小寺信良のGadget 2 Go!

家じゅうで有線LAN、今さらながらPLCが便利

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PLCという技術をご存じだろうか。今からおよそ10年前に話題になった技術で、電力線の中に高周波の信号を通して、通信に使おうというものである。例えば家庭内のコンセントにPLCアダプターをつなぐと、家の中のどのコンセントからでも有線LANが取り出せるわけだ。

大変ユニークな技術だが、タイミングが悪かった。当時はWi-Fiが高速化し始めた時期で、大抵のデータは無線で飛ばせるようになっていた。また通信の入り口と出口でそれぞれアダプターがいるということで、数を増やすほどコストがかさむ。そんなこともあり、次第にPLCという技術は注目されなくなっていった。

だが世の中すべてWi-Fiで済むわけではない。鉄筋が入った壁があったり、地下までは電波が届かず、途中まではどうしても有線でケーブルを引く必要がある。また家庭内でも、古めのAV機器は有線LANしか対応していないというケースがある。

筆者宅の場合、光ファイバーの引き込み線は仕事部屋に来ているが、AV機器が多いダイニングは玄関ホールを挟んだ反対側にある。そこまでLANケーブルを敷設したかったのだが、まさか玄関を突っ切るわけにも行かない。また室内を引き回すとドアが閉められなくなってしまう。

仕方がないので、エアコン用の穴からケーブルを通して家の外にLANケーブルを出し、玄関入り口の上を横切る格好でダイニングまでケーブルを伸ばしている。もちろん、見た目は大変よくないし、台風が来るとケーブルがちぎれたりして、そのたびに引き直しである。

いつかなんとかしないと、と思っていたのだが、なかなか上手い方法が見つからずにもう10年このままだ。だがこの4月に、アイ・オー・データ機器から新しいPLCアダプターが発売されるという。

そう言えばその手があったか! と膝をうち、早速お借りしてみた。

ホントにコンセントに挿すだけ!

「PLC-HD240E-S」は、「HD-PLC」に準拠した第3世代のPLCアダプターだ。最大スループットは、規格値で240Mbpsとなっている。ただし電力線のコンディションや、どこからどこに通信を通すかで、スループットは大きく変わる。

PLC-HD240E-Sは設定済みアダプターの2個セット

PLC-HD240E-Sは設定済みアダプターの2個セット

今回お借りしたPLC-HD240E-Sは、2つのアダプターがセットになっており、すでにペアとして設定までされている。2つのアダプターはまったく同じものだが、横にMASTERとTERMINALのスライドスイッチがある。回線元のほうにMASTER、利用先にTERMINALを挿すだけで、通信が行なわれる。Wi-Fiルーターのように設定が必要なのかと思ったら、あまりにも簡単なので拍子抜けだ。

横にMASTERとTERMINALの切り替えスイッチ

横にMASTERとTERMINALの切り替えスイッチ

利用先を増やしたければ、増設用の単品を買い足していく。もし使えなかった場合は返金するという「ペイバックシステム」もある。

テーブルタップ経由でも使える

テーブルタップ経由でも使える

実際に仕事部屋とダイニングの間をPLCでつないでみたところ、インターネットからのダウンロード速度は約10Mbpsであった。ちなみにLANケーブルで直結した状態では約40Mbpsなので、速度的には1/4に落ちることになる。

だがそもそも物理的にケーブルを引き込むことが困難な場所にも、コンセントさえあれば有線LANが引き出せるメリットを考えたら、悪くない速度である。サイトの閲覧やゲームのアカウント認証程度なら、十分使えるだろう。

家庭内にAV機器が分散していると、すべての場所がWi-Fiで済むわけではなく、どうしても有線接続の拠点が複数できるものだ。そういう「有線飛び地」間をつなぐ方法のひとつとして、PLCはアリだろう。

小寺信良

小寺信良

AV機器評論家/コラムニスト。デジタル機器、放送、ITなどのメディアを独自の視点で分析するコラムで人気。メルマガ「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」も配信中。

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2017.5.22 更新
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