの課題は視認性と操作性だということは間違いありません。画面を大きくすれば表示される文字やボタンも大きくできるので視認性が向上します。そこから生み出されたのが、ディスプレイをコンソールの外に出してしまうフローティング構造。ドライバーに近い位置にディスプレイが配置されることにもなり、操作で手が届きやすくもなりました」(向田)
数値にするとドライバーとの距離はわずか数センチほどの差だが、ドライブ中はかなり大きなメリットとして実感できるという。

パッと見て判断できる視認性のよさや、すぐ対応できる操作性はドライブの安全性にもつながる

パッと見て判断できる視認性のよさや、すぐ対応できる操作性はドライブの安全性にもつながる

ディスプレイをコンソールから出してしまえば、サイズの制限はなくなる。しかし、クルマの中で大きな画面を支えるにはとてもシビアな設計が必要となった。なぜならば、走行しているクルマの中では大小さまざまな振動が起こる。その振動でディスプレイが揺れてしまっては、せっかくの視認性のよさも意味がない。
「ディスプレイの振動をなくすためにセンサーを取り付け、走行を繰り返して調整を重ねました。画面を9V型としたことにより重さも増していますから、最初の頃の走行での振動は結構すごかったですね(笑)。何度も試行した結果、やっと許容範囲まで持っていけました。地味な作業ですが、フローティング構造の見やすさ、使いやすさ、安全性すべてに通じる肝の部分だと思っています」(山崎)

ディスプレイをコンソールから浮かせたような状態でも、ブレない画面を実現

ディスプレイをコンソールから浮かせたような状態でも、ブレない画面を実現

強固にディスプレイを支えることに成功したCN-F1Dだが、まだ大きな課題が残っていた。それは、多くの車種に取り付けられるようにすること。既存の画面サイズ9V型以上のカーナビではせいぜい20車種程度にしか取り付けできなかったが、CN-F1Dは180車種に対応(2016年8月1日時点)。これを実現した大きな要因は、2段階で調整できるコンソールからの飛び出し具合と、上下に動かせるディスプレイの機構にある。
「多くの車種に適合させるためには、シフトレバーやボタンの操作のじゃまにならない位置にディスプレイを動かせることが必須。しかし、ディスプレイを支えたうえに可動させ、かつ耐久性や剛性を維持するのは大きな壁でした。特に苦労したのが、上下の可動。実際に動かすと、ディスプレイがガタガタとブレやすくなってしまうのです。そこで、採用したのが油圧機構。可動部分にオイルダンパーを搭載することで振動に強くなったほか、上下にスライドする動きもゆっくり落ち着きがあるものになりました(下の動画参照)」(山崎)

もちろん、本体を収めるコンソール内にあるパーツも車種によって異なるため、それらとカーナビ(本体)が干渉しないように1車種ずつ実際に取り付けて検証したという。

最後に、デザインについてのこだわりも紹介しておきたい。従来のカーナビのディスプレイはコンソールに収めるために四角くしか作れなかったが、フローティング構造ではそのような制約もない。車種を問わず内容にフィットするように丸みを持たせ、かつ“浮いている感”を強調するように縁にアルミのモールを施した。
「コンソールに収納するタイプのカーナビでは買い換えても視覚的な変化はわずかですが、フローティング構造ならデザイン的な違いもわかりやすい。ディスプレイに金属を用いることは重量を増加させることにつながりますが、所有するよろこびを感じていただけるようなデザインにしたかった。これまでにない美しさと存在感のあるカーナビだと自負しています」(山崎)

実際に走って感じたCN-F1Dの魅力

開発者のこだわりは、本当に利便性につながっているのかを公道を走行してチェックしてみた。今回試乗したのは、トヨタ「プリウス」である。

まず感じたのは、視認性のよさ。画面が9V型と大きく、ドライバーに近い位置にあるので、より大きく見える。さらにディスプレイの角度調整の幅が大きいことも見やすさに貢献。太陽光が車内に差し込む場面で、光が反射しにくい角度に調整できる。

コンソールに収納するタイプのカーナビの場合、コンソールの角度が寝ている場合、写真上のように太陽光が当たると致命的。しかし、CN-F1Dは角度調整の幅が大きいので、見やすく調整できる

開発者インタビューの中でも出てきた、操作性のよさも実感! 筆者は身長175cmと小さいほうではないが、それでもコンソールに埋め込まれたカーナビの画面にタッチするには、車種などによっては肩をシートから浮かすようにして手を伸ばす必要があった。しかし、CN-F1Dでは手を軽く伸ばすだけで画面にタッチできる。些細な差だが、ドライブ中はこうしたわずかな違いが大きくストレスを軽減してくれるはずだ。

スワイプ操作で地図を拡大・縮小する時も、手が届きやすいほどスムーズに操作できる

フローティング構造にばかり注目が集まりがちだが、CN-F1Dはカーナビとしての基本性能も優秀。「ストラーダ」は使いやすさやルート案内に定評があるシリーズだが、その使い勝手や信頼性は、CN-F1Dにもしっかりと受け継がれている。たとえばルート検索の場合、「このナビにまかせておけば最適なルートを探してくれる」と思える信頼感が大切だ。その点、「ストラーダ」シリーズは最新の渋滞状況や旅行時間情報にもとづくルートを探索できる「VICS WIDE」に対応しているほか、実際に走行しているタクシーから収集したプローブ情報を元に車線ごとの所要時間を考慮したルートも検索してくれる。

「とらのもんひるず」と入力して検索すると、施設の駐車場まで含めた候補地が表示されるのがうれしい

「とらのもんひるず」と入力して検索すると、施設の駐車場まで含めた候補地が表示されるのがうれしい

目的地に向かうルートは「おまかせ」のほか、「有料優先」「一般優先」、燃料消費量のもっとも少ない「eco」、そして最短距離で走行できる「距離優先」から選べる

ルート案内がわかりやすいのも「ストラーダ」の特徴。急カーブや踏切といった注意が必要なポイントや、走行している道路の制限速度などを画面に大きく表示し、注意をうながしてくれるサポート機能も魅力だ。その親切な案内の様子を下にまとめてみた。

複雑な形状の交差点を通過する場合、画面右側に真上から見た拡大図を表示。このあたりの表示は親切だ 3D表示にすれば、実際の見た目に近い状態になるので曲がる場所を間違える可能性は非常に低くなる 高速道路の走行中はインターチェンジや料金所、パーキングエリア、サービスエリアの情報も表示される 高速道路の出口付近で表示される看板は、かなり実物と近い印象 合流など注意すべきポイントでは、大きく注意喚起の表示が出る 走行中の道の制限速度も表示。制限速度が変わるたびに表示されるので、速度超過を未然に防ぐことができる

ドライブをもっと快適にするため機能や機構

ルート案内などのナビをするだけが、カーナビの役目ではない。車内で音楽を聞いたり、映像視聴を楽しんだり、ドライバーのためだけでなく同乗者を楽しませるツールにもなる。その点、CN-F1Dはブルーレイディスクの再生に対応しているほか、Androidスマートフォンとの連携機能も充実。また、ドライブレコーダーやリアモニターなど豊富なオプションに対応しているので目的にあわせて拡張しやすい。

大きな画面はリアシートからも見やすい。ブルーレイ再生に対応しているので、子どものためにアニメや映画を用意してあげるといいだろう

Androidスマホに「CarAV remote」というアプリを入れれば、CN-F1DのAV機能をスマートフォンから操作可能に。リアシートからも、音声調節や早送りなど自由に操作できる

リアシートで、もっと間近でブルーレイの映像を楽しみたい場合はオプションのリアモニター「CA-RM900D」をチョイスするといいだろう。CN-F1Dではルート案内、リアモニターにはブルーレイの映像というように表示を分けることも可能。また、CA-RM900Dにはカメラが装備されているので、リアシートの様子をCN-F1Dの画面に映し出すこともできる

CN-F1Dと連携するドライブレコーダー「CN-DR01D」も用意されている。もちろん、CN-DR01Dで録画された映像はCN-F1Dの画面で再生可能だ

まとめ

コンソールからディスプレイを出すというアイデアは比較的思い付きやすそうではあるが、大きめのディスプレイであるがゆえ、振動や耐久性、そして汎用性など、複合した課題が続々と発生する。検証や改良を積み重ねた結果、ようやく商品化されたわけだが、CN-F1Dの最大の魅力はこの大画面のメリットを多くの車種で享受できることだと思う。今回試乗したプリウスだけでなく、いくつもの車種に装着されているのを目にしたが、すべて違和感がない装着具合だった。これは、開発者たちが実際のクルマ1車種ずつに本体とディスプレイを装備し、問題がないかを確かめていく作業を実施しているから。上のレビューで筆者が感じたような視認性や操作性のよさは、どの対応車種でも同じように体感できる。フローティング構造と大画面の恩恵は、実際に使ってみると想像以上。ぜひ、カーナビユーザーには味わってほしい快適さだ。

また、信頼性に定評のある「ストラーダ」シリーズの上位モデルだけに、ルート検索や案内なども使い勝手がよい。ドライバーのストレスを減らし、車内を楽しくする名脇役としてCN-F1Dを選択するのは大いに“あり”だと言える。

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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2017.10.23 更新
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