レビュー

味の素「白チャーハン」と「ザ★チャーハン」は何が違う? "白黒"つけてみた

味の素冷凍食品の「ザ★チャーハン」が2015年に大ヒットし、市場全体も盛り上がったことから“冷凍チャーハン戦争”と呼ばれたムーブメントから8年。味の素が再び、ウィットに富んだ冷凍チャーハンを発売しました。それが2023年8月に発売された「白チャーハン」です。

お店によっては、同じショーケースに「白チャーハン」と「ザ★チャーハン」が売られていることも珍しくありません。また、色が対照的なデザインなのも特徴で、白ベースですっきりとした印象の「白チャーハン」と、黒ベースで力強さを感じる「ザ★チャーハン」は並ぶことで独特のインパクトを放っています。

左が「白チャーハン」で、右が「ザ★チャーハン」。袋のサイズはほぼ同じですが、「白チャーハン」は内容量500g、「ザ★チャーハン」は内容量600gと100gの差があります

左が「白チャーハン」で、右が「ザ★チャーハン」。袋のサイズはほぼ同じですが、「白チャーハン」は内容量500g、「ザ★チャーハン」は内容量600gと100gの差があります

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2023/08/17 15:00

そこで気になるのは、やはり味の違い。「白チャーハン」のほうはパッケージに「塩分40%カットだ!!」と書いてあるのですが、物足りなさはないのでしょうか。今回は両製品の食べ比べで、特徴や味わいの違いなどを明らかにしていきます。

「白チャーハン」は塩分を控えたい人のために開発

まずは、「白チャーハン」の特徴から見ていきます。この製品の開発背景にあるのは、ずばり“健康意識の高まり”。味の素の調査によると、60代以上の約半数以上が「塩分を控えること」を意識しているそうで、塩分を控えながらもおいしさに妥協しない味を目指し、この「白チャーハン」が誕生したのだとか。

パッケージには「直火焼豚 味は正統派 然も減塩 白チャーハン」と書かれています。「然も(しかも)」を漢字で表記するのはやや不自然ですが、「白」を「自」に置き換えれば上段横読みで「自然味」となるのを狙ったのかもしれません

パッケージには「直火焼豚 味は正統派 然も減塩 白チャーハン」と書かれています。「然も(しかも)」を漢字で表記するのはやや不自然ですが、「白」を「自」に置き換えれば上段横読みで「自然味」となるのを狙ったのかもしれません

主なスペックは、100g当たり194kcal、脂質4.5〜9.7g、炭水化物28g。肝心の食塩相当量は0.71gで、特にこの点は「ザ★チャーハン」との違いが気になるところです。

主な具材は、ネギ、全卵、焼豚

主な具材は、ネギ、全卵、焼豚

「ザ★チャーハン」は炒めた香ばしさを求める人向けに誕生

次は「ザ★チャーハン」。こちらは具材がシンプルで、主に炒めた香ばしさや風味の豊かさを求める人向けに開発された製品です。インパクトのあるコンセプトと味わいが好評を呼び、2015年の「第3回フローズンアワード」では300アイテムを超える中から「冷凍食品大賞」に選ばれ、同年度の売り上げは計画の2倍以上に伸びました。さらに、2016年度にはそれを上回るヒットを叩き出しています。

コンセプトは一目瞭然で「焦がしにんにくのマー油と葱油が香る」がウリの一品。左下の「新」アイコンはリニューアルの証で、2023年2月発売バージョンが最新版です(2023年11月時点)

コンセプトは一目瞭然で「焦がしにんにくのマー油と葱油が香る」がウリの一品。左下の「新」アイコンはリニューアルの証で、2023年2月発売バージョンが最新版です(2023年11月時点)

そして、主要スペックをチェックしようと裏面を見たところ、なんと「1/2袋(300g)」当たりの表記になっていました。これでは比べづらいな〜と思いつつ、100gに換算(小数点以下は四捨五入)。すると、100g当たり179kcal、脂質5g、炭水化物29gと、意外にも「ザ★チャーハン」はそこまで高カロリーな食品ではないようです。(「白チャーハン」は、100g当たり194kcal、脂質4.5〜9.7g、炭水化物28g)。

主な具材は「白チャーハン」と同じく、ネギ、全卵、焼豚

主な具材は「白チャーハン」と同じく、ネギ、全卵、焼豚

では、「白チャーハン」における最重要項目である食塩相当量はどうなっているのか調べると、「ザ★チャーハン」は1.37g。「白チャーハン」は0.71gなので、しっかり40%オフの0.822gを下回る数値でした !

100g当たりのカロリー、脂質、炭水化物、食塩相当量の比較表

100g当たりのカロリー、脂質、炭水化物、食塩相当量の比較表

「白チャーハン」は塩分40%減でも薄味ではなかった

塩分量以外は、そこまでスペックに大きな差がなかったことに驚き。では、味わいにはどんな差が出ているのでしょうか。いよいよ実食チェックです。まずは袋から出して冷凍された状態を見てみました。

左が「白チャーハン」で、右が「ザ★チャーハン」。全体的な色合いは「ザ★チャーハン」のほうが黒っぽく感じますが、これは黒マー油によるものだと思います

左が「白チャーハン」で、右が「ザ★チャーハン」。全体的な色合いは「ザ★チャーハン」のほうが黒っぽく感じますが、これは黒マー油によるものだと思います

そして、それぞれを電子レンジで加熱。この手順はおなじみだと思いますが、どちらも凍ったままの製品を器に盛り付け、ラップをせずにレンチンするだけです。

チャーシューが肉塊のように見えるのは、凍結でくっついているため。温めた後は均一のキューブ型にほぐれます

チャーシューが肉塊のように見えるのは、凍結でくっついているため。温めた後は均一のキューブ型にほぐれます

食べる前から香りの違いは明らか! 予想どおり、「ザ★チャーハン」のほうがにんにくやネギ油によるパンチのある風味が漂いました。このフレーバーが、味にどれだけの差を生んでいるのか気になるところ。

ということで、「白チャーハン」からテイスティングします!

ということで、「白チャーハン」からテイスティングします!

味の素によると、「白チャーハン」はアミノ酸の働きを活用しているのがポイントなのだとか。人の味覚に影響を与えるアミノ酸が味を損なわない減塩技術に作用して、おいしさと減塩を両立させているそうです。

ところどころに「おこげ」のように香ばしく炒められた部分があり、食感のコントラストがナイス

ところどころに「おこげ」のように香ばしく炒められた部分があり、食感のコントラストがナイス

そしてひと口……味の薄さをまったく感じません。特に、普段から減塩醤油を使うなど、塩分を控えめにしている人であればこのバランスに驚くかも。塩味の主軸を動物系のダシで代替している印象で、近しいのは鶏ガラ的な旨味。余韻には甘みも感じました。

米はほどほどに水分を含んでいるため、ドライなパラパラ感はありませんが、冷凍チャーハンとしては標準的。また、チャーシューは煮豚ではなく本格中華の「吊るし焼き叉焼」のような味と食感に仕上がっています。

次は「ザ★チャーハン」をレビュー!

次は「ザ★チャーハン」をレビュー!

「ザ★チャーハン」は同社によると、ホタテ貝や魚醤に含まれる「コク味物質」(※)と、後味を強化する素材「(動物)脂のおいしさ成分」をマー油やネギ油と絡めることで、ガツンとした風味に仕上げているのだそう。

※:グルタミルバリルグリシン。グルタミン酸、バリン、グリシンの3つのアミノ酸が結合したトリペプチドと呼ばれる化合物。そのものは無味ながら、調理過程で熱を加えたときに糖分や油分を結びつける働きがあることから、さまざまな味や匂いの要素を結びつかせて“コク”を生み出すとされています

こちらにもおこげが入っていました。米の食感などは「白チャーハン」と「ザ★チャーハン」に大差ありません

こちらにもおこげが入っていました。米の食感などは「白チャーハン」と「ザ★チャーハン」に大差ありません

こうして食べ比べてみると、「ザ★チャーハン」の打ち出したい方向性がより顕著に浮き彫りになりました。端的に言えば、やはりヤング向けの味。パンチの効いた香味油のフレーバーはもちろん、味付けの濃口醤油感が「白チャーハン」よりも効いており、それが香ばしさにつながっている印象です。

チャーシューは「ザ★チャーハン」のほうが煮豚に近い味わいで、「白チャーハン」よりもしっとりジューシーに仕上がっています。また、醤油だけでなくどこか味噌のようなコクも。なお、香りや味にジャンク感やパンチはあるものの、決して下品な味わいでないところが絶妙なポイントです。

【まとめ】「白チャーハン」には“将来の伸びしろ”を感じる!

昆布などの旨味成分として知られるグルタミン酸を原料とした、世界初の調味料「味の素」を発明した味の素グループ。「白チャーハン」は、そんな同社が得意とする旨味で上手に味がコントロールされており、物足りなさも感じさせないおいしさに仕上げられていました。これは、さすがのひと言!

「ザ★チャーハン」のファンが、いつか「白チャーハン」に移行する日が来るのかも……

「ザ★チャーハン」のファンが、いつか「白チャーハン」に移行する日が来るのかも……

若いときは気になりませんが、歳を取ると健康診断で塩分量が気になってくるもの。ただ、「薄味はちょっと物足りない」という人も多いでしょう。そういった要望に応えてくれるのが、まさに今回の「白チャーハン」だと思いました。人生100年時代と言われ、今後ますます長寿国になることが予測される日本ですから、同製品からは“将来の伸びしろ”も感じられます。

ちなみに、味の素は「白チャーハン」と同じタイミングで塩分40%カットの「おいしく塩分配慮ギョーザ」と「おいしく塩分配慮エビピラフ」も発売しています。同社の減塩カテゴリー、今後も目が離せません!

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2023/08/17 15:00
中山秀明
Writer
中山秀明
グルメ、ファッション、カルチャー、ライフスタイルを得意とする編集プロダクションを経て独立し、フードアナリストの資格を取得。内食・外食のトレンドやカルチャーに詳しく、深掘りレビューやインタビューなどを得意とし、さまざまな雑誌やウェブメディアをメインに、編集と撮影を伴う取材執筆を行っている。酒類や調理家電、タバコ関連にも強い。時折、テレビ番組や大手企業サイトに食の有識者として企画協力することも。
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中尾貢三子(編集部)
Editor
中尾貢三子(編集部)
家電からゲーム、ホビー雑貨まで興味あるモノはひたすらコレクションして試さずにはいられないマニア。心ときめくモノだけに囲まれて暮らしたいという願望があります。
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