2024年7月11日に、日清食品から“うなぎ不使用”の「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」が発売されました。無事に買えてホッとしていたら、後でニュースを知りビックリ! 用意した5,000セットが1分未満で完売してしまったのだとか。
「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」は、「謎うなぎ」とタレ&山椒がセットになった冷凍食品で、価格は1,620円(税込・送料別)。“もっと鰻(うなぎ)に近づきました!”という気になる文言も
2023年にも販売されましたが、当時は1,000セットが1分で完売し、このときは筆者も買えませんでした。「今年こそは……!」と意気込んでいたのですが、今年も一瞬で完売したことから、同じ思いを抱いていた人は多かったのでしょう。
公式サイトより。なお、2024年夏季の土用の丑の日は7月24日と8月5日です
何はともあれ、気になるのはその味。「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」の「謎」は、「カップヌードル」でおなじみの「謎肉」にちなんだもの。「謎肉」は、大豆を主原料に肉や野菜を混ぜたほぼプラントベースですし、何と言ってもおいしいじゃないですか! それもあって、とにかく「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」にも期待が高まってしょうがないのです。
「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」には、「謎肉」の技術が応用されています
しかも今回は、2024年7月15日に「カップメシ」シリーズから「日清謎うなぎ丼」も新発売されました。こちらの商品には、「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」が具材として使われているとのこと。冷凍の「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」が買えなかった人にとっては朗報です。
「日清謎うなぎ丼」は、東京、中部、近畿エリアにあるコンビニなどの小売店と、オンラインで発売。価格は398円(税込)
そこで、「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」と「日清謎うなぎ丼」の味をじっくりチェックするとともに、近所のスーパーで買った本物のうなぎ蒲焼きと、さらにうなぎ蒲焼き風食品との食べ比べも実施。味の“謎”に迫ります!
左上が一般的なうなぎ蒲焼き、右上がうなぎ蒲焼き風食品「うな次郎」。これらを、じっくりと食べ比べます!
まずは「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」から徹底チェック。箱の中にはオールカラーの小冊子も入っており、数種の調理法が記載されていました。たとえば、表面をカリッとさせるならオーブンレンジで、簡単にふわっとした食感を目指すなら電子レンジで、といった具合です。
箱の中身はこのような内容に
また、小冊子にはパッケージ表面に書いてある“もっと鰻に近づきました!”に関する記述やレシピも掲載されていました。小冊子によると、今回の「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」は、かつて放送されていた伝説の料理対決番組「料理の鉄人』の後継である「アイアンシェフ」で、新たな「和の鉄人」として活躍した名手・黒木純シェフが監修を務めているそうです。
うなぎ特有の青魚のような風味や脂感を加え、食欲をそそる香ばしい風味をアップし、よりリアルな味わいに進化させたとか
さらに小冊子を読み込むと、その特徴が明らかに。「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」は、「白身層」「中間層」「皮層」の3層を組み合わせることで、リアルな食感を表現。「白身層」は主に粒状大豆たんぱくを使用し、ふわっとしながらも繊維質のある食感を。「中間層」は植物油脂などを使用することで、うなぎの身と皮の間にある脂身のとろっとした口どけを表現。そして「皮層」は、大豆たんぱくを主体とした原料で皮の質感を演出したほか、竹炭粉末を使って特有の黒さを再現しています。
「謎うなぎ」の身は89gで、タレと山椒は15.1g。合計1セット104.1gあたり、217kcal、たんぱく質11.1g、脂質11.4g、炭水化物17.4gです。原産国は中国
また、3層の生地を専用の金型に詰めて蒸した後、タレを塗り、あぶって焼き目を付けることでリアルな見た目を再現しているとのこと。
上が「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」で、下が本物のうなぎ蒲焼き。本物はタレが多めですが、パッと見た感じはかなりそっくりです
いっぽうの新作「日清謎うなぎ丼」もチェックしました。こちらは、冷凍の「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」とは異なり、熱湯をかけて調理するタイプなので、「謎うなぎ」は入っていながらも、まったく同じものではないはず。商品のプレスリリースにも、「※うなぎ風の具材は大豆たん白加工品です。」と記載がありました。「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」のような特殊な3層構造ではないのでしょう。
「日清謎うなぎ丼」の裏&側面。1食100gあたり、387kcal、たんぱく質9.1g、脂質6.7g、炭水化物72.6gです
まずは、「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」と、本物のうなぎ蒲焼き、そしてうなぎ蒲焼き風食品「うな次郎」の3種をそのまま食べ比べて、違いを浮き彫りにします。
それぞれの中身を出して見比べると、「うな次郎」は、なんちゃって感の強さが否めない結果に。
上が「うな次郎」で、中央が本物。下が「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」
なお、今回買った本物うなぎは、45尾サイズ(216〜235g)で1,069円(税込)。アメリカうなぎの「ロストラータ種」というタイプで、中国産でした。おそらく、アメリカうなぎを中国で養殖し、日本用に加工販売されたものだと思います。
それぞれをカット。左から、「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」、本物うなぎ、「うな次郎」です
また、近しいサイズの中国産うなぎを1,490円(税込)で販売しているスーパーもありました。「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」は89gで1,620円(税込)なので、タレと山椒付きとはいえ、リーズナブルなわけではないと言えるでしょう。
こちらは「うな次郎」。一正蒲鉾の商品で、魚のすり身が原料です。蒲焼き風のすり身2枚(1枚約55g)とタレ&山椒付きで、349円(税込)でした
いざ実食! 今回はすべて電子レンジで調理し、いったんタレや山椒を使わずに食べました。まずは「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」から。
「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」。ひと口大にカットして食べ比べます
驚くべきは、そのやわらかさ。箸で持ち上げると自重で切れてしまうのではないかと思うほどとろとろで、食べるとジュワッとした口どけ。味わいは確かに、うなぎとよく似た力強いコクとジューシーな脂のうまみ、そして香ばしさも十分です。調理の仕方によるかもしれませんが、このふわとろ食感はインパクト大でした。
本物のうなぎ蒲焼き
ただし本物を食べてみると、やはりこちらのほうが堂々とした味わいです。特に、うなぎ特有のビター感、表面のプリプリ感に対する中身のジュワとろ感とのメリハリ、また、細かな繊維質を残しつつ、ふわっと消えていく口どけも絶妙。「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」のジューシーなおいしさも絶品ですが、まだまだ進化できる気がしました。
うなぎ蒲焼き風食品「うな次郎」
「うな次郎」は、本物のうなぎに比べるとかなり単調な食感ですが、決して悪くありません。たとえるなら、カマボコとはんぺんの中間に当たるようなイメージで、適度なプリプリとふんわり感がナイス。味付けは、香ばしさをともなう甘じょっぱさがリアルで、すごく上手な印象です。価格が手ごろなので、気軽にうなぎ感を味わうなら「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」よりも適していると言えるでしょう。
ここからは「日清謎うなぎ丼」も作り、各4種をうな丼にして食べ比べます。
「日清謎うなぎ丼」は熱湯を注いで5分待ち、付属の「特製甘辛たれ」を混ぜたら完成。フタを開けると、細かくカットされた「謎うなぎ」が数個入っており、これがどのように変化するのか気になります。
ほかの「カップメシ」と同じく、炊き上げた米を高温高速の熱風で膨化(ぼうか)乾燥させた独自製法のパフライスが入っています
完成した「日清謎うなぎ丼」は、ほんのり山椒の香りも漂い、想像以上に本格派な印象。ドロドロしていて箸では食べづらいので、こちらはスプーンで味わいました。
全4品をうな丼で食べ比べ。「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」(左下)と「うな次郎」(右上)には、それぞれに添付されているタレもかけました
まずは「日清謎うなぎ丼」から。具材の「謎うなぎ」は、「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」で感じた“ふわとろ”よりは硬めのしっかりした弾力で、すり身の「うな次郎」にも近い味わい。ご飯がドロッとしているので、「日清謎うなぎ丼」にはこちらのほうが合っていると思います。
また、ほんのり山椒の爽やかなキレが漂う甘じょっぱい味付けもナイス。お湯で膨らんだご飯はボリュームもしっかりで、この満足度が387kcalなのはうれしいですね。
「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」にも使われている大豆たんぱくが原材料ながら、その味は別物。「カップメシ」に適したおいしさに仕上げられています
そして改めて、上記でそのまま食べ比べた3種の蒲焼きを、オンザライスにしてテイスティング。
「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」からチェックすると、ふわとろでジューシーな「謎うなぎ」がもっちりしたご飯とマッチし、これは丼にしたほうがおいしいと感じました。
タレは味付けもテクスチャーも濃厚で、「うな次郎」に添付されていたタレよりもパワフルです
続いて、リアルなうな丼のおいしさは言わずもがな。弾力にハリがあって、口の中で濃い脂がとろジュワッと広がるおいしさは、中国産のアメリカうなぎとはいえ、説得力があります。
当たり前ですが、今回の中で最も魚らしい風味と弾力。微細な小骨のようなエッジや、苦みや香ばしさなどもあって、この複雑味が本物のうなぎらしさだと実感しました
そして「うな次郎」は、うな丼として食べると違和感があるものの、これはこれでアリだと思える味わい。身もタレの味もライトでありつつ、ご飯との相性は悪くなく、細かく切って青ネギや刻みのりをかけ、ひつまぶし風にすれば、いい意味でごまかされ、よりおいしく食べられる気がします。
そっくり度合いは「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」に負けますが、この「うな次郎」には価格の安さなどのベネフィットがあります
2025年の「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」は、また味が進化するのでしょうか。価格が安くなると、さらにうれしいです
食べ比べてみた結果、「プラントベースうなぎ 謎うなぎ」は、主原料が大豆たんぱくながら、魚のすり身で作られたうなぎ風食品よりもリアルうなぎに近い味わいでした。これはある種、大豆たんぱくのジャイアントキリング(大番狂わせ)と言えるでしょう。日清食品の開発力は、やはりスゴかった。きっと2025年も発売されるはずで、目が離せません!