糖質が気になるビールファンの人に、朗報です!
2023年10月1日の酒税法改正で、ビールの価格がやや下がりました。これにともない、ビールメーカー各社は新製品を発売。そのなかには、糖質ゼロや糖質オフのタイプもラインアップされており、単純にヘルシーなビールの選択肢が増えたのです。
ということで、今回は各社のヘルシー志向製品を集めてじっくりチェックします。用意したのは下記の4銘柄です。
・キリンビール「キリン一番搾り 糖質ゼロ」
・サントリー「パーフェクトサントリービール」
・サントリー「パーフェクトサントリービール〈黒〉」
・サッポロビール「サッポロ生ビール ナナマル」
左2つは2023年リニューアル版。右の2つ「パーフェクトサントリービール〈黒〉」と「サッポロ生ビール ナナマル」が2023年10月発売の新製品です
それぞれ、スペックや味わいの違いはどうなのでしょうか。飲み比べをしながら深掘りします。
トップバッターは、糖質ゼロビールの元祖であるキリンビール。前回の酒税法改正時である2020年10月に合わせて、日本初の糖質ゼロビール「キリン一番搾り 糖質ゼロ」を発売しました。
「キリン一番搾り 糖質ゼロ」の2023年版
同製品はそこから、毎年のようにリニューアルを実施。2023年の最新版では、フローラルな香りを持ちつつ、おだやかな苦みが特徴の「ザーツホップ」を新規で採用したり、トラディションホップを増量したり。こうした改良により、飲み応えを高めながら、雑味がなく飲みやすい味わいを実現したそうです。
「キリン一番搾り 糖質ゼロ」のスペックは、アルコール度数が5%、カロリーは100mL当たり29kcal。糖質は当然ゼロです
飲んでみましょう。おぉ、これぞビールと言える、麦汁由来の旨味とホップの苦味がしっかりあって、糖質ありのビールよりはライトですが、味の薄さやチープさは皆無。今回の他製品と飲み比べた感想としては、麦汁の味と苦みが豊かで、爽快感も秀でている印象です。ゴクゴク飲みたい人におすすめと言えるでしょう。
さすがは糖質ゼロビールのパイオニア。旨味と苦みのバランスがよく、どんな料理にも合いそうな優等生感があります
次は、「キリン一番搾り 糖質ゼロ」の誕生から約半年後の2021年4月にデビューし、対抗馬として市場を盛り上げてきた「パーフェクトサントリービール」。こちらはパッケージデザインを数回大幅変更するほどのリニュ―アルが行われ、カラーリングは当初の青系&金から現在の白&金に。
現在の「パーフェクトサントリービール」
味わいの特徴は、「ザ・プレミアム・モルツ」ブランドで培ってきた醸造技術やノウハウを活用していること。「ダイヤモンド麦芽」「トリプルデコクション製法」(糖化工程における仕込釜での麦汁煮沸を3回実施)、アロマホップの100%使用などで贅沢な味に仕上げ、最新版では濃色麦芽の一種「ミュンヒナー麦芽」を前作から1.5倍に増量することで、ビールらしい飲み応えをさらに強化したそうです。
「パーフェクトサントリービール」は、アルコール度数が5.5%、カロリーは100mL当たり32kcal
飲んでみると、麦のコクとボディの豊かさが印象的。どっしりとした旨味がグイッと来て、苦味とともにスカッと切れていきます。先陣を切った「キリン一番搾り 糖質ゼロ」と比べると、アルコール度数が0.5%高い分ボディが厚く、いっぽうでシャープな苦みや爽快感は「キリン一番搾り 糖質ゼロ」のほうが優勢かなと思いました。
フードペアリングとしては、味が濃厚な料理と特に合いそうです
お次は2023年秋の新作。糖質ゼロの黒ビールとしては日本初となる「パーフェクトサントリービール〈黒〉」です。ご存じ「パーフェクトサントリービール」の黒ビールバージョンで、数量限定でのトライアル。好調に売れているようで、もしかしたら通年販売されるかもしれません。
「パーフェクトサントリービール〈黒〉」。2023年10月3日から限定発売されています
中身には、「パーフェクトサントリービール」でも使われている「ダイヤモンド麦芽」を一部使用し、力強い飲み応えを創出。さらに、上品な香ばしさが特徴の黒麦芽を一部に採用し、ホップの配合比率と発酵条件を調整することで、黒ビールらしい香りや飲み応えに仕上げたそうです。
「パーフェクトサントリービール〈黒〉」は、アルコール度数が5%、カロリーは100mL当たり31kcal
味わってみると、ロースト麦芽由来の香ばしさや甘みを感じられて好印象。飲み応えは、本家「パーフェクトサントリービール」よりアルコール度数が0.5%低い5%であるからか、あのボディ感までとはいかないものの、十分な厚みがあります。ハリのあるコクと爽快さを持ったテイストで、黒ビールファンの新たな選択肢になると言えるでしょう。
煮込み料理や粉もの、黒酢を使う中華料理などにおすすめ。チョコレートやカヌレなどの甘香ばしいスイーツにもよく合うはず
ラストは、ゼロではなくオフで攻めたヘルシー系。2023年10月17日に発売された「サッポロ生ビール ナナマル」です。機能面は糖質とプリン体の70%オフということで、実はこうしたスペックは発泡酒や新ジャンルでは珍しくなかったのですが、ビールでは初。ということで、本製品は糖質とプリン体の2つをオフにした日本初のビールです。
「サッポロ生ビール ナナマル」は2023年10月17日にデビュー
ゼロではなく70%オフで開発した理由は、消費者ニーズの差に着目したから。ゼロ系ユーザーは、味わいと同等かそれ以上に健康やスペックを重視するいっぽう、オフ系を好む人は健康を意識しながらおいしさも諦めたくない層であると推測。そこで、「サッポロ生ビール ナナマル」は、後者に当たるオフ系ユーザーを狙ったとのことです。素材には複数の厳選麦芽と最高級ファインアロマホップ一部使用し、味作りにこだわりました。
「サッポロ生ビール ナナマル」は、アルコール度数が5%で、カロリーは100mL当たり30kcal。糖質は0.5〜0.9g、プリン体は0.1〜3.0mgとなっています
飲んだ印象は、ひとまわりたくましいハリツヤのある味。あえて70%オフに抑えたことや、後発であることも関係しているでしょう。旨味とコクがしっかりあって、飲み応えの満足度はピカイチ。方向性的には「キリン一番搾り 糖質ゼロ」より、「パーフェクトサントリービール」の味に近いかもしれません。あとはゼロかオフか、好みによるところだと言えます。
ペアリングは幅広く調和。特に、ソーセージや唐揚げ、餃子といった肉系、揚げ物系、点心系にマッチするでしょう
4種類を飲み比べてみて、それぞれに魅力があることを実感。最終的にどれを選ぶかは、好みによるところでしょう。各ビール独自の特徴をあげましたので、参考にしてみてください。
「キリン一番搾り 糖質ゼロ」→麦汁の甘みとビターな爽快感
「パーフェクトサントリービール」→アルコール5.5%の厚みあるボディ
「パーフェクトサントリービール〈黒〉」→黒麦芽の香ばしい甘み
「サッポロ生ビール ナナマル」→オフのゆとりが生む旨味とコク
個人的に気になるのは、大手メーカーとして、まだ糖質ゼロ/オフビールを発売していないアサヒビールの動向。銘柄が増えて市場が盛り上がるこのカテゴリー、今後も注目します!