真冬のラスベガスをアツくするテックの祭典CESが今年もやってきた! 世界中から集うテック業界の人々やメディア関係者に湧く現地から、ほかの取材記事ではお届けできなかったオモシロ&注目のガジェットをまとめてご紹介します。
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テキスタイル(織物)・テックを標榜するメキシコの会社、MoTeBo社が展示していたのは、IoT防弾ベスト。ハンドガンなどの弾丸が貫通するのを防ぐ特殊な素材で作られており、被弾した際の衝撃を数種類のセンサーで検知し、専用アプリに通知を送れるウェラブルデバイスです。
たとえば、サイレンサーを備える銃で撃たれた場合などは、誰かが撃たれてしまっても、離れた場所にいる人はその人が撃たれたかどうかを知るよしがありません。しかし、このベストを身に着けておけば被弾した本人が無線などで助けを呼ぶことができなかったとしても、「撃たれた」という情報が即座にチームに共有されるため、すばやく対処ができるというわけです。「修羅の国」とも形容されるメキシコならではの製品と言えるのではないでしょうか。
トラウマプレートなどを入れるポケットはないソフトアーマータイプ
通信用のモジュールを入れるポケットを備えます
防弾ベストの残バッテリーや、着用者のステータスなどを専用アプリで確認可能です
JAXJOXが発表した「KettlebellConnect」は、専用台座で重量を指定することで、ケトルベル本体の重りを自由に変更できる筋トレ器具です。これまでの筋トレ器具は、重さを変えるためにネジを外して重りを付け替え、さらにもう一度ネジを締める手間が必要でしたが、「KettlebellConnect」の場合は簡単なボタン操作だけで重りの変更ができるため筋トレ好きには重宝されそうなガジェットです。
本体には複数のモーションセンサーが搭載されており、トレーニングの種類を認識して持ち上げた回数などの運動データをBluetooth経由でアプリに送信。筋トレデータをスマートフォンで管理できるのも便利そうです
特殊な形状を活かしてスイングするような動作などを行うことで、ダンベルよりもバリエーションに富む筋トレができるケトルベル
重りの変更は台座のボタンを押すだけ。内部にあるピンが、設定した重量分の重りをセットしてくれます
デモンストレーションを行う男性の足元に、中身の重りが見えます。重りは12ポンド(約5.4kg)から42ポンド(約19kg)の間で調節可能
なお、「KettlebellConnect」はアメリカで発売済みで、価格は349ドル(約38,000円)です。
「BotBoxer」(ボットボクサー)は、複数のカメラで人間の動きをトラッキングし、放たれるパンチを回避するボクシングミットです。設定次第では、ゆっくりと回避するだけのイージーモードから、一般人ではヒット不可能だと言われるスーパーヒューマンまでさまざまなレベルでトレーニングできます。また、「ボットボクサー」本体に搭載されている複数のセンサーにより、パンチの強度や角度といったデータを専用アプリで管理することもできます。
フェイントやコンビネーションを交えて当てなければならないため、一般的なサンドバッグよりエクササイズ効果は高め。しかし、間合いを詰めるだけで打ち放題になるため、実戦的かどうかはギモンが残るところでした
筆者が人類を代表して「ボットボクサー」と対決する闘志あふれる動画は以下からご覧ください。
育児向けデバイスを手がける「Owlet Baby Care」が展示していたのは、産前、産後の赤ちゃんの様子をモニタリングできるスマートフォン連動デバイスです。こういった製品は「ベイビーテック」「ファミリーテック」などに分類され、「CES 2019」における注目株のひとつでした。なかでもOwlet Baby Careの新製品「Owlet Band」は、「ベストイノベーションアワード(ウェアラブル部門)」に選ばれるなど、高い評価を受けていました。
母親のお腹に巻き付けることで、赤ちゃんの健康状態をモニタリングする「Owlet Band」
「Owlet Band」の特徴は、本体に備えられたセンサーが心拍、胎動回数、子宮収縮といったお腹の中にいる赤ちゃんの健康状態を計測し、リアルタイムでスマートフォンの専用アプリに送信できること。赤ちゃんの健康状態に異常を感じたら、すぐに知らせてくれるのは安心です。胎動カウントを自動で行ってくれるのも、妊婦さんにとってありがたい機能でしょう。
これは赤ちゃんの足に巻く「Owlet Sock」。パルスオキシメーターを搭載することで、心拍に加えて、血中の酸素レベルや睡眠状態もモニタリング可能。異常があればスマートフォンアプリにリアルタイムで通知が送られるので、万が一の窒息などの予防に活用できます
長らく業務用カメラ以外の販売をしていなかったシャープが、突如「CES 2019」で発表したのがマイクロフォーサーズセンサーを搭載したコンパクト8Kカメラ。価格やスペック詳細はもとより、商品名すらも確定していない状況での「参考出展」です。現場で開発担当者に聞いた話では「シャープは業務用カメラや監視カメラの開発は続けているので、その分野の技術をいかして一般向けカメラの販売に再度打って出る可能性はある」とのことでした。
現状はREDなどの大型プロ用カメラでしか撮影できない8K映像が撮れる小型のカメラのモックアップ
シャープは放送用カメラや8Kテレビなどを「8Kエコシステム」と名付け、自社で全て展開していく戦略を描いており、その中の1ピースとして今回のコンパクト8Kカメラが登場したというわけです。スペックや発売時期など、詳細については今後に期待しましょう
ブラジャーの内側に着けっぱなしにでき、場所を選ばずに母乳を絞れる自動搾乳機「Willow」は、昨年の「CES 2018」で「ベストイノベーションアワード(ウェアラブル部門)」に輝いた製品なのですが、この最新版となる「Willow 2.0」が展示されていました。
前モデルの「Willow」は、面倒なポンピングの動作や場所を制限する電源コンセントへの接続が不用なことから、家事をしながらや、くつろげる場所でラクな姿勢で搾乳できることがメリットの自動搾乳機で、各方面から高い評価を得ました。こういった機能はそのままに、ハードウェア部分に改良が加えられたのが「Willow 2.0」です。容器カバーを透明にして搾乳したミルクの量を視認できるようにしたり、取り出しやすいデザインに変更することで、前モデルよりも搾乳スピードが向上しています。
スマートフォンアプリでは過去の搾乳時間や絞れた母乳の量を記録可能な「Willow 2.0」
こちらの面を乳房に押し当てて使用します
搾乳した母乳は内部の専用パッケージに密封されるのでこぼれる心配がなく、このまま冷蔵してもOK
「Willow 2.0」は日本で展開されるかどうかはわかりませんが、搾乳時間を時短することで効率的な育児を行い、お母さんの負担を軽減するデバイスとして注目です。
5Gの本格普及を目前に盛り上がるIoT関連製品が多かった「CES 2019」。多岐にわたる展示をひと言で表すのは困難ですが、あえて言うならば「エブリシング・イズ・コネクテッド(全てがインターネットに接続される時代)」を予感させる内容であったと言えます。搾乳機から防弾ベストまで、これまで私たちが思いもしなかったモノがネットワークに接続されるようなったことに驚かされましたが、これはまだまだ始まりでしかないのかもしれません。既に公式発表されている「CES 2020」の開催は2020年1月7日から。今から来年が楽しみです。
世界50か国以上を旅したバックパッカー。週刊アスキー編集部などを経て、AppBankに入社。「バイヤーたてさん」として仕入れとYouTubeを活用したコンテンツコマースに取り組み、上場時は広報として企業PRを担当。現在はフリーランスで活動中。