今やビデオゲームの世界にもeスポーツという新しい波が訪れ、新たなビジネスチャンスが生まれる時代になりました。人生のほとんどでゲームに携わってきた身としてはうれしい限りです。
ところで、そんなビデオゲーム黎明期にこんな男がいたことを覚えていらっしゃるでしょうか? 時はスペースインベーダー全盛期。100円を持って“インベーダーハウス”に通った少年たちの憧れの人、そう「ゲームセンターあらし」その人です。およそ40年の時を経て、彼が可動フィギュアとしてよみがえりました!
figmaよりゲームセンターあらしこと「石野あらし」です
これまでいいモノ調査隊でも何回もご紹介させていただいている可動フィギュアシリーズfigmaより、「石野あらし」が登場です。いやいやこの時代にゲームセンターあらしを見ることになるとは思いませんでしたね。
コミック「ゲームセンターあらし」は1979年からコロコロコミックで連載が始まった漫画です。つい最近「プロゲーマー編」が発表されて話題にもなりましたね。その名のとおりゲームセンターのゲームでバトルをするという、eスポーツの元祖ともいうべき作品。ただやはりコロコロコミックの漫画ということで、真面目にゲーム対戦をするわけではなく、ありえない見た目の必殺技を繰り出して対戦するという、トンデモ展開で大人気となりました。当時のゲームセンターに通っていた少年たちも、その必殺技を口にして遊んだ記憶があるのではないでしょうか? ぶっちゃけ実際にはできないワザばかりなんですけどね……。
本体のほかに交換用のパーツがたくさん付属。もちろんコントローラ筐体も!
この出っ歯! あらしの強烈なキャラはここにあるといっても過言ではありません
本体のほかに交換用の表情パーツが2種類。交換用のチャンピオンキャップ、交換用の手首パーツが6種類。さらにはレバーとボタンのついたコントローラ筐体(きょうたい)に、水魚のポーズ用の手首足首パーツなど、あらしの必殺技をひととおり再現できるパーツがついています。小学生という設定なので、本体の大きさは全長105mmと小さめですが、必殺技に対応できるように、胸部分やおなか部分に可動要素が入っており、本体を反り返らせてのポージングが可能になっています。
トレードマークのチャンピオンキャップと赤いジャンパー
交換用のキャップで首の反りも表現可能。脚もかなり反り返ります
筐体のレバーは可動。ボタンも押すことができます
ゲームセンターあらしには数々のアーケードゲームが登場しました。「ブロックくずし」から始まり「スペースインベーダー」、「ギャラクシアン」、「ラリーX」、「平安京エイリアン」に「ドンキーコング」など。アーケードゲーム黎明期を盛り上げた人気ゲームたちです。アラフィフの皆さまなら喫茶店やインベーダーハウスで「スペースインベーダー」を、ボウリング場などでナムコのアーケードゲームをプレイした記憶があるのではないでしょうか? そんなゲームのただハイスコアを取るというためだけに、あらしたちはバトルをするのですが、これがまたとんでもない必殺技で戦うことになります。
まずはゲームセンターあらしの代表ワザともいえる「炎のコマ」から。その概要は、レバーを超スピードでコントロール(原作では、1秒間に200万回以上)し、コンピューターを超える動きを発生させ、自機を消してしまうというトンデモワザ。これもうバトルとかじゃなくって、コンピューターを狂わせようっていう魂胆ですよね。ただこの高速スピードっていうのは、後のファミコン時代に現れた高橋名人の16連射のように、当時の子供たちを引きつけてやまない要素だったのですよ。
炎のコマ専用の左腕パーツがあります。炎エフェクト付き。高速レバー移動で摩擦熱が生じ、もう左手が燃えているって感じです
レバーにも、超高速で往復しているエフェクトパーツが取り付けられます
そして「炎のコマ」といえば、ただ立って筐体に向かうのでなく、大きくジャンプして、逆立ちするようなポーズでぶちかますという、ビジュアル的にも映えた必殺技でした。いやいやこれゲームセンターでやったら即、出禁になりますから! もちろんfigmaではそのポーズを再現できますよ。
大きくジャンプして、逆立ち状態になり筐体へ!
必殺、炎のコマ!! 体ののけぞり方もfimgaで再現可能です
これは必殺技名はわからないのですが、あらしの特徴的な出っ歯でボタンを押すというトンデモワザです。この頃の主人公キャラってイケメンじゃなくって、ちょっと下品で粗雑なほうが受けた時代なんでしょうね。
出っ歯でボタンを押して攻撃! しかしこんな出っ歯キャラいまはいないですよね
あらしが精神統一をするためのヨガのポーズです。精神統一すると額がピキーンって光るんですよね。figma ではそのピキーン専用パーツ(なんと出っ歯を差し替えて使います)と交換用の専用手首、足首パーツがついています。
瞳のない表情パーツに交換し、出っ歯を専用パーツに差し替えます。そして、両手で両足首をつかんでいる状態の専用パーツに差し替え、このポージング。端から見ると滑稽なのですが……
空中にジャンプして、腕をすり合わせる摩擦により電気を発生させ、ゲームマシンに放電、そしてコンピューターを狂わせる技……って、これもコンピューターを破壊するワザじゃないっすか。あらしさん卑怯(ひきょう)っすよ! と言いたくなるワザですね。
交換用手首を使って、正面からジャンプ。この後腕をこすりあわせるのです
あらし最大のワザといえばこれ。全宇宙のエネルギーをその体に集めて放射する高度な精神技。ちょっとでも気を抜くと体が木っ端みじんになるので、一生に一度しか使えないワザとして登場。でもそのあともちょくちょく使っていたような……。「ギャラクシアン」プレイのためだけに全宇宙の全エネルギーを集めて放ってしまうという恐るべしワザです。
炎のコマパターンのジャンプで腕をクロスさせて発動。これで全宇宙エネルギーが炸裂(さくれつ)するそうな
いかがでしたか、当時のトンデモワザを楽しめる可動フィギュアとなっていますよ。ネタフィギュアとしてはなかなかおもしろい出来になっています。気になったのは通常表情パーツの出っ歯が外れやすいことですかね。いじっているとすぐ取れてしまいました。パーツをなくさないために接着しちゃってもいいかもしれません。
そしてこのタイミングでこんなマシンが発売されたのをご存じでしょうか?
家庭用のゲーム筐体「ARCADE1UP」です。
サイズは483(幅)×1163(高さ)×584(奥行)mm。重量は約25kg。組み立て式です
世界中で稼働していた業務用アップライト型のアーケードゲーム筐体を3/4スケールで再現したもので、日本での販売をタイトーが担当。それこそボウリング場などにあったゲーム筐体のコンパクトサイズだと思ってください。
ラインアップ
<第1弾 2018年12月発売>
・「ARCADE1UP スペースインベーダー」(日本仕様電源版)
収録タイトル:スペースインベーダー オリジナル、スペースインベーダー カラー
・「ARCADE1UP パックマン・パックマンプラス」(日本仕様電源版)
収録タイトル:パックマン、パックマン プラス
・「ARCADE1UP ギャラガ・ギャラクシアン」(日本仕様電源版)
収録タイトル:ギャラガ、ギャラクシアン
<第2弾 2019年1月発売予定>
・「ARCADE1UP ランペイジ センチピード」(日本仕様電源版)
ATARIの名作ボール式コントローラーゲームを4種類収録
収録タイトル:センチピード、ミサイルコマンド、クリスタルキャッスル、ミニピード
・「ARCADE1UP ランペイジ アステロイド」(日本仕様電源版)
ATARIの名作ベクタースキャンゲームを4種類収録
収録タイトル:アステロイド、メジャーハボック、ルナランダー、テンペスト
・「ARCADE1UP ランペイジ ランペイジ」(日本仕様電源版)
MIDWAYの名作ゲームを4種類収録
収録タイトル:ランペイジ、ガントレッド、ジャウスト、ディフェンダー
当時のアーケードゲームをそのまま体験できる筐体となっています。スペースインベーダーを実際に遊んでみた記事はこちら。
残念ながら、ゲームの仕様は海外仕様とのことで、日本版とは微妙に異なるものがあるそうです。そして日本ではなじみの薄いタイトルもありますが、まさにゲームセンターあらし世代のアーケードゲームが当時の雰囲気さながらに楽しめそうです。ここは当時を思い出して筐体に向かって炎のコマを練習するのはいかがでしょう?
当時を思い出して古きよきゲームセンター時代を懐かしむのもありかと
「月刊PCエンジン」誌で編集ライターデビュー。「64DREAM」誌デスクを経て前職はXbox 広報のゲーム漬け人生。猫とガンプラとaqoursが存在理由のホビー担当。