またも問題作が登場しました!
あの日清食品「カップヌードル」から、今回もクセの強そうな新商品が登場。2024年7月22日発売の「フレンチカップヌードル」全3種です。
左から、「フレンチカップヌードル オマール海老のビスク味」「同 チキンのシュプレームソース味トリュフ風味」「同 真鯛と帆立のプロヴァンス風ブイヤベース味」
日清食品はこれまでも個性派カップ麺をひんぱんに送り出しており、もはやどんなクセ強商品を出してもたいして驚かないのですが、今回は「その手もあったか!」と感心しました。フレンチをテーマに、高級な食材や料理をモチーフにするという発想はなかなか意欲的です。
“カプヌ史上最高級スープ”とのこと。はたしてトレビアン(フランス語で「すばらしい」などの意味)と感じるのでしょうか?
とはいえ、何かを極端に増量(「カップヌードル ビッグ 謎肉祭」など)させたり、既存の味を合体させたり(「カップヌードル スーパー合体」など)といった奇抜な商品に比べれば、まだ正統派と言えそう。
フタの天面に、それぞれの調味ペーストやオイルが付属。これらで高級感をブーストする仕様のようです
ただ1点、“高級”をうたう割には、そこまで高額じゃない(定番「カップヌードル」は希望小売価格236円で、本商品は259円と、その差は23円。どちらも税別)気がするのですが、味のクオリティーはいかに? ということで、より深掘りしていきます。
トップバッターは「フレンチカップヌードル オマール海老のビスク味」。こちらは、海老の濃厚な旨味と野菜の甘みを効かせ、ハーブでアクセントを加えたスープに「オマール海老風味ペースト」を入れて仕上げる、濃厚でコク深い味わいが特徴です。
スペックは、1食83g(麺60g)あたり392kcalで、たんぱく質8.2g、脂質18.0g、炭水化物49.2g。なお「ビスク」とはフランス語で、甲殻類を使った濃厚スープの総称
麺は、少し太めでつるみのあるしなやかなタイプで、具材にはトマトや海老風ボール(卵白を主原料とした、海老エキス入りのボール形状の具材)などが入ります。
粉末スープはなかなか多めで、トマトキューブなどを含めて全体的に赤め。定番「カップヌードル」に入っているようなリアル海老ではなく、海老風ボールにしている狙いは気になるところ
食べるのは3種まとめてということで、次は「フレンチカップヌードル チキンのシュプレームソース味トリュフ風味」をチェック。こちらは、鶏の旨味が際立つ濃厚でクリーミーな味わいのスープに、「特製トリュフ風味オイル」を加えて仕上げます。
1食84g(麺60g)あたり423kcalで、たんぱく質9.3g、脂質22.1g、炭水化物46.6g
こちらの麺は、「フレンチカップヌードル オマール海老のビスク味」ほど太くはないようですが、いずれにせよ大差はないと思います。具材は白謎肉(味付き鶏ミンチ)、ニンジン、マッシュルーム、インゲンがポイント。ちなみにシュプレームソースとは、フランス語で「至高のソース」という意味で、鶏のだしにマッシュルーム、生クリームなどを加えて作ります。
見るからにクリーミーな粉末スープ。具材のニンジンやインゲンの彩りが好アクセントです
そして最後に、「フレンチカップヌードル 真鯛と帆立のプロヴァンス風ブイヤベース味」。こちらは、真鯛、帆立、アサリなどの魚介の旨味とトマトの爽やかな酸味や甘みが調和したスープに、「4種の海鮮風味オイル」を加えることで、世界三大スープのひとつと称されるブイヤベース(ほか2つはトムヤムクンと、ボルシチまたはフカヒレスープ)のような重層的な味わいに。
1食76g(麺60g)あたり360kcalで、たんぱく質9.4g、脂質16.1g、炭水化物44.3g。大きな違いはないものの、3種の中では最もヘルシーです
麺は「フレンチカップヌードル チキンのシュプレームソース味トリュフ風味」と同系統のよう。具材はキャベツ、海老、トマト、イカが入っており、キャベツとイカは「カップヌードル シーフードヌードル」と共通。海老は「カップヌードル」と同じなのが興味深いところです。
上記の2商品に比べると粉末スープは少なめ。その分、具材の存在感が強めな印象です。具材に真鯛と帆立が入っていない点は、きっとコスト的な事情でしょう
いよいよ、お待ちかねの調理と試食へ。3種すべて、熱湯を注いで待つ時間は3分で共通。ただ、必要となる目安の湯量は「フレンチカップヌードル オマール海老のビスク味」だけ20mL少ない290mLでした(ほかの2種は310mLが目安)。
熱湯を注ぎ、それぞれ専用の調味ペースト、または調味オイルを入れたところ。この時点で、確かにトレビアンと言いたくなりそうな舶来の香りが!
では、「フレンチカップヌードル オマール海老のビスク味」からテイスティング。やはり香りが非常にエレガントで、オマール海老風味をうたうことにも納得できます。スープの味は、旨味の奥に酸味や甘みも感じられ、全体的に濃厚。
具材は、個人的に海老風ボールよりもリアルな海老のほうがいいのにと思いました。ただ、ここで海老を入れてしまうと「オマールじゃなく、普通の海老やん」と、つっこまれることも想像できます
具体的な味としては、濃厚なオニオンスープとミネストローネを混ぜ、オマール海老の風味を強調したような印象。まろやかなとろみはあっても、クリーミーなニュアンスは思ったほどなく、乳化はオイルによるものかもしれません。このテクスチャーもリッチな味を演出しています。
スープはドロッととろみがあり、やや太めの麺とのからみも良好
次は「フレンチカップヌードル チキンのシュプレームソース味トリュフ風味」を。トリュフの香りがバッチバチにキマっており、この時点ですごくリッチ。鶏の旨味が主張しており、こちらもかなり濃厚なテイストです。
通常の謎肉よりあっさりめの「白謎肉」は、濃厚スープと好相性。テクスチャーは、今回の中で最もドロッとしていると感じます
方向性は、クリームシチューをイメージさせるホワイトソースのクリーミーさ。近しいフレンチとしては「チキンフリカッセ」というメニューを想起させました。ミルキーなタッチは、バターよりもむしろチーズを思わせるような……。コクがしっかりあって、残ったスープにはパンが合いそう。特にクリーム系のシチューやパスタが好きな人には、かなりおすすめできます。
濃厚鶏白湯に生クリームやチーズを加え、ラストにトリュフオイルをしっかり効かせたような仕上がり
ラストは「フレンチカップヌードル 真鯛と帆立のプロヴァンス風ブイヤベース味」。具材に真鯛と帆立が入っていないことは前述しましたが、香りの面影には真鯛も帆立もそれなりに感じます。ただ、ほかの2種に比べると主張は弱め。ですが、具材のせいなのか海老やイカのシーフードフレーバーがしっかり。つまり、魚介としての風味自体は十分感じられます。
今回の3種の中では最もサラサラなテクスチャー。ただ、旨味はしっかりしていて、味わい的な物足りなさはありません
トマトを軸とした野菜の旨味、甘み、酸味。そこに魚介の力強いだしと、トップからラストまで上品に漂うハーブの香りは確かにブイヤベース調。スープはサラッとしていながら、決して淡麗とは言い切れないボディがありながら、リッチな香りがあって「カップヌードル」としては上品な立ち位置。味のメリハリのバランスが3種の中でいちばんよいと感じました。
具材の多彩さも秀逸。トッピングとしての海老は、相変わらず見事なおいしさです
今回の3種は、インパクトも高級感もおいしさもトレビアンで、「カップヌードル」の個性派の中でも記憶に残るシリーズになるような気がします。ただ気になったのは、ブイヤベース以外の2種はドロッと濃厚で、秋冬っぽい味わいだったこと。ラタトゥイユ(夏野菜の煮込み)やヴィシソワーズ(ジャガイモの冷製スープ。フランス人シェフが米国で考案)など、夏っぽいモチーフでもよかったかもしれません。
特に秋冬っぽいテイストだったのは、この「フレンチカップヌードル チキンのシュプレームソース味トリュフ風味」
それでも夏にこの商品を発売した理由は、もしかしたら今夏「パリ五輪」が開催されたからかもしれません。また、高級フレンチの要素を打ち出すには、ドロッと濃厚に仕立てたほうがわかりやすいという側面もあったはず。いずれにせよ、本商品は「フレンチカップヌードル」“シリーズ”と明記されており、今後の新フレーバーにも期待できます。
どれも甲乙つけがたい、金メダル級のおいしさ!
なお、手を変え品を変えて個性派を生み出し続けるのが日清食品というお茶目な世界企業。2024年9月2日には、2023年9月に発売された「特上 カップヌードル」4品がパワーアップして帰ってきます。こちらも高級感を押し出したシリーズであり、見逃せません!