イベントレポート
世界一売れているスタウトビールの味と泡の魅力をリサーチ

「ギネス」の泡はなぜ超クリーミー!? 特許レベルの秘密を解説

クラフトビール人気により、ビールにはさまざまなスタイルがあることが知られるようになりました。そのいっぽうで、トレンド化する以前から飲まれている“個性派”といえば黒ビールです。黒ビールは「スタウト」「ポーター」「シュバルツ」などに細分化されていますが、その「スタウト」ビールの中で世界一飲まれているのが、あの「ギネス」です。

写真左の瓶が「ギネス エクストラスタウト」で、缶が「ドラフトギネス」。同じ「ギネス」でも、味のキャラクターはかなり異なります

日本では、「ギネス エクストラスタウト」と「ドラフトギネス」が販売されていて、後者は泡が非常にきめ細かいことでも有名です。今回、その理由を詳しく教えてくれるということで、ブランドセミナーに参加。注ぎ分けや飲み比べをしながら、秘密を解明してきました。

260年前にアイルランドで生まれ54年前に日本上陸

まずは簡単に、改めて「ギネス」のおさらいから。同社は1759年、アイルランドの首都・ダブリンで創業。2019年12月31日に260周年を迎える超老舗です。現在150か国以上で飲まれていて、その杯数は毎日約1000万杯以上とか。

創業者は、生産拠点となるセント・ジェームズ・ゲート醸造所を9000年のリース契約で操業を開始。後世に続く絶対的な自信があったのでしょう

素材や製法へのこだわりも言わずもがな。たとえば、水はダブリンの南にあるウィックロー山地から湧き出る天然水を使用。麦芽はアイルランド産で、同国の醸造用大麦の2/3は「ギネス」用に消費されるそうです。そして素材と同様に重要なのが麦のロースト工程。すべて自社焙煎し、その温度は232℃と厳密に決められています。

焙煎温度の232℃は、それよりも低いと味わいが劣り、高ければ大麦が燃えてしまうという絶妙な値だそう

焙煎温度の232℃は、それよりも低いと味わいが劣り、高ければ大麦が燃えてしまうという絶妙な値だそう

そしてホップは、一般的なラガー(上面発酵)ビールの約2倍の量を使用。また、創業からずっと同一の酵母を使って醸造することで、伝統的なおいしさを実現しているのです。

そんな「ギネス」が日本にやってきたのは1965年。当初は「ギネス エクストラスタウト」だけでした。これは、前回の「東京オリンピック」の翌年であり、つまり半世紀以上も飲まれていることになります。やがて1995年に樽詰めの「ドラフトギネス」が、1997年には缶入りの「ドラフトギネス」が発売されます。今やおなじみのクリーミーなビールが、ついに日本上陸したのです。

泡の秘密は「窒素」! 缶には「ガス入り球体」が入っていた!!

泡の理由を明らかにしましょう。

それは窒素が含まれているから。コーヒー好きの人なら、近年少しずつ広まっている「ニトロブリューコーヒー」のようなもの、と言えばわかるかもしれません。ただ、歴史深い「ギネス」の場合ははるか昔。日本に上陸する以前、「ギネス」創業200年にあたる1959年に、世界初の「ナイトロジェンビア」(窒素ビール)として紹介されました。

「ドラフトギネス」のアルコール度数はやや低めの4.5%。かすかなローストの風味からなる、甘味とビター感の絶妙なバランスも魅力です

特にユニークなのが缶。それを説明しましょうということで、セミナーはサーブ体験へ。「いつも通りに注いでみてください」と、「ドラフトギネス」の缶と専用グラスが用意されたので、やってみました。

よくコーヒー界では「カスケード」と呼ばれる、液体などが美しく流動するグラデーションも「ドラフトギネス」特有のもの

確かに素人でも、いとも簡単にハイクオリティな泡つきビールを注ぐことができました。でもこれは、ただ窒素が入っているというだけではありません。「フローティング・ウィジェット」というしかけが内部に仕込まれているからなのです。

「フローティング・ウィジェット」の採用は、1988年から。そしてこれに欠かせないのが、白い球体のカプセルです。このカプセル内部にも、秘密が隠されています

その仕組みは、カプセルに封入されている窒素が開栓と同時に放出され、約300万という無数の泡を生成するというもの。より上手に注ぐコツは、(1)缶を冷蔵庫で3時間以上冷やすいっぽうで、グラスは冷やさないこと、(2)ビールのタブを引いて注ぎ口を全開にして音が止むまで待つこと、(3)グラスを斜め45°に傾けてやさしく注ぐ、といったものです。

缶の内部を見せてもらいました。この白い球体のカプセルがクリーミーな泡の秘密です

缶の内部を見せてもらいました。この白い球体のカプセルがクリーミーな泡の秘密です

ちなみに、樽詰めの「ドラフトギネス」の場合は、サーバーのタップ(注ぎ口)先端の内部に「リストリクタープレート」というパーツが仕込まれていて、そこを通るとガス分離を起こすためにクリーミーな泡ができ上がるのだとか。

飲食店にこのハープ型のビールサーバーがあれば、樽詰めの「ドラフトギネス」が飲める証拠

飲食店にこのハープ型のビールサーバーがあれば、樽詰めの「ドラフトギネス」が飲める証拠

「ドラフトギネス」の特徴を理解したあとは、もういっぽうの「ギネス エクストラスタウト」と飲み比べ。こちらは瓶ということもあって「フローティング・ウィジェット」はしかけられていませんが、やさしい泡はしっかりと味わえます。よりビターなロースト香がありつつ、シャープなのどごしも楽しめます。こっちのほうが好きと言う人も、少なくないでしょう。

「ギネス エクストラスタウト」のアルコール度数は「ドラフトギネス」より0.5%高い5%。初期のオリジナルの「ギネス」に近い味なのだとか

今回のセミナーは、東京・六本木にあるアイリッシュパブ「シャムロック バイ アボット チョイス」で開催されました。同店では「ギネス」はもちろん、いろいろなビールに合う料理として、肉とビールを熟知したシェフのオススメメニューが用意されているので、気になる人はぜひ。

セミナーではローストビーフ、豚角煮、スープカレーなどを堪能

セミナーではローストビーフ、豚角煮、スープカレーなどを堪能

最後にもうひとつだけアドバイス。「ギネス エクストラスタウト」や「ドラフトギネス」を自宅で楽しみたい人は、専用グラスで飲むことをお忘れなく。グラスは酒屋やネットなどで缶とセット売りされている商品を選びましょう!

中山秀明

中山秀明

食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とウェブメディアを中心に編集と撮影を伴う取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。

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