筆者はおもに物書きを仕事としていますが、そのほとんど、いや全部をコンピューターで作業しています。この原稿もキーボードをたたいて書いています。原稿用紙に文字を書いて仕事をしていたのは…そうですね、かれこれ20年以上前だと思います(その頃すでにワープロも使っていましたけど)。
さて、手書きでたくさん文字を書くことから遠ざかっていた筆者が今回注目したのが、新聞の論説コラムをそのまま書き写すために作られたノートです。
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ノートの中身はこのような構成。天声人語の文字組とまったく同じマス目が並んでいます |
朝日新聞で長年1面に掲載されている名物コラム、「天声人語」を書き写すという目的に特化したノートです。これ1冊で1か月分の天声人語を書き写すことができます。
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ページの右上には、天声人語をはり付けるスペースがあるので… |
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新聞から天声人語の部分を切り取って… |
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ペタリとはり付けて、その内容を下のマス目に書き写していきます。まったく同じ配列なので、写しやすいですし間違えるとすぐにわかります |
天声人語を書き写すことで4つの力が身につく、と公式サイトではうたっています。
その1、その時どきの時事ニュースを取り上げているので、社会への関心が自然と広がり、時事問題に強くなる。
その2、文章の読解力が身につく。
その3、書くことで言葉や漢字が身につく。文章の構成力やリズムも身について、書くことが楽しくなる。
その4、集中力や注意力が身につく。文章を固まりで覚えるようになって、記憶力が鍛えられる。
なるほどなるほど。そんなことを考えつつ、集中してとりあえず1日分、書き写してみました。
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マス目に文字がぴったりと収まりました。右下には記入日欄、左上にはメモ欄があります |
できるだけていねいに書き写そうと思って、ゆっくりと1文字ずつ書いていきました。書き終わるまでに20分ちょっとかかったと思います。いやぁ、上の記事を書き写すだけなんですが、無心になって、ちょっと疲れましたね。
でもとても新鮮で、いつも使っている頭の部分とは別の場所を働かせたような感覚があって楽しかったです。読むだけでも内容は把握できますが、それを書き写すとやっぱり理解度も深まりますね。書き慣れていない漢字は天声人語を何度か見返しながら確認して書いたり、ひらがなを書くときも線の引き方やマスの中のバランスを考えたり…。キーボード入力の文章づくりとは違う感覚が新鮮で、でもちょっと懐かしかった〜。
なんとなく覚えているけど書けなくなっている漢字って、けっこうあるんですよね…。それを確認して、改めて覚え直す機会にもなりました。やっぱり、手で書くのとキーボードでの入力とでは、記憶の残り方が全然違いますね。
小中学生が国語力を高めるための教材としてもとてもいいと思いますし、ご年配の方が日課として、日記代わりにつけるのもいいでしょう。天声人語は大学入試の問題にも多く取り上げられるといいますから、大学受験を控えている学生さんにもいい勉強になるのではないでしょうか。
こちらの書き写しノート、中の構成が違うバリエーションも豊富で、1分間に書き写した文字の数で「記憶レベル」をチェックできる「天声人語 書き写しノート・脳トレ版」や朝日小学生新聞に連載されている「天声こども語」を書き写す「天声こども語 学習ノート」などもあります。
また、読売新聞や毎日新聞などからも、同様の書き写しノートが発売されているようです。みなさんのニーズに合った書き写しノートで、新しい日課を始めてみませんか?