立ち食いそばライターが食べ比べて味の違いを徹底解説

定番カップそば「どん兵衛」と「緑のたぬき」はどう違う? そばの達人が食べ比べ!

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年末が近づいてきました。X'masにはチキンやケーキといったごちそうを食べる人も多いでしょう。そしてその後にやって来るのが大みそか。そう、年越しそばです! 一説によると「細長く伸びた麺=寿命が長く延びる」、「ほかの麺に比べて切れやすい=厄災を断ち切る」といった縁起のよさから年納めに食べるようになったとか。具も、縁起のいいニシン(二親と読める。「数の子」の親であり子だくさん)が重宝される地域もありますが、手軽に済ませるにはやはりカップそばでしょう。

おなじみの「どん兵衛(日清)」と「緑のたぬき(マルちゃん)」。それぞれ東日本向けと西日本向けの2種類ずつを集めました

・どん兵衛 天ぷらそば[東](写真右下)
・緑のたぬき 天そば(東向け)(同右上)
・どん兵衛 天ぷらそば[西](同左上)
・緑のたぬき 天そば (西向け)(同左下)

カップそばの代表的商品といえば、この「どん兵衛」と「緑のたぬき」ではないでしょうか。「僕はどん兵衛派!」、「私は緑のたぬきが好き〜」といった好みがあると思いますが、でも、その理由って明確でしょうか? 味の違いってはっきりわかりますか? そこで今回、「立ち食いそば名店100 首都圏編 最新版」などでライターとして活躍する平島憲一郎さんに協力を依頼し、味の違いを解説してもらいました。

平島さん。立ち食いそばの食べ歩きが趣味で、ムック本の執筆までしているというそばの達人です

平島さん。立ち食いそばの食べ歩きが趣味で、ムック本の執筆までしているというそばの達人です

まずは4商品を開封して徹底的に見比べてみた

ということで、まずは4つの商品を解剖。中身を徹底的に比較してみることに。

開けてみました。位置は前記と変更なし

開けてみました。位置は前記と変更なし

パっと見てわかる違いは、「緑のたぬき」にはかまぼこがのっているということ。また「どん兵衛」の天ぷらは個包装になっていますが、「緑のたぬき」は裸ということもわかります(上の写真では「どん兵衛」の天ぷらは袋から出しており、右下と左上に写っている白っぽい袋がそれです)。

左が「どん兵衛」、右が「緑のたぬき」

左が「どん兵衛」、右が「緑のたぬき」

さらに天ぷらを注意深く見てみると、ここにも違いが。「どん兵衛」の天ぷらには青のりのようなものがかかっており、少しだけ大きいような気も。では次、麺はどうでしょう。

同じく、左が「どん兵衛」で右が「緑のたぬき」

同じく、左が「どん兵衛」で右が「緑のたぬき」

若干ではあるものの、「どん兵衛」のほうが細くてちぢれが緩めのような気がします。食感はお湯を入れたらまた変わってきそう。ということで、いざお湯をイン! そしてつゆの色の違いもチェックしてみました。

東日本と西日本では、やはりつゆの色が違った!

左側が関西のつゆ。右側が関東のつゆ

左側が関西のつゆ。右側が関東のつゆ

おお、これはやはり関東のつゆのほうが黒っぽいですね。よく「関東は濃口、関西は薄口で醤油(しょうゆ)のタイプが違う」と言われますが、このつゆにもその違いが反映されているのでしょう。そこで気になるのが原材料の違い。パッケージ外側の原材料も比較してみました。すると、いずれも関西には「昆布エキス」が入っていることが判明!

どちらも「どん兵衛」で、左が関西、右が関東。原材料の部分を比較すると、基本的な材料はほぼ同じ。しかし関西のほうには「昆布エキス」の文字が! ちなみに成分表記は、関東のほうが3kcal高く、脂質は0.6g、炭水化物は0.1g高いものの、食塩相当量は0.3g低いそうです

一方こちらは「緑のたぬき」で、左が関西、右が関東。こちらも関西には「こんぶエキス」が入っています。また関東の原材料にある乳糖(甘味料の一種)が関西には入っていないという違いもあります。成分表記では関東のほうが2kcal高いものの、脂質は0.2g低く、でも炭水化物は0.6g高くなっています。そして食塩相当量は関東のほうが0.3g高いという結果に

ひととおり原材料と成分を比べたところで、いよいよ1つずつ平島さんに味のチェックをしてもらいましょう。個人的な感想とともに、「そばののど越し」、「だしの香り高さ」、「つゆの甘さ」、「天ぷらの食感・風味」を5点満点で点数化し、格付け評価をしてもらいます。

(1)どん兵衛 天ぷらそば[東]

風味のよいカツオだしと丸大豆醤油のうまみが広がる味わい深いつゆに、後のせサクサク天ぷらが入ったそば。さて、平島さんの評価はいかに。

どん兵衛 天ぷらそば[東]

そばののど越し:4.5点
だしの香り高さ:4.5点
つゆの甘さ:2.5点
天ぷらの食感・風味:4.5点

どん兵衛 天ぷらそば[東]試食

「だしはカツオだしメインなので、インパクトがあります。香りが高いというより、だしの風味をストレートに感じられるという意味で高評価ですね。ちなみに、つゆの「甘さ」で評価するとこの点数になりますが、「甘くないからまずい」とはなりません。あくまでこれは甘みの評価であり、おいしさの評価ではないです。あと、天ぷらは秀逸ですね。後のせのサクサク感が長く続くのが高評価。えびの風味もプラスポイントですが、強いていえば味が単調なのがマイナスポイントです。紅ショウガ的なアクセントが入っているとさらに点数が高いのですが…という感じですね」(平島さん)

(2)緑のたぬき 天そば(東向け)

カツオだしを効かせ、醤油と砂糖を合わせた東向けつゆ。のど越しのいいそば、香ばしい小えび天ぷらもおいしい。

そばののど越し:3.5
だしの香り高さ:4.0
つゆの甘さ:3.5
天ぷらの食感・風味:3.5

緑のたぬき 天そば(東向け)試食

「のど越しに関しては、『どん兵衛』が一枚上手。でも『緑のたぬき』のちぢれた麺は、つゆとの絡みならこれはこれでありともいえます。だしの香りに関しては、返し(そばつゆ)のうまみをじゃましないタイプですね」(平島さん)

(3)どん兵衛 天ぷらそば[西]

昆布とカツオが上品に調和しただしと、丸大豆醤油のうまみが後を引く味わい深いつゆに。後のせサクサク天ぷらも不動のおいしさです。

どん兵衛 天ぷらそば[西]

そばののど越し:4.5
だしの香り高さ:4.0
つゆの甘さ:4.5
天ぷらの食感・風味:4.5

どん兵衛 天ぷらそば[西]

「意外にも、だしの香りは東のほうがうまく立っている印象です。これは、東がだしの味をストレートに出しているのに対し、西は返しのうまみを引き立てる意味で、あまり前に出過ぎないようにしているから。けして東よりまずくはないし、個人的にはむしろ西のつゆのほうが好みでした」(平島さん)

(4)緑のたぬき 天そば(西向け)

カツオ節、煮干し、雑節、昆布のだしを効かせた西向けつゆに、のど越しいいそばと天ぷらがマッチ。

緑のたぬき 天そば(西日本)

そばののど越し:3.5
だしの香り高さ:4.0
つゆの甘さ:4.0
天ぷらの食感・風味:3.5

緑のたぬき 天そば(西日本)試食

「つゆの甘みは『どん兵衛・西』と『緑のたぬき 天そば(東向け)』の間に入ります。ただ、煮干しが入っているせいか、東より甘みが柔らかな印象ですね。あと天ぷらを食べ比べた感じ、サクサク感に関しては『どん兵衛』のほうが好きです。なお全体の味に関してはそれほど違いを感じませんが、『どん兵衛』の天ぷらのほうが、若干油っこいかもしれないですね」(平島さん)

そばの麺そのものは「どん兵衛」のほうが一枚上手か

ちなみに、そばの風味の違いを聞くと「カップそばは麺を油で揚げている時点でほぼ風味は飛んでいます。たぶんコスト的にそば粉の配分も少ないでしょうし、温(おん)かけそばになるとさらに香りが感じられない(冷たいそばのほうが香り豊か)ので、これを採点項目に入れるのはかなり難しいですね」(平島さん)とのこと。

では先ほど乾麺で比較しましたが、お湯を入れた後の麺の違いはどうでしょうか。麺リフトを行い比較してみました。こうしてみるとより「どん兵衛」のほうがストレートでちぢれが少なく、しなやかな印象です。そして平島さんの評価としては「どん兵衛」が4.5で「緑のたぬき」が3.5。麺に関しては「どん兵衛」のほうがハイクオリティといえるかもしれません。

まとめ:のど越しは「どん兵衛」、つゆの吸い上げは「緑のたぬき」

最後に平島さんの評価をまとめてみましょう。

平島さんの評価をまとめてみましょう

総評としてまとめると…
・「どん兵衛」は麺がストレートに近くのど越しがいい。天ぷらもサクサク感が強いがやや油っこいかも
・「緑のたぬき」は麺がちぢれていて、のど越しは弱いがつゆの吸い上げはいい
・つゆは互角。東西で比較すると関西のほうが甘みが豊かでやさしい。でも香りは関東のほうが芳醇(ほうじゅん)

といったところでしょうか。後日筆者も食べ比べてみましたが、「比べてみると結構違うなぁ」という印象。でもこれを「全然違う」と判断するかどうかは個人のとらえ方次第であり、好き嫌いも嗜好性の問題だと思いました。

なお、平島さんに「一番好きなカップそばはどれ? 立ち食いそばはどこ?」と聞いてみると、カップそばは「どん兵衛 鴨だしそば」。立ち食い店は日暮里の「一由そば」とのこと。

■平島さんの一番好きなカップそば

■平島さんの一番好きな立ち食いそば
一由そば
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131105/13083338/

今回はメジャーな商品を取り上げましたが、気になる人はチェックしてみるといいでしょう! ぜひ好みのカップそばを見つけて、おいしい年越しそばを食べてください。まだ少し気が早いですが、よいお年を!

中山秀明

中山秀明

食の分野に詳しいライター兼フードアナリスト。雑誌とウェブメディアを中心に編集と撮影を伴う取材執筆を行うほか、TVや大手企業サイトのコメンテーターなど幅広く活動中。

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2018.1.11 更新
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