レビュー

冬の新・黒ビール! キリンビール「アフターダーク」とサントリー「プレモル黒」を飲み比べ

冬は、黒ビールがよく飲まれる季節。2023〜2024シーズンも、話題性の高い製品が発売されました。

ひとつめは、2023年12月5日にキリンビールから発売された「SPRING VALLEY Afterdark(アフターダーク)<黒>」(以下「アフターダーク」)。もうひとつは、同年12月19日にサントリーから発売された「ザ・プレミアム・モルツ<黒>」(以下「プレモル黒」)です。

店頭にて。「SPRING VALLEY Afterdark <黒>」と「ザ・プレミアム・モルツ <黒>」が並んでいました

店頭にて。「SPRING VALLEY Afterdark <黒>」と「ザ・プレミアム・モルツ <黒>」が並んでいました

かたや前者はクラフトビールカテゴリーで、後者はプレミアムビールカテゴリー。とある店舗では「ザ・プレミアム・モルツ <黒>」のほうが40円安く販売されていましたが、製品特徴や味わいはどのように違うのでしょうか。飲み比べながらレポートします。

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直営店の人気ビールをアレンジした「アフターダーク」

まずは各特徴をチェックします。

「アフターダーク」はキリンビールのクラフトビールブランド「SPRING VALLEY(スプリングバレー)」の新作で、2023年の夏季に限定発売された「スプリングバレー サマークラフトエール<香>」を含めると5種類目のフレーバーです。

アルコール度数は6%。麦芽、ホップ、糖類(砂糖、乳糖)が原材料で、100mL当たり62kcal

アルコール度数は6%。麦芽、ホップ、糖類(砂糖、乳糖)が原材料で、100mL当たり62kcal

なお、缶商品としては新作ですが、「アフターダーク」はキリン直営のクラフトビールレストラン「スプリングバレーブルワリー」が開業した2015年から提供されています。ただ、今回の製品化に当たり、ベースの「アフターダーク」をアレンジして開発したとのこと。

パッケージの裏側には味わいのイメージと説明書きも。製法は、華やかでしっかりした酒質になりやすい「エール(上面発酵)」ではなく、すっきりとした味わいが魅力の「ラガー(下面発酵)」で、ビアスタイルは「ブラックラガー」です

パッケージの裏側には味わいのイメージと説明書きも。製法は、華やかでしっかりした酒質になりやすい「エール(上面発酵)」ではなく、すっきりとした味わいが魅力の「ラガー(下面発酵)」で、ビアスタイルは「ブラックラガー」です

名ブランドが今年も繰り出す「プレモル黒」

いっぽうの「プレモル黒」は、「ザ・プレミアム・モルツ」の黒ビールとして、これまでも限定発売されている製品の2023〜2024年冬版。上品な香ばしさが特徴の黒麦芽や、欧州産アロマホップといった素材にこだわった、豊かなコクと旨味がウリです。

アルコール度数は5.5%。原材料は麦芽とホップのみで、100mL当たり52kcal

アルコール度数は5.5%。原材料は麦芽とホップのみで、100mL当たり52kcal

また、製法としては、ほかの「ザ・プレミアム・モルツ」などにも採用されている「ダブルデコクション」もこだわり。これは、糖化工程において仕込釜で麦汁を煮出す「デコクション」を2回行うもので、甘みやコク深さ、まろやかさが豊かになると言われています。

デザインも最新仕様で、特に黒いプルタブが目を引きます。なお、ビアスタイルは公開されていません

デザインも最新仕様で、特に黒いプルタブが目を引きます。なお、ビアスタイルは公開されていません

それぞれの味や推し料理を飲み比べで徹底解説

では飲み比べといきましょう。

「アフターダーク」は原材料の解説で先ほど軽く触れた「糖類」がポイント。なかでも、乳糖が味覚作りのキーになっているはず。というのも、乳糖は英語で「ラクトース」と言い、クラフトビールではメジャーな存在だからです。

製品側のウリとして、「ラクトース」のことは特に触れられていません。ただ、印象的な甘みは同製品の特徴のひとつであり、この味わいには「ラクトース」が関係しているはずです

製品側のウリとして、「ラクトース」のことは特に触れられていません。ただ、印象的な甘みは同製品の特徴のひとつであり、この味わいには「ラクトース」が関係しているはずです

「ラクトース」を使うクラフトビールでは、「ミルクスタウト」や「ミルクシェイクIPA」といったビアスタイルをうたうことがよくありますが、「アフターダーク」はシンプルに「ブラックラガー」。

飲んでみると、ロースト麦芽の旨味が凝縮したような深いコクがリッチで、甘みも豊かに感じます。直球の甘さではなく、たとえるならカプチーノのような、ミルキーなコーヒーを思わせる甘み。加えて、ほどよい苦味とかすかな酸味もあって、ゴージャスな黒ビールのおいしさです。

ビールの味も、泡にも凝縮感があり、口当たりも実にシルキー

ビールの味も、泡にも凝縮感があり、口当たりも実にシルキー

フードペアリングは、デミグラスソースや甘じょっぱい味のメニュー、あるいは香ばしい料理が特におすすめ。加えて、甘酸っぱさやスパイシーさがあると、なおマッチするでしょう。具体的には、黒酢酢豚、チキン南蛮、西京味噌焼き、ウナギ蒲焼き、カレー、麻婆豆腐、チョコレートなどです。

次は飲み比べつつ、「プレモル黒」を深掘りします

次は飲み比べつつ、「プレモル黒」を深掘りします

本家の「ザ・プレミアム・モルツ」は、旨味の豊かな麦芽と華やかな香りが持ち味のホップを贅沢に使った、文字どおりプレミアムなおいしさがウリ。今回の「プレモル黒」にもそのDNAは受け継がれており、重厚なコクとフルーティーなアロマが感じられます。

甘みは「アフターダーク」ほど個性的でなく、その分ビター感やキレが主張しています。また、こちらはアルコール度数が0.5%低い5.5%(「アフターダーク」は6%)な分、ボディも若干ライトです

甘みは「アフターダーク」ほど個性的でなく、その分ビター感やキレが主張しています。また、こちらはアルコール度数が0.5%低い5.5%(「アフターダーク」は6%)な分、ボディも若干ライトです

そのうえで印象的なのは、ローストされた麦芽が漂わせる甘香ばしさ。たとえば、本家の「プレモル」を中煎りだとするなら、黒は深煎りのエスプレッソと言えるでしょう。味にも香りにも、焼き立てトーストのようなこんがり系のニュアンスが加わり、大人な高級感を醸し出しています。

もちろん“神泡”も健在。華やかな「プレモル」の魅力に、ローストの甘香ばしさが加わった味わいです

もちろん“神泡”も健在。華やかな「プレモル」の魅力に、ローストの甘香ばしさが加わった味わいです

ペアリングは先述の「アフターダーク」同様の方向性と言えますが、「プレモル黒」は甘酸っぱさがおだやかな褐色のメニューや、こってりした料理がマッチするでしょう。たとえば、ビーフシチューやメンチカツといった洋食、あるいはチーズを使うピザ、グラタン、タコスなどもおすすめです。

冬にいっそうウマい黒ビール! 好みやシーンで選ぼう

「アフターダーク」は、クラフトビールらしい個性と、それでいて飲みにくさは皆無のフレンドリーな味わい。通常のビールよりも価格はやや高めですが、むしろ同ジャンルのクラフトビールには350mLで1,000円近くする銘柄もあるので実はお得であり、入門にも最適と言えるでしょう。

黒ビールならではの香ばしい風味を楽しむには、ぜひグラスへ注いで味わいましょう

黒ビールならではの香ばしい風味を楽しむには、ぜひグラスへ注いで味わいましょう

いっぽうの「プレモル黒」はプレミアムビールらしい、正統派のリッチな黒ビール。こちらも、ごちそうやパーティー向けビールとして最適です。どちらの製品も、ロースト麦の香ばしい味わいは冬の飲みシーンにぴったり。また、ともに限定品なので、ぜひ今ご賞味ください。

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中山秀明
Writer
中山秀明
グルメ、ファッション、カルチャー、ライフスタイルを得意とする編集プロダクションを経て独立し、フードアナリストの資格を取得。内食・外食のトレンドやカルチャーに詳しく、深掘りレビューやインタビューなどを得意とし、さまざまな雑誌やウェブメディアをメインに、編集と撮影を伴う取材執筆を行っている。酒類や調理家電、タバコ関連にも強い。時折、テレビ番組や大手企業サイトに食の有識者として企画協力することも。
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牧野裕幸(編集部)
Editor
牧野裕幸(編集部)
アイテム情報誌「GetNavi」や映像エンタメ情報誌「DVD&Blu-rayでーた」(当時)の編集者を経て「価格.comマガジン」へ。スティック&ロボット掃除機、コーヒーメーカー、扇風機、電動歯ブラシ、電気ケトルなどの白物家電のほか、AV機器や加熱式タバコを担当しています。LOVE, LINKIN PARK.
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